11/03/14 21:37:24.41 8bDVrti4Q
「ふふっ、梓らしいといえば梓らしいけど……これでいいかな?」
「はい……温かいです」
「家にきて、ぎゅって抱きしめてください、なんて」
私の家、居間にあるソファ。
そこで私はソファに座る澪先輩の膝の上に座らせていただいて、後ろからぎゅっと抱きしめてもらっている。
「だって……最近あまり澪先輩と二人でいられなかったから……だから……」
ただこうして、澪先輩に甘えたかったと。
せっかく先輩が私の要望に一つ応えてくれると言ってくれたのに、頭に思い浮かんだ願望がそれだけなのは何だか間抜けなような気もする。
―けど昔から、私は小さい体格に反して何かと強気で、勝ち気で、生意気な性格が災いして。
おかげでよく人から「小さいのに可愛くない」とか「小さいくせに生意気」などと言われ、人に甘えることが出来なくて。
いや、誰かに甘えるということ自体を考えようともしなくなっていて。
そんな私でも心から甘えたいと思い、甘えられる人が―。
そんなコトを考えていると、
「梓」
「え? せんぱ……んっ」
そっと振り向かされると澪先輩の顔が目の前にあって、唇には温かく柔らかな先輩の唇が重ねられていた。
少し驚きながらも、先輩が目を閉じて私を優しく抱きしめながら私だけを感じているのを見て、私もゆっくりと目を閉じて先輩だけを感じる。
「ん……ん……」
目を閉じながらのキスは視界が塞がれているからか、全身に澪先輩の存在を感じさせた。
触れ合う唇、そこから伝わる先輩の温かさと柔らかさがすごく心地好くて。
何より、すごく優しくて、幸せで、心がとけていきそう―。