10/10/31 16:12:43 +4m4vdvI0
「唯先輩の顔が見たかったんです…」
「でもなんだか、この格好ってちょっとHだよね」
唯先輩の言っていることもわかる気がする。
この格好は……まぁアレな格好だったりもするからだ。
唯先輩の両手は私の頭を挟むように置かれているし、
今にも唯先輩に覆かぶさられそうな雰囲気さえ漂っている。
「Hなのはそういう発想をする唯先輩じゃないですか」
「あずにゃんだって実はそう思ってたでしょ」
「勝手に人の心の中身を妄想しないでもらえます?」
ひどく普通な会話。
でもそれが、鼻と鼻の先で行われるものだったら、普通と呼べるだろうか。
私たちは、誰の目から見ても、普通に映るのだろうか。
「唯先輩……こんな私、どうですか?」
「凄く色っぽいと思うよ。ベッドの上のあずにゃんはね」
「あはは、やっぱりHじゃないですか…」
「誘ってきたのはあずにゃんだからね」
ん…っと、息をつく暇もなく、唯先輩の唇に塞がれる。
本当に、この人の前で起こることは全てが予兆だとか前触れがないので困る。
だから私は振り回されるしかないのだ。唯先輩の思うがままに。
でもそれが、ひどく心地のいいもので、麻薬のような依存性があって、
何度も何度も求めてしまいたくなるような、そんな甘美な匂いを秘めていて。
それはきっと、誰しもが欲しがる心の安息だ。
それがたまたま、いや運命的に、唯先輩という人物に当てはまってしまった。
いわゆる、小説はドラマの世界だけに存在するような『運命の人』だったんだと思う。
「あずにゃんピース!」
「にゃぁ!?せめて服に着替えてからにしてくださいぃぃぃ!!!」
翌朝『ゆいあずフォルダ』に新たな“思い出”が更新されました。
シーツにくるまって寄り添う私と唯先輩の、弾けるような笑顔と一緒に……。
end