11/03/26 15:59:59.03 Gy17+C3d0
都会のホストはヤクザに擦り寄るものだが、地方のホストであれば正式に盃を交わした
ヤクザそのものである事もまた多いと言う事実を知らない。
その事がQBの失敗の始まりだった。
少女達の絶望を知ったショウさんが、腹を括り誇りもかなぐり捨て必死で頭を下げる事により、
ついに群馬見滝原の斜太興業の主力若衆が動き出す…
はるか上空に巨大な影の佇むワルプルギスの夜に、まるで統一感の無い
さながら暴力と悪意の寄せ集めの様なちぐはぐな武器を携えた十数名の男共が集まる。
混乱に乗じてあらゆる場所から掻き集めた、出処も生産国もまちまちの重火器に、鉈や匕首、工具のようなものまで。
これが斜太興業お抱えの死をも恐れぬ鉄砲玉ども。
破壊し尽くされこの世の終わりの様な景色を目の当たりにし、それぞれがケダモノじみたゲス剥き出しの笑みを浮かべる。
その中に震える拳を抑えながら一歩前に出る男、ショウ。
女を転がし、ヤミ金、詐欺、売春、賭博、薬物、あらゆるシノギに利用してきた男が、
これまで稼いだ汚れた金も、愛も、欲望も、仁義も、全てを投げ捨てこの日の為に費やした。
眼前に群がる、金と暴力とを求めて集まった最低野郎どもを死地に向かわせる己は、
如何なる言葉でもくくり様の無いクズだろう。
自嘲の笑みを煙草の紫煙と一緒に吐き出し叫ぶ。
『お前ら、良く集まってくれた』
『金も女も好きなだけくれてやる。だから、この街の為に死んでくれ』
野太く汚らしいいくつもの笑い声が響き渡る。答えはそれで十分だ。
この戦いに正義は無い。あるのは薄汚れた欲望のみ。
この世界には奇跡も魔法もありはせず、ただ掛け値無しの暴力が物を言う。
大人は大人らしい最低なやり方で、少女達の知らないところで血を流す。