10/11/09 22:24:58 nTj5HZrV0
「じ、じゃぁ、なんで『賛成』なんですか?」
その顔は先程以上に困惑していた。
「ん~、だって『個人の自主性』が大切でしょう?特にこういった事は……」
みゆきにはそれで全てがわかったらしい。
「そうですね……確かにそれは、とても大切ですよね」
「……あやのぉ、どーゆー事かわかる?」
「……全然、泉ちゃんは?」
「……同じく、何なんだろ……?」
小声で話す三人に、ゆかりが優しく話しかけた。
「『個人の自主性』ってのはね、我が家の『家訓』なの……」
―さっき外で聞いていた事と、今聞いた事から判断すると、今回の根源は双方の『親』が『子離れ』出来ていない事だと思うの
―高良家ではね、子供が十六歳を迎えた時から『一人の個人』として扱っているのよ
―これは、私がそうだったから、そうしているだけなんだけどね、お父さんもちゃんと了承してくれたわ
―だから、もしみゆきが何か困っていても本人が言い出さない限り、決して口出しはしない事にしているの
―……まぁ、実際には何かしらの『きっかけ』を与えたりするんだけどね
「……話が逸れちゃったわね。ええっと、だからね、こなたちゃんが自分で『決心』した事についてとやかく言うつもりは無いって事よ」
そこまで言って、ゆかりは一息ついた。
「はぁ……そうですか……」
「なんか……スゲーな、高良の家って」
「本当。私の両親なんか、未だにベッタリだもん」
三人共、呆気に取られていた。
それを見て、ゆかりは思わず顔を赤くして言い訳のように言った。
「そ、そんな大それた事じゃ無いのよぉ~、要は『親の意識』の問題なんだから」
「うーん、これは是非ともおとーさんに爪の垢を煎じて飲ませたい位だね」
「全くだ」
「本当ね」
こなたの意見に二人も同意した。
「それでね、こなたちゃん」
ゆかりが真剣な口調で話し掛けた。
「この『計画』を実行するには、子供達だけでは限界があると思うんだけど……どうかしら?」
こなたの体が一瞬震えた。
「そう……かもしれません……でも……これは……これだけは、絶対に実行したいんです!」
強い口調でこなたが宣言した、他の三人も強く頷く。
「そうよね~、だ・か・ら~、おばさんも仲間に入れて貰えないかなぁ~」
『へっっっ???』
一同の思考が思わず停止してしまった。まさかゆかりからそんな事を言われるとは、誰も思っていなかったのである。
「あ、あの、お母さん?それは一体?」
なんとか平静を取り戻したみゆきが、おずおずと聞いた。
「そのまんまの意味よぉ~、だって楽しそうじゃないの、頭の固い大人を懲らしめるのって」
「は、はぁ」
「それにね……さっきも言ったけど、大人の手助けは絶対に必要だと思うの」
「で、でも、ゆかりさんまで巻き込む訳には……」
「もう巻き込まれているわよ」
こなたの言葉を遮り、話を続けた。
「大丈夫、絶対にこなたちゃんの『計画』を成功させてあげる、私は嘘はつかないわ」
「じ、じゃぁ、どうやるんですか?」
あやのが思わず疑問を口にだした。
「……ま、まぁ、それはこれから考えるって事で……」
先程までの表情とは一転して、申し訳なさそうにゆかりが答える。
まさかそのような答えが返ってくるとは誰一人思っていなかったらしく、開いた口が塞がらなかった。
「ゆかりさん……いくらアタシでもさぁ、一応こういった事はちゃんと考えてから喋るようにしてるよ~」
「お母さん、日下部さんの言う通りです。事が事なんですから、ちゃんと計画を立ててから話して下さい」
みさおとみゆきに責められ、ゆかりは思わず体を小さくしてしまった。
―はぁ~、やっちゃったわ~。こなたちゃん、怒っているわよねぇ~
ゆかりが反省の念に駆られていると、こなたが二人をなだめた。
212:ナハト
10/11/09 22:25:44 nTj5HZrV0
「まぁまぁ、二人とも。私だってちゃんと計画出来てなかったんだから、責めるのはそのくらいにして、これからの事を考えようよ」
「こなたちゃん……」
ゆかりが顔を上げると、こなたは笑顔だった。
「ほら、ゆかりさんも反省しているみたいだし、だから……ね」
そう話すこなたは、とても優しい顔をしている。
思わずゆかりは見惚れてしまった。
―こんな表情も見せるのね……
「ふふっ……つかさちゃんは、こなたちゃんのこういった所に惹かれたのかな~」
「えっ!!あ、えー、あのー、そう、なんです、かねぇ~……あはは……」
「アタシもそう思うな~、ちびっこは誰にでも気を使うしな」
「そうよね~、特に『交際報告会』の時の泉ちゃんったら……」
「も、もう、それはいいから!『作戦会議』始めようよ!ね、ね」
話がとても恥ずかしい方向に行きそうなので、こなたは慌てて軌道修正を図った。
「えぇ~、私も聞きたかったのになぁ~……でもまぁ、そんな暇は無いわね、もうすぐ三時だし」
こなたがこの家に居られるのは、午後四時半まで。
こなたが高良家に行く事を渋るため、仕方なく父と交わした約束である。
「それじゃ、本題に入りましょう。まず、こなたちゃん、この『計画』を『実行』するのは、いつ頃を予定しているのかしら?」
「なるべくなら……早くに。今日、此処で皆が署名して、つかさに『計画』を伝える事が出来ればですけど」
「……あまり時間が無いわね……じゃぁ、『二人が何処へ行くか』は後回しにして、『どうやってつかさちゃんを連れ出すか』を考えましょう」
皆、大きく頷いた。
「私は知らないんだけど、つかさちゃんは今どんな状況なの?」
言われてみれば、ゆかりはつかさの現況を全く知らない。
子供達は事細かに説明した。
「そう……困ったわねぇ……」
ゆかりは腕を組み考え込んだ、そこまで厳重な監視体制だとは完全な予想外だ。
「あ、そうだ」
あやのが何かを閃いたらしく、突然声を上げた。
「たまになんだけどね、『勉強会』の日に両親が留守の時があるの。だから、その時に連れ出しちゃえば良いんじゃないのかなぁ」
「うーん……残念だけど、それは採用出来ないわ」
「え~、なんでぇ~」
ゆかりが厳しい表情で否定すると、みさおが即座に抗議の声を上げた。
「なんでって……それだと二人の予定が合わないと駄目だし……それに」
「それに……もしその案が成功した場合、今度はかがみやお姉さん達に迷惑が掛かっちゃう……これ以上の迷惑は掛けられないよ……」
ゆかりの言葉を引き継ぐ様に、こなたが発言した。
「そっか、ゴメン……」
二人の言葉で、みさおはあっさりと引き下がった。
「でも……本当にどうしたら良いのでしょう?御両親が在宅中に抜け出すなんて、そんなこと出来るんでしょうか?」
みゆきの言葉で再び一同は沈黙してしまった。
「映画とかで良く有るパターンだったら、ハプニング絡みとかかなぁ……」
みさおが何気なく呟いた。
「ハプニングねぇ~」
あやのも同様に呟く。
実際、ハプニングという物は予定して出来る物ではない、偶然が産む物であり決して必然では無いのだ。
「じゃぁさ『暗くなるまで待って作戦』なんてのはどうだい?」
皆が驚いた顔で部屋のドアを見た。
今の発言は室内ではなく室外から聞こえたからである。
「どうかな、結構良い作戦だと思うんだけど」
そこに立っていたのは………。
「お父さん……」
Section7 「支えられる苗木」 End
213:ナハト
10/11/09 22:28:39 nTj5HZrV0
以上です
また来週の火曜日に投下しまね~ ノシ
214:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/10 00:17:25 1lBvoWt+0
原作に出ていないキャラは難しい反面脚色自由ですね
215:紳士 ◆F5tes7w.5Ild
10/11/10 00:21:57 wW0qMFO4O
>>204の人!!
>>184-185の名作の保管を忘れてるぜ?
216:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/10 07:30:56 LtXT9Lnw0
長編を10数回に分けて投下はもどかしい反面
長期間楽しめていいな
217:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/10 12:19:20 9hYz6TGL0
楽しみだが作品の上手さを競うスレではないからな
>>1を忘れないで欲しい
218:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/10 14:25:37 +imIl/SPO
他の人が書くSSが読みたい今日この頃
219:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/11 22:57:33 Pl5XNDnK0
見れば見るほどゆかりちゃんマジ俺の嫁
もちろんこなたはつかさの嫁
220:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/12 18:38:55 Ti1smxTuO
こなたがつかさの嫁・・・
こな「つかさ遅いなぁ・・・まだ仕事終わらないのかなぁ~」
♪失敗だってGoodNight~
こな「あ!仕事終わったのかな!?やふ~」
つか『こなちゃんごめ~ん、今仕事終わったの~』
こな「大変だったの?」
つか『うん、ちょっと新作の会議が長引いちゃって……』
こな「そっか~」
つか『急いで帰るね~』
こな「晩御飯作ってまってるよ~、気をつけてね~」
つか『は~い』
こな「さてと……愛する妻の為に、栄養タップリのご飯を作らなくちゃね」
ここまで浮かんだw
後は頼んだ(=^・д・=)ノ゛
221:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/14 21:11:30 E4agOJqV0
「ただいまー!遅くなってごめんねー」
「おかーりー!今日は至って普通な野菜炒めとエビチリでござます」
「わーいエビチリだー」
「でね、エビと牛肉どっちが高級感あるかで3時間も長引いちゃってー」
「どっちでもいいじゃーんって感じだけど会社からすればやっぱ悩むかー」
「うん。一応決まったんだけど、こなちゃんはどっちだと思う?」
「……………。」
その後、私は3時間悩んだ。
あれ?いちゃついてないorz
222:ナハト
10/11/17 13:52:34 tgJIDuX3O
捕手ついでにお詫び
昨日、薬の副作用で爆睡してますた・・・orz
今夜投下しまつ
223:ナハト
10/11/17 20:38:32 UJxOmrVz0
帰宅しますた
では
Section8 「育ち始めた苗木」
投下します
5レス使いますね
224:ナハト
10/11/17 20:38:59 UJxOmrVz0
デジャヴュ……
そんな言葉が皆の頭をよぎった。
それ程に、父の佇まいが母と似ていたのである。
dear -Section8 「育ち始めた苗木」
「まさきさん……何時からそこに?」
ショックの度合いが割合少ないゆかりがおずおずと問い掛けた。
「ん、えーと、確かゆかりが『みゆき!そんなことはないわよ!!あなた、一つ勘違いをしているわ!!!』って言ったちょっと後からかな」
「じゃぁ、私が部屋に入った所から?」
「そうだよ。その後は扉の陰で皆の話を聞いていた」
「そうだったんですか……」
こなたが力無く呟いた、それ程に予想外な出来事だったのだ。
「盗み聞きしていたのは謝るよ。でも、お陰で良い事が聞けたな」
「……『良い事』……ですって?」
みゆきは怒りの交じった声を出した。
今までここで話していた事は、決して『良い事』ではない、寧ろ『悪い事』の筈だ。
それを、何故この父親は『良い事』などと言うのだろうか。
「お父さん……どこをどう聞いたら、今の話しが『良い事』になるんですか」
怒りの表情を見せながら、まさきに聞いた。
「ん?だってこの計画が成功したら二人とも自由になるし、なにより作家『泉そうじろう』の作風が拡がるじゃないか」
―この人は一体何を言っているのだろう
みゆきは『理解不能である』とでも言いたげな表情で父親を見た。
「『良くわからない』って顔をしているね。んー、つまり、『作家』とは『自分を切り売りする』事で『作品』を作る職業……と言えばわかるかな?」
「……つまり、今回の『計画』でおとーさんの作風に『新たな一面』が出てくる……と言う事ですか」
こなたが納得した表情で答えた。
「その通り!僕は一人のファンとして、最近の作風にマンネリを感じていたんだ。でも、今回事でそれを打ち破る事が出来るんじゃないかと思ってね」
「はぁ……」
思わずみゆきの口から溜め息がこぼれた。
「それにね」
まさきは一息置いて、話を続けた。
「ゆかりじゃないけど、頭の固い大人を懲らしめるのって楽しいじゃないか」
その顔には先程のゆかり、ひいては声真似をして皆を驚かせたみゆきと同様に、『悪戯っ子』の雰囲気を漂わせていた。
「なんかさぁ~、高良の家族って、そっくりだよな~」
「えっ?そう……ですか?」
みさおの言葉にみゆきが思わず聞き返した。
「「「うん!」」」
家族以外の三人が異口同音に答えた。
「おじさんがさっき見せた顔なんか、高良ちゃんにそっくりだったわよ」
「ホントだよね~、まさに『親子』って感じがしたよ~」
「は、はぁ。そうですか……」
あやのとこなたの思わぬ『口撃』にみゆきは顔を真っ赤に染めた。
「盛り上がっている所で悪いんだけど、さっきの僕の作戦は……どうかな?時間も余り無いから、手短に説明したいんだけど」
まさきの言葉に、一同は静まり返った。和んでいられる程、時間に余裕はもう無いのだ。
「まさきさん、その『作戦』ってあのヘプバーンのサスペンス映画を元にするの?」
「あ、いや、タイトルを使わせて貰っただけだよ。映画のストーリー通りだとかなりまずいからね」
「じゃぁ、改めて。おじさん、それってどんな『作戦』なんですか?」
こなたの問いに、まさきが静かに答えた。
225:ナハト
10/11/17 20:39:18 UJxOmrVz0
―さっき誰か……みさおちゃんかな?『ハプニング絡み』って言ったよね、それで思い付いたんだけど
親御さん以外に迷惑が掛からない方法って、やっぱり何かしらの『ハプニング』が無いと難しいと思うんだ
だから、その『ハプニング』をおこして、その隙に……って訳だ
作戦名に有る通り、僕の考えでは『停電』を『強制的に』起こそうと思っている
……みんな、そんな簡単に出来ないって顔をしているね
でも、大丈夫
僕にはちゃんと『策』が有るからね
家族以外には殆ど知られていないけれど、僕はこう見えて電子部品を組み立てるのが趣味なんだ
だから『特定の時間になると強制的に過電流を流して、ブレーカーをショートさせる装置』なんてのも作れるんだよ
「それを使えば……わかるよね」
まさきの説明に、皆は呆気に捕われていた。
そんな短時間の間にそれだけの事を考えていたとは、誰ひとりとして思っていなかったのである。
「あの……それって、私やつかさでも出来るんでしょうか?」
こなたがおずおずと聞いた。
確かに計画としては申し分のない内容である。だが、自分達がそれを実行出来なければ意味が無いのだ。
「あー、それなら大丈夫。こなたちゃんとつかさちゃんがすることは、ただ一つだけ『停電時に家から脱出する』だから」
「あ、それで良いんですか。なら確かに……ん?えっと……ほぇっ!?あ、あの、今言った事を、もう一度、教えてもらえますか?」
「今言った事?『こなたちゃん達は停電した隙に家から出る』って事だけど」
「えと、すみません、意味が、わからないん、です、けどぉ!?」
こなたが驚くのも無理はない、本来ならば『計画』を『実行』する本人が『何もしないで良い』と言われたのである。
「お父さん、私にもその意味がわからないんですが……」
みゆきも同様らしい。見ると他の三人も同じ顔をしている。
「んーと、今回の『主役』はこなたちゃんとつかさちゃんだってのはわかるよね」
まさきの言葉に一同頷いた。
「そして、一番大変な思いをするのもこの二人だってのも、わかる……かな?」
またも皆頷く。
「なら、二人がなるべく『計画』に『参加しない』ほうが良いって事も……わかるよね」
「ええっと……二人に対する『監視』が強まらないように……ですか?」
あやのが確認の意味を込めて聞いた。
「そう、その通り。もし二人が不穏な動きをしていると思われたら、計画のハードルが一気に上がるからね」
「……じゃぁ本当に『何もしない』で良いんですか?」
「あぁ、そうだよ。だってこれは『裏方』の仕事だからね。『主役』が余計なことをしたら作品は成り立たなくなるよ」
「そうですか……」
こなたは渋々頷いた。自分だって何かしたい、そんな言葉を叫びたかったが、まさきの言葉に異を唱える隙は全く無かった。
「でもさー、それだとちびっこは機械の設置自体しなくて良いって事?じゃぁどうやってちびっこの家を停電させるの?」
みさおの言葉に一同は思わず顔を見合わせた。
「な、なんだよぉ。別に変な事言ってないだろぉー」
「うん……そうなんだけどさ、みさきちがまともなこと言ったから……」
「みさちゃん……なんか新鮮だった」
「日下部さんの口からそんな言葉が出てくるとは……以外でした」
「ホントね~」
「確かに」
「ちょ、ちょっと!ちびっこあやの高良が言うのはわかるけど、なんでおじさん達まで納得すんのさ!てか納得しないでよ」
「いやぁ、スマンスマン。ついノリでね……まぁでも、みさおちゃんの言う事が一番重要なんだよね」
まさきは苦笑いを浮かべてそう答えた。
「お父さん、ではどうするんですか?」
「ん?丁度その役にピッタリな人が居るじゃないか」
226:ナハト
10/11/17 20:39:39 UJxOmrVz0
それを聞いたこなたの頭に一人の少女の姿が浮かんだ。
「……もしかして、ゆーちゃん、ですか?」
「そう、その通りだよ。ゆたかちゃんはこなたちゃんと一緒に住んでいるんだろう?」
「はい……でも……ゆーちゃんまで巻き込むのは……」
こなたが言い淀んでいると、まさきが疑問を投げ掛けた。
「巻き込むも何も、こなたちゃんが駆け落ちするって決めた時点でそれは避けられない事じゃないのかな?」
「それは……そうなんですが」
「……まさか、彼女に一言も告げず駆け落ちをする気じゃ無いだろうね」
「そんな事はしません!」
「じゃぁ、もう打ち明けたのかな?」
「いえ……まだです。今日か明日には言う予定です……」
その言葉は本当だった。ゆたかには余計な不安を与えない為に計画が決定してから伝える予定だった。
「そうか。じゃぁ……えっと、何か書くものはっと……あ、良いのがあった。みゆき、附箋貰うぞ。こなたちゃん、ちょっと待ってて……」
そう言うと、手近に有った附箋に何かの文字を書き付けた。
「これをゆたかちゃんに渡してもらえるかな?この先の事で色々と話し合わないといけないからね」
手渡されたそれには携帯のアドレスが書いてあった。
「おじさんのアドレス……ですか?」
「そう。ただプライベートのだから仕事中に返信は出来ないけどね。仕事終わって確認したらすぐに返信するよ」
「ゆーちゃんにですね……わかりました。帰ったら頃合いを見て渡します。……『計画』も、その時ちゃんと話します」
それを聞いたまさきは満足げに頷くと、今度はあやのとみさおに話しかけた。
「君達にもお願いがあるんだけど……」
「は、はい!」
「どんな事ですか?」
「ちょっと携帯を出してもらえるかな?僕のアドレスを転送するから」
「はい……ちょっと待ってくださいね……いいですよ」
あやのは慣れた手つきで携帯を操作しアドレスを受信した。一方みさおはと言うと、どうやらそういった事には疎いらしく、かなり手間取っている様子だ。
「えっと……こっちじゃないや……んーっと……あれぇ~?あやのぉ~、どうやるんだっけ~?」
