11/05/04 23:58:00.09 PvWEbGvC0
「キョンこらあ! 何見てんの!」
「ま、待てハルヒ! 誤解だ!」
「五回も六回もあるもんですか! なに考えてんの!」
「いいから落ち着け……ってうぉ!?」
「えっ、きゃ」
一体何のお約束か、ハルヒともみ合っているうちにどちらかの足が引っかかりそのまま倒れ込んでしまいそうになる。なんとかハルヒを押しつぶさないように体を入れ替え、屋上の床へとしこたま背中をぶつけたと同時に正面からは柔らかい感触が俺を襲った。
こ、この感じは、まさか!?
「いつまでも揉んでんのこのエロキョン!」
だがその感触を確かめようとする前にハルヒが飛び起きると同時に俺を弾き飛ばした。
ええい、もう少し……って何がもう少しなんだ。混乱しているのが自覚出来るほど、俺は取り乱していたようだ。
それはハルヒも同じようで、今にもまた飛びかからんと臨戦態勢を崩さない。
そんなとき、カシャッ、とカメラのシャッター音がやけに大きく響いた。
「え! な、何?」
いち早く気づいたハルヒの声に我に返りすぐさま辺りを見回す。すると今や戦場カメラマンと化したエスパーボーイが柔和な笑みでデジタルカメラを片手に掲げていた。
言い忘れていたが、こいつは今回カメラマンを自ら買って出ていたのだった。団活の記録だとか、色々と口上を述べていた気がする。
ハルヒはすぐさまデジカメをひったくると件の写真を確認したのちなにやら操作しているようだった。そして何か思い出した、という顔で
「花火大会は一端中止! 後片付けは頼むわね」
「おいどこに行くんだ」
「どこって……き、着替えるのよ! ほらみくるちゃんも!」
「はぁい、待ってください」
朝比奈さんの手を繋いで早足で去る濡れネズミな二人に続いて長門もふらっと屋上から出て行った。おそらく部室に戻るのだろう。必然的に片付けは俺の仕事になる。
今日はいつも以上に騒がしかった気がするな。しかしまぁこんなハプニングもたまには悪くない、か?
空を見上げながら、隣で俳優のような演技めいた動きで頷く男子同級生と共にやれやれと溜め息をついた。
その後、片付けを済まして部室に戻る際、うっかりノックを忘れてしまい新たなハプニングもあったのだが……それは割愛させてもらおう。
End