11/03/05 22:10:36.20 1/SrVkSJ0
原作を読まないまま妄想が一人歩きした。内容を以下に記す。
「ふぅ、意外と早く終わってしまったな…」
弟が学園に入ってからは誰もいなくなった実家。一月以上無人の状態では埃も積るし家も傷む。
たまには私も家の掃除くらいせねば、と思い立った千冬は実家に戻っていた。
昼にさしかかった頃には大して散らかってもなかった実家の掃除を終え、満足そうに頷く。
「あいつの部屋、きれいだったな、うむ。しかし・・・」
弟は年頃の男子だ、ピンクな本を持っていても不思議はない。
「あいつが異常性癖の持ち主でないか、見極めねば」
探すとあっさりとベッドの下から本が数冊出てきた。本には”姉”という文字が妙に多かった気がするが特に問題は無い。
まぁこんなものか、と本を戻した千冬がふと机に目をやると、本の隙間に挟まれている便箋が目についた。
少し厚みがある。便箋に封はされていないが…色が薄桃色というのが弟らしくない。
「一夏はそんなに手紙を書くような性格だったか…?いや、あいつはもてるだろうからな、恋文かもしれん」
携帯端末を使えばすぐにメールを送れる時代にわざわざ手紙を書く必要があるのか。
便箋は恋文にしては厚く、しかし弟が書いたにしては色が変だ。
不自然に思った千冬は弟に悪いと思いつつ、便箋を開いた。
「…ちょっとだけ、魔が差しただけだ」
中には古いものから最近書いたと思われるものまで、10枚ほどの手紙が三つ折りになって入っていた。
「なっ!?」
手紙を読む千早の目が丸くなる。
中には千冬への感謝、元気にやっているか心配だとか、古いものには将来の夢は姉を守れるほど強くなりたい、
といった文が書き連ねられていた。
そして、年こそ違えどどれも日付が同じ手紙の最後は同じ一言があった。
「千冬姉さん、誕生日おめでとう」
千冬はその身を震わせへたり込んだ。
「これを…渡そうとしていたのか…毎年」
仕事に就いてから弟とほとんど会えなくなったが、それでも弟の誕生日の週には必ず帰るようにしていた。
しかし、弟は私の誕生日を祝いたかったのだ。目頭が熱くなり頬を雫が伝う。
「まったく、一夏は素直じゃないな…いや、私が家を空け過ぎていただけか…今度ほめてやろう」
もしその場に弟が居たら迷わず抱きしめていただろう。
その日、千冬は弟とのキャッキャウフフな空想をしながら学園への途についた。