「みさちゃんちょっと貸して……こうやって……これでオッケー」
「おぉ!さすがあやのだぜー!」
「てゆーか、みさきちがダメダメなだけじゃ……」
「みゅ~。ちびっこぉ~、それは言わない約束だよぉ~」
「まぁまぁ……。ところで、私達は一体何をすれば良いんですか?」
あやのがまさきの方を向いて問い掛けると、まさきは一枚の紙を目の前に差し出した。
「先ずはなるべく早目に僕のアドレスをつかさちゃんのお姉さん……えっと……」
「いのりさんとまつりさんですよ、お父さん」
「そうそう、その二人に伝えてもらえるかな。文面はこんな感じで」
渡された紙には『至急連絡請う!! by高良みゆきの父まさき』と書かれていた。
「おじさん……わかりやすいけどさぁ、なんか……なんてゆーか、もうちょっとマシな文章にはならなかったの?」
「みさおちゃん、こういった時には『単刀直入』が一番効果的なんだよ。……まぁ、最後の名前なんかはお遊びだけどね」
「はぁ、そうですか……じゃぁ明日これを渡しておきますね」
「えっ!?渡す?どうやって?」
あやのの言葉にゆかりが驚きの声を上げた。
「あ、そういえばお父さんもお母さんも詳しくは知らないんですよね」
「そっか~。んじゃ、みゆきさんお願いね」
「僕からも頼む。詳細を知っておかないと、どんな上等な計画でも頓挫してしまうからね」
「はい、では後ほど説明しますね」
その言葉を聞き、まさきは満足げに頷き立ち上がると皆を見回した。
227:ナハト
10/11/17 20:40:01 UJxOmrVz0
「それじゃぁ……今一度確認するけど、先ずはこなたちゃん」
「はい!なるべく早目にゆーちゃんに伝えます!」
「頼んだよ。お次はあやのちゃんとみさおちゃん」
「いのりさんとまつりさんに伝えるんですね!明日は親が居ないから確実に渡せますよ!」
「あ、その時絶対につかさちゃんにこの『計画』を知られないように気をつけてね」
「え?何で?妹に知られちゃまずいの?」
まさきの言葉に、みさおが不思議そうに聞いた。
「うん……これはあくまでも僕の『予想』なんだけど……もしつかさちゃんがこの『計画』を知ってしまうと、浮足立ってしまう気がするんだよね」
「そう……かもね。私だっておとーさんに気付かれないようにするのが大変な位だし……」
「だから、つかさちゃんに伝えるのは実行前日にしようかと思っているんだ。……それでどうかな?」
その問いにあやのが答えた。
「それで良いと思います。……妹ちゃんには申し訳無いけど……」
「でも、予想外な方向から嬉しい事がやって来ると、その嬉しさは何倍にもなるからね~。良いんじゃないかしら~」
「お母さん……まぁ、確かにそうなんですけどね」
「じゃぁ、妹に気付かれないようにちゃんと渡しておくよ!」
「くれぐれも慎重に、良いタイミングが無かったらアドレスだけでも構わないからね」
「はい!」
「うん!」
「後は……ゆかり、みゆき」
「えっ?私も何かするの?」
「あぁ。岩崎さん……みなみちゃんにも伝えておいてくれ。勿論親御さんにもな」
「ほぇっ!?みなみちゃんにも伝えるんですかぁ!?」
今度はこなたが驚きの声を上げた。声こそ上げないが、皆も驚きの表情を見せている。
まさきからその名前が出るとは誰ひとりとして思ってもいなかったからだ。
「うん。僕の頭の中にある『計画』では後二人……最低でも一人必要なんだ」
「でも、それならみなみちゃんじゃなくても良いんじゃない?」
「最悪、断られた場合はそうなるけどね。……出来れば『信頼出来る人』に加わってもらった方が安心出来るんじゃないかな?」
「んー、それもそうねぇ。全く知らない人だと色々と面倒な事がおこったりもするし」
「だろ?だから、出来ればみなみちゃんが良いかなって思ってさ」
「そうですか……わかりました……」
そうは言ったが、こなたは悩んでいた。
従姉妹のゆたかがこの『計画』に参加するのは致し方ないと理解出来た。
だが、ゆたかの友人であるみなみまで『計画』に参加……いや、巻き込むのはどうだろうか。
「こなたちゃん」
そんな表情のこなたを見て、まさきが声をかけた。
「もし、この『計画』が成功して、こなたちゃんが家から居なくなった後、ゆたかちゃんはどんな状態になっていると思う?」
その言葉にこなたは頭を殴られた様な衝撃を受けた。
「一人……ぼっち……」
「そう、『一人ぼっち』になってしまうんだよ。……そんな時に、支えになってくれる人が必要だと思うんだよね」
「それで、みなみちゃんなのね」
「うん。彼女ならゆたかちゃんの支えになれると思うんだけど、こなたちゃんはどう思う?」
「多分……いえ、確実に支えになってくれると思います!」
228:ナハト
10/11/17 20:40:18 UJxOmrVz0
そのやり取りを見ていた他の四人はまさきを尊敬の眼差しで見つめていた。
「ん?みんな、どうしたんだい?」
「あ、いや……なんか、スゲーなって思って」
「泉ちゃんの心配をするのはわかるんだけど……」
「ゆたかちゃんの事まで考えているなんて、思ってもいませんでした」
「流石は私の夫ねぇ~。私、惚れ直しちゃった」
「……そんなに大層な事を言ったつもりはないんだけどね……」
思わぬ賛辞にまさきは照れた様子でそっぽを向いてしまった。
それを見たゆかりは微笑んでまさきに話し掛けた。
「まさきさんが言った言葉は全然『大層な事じゃない』訳じゃ無いわ。……私達では気付かなかった事を言ってくれたんだから」
「そう……か?」
「ええ。まさきさんが言わなかったら……いえ、この場に居なかったら、この『計画』自体が頓挫していたと思うわ」
「私もそう思います。……正直、ゆーちゃんがどうなるかなんて、完全に頭から抜けてました」
「……本当、私の夫がまさきさんで良かった。ありがとう」
その言葉にまさきは更に顔を赤くして皆の方に向き直った。
「もぉ、止してくれよ……照れるじゃないか……。おっと、そろそろ時間だな」
そう言われて皆が時計を見ると、時刻はそろそろ四時半になろうとしていた。
「あらもうこんな時間?……じゃぁ、岩崎さんの家には後で電話をしておくわ。詳しい話しは明日にするけど」
「頼んだよ、ゆかり。それじゃ改めて……みんな、各々がそれぞれの役割をきちんとこなすことで、その先にこの『計画』の成功が待っている」
皆無言で頷いた。
「誰ひとりとして失敗しないよう、慎重の上に慎重を重ねて行動するように。……『成功』に向けて頑張るぞ!」
「「「「「おー!!!!!」」」」」
Section8 「育ち始めた苗木」 End
229:ナハト
10/11/17 20:42:06 UJxOmrVz0
以上です
一応次は月~水の間に投下しますね~
ではでは ノシ
・・・薬の副作用って怖いなぁ~www
230:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/19 02:14:14 X7G8n/YQO
人が居ない・・・
規制のせい・・・?
231:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/20 09:50:01 W/AJoRMG0
☆ゅ
232:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/21 02:01:15 NkOXrrEC0
池沼コンビ
233:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/21 08:56:34 U4pgj62XO
うにょ~ん
234:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/22 01:53:13 ABtkQHJX0
最初から通しで読んでみた、凄いボリュームだった
ごっつぁんです!
235:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/23 04:52:58 0L/aMXE30
うひひひ
236:ナハト
10/11/23 20:15:43 Sit6wHJb0
どもども
そろそろストックが残り少なくなってきてピンチですw
タイトル
dear -Section9 「ひだまりの中の苗木」
投下します
本文5スレ使いますね~
237:ナハト
10/11/23 20:16:13 Sit6wHJb0
えーっと、今日はから揚げだから……んしょ……あれ?確かここら辺に本が……あった!これこれ。
まずはモモ肉をぶつ切りにして、調味液の中に漬け込むっと……。んーと、お醤油……お酒……、後は生姜をすりおろして……。
「生姜~生姜~生姜が無いとしょうがないよ~」
「……ゆーちゃん……その歌はどうかと……」
「へっ!はぇっ!!」
驚いて振り返ると、いつの間にかこなたお姉ちゃんがそこに立っていました。
「お、お姉ちゃん、お帰りなさい……いつから居たの?」
「ついさっき……ゆーちゃんが『生姜~生姜~』って歌い始めた所からだよ~」
あぅっ!!まさか、こんな場面を目撃されるなんて……うぅ~。
「あの……お姉ちゃん、この事は……」
「だいじょーぶ、誰にも言わないよ~。……ところで、おとーさんは?」
ほっ……良かったぁ~。
「おじさんなら『ゆーちゃんのから揚げ食べたかったよぉ~』って泣きながら、担当の人と一緒に出かけたよ。社長さん就任何年目だかのパーティーに出るんだって」
「ふぅ~ん……て事は、今日は帰りが遅いんだね……」
「多分そうだと思うけど……お姉ちゃん、どうしたの?帰ってきてからずっと難しい顔してるよ」
「うん……。ゆーちゃん、晩御飯の後に大切な話があるから……ちょっとだけ時間を貰えるかな?」
「あ、うん。良いけど……」
「ありがと。じゃぁ、部屋に居るからご飯出来たら呼んでね~」
「は~い」
大切な話……何だろ?
「ま、いっか~。えっと……あぁ!生姜!……確かこの奥に……生姜~生姜~生姜が無いとしょうがな……ハッ!!」
思わずまた歌ってしまった私が恐る恐る振り向くと……。
お姉ちゃんがニヤニヤしながら見つめていました……トホホ……。
dear -Section9 「ひだまりの中の苗木」
「「ごちそーさまでした!!」」
ふぅ、今日は上手に出来たなぁ~。おじさんの分も残してあるから、明日の朝になんて言って貰えるか楽しみだな~。
あ、おじさんといえば……。
「そういえばさぁ、お姉ちゃん最近おじさんとあまり話してないけど……何かあったの?」
「えっ!あ……まぁ……ね」
「……もしかして『大切な話』って、……それ?」
「それも含めて、かな。まぁ、取り敢えず後片付けしちゃおうよ、そのあとにコーヒーでも飲みながら話すからさ」
ここ最近のおじさんとお姉ちゃんはとても変だった。
どちらも何となくピリピリしていて、会話も少なくて、一緒にゲームすることも無くて。
何かがあったのはわかるんだけど……二人共何も話してくれないし……。
……少しは話してくれてもいいのにな……。
☆
「はい、お姉ちゃん」
「ありがとー。……で、話なんだけど……」
「う、うん」
私は唾を飲み込んだ。
どんな話……なんだろう……。
「その前に一つ、多分ゆーちゃんにとってはとてもショッキングな話になるから……、心構えだけはちゃんとしてね」
「そうなの!?わ、わかったよ!どんな辛い話だとしても、ちゃんと最後までき、聞くよ!」
「ありがと。……じゃぁ先ず最初に、私とつかさが『恋人同士』だって言うのは知ってるよね……」
238:ナハト
10/11/23 20:16:34 Sit6wHJb0
それは、確かに衝撃的な話だった。
つかさ先輩とかがみ先輩二人が休学している理由、お姉ちゃん達がやろうとしている事、そして……その『計画』に私が必要とされている事に。
「……で、どうかな?もし、ゆーちゃんが計画に同意してくれるのなら……」
そう言って、お姉ちゃんは紙を二枚差し出した。
「アドレス……と……『誓約書』?」
「うん。そこに書いてある通りなんだけどね、……同意してくれるのなら名前を書いて欲しいんだ……」
確かに……名前を書き入れる欄が……三つ!?
