11/03/14 21:43:07.42 8bDVrti4Q
―どれくらいそうしていたんだろうか。
「梓……」
ゆっくりと唇が離れていくのと同時に静かに目を開けると、澪先輩は目を潤ませ、頬を赤く染めながらも柔らかな笑みで私を見つめていた。
ちょっぴり目頭が熱くて、頬も熱い感じがする私もきっと、同じような表情をしているだろうなって思う。
「澪先輩」
「ん、なに?」
私の言葉に優しく聞き返してくる澪先輩に、私は、
「―大好きです……澪先輩」
先輩が優しくキスしてくれたからだろうか。
今までになく、穏やかな心で。
まっすぐに先輩の目を見ながら、好意を口にすることが出来た。
「私も大好きだよ……梓。
こうして梓が私の傍にいる……それだけで本当に嬉しくて、幸せだよ」
「私もです……澪先輩」
お互いに深く染みいるような声でそう言うと、お互いにぎゅっと抱きしめあう。
「今日はずっと澪先輩に甘えたいです……甘えてもいいですか?」
「ああ……お姫様のお望みのままに」
そうして顔を見合わせて、くすくすと笑うと、
「澪先輩……」
「梓……」
どちらからともなく目を閉じてもう一度、キスをした。
―先輩の温もりと優しさが広がるこの瞬間、この時間に触れながら。
私も心から優しくなっていけるような、そんな気がする―。
(FIN)
__
以上でーす。
題名は「白き願い」とでも……。