「お姉ちゃん、これ……なんで名前を書く所が三つも有るの?」
「……みなみちゃんとその両親、あとはみゆきさんの両親にも書いてもらいたいからね」
「あ、そうか……うん!わかった!」
「ゆーちゃん、ありがとね」
「そんな……お礼を言われる程じゃないよぉ……」
お姉ちゃんにとっては大切なことだもんね……あ、でもこれだけは言っておかなくちゃ。
「でもね、お姉ちゃん」
「ん?なーに?」
「これからは、ちゃんと私にも何があったか話してね。……とっても……不安……だったんだから……グスッ……」
「……ゴメン、変な不安を与えないように考えてたからなんだけど……余計不安にさせちゃったね……本当にごめんね……」
「もぅ……秘密は……やだよぉ……ヒック……」
私が泣いている間、お姉ちゃんはずっと私を抱きしめてくれました。
それはとても優しくて、暖かくて、まるでお母さんが抱きしめているみたいでした。
「お姉ちゃんありがとう、もう大丈夫だよ」
「ホントに?」
「うん。……いっぱい泣いたし、お姉ちゃんにギュッってしてもらってたから……」
「……私もさ、もうゆーちゃんに隠し事とかしないから、ゆーちゃんも言いたいことがあったらちゃんと言ってね」
「うん、わかったよ。……ところでさ、このアドレスにメールして、その後はどうするの?」
「うーん、それはわからないんだよね~。……私はもう関われなくなっちゃったし……」
あ、そうか……。
「ごめんね、変なこと聞いちゃって」
「あぁ、別に気にしてないから大丈夫だよ~。……まぁ、『気にならない』って言ったら嘘にはなるけど、私はみんなを信頼しているからね」
お姉ちゃんはウィンクをしてそう答えた。
「じゃぁ、後でメールしておくね」
「頼んだよ~。……そろそろおとーさんが帰ってくるかな?」
時計を見ると、結構な時間になっていた。
「そうかも……じゃぁ、これを部屋に持って行かないとね」
「ゆーちゃん」
私がそんな事を呟くと、お姉ちゃんが急に真剣な顔で話しはじめた。
「絶対に、おとーさんには見つからないでね。これ以上無用な被害者は出したくないから……。だから、お願い。絶対だよ」
「う、うん。わかったよ!じゃぁ、部屋に行ってるから。おじさんが帰ってきたら……」
「うん、上手くあしらっておくよ。それじゃ、おやすみ~」
「おやすみなさーい」
239:ナハト
10/11/23 20:17:00 Sit6wHJb0
☆
「えっと……『はじめまして、小早川ゆたかと言います』……んっと……『こなたお姉ちゃんからおおまかな話しを聞きました』」
うーん……目上の人に送るメールって、緊張しちゃうなぁ~。
「『私なんかで構わないのでしたら、喜んでお手伝いさせていただきます』……こんな感じ……かな?……あ、忘れてるよ~『それでは、失礼いたします』……よし!送信!」
チューリップのイラストが左右に揺れる画面が表示され、数秒後には『送信完了!』の画面が表れた。
ふぅ……これでオッケー。
……駆け落ちかぁ……少し、寂しくなるなぁ……。
……だめだめ!ちゃんとお姉ちゃんの手伝いをしなきゃいけないんだから!寂しがってるヒマなんか無いんだよ!!
♪~♪~
あ、メールだ。
「……高良先輩のお父さんからだ……えっと……そうなんだ……じゃぁ……」
私は「わかりました。では次の連絡を待っています」とだけ書いてメールを返信した。
……日時が決まったら、みなみちゃんの家に集合か……あ、そうだ!
私はふと思い付いた重要な事をみなみちゃんにメールした。
暫くしてメールが返ってきた。どうやらみなみちゃんも同じ考えを持ってくれたみたい。
「明日の朝……お姉ちゃんにちゃんと話しておかないとね……」
そう呟いて私はベッドに入る。
……私の役目……一体何なのかなぁ……。
☆
「ねぇねぇ、お姉ちゃん」
翌朝、二人で学校に行く途中に私は昨日思い付いた『重要な事』をお姉ちゃんに話した。
「お姉ちゃんの『計画』に田村さんも加えるね。みなみちゃんにも昨日メールしたら、その方が良いって返事もらってるから……」
「へっ!?ひよりんを?」
「うん……だってさ、このままじゃ田村さんだけが『のけ者』になっちゃうから……」
「でも……」
「だって、お姉ちゃんと田村さんは共通の趣味で話しが合うし、もしお姉ちゃんが黙っていなくなっちゃったら田村さんも寂しいと思うんだ……だから」
「そっか……。うん、わかったよ」
私の言葉で、お姉ちゃんも納得してくれたみたい……良かった……。
「それでね、今日の昼休みに説明してもらいたいんだ。みなみちゃんと田村さんに」
「……そうだよね、ちゃんと説明しておいた方が良いよね。うん、じゃぁゆーちゃんお願いね」
「うん!」
240:ナハト
10/11/23 20:17:49 Sit6wHJb0
☆
「んー!!気持ち良いっすねー!」
昼休み、私はお姉ちゃんに約束した通り、田村さんとみなみちゃんを誘って屋上でお弁当を食べていた。
勿論、お姉ちゃんも一緒に。
「……で、話しってなんなんすか?」
「まぁまぁ、それは皆がお弁当を食べ終わるまで待ちたまへ~。……落ち着いてからの方が良いからね~」
「はぁ……そうっすか。わかったっす。んじゃ食べるとしますかね~。お!サンドイッチにオムライスっすか~、美味しそうっすね~」
「田村さんのお弁当も美味しそうだよ~」
「ひよりん……」
「なんすか?」
「筑前煮の蓮根頂きっ!!」
「あぁっ!何という事を……じゃぁお返しに……タコさんウインナーゲットっす!!」
「のぉぉぉっ!!そ、それをさらっていくとは……うぅっ、なんて極悪非道な……」
「ふふっ……いかなる時でも油断は禁物っすよー」
「お姉ちゃん達、楽しそうだね~」
「……そうだね……」
出来る事なら、ずっとこうやってみんなと楽しくお弁当を食べていたいけど……。
……お姉ちゃんは、いなくなっちゃうんだよね……
☆
「……そうだったんすか……」
「うん……ごめんね、ひよりん、みなみちゃん。言うのが遅くなっちゃって」
お弁当の後、お姉ちゃんから事の詳細を知らされたみなみちゃんと田村さんはとても驚いていた。
「いえ……私は……昨日、お母さんから少し聞いていたので……でも、詳しくは知らなかったので……ちょっと、驚きました」
「あ、別に気にしなくっていいっすよ~。これでハブられてたらかなり恨むっすけど、ハブられなかったからオッケーっす」
「二人とも……ありがとう」
「そんな、お礼なんていらないっすよ~。……ところで、さっきの話しだと協力者が『あと二人』必要なんすよね」
「うん……。みゆきさんのおじさんはそう言ってたね」
「岩崎さんは……」
「うん……手伝うつもり……」
「てぇことは、あと一人っすね。……よっしゃ!ここで逃げたら男……じゃないや女がすたる!私も手伝わせていただくっすよ!」
た、田村さん……。そんな、拳を突き上げる程気合いを入れなくても……。
「ひよりん……そんな簡単に決めちゃって良いの?もしかしたらとんでもなく大変な役を担当するかもしれないんだよ?」
「うっ……、でも、大丈夫っす!気合いで何とかするっすよ!」
「気合いで何とかなるかどうかもわからないんだけど?」
「それでもっす!……それに、私一人だけ何も知らずに先輩がいなくなるのなんて……嫌っすよ……」
「ひよりん……」
……そうだよね、何も知らされずに急にいなくなるなんて……嫌じゃない人なんて、いないよね……。
「……じゃぁ、ひよりんにお願いしよ」
「まぁ……良いネタにも……へっ!?あ、り、了解っす!」
「……ひ~よりん。ちょ~っと一緒にあっちに行こうね~」
田村さん……小声で何か呟いてると思ったら、お姉ちゃんが向こうに連れていっちゃった……。
「みなみちゃん……、田村さんさっきなんて行ってたのかなぁ」
思わずみなみちゃんと顔を見合わせたけど、みなみちゃんも首を傾げるだけで聞き取れなかったみたい……。あ、帰ってきた。
「ゆーちゃ~ん、みなみちゃ~ん。ひよりんが『一番大変な仕事をやってあげるよ』って言ってくれたよ~。うぅっ、こんな先輩想いの後輩を持って、わたしゃ幸せだよ……」
「た、田村さん……本当なの?」
「あ、えと、うん。が、頑張るっすよぉー!!」
そう宣言した田村さんを見つめるお姉ちゃんが、とても不敵な笑みを浮かべているような気がするけど……気のせいだよね……多分。
241:ナハト
10/11/23 20:18:14 Sit6wHJb0
☆
「……ふぅ……今日は何だか疲れたな……」
夜、ベッドに寝転がった私はそんな事を呟いた。
ここ最近身体の調子が良いとは言え、今日は色々とありすぎたみたい。
ボーッとしていると段々と瞼が重くなってくる。
……今日の『勉強会』で、高良先輩は「今日か明日には連絡が入るわ」って言ってたけど……私なんかが出来る事、あるのかなぁ……。
~♪~♪
「あ!」
ゆっくりと体を起こし、机の上に置いた携帯を手にとる。
予想通り、高良先輩のお父さんからのメールだ。
そこには短く「日曜日、岩崎家に集合されたし」と書いてあった。
「……高良先輩のお父さんって、古風な人なのかなぁ?……日曜日……か」
私は確認のメールを返送すると、カレンダーにお出かけ用のハートのシールを貼ってベッドに潜り込んだ。
目を瞑ると色んな事が浮かんでくる。
……お姉ちゃんと一緒のお弁当……楽しかったな……
……田村さん……あの時何て言ってたのかなぁ……
……明後日……どうなるのかな……
……ちょっと……不安だな……
でも……決めたもんね……。
……お姉ちゃん……私……頑張るよ……だから……絶対……幸せに……なって……ね……。
Section9 「ひだまりの中の苗木」 End
242:ナハト
10/11/23 20:22:03 Sit6wHJb0
以上です
一応全話の目処が付きました
総話数は19+αになりそうですw
また来週の火曜日前後に投下しますね~
ではでは ノシ
243:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/23 21:08:40 yoGucsZ30
待ち遠しいな
244:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/24 07:05:14 PsbxmOe20
, -‐ ' ´ ̄ ̄ ̄`ヽ、
, -‐'  ̄厂`:丶、 \
//: :/∧: ト、: : : |`丶 \
/イ:/: _」/ l: |‐-、: :|: : /:\ ヽ、
/ ./: : |: : ハ| ヽ|ヒz\.ト:/: : :|ヽ l
/: : /|: /,ィL 勹ヾj:/: : : |:/ イ
|: :/| l :| 仍 Γ }》: : : :.レ / |
| / | :Ⅵ弋j ヽ-' /: : : :/\/ィΓ
レ' |: : : :}` ´ , 、 |: :ィ /‐<: :/リ
. V: : ∧、 `´ |: ル'― 乂
V: :| \|``ニj "|ハい―' ̄
\| ,イ/―y′|レ'\
/ -┴‐┴‐イ//入
//f 0 |/ l
+- 、// | |
\ > 、_ ,、 | |
`ァ 、 7ノ^ヽ<~ヽ⌒ |
/ | ` 代ノィ」| | } |
/ .| ヽノ//ノ /
245:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/26 20:26:46 8sTSSxDDO
☆ゅ
246:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/27 01:39:25 X+d4NSBV0
今日初めて☆ゅの意味がわかった…
いつもありがとうございます
247:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/28 17:33:39 h0w2BwB+0
圧縮チェッカー復活してるな
622か・・・保守しておこう
248:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/30 21:31:55 /rJqow9w0
☆ゅ
249:ナハト
10/11/30 23:58:51 xvPtYjjh0
どもども、ギリギリ火曜日に投下です
タイトル
dear -Section10「苗木を守る人達~高良一家・岩崎夫妻・柊いのり~」
今回は5レス使います
えと、事前に書いておきますが・・・
今回つかさもこなたも出ませんwww
すみませんが、ラストへの助走だと理解して頂ければありがたいですw
250:ナハト
10/11/30 23:59:20 xvPtYjjh0
えっと……あ、ここね。
インターホンを押してっと……。
「あ、すみません。私『柊いのり』と言う者ですが……はい、そうです。……あ、はい」
暫く待っていると、玄関のドアが開いてスレンダーな女の子が出てきた。
「えと……初めまして、岩崎みなみです」
「あ、初めまして、柊いのりです」
「皆さん揃っていますので……どうぞ」
「あ、そうですか。では、失礼いたします」
……『作戦会議』か……どんな作戦なのかしら……。
dear -Section10「苗木を守る人達~高良一家・岩崎夫妻・柊いのり~」
一昨日の夜、帰宅した私は自室に入る前にまつりから一通の手紙を手渡された。
「姉さん、これ」
「ん?何?」
「シーッ」
まつりは人差し指を口に当てながら、小声で話しつづけた。
「今日の勉強会で受け取ったの。姉さんに渡して欲しいって」
「……私に?」
「うん。みゆきちゃんのお父さんからだって、詳しくは教えてもらってないけど、早目に渡して欲しいって言われたから」
「そう……、わかった。確かに受けとったわ」
私が頷くと、まつりは無言で頷き部屋へと戻った。
……さてさて、一体どんな内容なのかしら?
●
「えーっと……ん?」
手早く着替えて手紙の封を切り中を見ると、一枚の紙が入っていた。
それを開いて文面を確認すると……。
『至急連絡請う!! by高良みゆきの父まさき』
「……いのりの筆跡とは明らかに違うから、悪戯じゃなさそうね……ここに書いてあるアドレスにメールすれば良いのかな……?えっと……」
~・~・~・~・~・~・~・~・~
初めまして、柊いのりといいます
本日受け取りましたお手紙に『至急連絡請う』
と書かれてあったので
取り急ぎメールをさせていただきました
それでは、失礼いたします
柊いのり
~・~・~・~・~・~・~・~・~
後は件名を入れて……アドレス……間違い無いわね。
「送信……完了っと。さて、ごっはっん~♪」
251:ナハト
10/11/30 23:59:42 xvPtYjjh0
◆
「ぱぱっぱぱっぱっぱ~じゃ~ま♪」
「姉さん……なんでそんなの歌ってるの……?」
えっ!?
自室のドアを開けようとした私が慌てて声の方を見ると、部屋からまつりが顔を出して冷ややかな目で私を見ていた。
「ま、まつり!覗き見るなんて失礼よ!」
「覗き見るも何も……ドアを開けたら姉さんが何かを歌ってるから見てただけなんだけど」
「あ、そ、そうなの?」
「で?なんでそんなの歌ってたの?」
「なんでって、お風呂に入るから……」
私がそう言うと、まつりは満足気に「やっぱそうか」と頷きながら居間へと向かった。
……良いじゃない、別に……歌いたかったんだから……。
◆
「タッオル~♪パッジャマ~♪パンツ~♪ブラ~♪……ブラは要らないか、暑いし。よし、お風呂セット準備完了!」
「姉さん……ノリノリだねぇ~。てかブラしないで寝ると形悪くなるって言うけど」
「え!そうなの?知らなかったわ~、……てゆーかまつり!なんで勝手に入ってくるのよ!?」
「勝手にって……ドア開けっ放しだったし、ついでにつかさが『わからない所が有るから教えて欲しい』って言ってるから」
「そうなの?……仕方ないわね、じゃぁお風呂の前につかさの……」
ムィィィィィ!ムィィィィィ!
「ん?なんの音!?」
「あ、私の携帯だわ。マナーモード解除するの忘れてた……ふむ、じゃぁ……日曜なら……送信っと」
「誰から?」
その問いに、私は無言で携帯の画面を見せた。
「……成る程……そうなんだ」
「そうみたいね。……さて、つかさの手伝いしなくちゃね」
「あ、私もちゃんと手伝うからね」
「……まぁ、気持ちだけ受けとっておくわ」
「……姉さん……しどい……」
●
「失礼いたします……あ、みゆきちゃんこんにちは、久しぶりね」
「お久しぶりです、いのりさん。それじゃこちらの部屋にどうぞ……」
案内された部屋……居間よねぇ……そこには既に他のメンバーが集まっている様子だった。
「紹介しますね。つかささんとかがみさんのお姉さん、柊いのりさんです」
「初めまして、柊いのりです。この度は私の妹とその友人の為にわざわざ計画を練っていただき、あがとうございます」
「いえいえ、お礼を言われるほどでは……おっと失礼、自己紹介がまだでしたね。初めまして、先日はメールを送っていただき、ありがとうございました。高良まさきです」
「そして、私が妻のゆかりです。後は……」
☆
一通り自己紹介が終わり、『計画』の概要を聞いたところで、私はここに来るまでに浮かんだ疑問を率直に投げ掛けた。
「……すみません、皆さんにお聞きしたいのですが……何故この『計画』に参加しようと思われたのですか?」
すると、先程までは賑やかだった居間が突然静まり返ってしまった。
……聞かない方が良かったのかなぁ……
でも、私は聞きたかった……何故なら、私自身の『理由』が不明瞭すぎたから……
252:ナハト
10/12/01 00:00:07 M5g5+LoO0
「いのりさん」
「はい、なんでしょうか」
不意にほのかさんから声をかけられた。
「私達夫婦は当事者であるお二人を殆ど存じ上げてません。まぁ当然なんですがね」
「……まぁ、そうですよね」
「ですが私達は高良さんからこの話を聞き、娘のみなみからも更に詳しい話を聞いた上で、この『計画』の手伝いをさせていだだこうと思いました」
「そうですか……。では改めてお聞きしたいのですが……」
「その前に、私の問いに幾つか答えていただけますか?」
……聞いてるのはこっちなんだけどなぁ~。
ま、いっか。
「はい。なんでしょうか?」
「単刀直入にお聞きします。あなたはこの『計画』について、当初は消極的だったのではありませんか?」
うわ……いきなり深い所を突いてくるなぁ……。
「はい……その通りです」
「では次に……今、あなたは『迷っている』。そうではありませんか?」
「そう……です。この『計画』に対して自分の中で参加した『理由』が未だ不明瞭なのです……」
「やはりそうでしたか……。それでは次の質問です。『成木』が落とした『種』は、どうなりますか?」
『成木』?
『種』?
……何か理由があるのかなぁ~?
「……ちゃんとした環境下であれば、いずれ芽を出して成長すると思いますが……。あの、これって何か意味が有るのですか?」
「えぇ、とても重要ですよ。では最後の質問です。芽を出して成長した『苗木』……その『苗木』はずっと『苗木』のままですか?」
今度は『苗木』?
……やっぱり意味がわからないなぁ。
「いえ……余程の事でも無い限り、いずれは『成木』になります。……では、先程の質問に答えていただけますか?」
「勿論ですとも。私達夫婦はその『苗木』を守りたいから、この『計画』に参加したんです」
『苗木』……?
あ!そうか!!
「つまり、つかさとこなたちゃんの『想い』という『苗木』を守りたかった……そうですよね?」
私の問いに、ほのかさんと旦那さんは満面の笑みで頷いてくれた。
「……いのりさん、あなたはこの『計画』に参加する時、どのような心境だったのですか?」
……あの時……私の心境は……そうか……。
「私は、つかさとこなたちゃんだけでなく、もう一人の妹……かがみも……いえ、かがみを守りたい……そう思っていました……」
「何故、当事者の二人ではなく、かがみさんなのですか?」
「……かがみとつかさは双子です。産まれた……いえ、産まれる前からずっと一緒でした」
「成る程……つかささんにはかがみさんという双子の姉妹がいらっしゃるのね」
「はい。ずっと、一緒でした。なので……つかさが居なくなると、かがみは『一人』になってしまいます……」
……私は、それが赦せなかった。
『親』の我が儘で『二人』が引き離され『一人』になってしまう。
それが、赦せなかったんだ……。
「ほのかさん。私、わかりました」
その言葉に、ほのかさんは優しく頷いてくれた。
「私はつかさとこなたちゃんの『想い』、そして『かがみ』という『苗木』を守りたくて……それで参加しました。これが私の『理由』です。……ほのかさん、ありがとうございました」
「どういたしまして。……これで安心して計画を実行出来るわね」
「はい!……皆さんすみません、長々と時間を取ってしまって……」
253:ナハト
10/12/01 00:00:31 M5g5+LoO0
すると、まさきさんが真剣な表情で話しはじめた。
「いのりさん、私達の理由は岩崎さん夫妻と少々異なります。……私からも少々お聞きしたいのですが……よろしいですか?」
「はい、なんでしょうか」
「『個人の自主性』という言葉、ご存知ですか?」
「えっと……会社のようなグループに於いて、そのグループの長の考えで総てをコントロールするのではなく、所属する個人が自主的な考えで行動する……といった感じだと思うのですが」
「まぁ、大体合っていると想いますよ。では二つ目の質問です。……大変失礼なのは承知の上でお聞きしたいのですが、ご家族の仲はかなり良い関係ですよね?」
「はい……以前は、ですが……」
確かに、以前は近所で評判の仲良し家族だったな……今でも外面だけはそんな風に装っているけど……。
「三つ目です。『親離れ』『子離れ』について、どう思われますか?」
「そうですね……どちらも必要な事だと思います」
「それでは最後の質問です。柊家の皆さんは、それぞれ『親離れ』『子離れ』をされていますか?」
『親離れ』か……
経済面に関していえば、私の場合は……
少なくとも社会人として収入を得ている点では、出来ていると言えるけど
親と同居している点では、出来ていないとも言えるなぁ
まつりはバイトをしているけれど、学費は親が出しているからしていないわね
かがみとつかさは……考えるまでも無いか……
精神面では?
私は、出来ていると言える。仕事の事を話したりする時も『親』ではなく人生の『先輩』として接しているし
まつりも……そんな感じよね
かがみとつかさは……正直な所わからないけど……
でも、今回の二人を見ると……ちゃんと出来ているんだろうな
それじゃ……『子離れ』は?
……これは断言できる
絶対に出来ていないと
もし出来ていたならば、今回のような事は起こらなかったはずだし
「まず『親離れ』ですが、経済面に関して言えば、誰もまだしていません。ただ、精神面に関して言えば……姉妹四人全員が出来ていると思います」
「まぁ、経済面に関しては致し方ありませんからね」
「そして、『子離れ』ですが……全く出来ていないと言えますね……残念ですが……」
「何故、全く出来ていないと言えるのですか?」
まさきさんは先程と全く変わらぬ表情で聞いてきた。
……私の『答え』……間違っていないよね、だって私の家族の事だし。
「なぜなら、もし『子離れ』をしていたとすれば、今回のような事は起こり得ないからです」
するとまさきさん……いえ、高良さん夫妻が顔を見合わせて頷いた。
「いのりさん……私達が参加した理由はそれなんですよ」
「えと……『子離れ』出来ていない……という事が、ですか!?」
驚く私に二人はその理由を丁寧に説明してくれた。
『個人の自主性』の事、『子離れ』についての考え方、双方共にわかりやすく丁寧に。
「……という理由なんです。納得いただけましたか?」
「はい、とても……すみません、私の下らない質問でこんな時間になるまで……」
「いえ、こういった事を実行する場合、自分自身が納得出来るまできちんと考えておいた方が良いですから……」
「そう……ですね……。妹達の……私達の人生そのものを変えてしまう事を実行するんですものね」
「そうですよ。……いのりさん、もう大丈夫ですか?」
「はい。もう悩んだりしません。妹達の為にも全力でお手伝いさせていただきますわ」
「……ありがとう。では、『計画』の役割分担を決めましょうか」
☆
「……皆さん、役割分担はこれで宜しいですね」
皆無言で頷いた。
254:ナハト
10/12/01 00:00:49 xvPtYjjh0
「田村さん……本当に良いの?」
「お、女の約束っす!武士に二言は無いっす!!」
「……私が……代わりにやっても……良いよ」
「岩崎さん……。で、でもダメっす!先輩の命令は絶対っす!!」
ひよりちゃんはこなたちゃんからの命令とやらで、自ら一番大変な役を買って出た。
……良いわね~、青春って感じで。
「あ、そうだ!お姉ちゃんからこれを頼まれてたんだっけ」
そう言うと、ゆたかちゃんは鞄の中を探り数枚の紙を取り出した。
あ、あれって……。
「……えっと……すみません、高良先輩のご両親と、みなみちゃんとみなみちゃんのご両親、それと田村さんにこれを書いて貰いたいって、お姉ちゃんが言ってました」
「『誓約書』?あぁ、そういえばこの前こなたちゃんが来た時に、テーブルの上に置いてあったわね……成る程、こういう事が書いてあったのね……」
ゆかりさんはフムフムと頷きながら、それに名前を書き込んだ。
「あ、みなみちゃんと田村さんも。はいこれ」
「……うん、わかった……」
「ここに書き込むんすね……」
他の人達も次々と名前を書き込んでいく。
「みんな書き終えたかな?……良いみたいだね。では実行日を決めようか……といっても、いのりさん次第なんだけど」
「あ、そうですね……」
そうだよねぇ~、唯一の土曜日出勤が有る会社員だもんねぇ~。
はぁ~あ、早く完全週休二日になってもらいたいなぁ~。
……っとまぁ、愚痴は置いといてっと。
「えっと……今度の土曜日は休みなので大丈夫ですね……」
「今度の土曜日だね。他の皆は大丈夫かな?……大丈夫みたいだね」
今度の土曜日……六日後か。
「それじゃぁ、実行日は今度の土曜日、六日後に決定します」
『計画』の実行日……
つかさが我が家から居なくなる日……
岩崎さん夫妻は『想い』の『苗木』を守りたいから参加すると言ってくれた
高良さん夫妻は『親』にその『想い』そして『子離れ』を理解してもらいたいから参加すると言ってくれた
私は……二人の『想い』そして、『かがみ』を守りたいから、参加する
「皆さん、今いるメンバーの一人でも抜けたら、この計画は失敗に終わります。……くれぐれも体調管理等に気をつけて、実行日を迎えてください」
私はそっと、お社の神様にお祈りをした
……それぞれの想いが届きますように……
「……次に集まるのは実行日が過ぎて落ち着いた頃ですね。その日が笑顔で迎えられるよう、それぞれの役割をしっかりとこなしてください!」
『はい!!!』
私の役割……必ず成し遂げるからね!!
Section10「苗木を守る人達~高良一家・岩崎夫妻・柊いのり~」 End
実行日まで
あと六日
255:ナハト
10/12/01 00:03:06 xvPtYjjh0
以上です
あと六日とあるように、後五話ほど脇がメインの話になります
まぁ、一応こなたもつかさも多少は出るんですけどねw
ではでは ノシ
256:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/02 17:58:45 NHOTKgCnO
こな「ほっほっほっほっ」つか「しゅっしゅっしゅっしゅ」
こな「ほっほっほっほっ」つか「しゅっしゅっしゅっしゅ」
かが「・・・二人でなにやってんの」
こな「えー?わたしが『ほ』!」
つか「そしてわたしが『しゅ』!」
こな・つか「二人あわせて『」
かが「あー、『ほしゅ』ね、はいはい・・・」
つか「おねーちゃーん」
こな「かがみーん」
こな・つか「最後まで言わせて!!!」
257:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/04 03:26:12 nOOB6RPXO
補習
258:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/06 07:24:57 QNnTJ0yiO
つか「ほ・・・ほっかむり!」
こな「し・・・しもやけ!」
つか「ゆ・・・ゆきんこ!!」
259:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/07 05:34:40 siPFZAhZ0
うにょん
260:ナハト
10/12/07 23:14:33 WEMqL5z40
どもども
Section11「苗木を守る人達~柊まつり~」
投下します
本文5レス使いますねぇ~
261:ナハト
10/12/07 23:15:23 WEMqL5z40
「お姉ちゃん……ここ……どうやるの?」
「ぅえっ!?えっと……どこ?」
「この問題……」
ぬぅ……数学かぁ……。苦手なんだよなぁ~。
「か、母さんは出来るよね!?」
「えっ!?……こ、こんな風にやれば……って、プリント見れば良いんじゃない!」
「そりゃそうなんだけどさぁ……なんか負けた気がしない?」
「……まつり、それは言わないで……」
dear -Section11「苗木を守る人達~柊まつり~」
我が家での勉強会が無事に終わり、今は私と母さん二人でつかさの勉強を見ている。
本来ならばかがみが教えた方が良いんだけどね、的確だし教え方も上手だから。
だけど、今は残念ながらそれはできない。
なぜなら……。
「母さん、まつり、つかさが勉強しているんだからもう少し静かにしていなさい」
「あ、ごめんなさい。私ってば、つい……」
「……はーい……」
父さんがここで『監視』をしているから。
二人が休学する事になったあの日から
私は何度も父さんと母さんにそれをやめさせるように説得しようとした
でも……全く駄目だった
せめてこちらの言い分だけでも聞いてくれれば良いのに
それすら聞いてくれなかった
「……あ、そっか……じゃぁ、こう解けば良いんだ……。お父さん、お母さん、終わったよ」
「じゃぁ、私はご飯の支度始めるわね」
「あぁ」
「んじゃ、私は部屋に……あ、やっぱ今日は手伝うよ」
「あらめずらしい事。じゃぁ手伝ってもらおうかしら。つかさもお願いね」
「はい……」
家事に関しては父さんもとやかく言わない
だから私はこの時間が好きだ
……たまにしか出来ないんだけどね
「今日の晩御飯は何?」
「串カツ、豆腐と海藻のサラダ。茄子とピーマンの揚げ浸しに……あともう一品、おつまみになる物が欲しいんだけどね……」
「お母さん、納豆袋でも作る?材料は揃っているし」
「そうね、そうしましょうか。じゃぁつかさ、そっちはお願いね」
「私は何を手伝う?」
「じゃぁ……串カツの準備をしてもらえる?」
「はーい」
傍から見れば、至って普通な台所の一コマ
でも、つかさ……だけでなく、我が家の女性陣からすれば一番落ち着く事が出来る一コマ
実際、つかさは家事をしている時『だけ』生き生きとした表情を見せてくれる
だけど、その顔色は日々悪くなっている
……父さんはそれを理解しているのだろうか?
そして、もう一人……
「姉さん、ちょっといい?」
「ん?良いけど。何?」
「かがみ、まつりに話しが有るのなら、後にするかこちらで話しなさい」
「はい……じゃぁ姉さん、後で話すね……」
262:ナハト
10/12/07 23:15:48 WEMqL5z40
これだ
例の手紙の一件があってから、父さんは
『勉強会』と『食事』
これ以外でつかさとかがみが近付く事を禁じている
……その結果……
かがみの顔色はつかさ以上に日に日に悪くなっている
何故、これ程までに二人を近付けさせたくないのだろうか?
今はこなたちゃんからの手紙を受け渡す事など出来ないのに
……昨日、姉さんから聞いたみゆきちゃん一家がこの『計画』に参加した理由……
『子離れ』が出来ていないと思われる
それでこんな事をするのかな……
「納豆袋出来たよ~」
「串カツも出来たよ~。後はパン粉を付けて揚げるだけ~」
「二人ともありがとう。それじゃ、仕上げましょうか」
「は~い。じゃぁ納豆袋炙るね~」
「……ほい、衣の準備出来たよ~」
「じゃぁ揚げるわね。まつり、お皿出してもらえる?」
「は~い」
……今夜は……ちょっと違った角度から攻めてみようかな?
父さんと母さんが、本当に『子離れ』しているかどうか
それを、確かめるために
☆
「父さん、母さん、ちょっといい?」
「何だ?またいつもの話しか?それなら……」
「あ、違う違う。それじゃない話しなんだけど」
「なら良いぞ。そこに座りなさい」
はぁ、やっぱり警戒してるなぁ……
「で、何の話しだ?」
「あのね、……父さんと母さんはさ、つかさとこなたちゃんが付き合うのは認めないって言ってたよね」
「あぁ、……結局はいつもの話しじゃないか」
「まぁまぁ、お父さん。最後までちゃんと聞いてあげましょうよ」
「……母さんがそう言うなら仕方が無いな。で、それがどうしたんだ?」
よしよし、先ずは第一段階クリア
「それって『同性だから』って言ってたよね」
「あぁ、そうだ。何度もそう言っているだろう」
「そうなんだけど……。でね、もし、もしもなんだけど……私や姉さんが男の人を連れて来て『この人が恋人なんです!』って言ったら……どうする?」
さぁ、どう出る?
「それは……相手にもよるな」
「母さんは?」
「そうねぇ……私も相手によるかしら。あんまり変な人だと困っちゃうし」
「どうして?私や姉さんが選んだ人だよ?」
「それでも、よ。相手がちゃんとした人かどうかが肝心なんだから」
「そうだな、どこの馬の骨かわからんような奴と付き合われては困るからな」
263:ナハト
10/12/07 23:16:31 WEMqL5z40
成る程ねぇ~
それじゃぁ、これはどうかな?
「そっか……。じゃぁさ、私や姉さんが『一人暮らしをしたい』って言ったら?ほら、私だって何もなければ再来年から社会人でしょ?」
「一人暮らしか……まぁ、会社が遠いのなら仕方が無いが……出来ればそれはしてほしくないな」
「そうね、近場なら自宅から通えるんだし。……あなた達が一人で何をしているのかと思うと……お母さん不安で眠れなくなっちゃうわ」
「不安でって……一応私も姉さんも成人してるんだよ?」
「成人していようがいまいが、私達の『娘』である事はかわらないだろう?そういうことだ」
「『娘』の事を心配しない親なんか居ませんよ」
じゃぁ、つかさはどうなのさ……
「あとさ、今までのとは関係ないんだけど、ゼミで『親離れ・子離れ』についてのディスカッションが今度あるんだよね」
「ふーん、そんな事もやるのね」
「うん。でね、参考までになんだけど、父さんと母さんは『親離れ・子離れ』についてどう思う?」
さぁ、どう答える?
「その質問は明らかに愚問だな」
「え!?そうなの?」
「あぁ。なぜならさっき言った通り『親』にとって『子』は何歳になっても『子』だからだ」
「そうね、『親離れ・子離れ』と言ってもそれは言葉の上だけ、あなたも親になればわかると思うけど、『子』はいつまでも『子』なのよ」
「……つまり、父さんと母さんからすれば『親離れ・子離れ』は有り得ない、と」
「そうだな。有り得ないどころかそんな考えすら無いぞ」
「私もそうよ」
……これは……手強いなぁ
「そっか、ありがと」
「あまり参考にならなくてすまないな」
「ううん、そういった意見も有るって言えるから大丈夫だよ……あ、そうだ」
最後にもう一度確認しておくか
「さっきの質問……というか言葉なんだけど、もしかがみとつかさが恋人の事とか一人暮らしの事を聞いてきたら……どうする?」
「高校生なんだし、駄目に決まっているだろう」
「あ、今じゃなくてこれから先にって事」
「……駄目だな」
「そうね」
「へっ!?何で?私達は相手によりとか勤め先によりとかでオッケーなんでしょ?」
「いのりとまつりはそれでも構わないが、あの二人は別だ。……まぁ、この先どんな人生経験をするかでさっきの返事は変わるがな」
「まだあの子達は色々な経験が少ないから。だから私も、今のところは駄目としか言えないわ」
「あ、だからといって『同性』は有り得ないからな」
「それだけはいくらあの子達……だけじゃないわ、あなた達の誰かが言ってきても駄目よ」
「まぁ、我が家の娘達はもうそんな事は言わないだろうがな」
「そうね、つかさもかがみも大丈夫みたいだし」
……言葉だけで実際には娘の事を全然見ていないんだな……
誰がどう見たって二人ともストレスで潰れそうになってるじゃん……
「やっぱり『休学』させたのが良かったのかな」
「少しは悟ったんでしょう。自分達の考えが間違っているって事を」
「そうだな。……っと、すまんすまん。それで?まだ聞きたい事が有るのかな?」
「……ううん、大丈夫だよ、ありがと。それじゃおやすみなさ~い」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
264:ナハト
10/12/07 23:17:07 WEMqL5z40
☆
……まさかあそこまで『子離れ』出来ていないとは思わなかったなぁ~
あ、姉さんに一応報告しておかないと
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
姉さん
今日、父さんと母さんに『親離れ・子離れ』について聞いてみた
みゆきちゃんの両親が言う通り、全然出来ていない感じだったよ
特にかがみとつかさに対しては全くだね~
流石の私もビックリだよ
それじゃ、残業頑張ってね~
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「……送信っと。……ふぅ……」
『特にかがみとつかさ』……か……
かがみとつかさ
産まれる前からずっと一緒だった二人
そして……私の大切な妹達……
そういや……この間姉さんが言ってたな……
この計画に参加したのは『かがみを守りたいからだ』って……
私は……
私は何でこの『計画』に参加しようと思ったんだろう……
こなたちゃんの『計画』を知ったから?
……いや、違う
それを見せられる前からずっと……
父さんのかがみとつかさに対する理不尽極まりない仕打ちに嫌気がさしていたんだ……
そして、私は、そんな父さんに現実を知ってもらいたくて……
そうか……
私は、父さんと母さんに
自分達の娘の『今』を
見てもらいたかったんだ……
……父さん……母さん……
私達はいつまでも『娘』のままじゃないんだよ
いずれ私達は自立し、家庭を持ち、『娘』から『親』になるんだよ
もしそうなった時……
それでも父さんと母さんは私達を『娘』として見るの?
私は……そんな風に縛られるのは……嫌だよ
私だけじゃない
姉さんも、かがみも、つかさも
みんな、そう思っているよ
265:ナハト
10/12/07 23:17:37 WEMqL5z40
いつまでも『親』で居続ける事は出来ないんだよ
いずれ、必ず、『親』でなくなる日がくるんだよ
それでも……
あなた達二人は
『子離れ』という現実から目を背け続けるの?
私は、父さんと母さんにその現実をしっかりと見てもらいたい
そして……不幸にも引き離されるかわいい双子の妹達……
私達から離れ行くつかさと残されるかがみを守りたい
それが『計画』に参加した私の理由……
「まつりねーさーん!お風呂空いたよー!!」
あれ?もうそんな時間!?
……ちょっと物思いに耽り過ぎたか……
「わかったよー!かがみー!!」
さーてと、今日は姉さんも残業だし、ノンビリと入りますか~
実行日に体調を崩さないように、しっかりと身体を休めないとね!
「ねーさーん!!聞こえたー?」
「はーい!!今行くー!!」
Section11「苗木を守る人達~柊まつり~」 End
実行日まで
あと五日
266:ナハト
10/12/07 23:19:05 WEMqL5z40
以上です
ではでは、また来週火曜日に投下しますね~ ノシ
267:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/08 07:01:11 DBp6BygD0
どうみても両親異常です。
本当にあり(ry
268:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/09 01:58:34 qB4MZxfE0
○○らき☆すたの鷲宮神社への初詣の行き方○○
【★★行く年~大晦日の夜★★】 ~JR線・地下鉄各路線終夜運転実施。
○湘南新宿ライン(逗子~横浜~新宿~大宮~宇都宮)60分間隔で終夜運転。
東鷲宮駅下車。タクシーが便利5分程度。
他に武蔵野線・埼京線・埼玉高速鉄道&東京メトロ線・都営地下鉄
山手線(10-12分間隔)・京浜東北線(大宮~大船)・中央総武線(20-40分間隔)
が大晦日の夜は終夜運転。
※久喜・鷲宮・春日部周辺の東武鉄道は終夜運転は実施しません。
【○○来る年~元旦の始発以降○○】
○JR宇都宮線(東北線)・湘南新宿ライン久喜駅乗換え東武線鷲宮駅下車。
○地下鉄半蔵門線/急行久喜行で終点で乗り換え東武線鷲宮駅下車。
東武鉄道は(PASMO/Suica)は使えますIcocaは使えません。
★久喜までのJR線の場合、ホリデーパス(首都圏地域JR線フリーきっぷ)2300円のが
お得な場合があります。自動券売機でお得なきっぷのところをタッチしてみてください。
★遠路の人や複数人での初詣は青春18きっぷ(発売は12/31まで)の活用もお勧めします。
269:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/09 02:01:08 RFGGDPzF0
中では平穏だったけど、いざ外に出ようとすると柵になるのか
典型的なカゴの中の鳥すなぁ
270:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/09 23:38:52 xSymhqaG0
742 圧縮注意
271:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/09 23:52:49 6mQShmhR0
あれ・・・?
今84だけど・・・
272:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/10 07:15:08 VfPUOOZz0
>>271
>>270は総スレ数で、立っているスレの数が740を超えたらに圧縮が近いと言う意味
圧縮チェッカー
URLリンク(eriko.s201.xrea.com)
701以降の赤い部分が総スレ数750になったとき700に圧縮されて消えて落ちる
ただし圧縮はすぐにあるときも24時間くらい後にある時もある
圧縮については>>107-113を見て
273:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/11 17:31:01 JdMzSCo70
600/742
274:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/11 18:19:57 MTSGU+VUO
「うぅ~、寒いよぉ~」
「こなちゃん!しっかりして!!」
「つかさぁ~、私……もぉダメかも……」
「そんな事言わないで!!きっと助かるから!!」
「……なんだか……眠く……なってきた……」
「ダメ!寝ちゃダメだよ!!!」
「……つかさぁ……私、つかさに会えて……幸せだったよ……」
「そんな事言わないで!!二人一緒に助かるんだよ!!」
「つかさ……あり……がと……」
「……こなちゃん?……こなちゃん!!こなちゃぁぁぁーーーーん!!!!!」
「かがみさん……あれは もしかして……」
「そう、王道の『雪山遭難ごっこ』」
「でも、どうして……」
「ん?『寒い雰囲気を存分に味わってからこたつに入るととても幸せ計画』だって、こなたが言ってたわ」
「はぁ……」
「ま、私達はみかんでも食べてましょ」
「……そうですね」
「こなちゃ~ん、私達もこたつに入ろうよぉ~」
「……へんじがない、ただのしかばねのようだ」
「もぉ……みかん『あーん』ってしてもらいたいんだけどな……」
「……」
「あ、それじゃぁ……今してもらおうかな♪」
「……今?」
「今」
「……みかん無いよ?」
「みかんの変わりに……こなちゃんを……」
「は、はいぃぃぃ!?」
「あむぅ~!」
「うひゃぁぁぁーー!」
「……なんだか、雪が全部溶けそうな位に熱々ですね……」
「みゆき、それは言わない約束よ……」
275:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/12 07:30:05 cMmEzadj0
秘密の遭難ごっこ
276:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/13 10:41:38 qpzKoTNY0
632/748☆ゅ
277:ナハト
10/12/14 00:53:49 WB6lUC200
どもども
Section12「苗木を守る人達~岩崎みなみ~」
投下します
本文6レス使いますね
278:ナハト
10/12/14 00:54:18 WB6lUC200
「じゃぁ、いってきます……」
「いってらっしゃい。あ、折りたたみ持った?」
お母さんの言葉に私は無言で頷き玄関から外に出る。
外に出ると、昨晩の雨で出来た水溜まり。
そこには上空の梅雨空が映っている。
……少し、肌寒いな……ゆたかは大丈夫かな……
dear -Section12「苗木を守る人達~岩崎みなみ~」
~♪
駅の改札を抜けた辺りで携帯が鳴った。
……ゆたかからだ……あ、マナーモードにしておかないと……
メールの着信音に慌てて携帯をマナーモードにして、メールをチェックする。
……そっか、じゃぁ帰りにお見舞いに行こうかな……。
メールには「具合悪いからお休みします。みなみちゃんごめんね」と書いてあった。
……昨日まで暖かかったからね……仕方ないかな……。
☆
……えっと……3ーB……あ、ここだ……。
今は昼休み、教室の中からは楽しそうな笑い声が聞こえる。
……泉先輩……居るかな?
教室の中を覗くと、泉先輩を中心に高良先輩、峰岸先輩、日下部先輩の姿が見えた。
「あの、泉先輩!」
「あ、みなみちゃん!どったの~?」
「あの……ゆたかの事で……」
「あ~、ゆーちゃんの事?まぁそんな所に居ないでこっちに来なさいな~」
「はい……失礼します」
「んで?ゆーちゃんに何か用?……てゆーかメール行ってるよね」
「ん?ちびっこ~、ゆたかちゃんがどうかしたのか~?」
「あ、今日休んでいるのだよ~。体調崩しちゃったみたいでさ」
「……大丈夫なの?」
「大丈夫だと思うよ~。大抵一日休めば良くなるし」
「風邪ですか?」
「うーん、昨日の夜に雨が降った急に冷えたからね~、多分それでじゃないかなぁ」
「あの、それで……プリントを届けるついでにお見舞いに行こうかなと……」
「そう?ありがと~。ゆーちゃんも喜ぶよ~」
「あ、でも……今日は泉さん……」
「え?……あ、そっか……おとーさんも夜まで帰ってこないしな~」
「……何か不都合があるんですか?」
「ほら……今日は、みゆきさん家だから……」
……あ、そうか……今日は火曜日だっけ……。
「忘れていました……すみません、それでは帰りにプリント持ってきますので、ゆたかに渡して……」
「あ、ちょっと待って……みなみちゃんにこれを預けておくよ~」
何かを閃いた泉先輩は鞄の中から鍵を取り出し私にそれを差し出した。
279:ナハト
10/12/14 00:54:35 WB6lUC200
「……家の鍵……ですか?」
「いえ~す!今日はおとーさんも居ないからさ、これで家に入ってもらえる?鍵はゆーちゃんに預けておいてもらえればいいから」
「あ……はい……じゃぁ、確かに預かりました……」
「ゆーちゃんの事お願いね~」
家にはゆたか一人か……早く行ってあげないとね……。
☆
……ここを曲がって……えっと……あ、あそこだ。
何度か来たことのある泉家。
ゆたか一人の時は……初めてかな?
……鍵は……確かここに……うん、あった。
鍵には可愛らしい犬のプレート型キーホルダーが付いている。
前に、泉先輩とつかさ先輩は「お揃いなんだ~」と言って私に見せてくれた。
……泉先輩……つかさ先輩と引き離された時……どんな気持ちでこれを見ていたのかな……。
☆
泉家に着いて、念のためにインターホンを押してみる。
……返事は無いか……寝ているのかな?
預かった鍵で中に入ると、物音一つしていない。
私は静かに扉を閉め、靴を脱いでゆたかの部屋へ向かう。……起こしたら悪いから……静かに……静かに……。
扉をノックしても返事は無い。
……熟睡しているのかな?それなら良いんだけど……。
静かに扉を開けて中に入ると、規則正しい寝息が聞こえてくる。
入るときと同様に扉を閉めてベッドの脇に腰を下ろし、鞄を置いてゆたかの寝顔を見つめた。
……顔色は悪くなさそうだね……熱は……。
「ちょっとごめんね……」
私は小声でそう呟くと、そっとおでこに自分のおでこを当てた。
……熱もなさそうだね……良かった……。
静かに体を起こして再び寝顔を見つめる。
……冷え込んだのもそうだけど、眠れなかったのかもしれないな……。
一昨日、『作戦会議』のあと、私の部屋に田村さんと三人で集まった時、ゆたかは自分に言い聞かせるように宣言をしていた。
「私、頑張るよ!お姉ちゃんのためだもん!絶対に成功させるよ!!」
……『計画』の事……『役割』の事……成功した後のゴタゴタ……全部わかった上であんな宣言をしたんだよね……。
ゆたか
私が高校に入って最初に仲良くなった、大切な……親友
体が弱いのに、クラス一負けん気が強くて……どんな時でも前向きで……
私は、そんなゆたかを見ているのがとても好きで……
「あ……そうか……」
私は……ゆたかを……。
280:ナハト
10/12/14 00:54:55 WB6lUC200
「ん……あれ?みなみちゃん?」
「あ……ごめん、起こしちゃったね……」
「ん~ん。……あれ?みなみちゃんが居るって事は……学校終わったの?」
「うん。プリント……持ってきたよ」
「ありがと~。……よいしょ……っとと!」
「ゆたか!」
プリントを受け取ろうと体を起こしたゆたかがふらついて頭を壁にぶつけそうになったので、私は慌てて腕を掴んだ。
「あ、ありがとう……」
「大丈夫?」
「うん、みなみちゃんが掴んでくれたから大丈夫だよ」
「……良かった……」
クッションと枕で背もたれを作り、ゆっくりと掴んでいた腕を離し、起こした体をそこに寄り掛からせた。
「……私……本当に大丈夫なのかな……」
「……どうして?」
「だってさ……今はまだお姉ちゃんが居るから、今日みたいに具合悪くなってもなんとかなる……でしょ?」
「そう……だね」
「でも、お姉ちゃんが居なくなったら……今日みたいに体調崩してなんかいられないんだよ……それなのに……」
「……」
「……ほんっと、情けないよね……お姉ちゃんには『大丈夫だよ』って言って……みなみちゃんと田村さんには『頑張る』って言ったのにさ……」
「ゆたか……」
「……もぉ……グスッ……嫌になっちゃうよ……どうして……グズッ……こんなにも……私の身体って……弱いのかな……」
……そんな事は無い。
私は同じクラスになってからずっとゆたかを見てきた。
だから……そんな事は……
「もぉ……嫌だよぉ……ヒック……もっと……もっと……グズッ……強くなりたいよぉ……エグッ……」
「ゆたか!」
私は思わずゆたかを抱きしめた。
そうせずに居られなかった。
「グズッ……みなみ……ちゃん?」
「大丈夫、ゆたかは弱くなんか無いよ……」
「でも!今日だって……」
「『身体』は弱いかもしれないけど、『心』はとても強いよ……」
「ここ……ろ……?」
「うん……。あのね、一昨日ゆたかが私の部屋でさっきの言葉を言ったでしょ……」
「う……ん……」
「ゆたか達が帰ったあとに考えてみたの……もし私がゆたかの立場だったらって……」
「わたしの……たちば?」
「うん……でね、私だったら……ゆたかみたいに言えないなぁって思ったんだ」
「……そう……なの?」
「だってさ……『計画』が成功したあとって……一人ぼっちになっちゃう……でしょ?」
「……気付いてたんだ……」
「でも……ゆたかは……それをわかった上で……あの言葉を言った……だから、ゆたかは弱くなんかないよ……」
「みなみちゃん……ありがとう」
「もう大丈夫?」
「うん……」
281:ナハト
10/12/14 00:55:18 WB6lUC200
私は抱きしめていた腕を解き、ゆたかの両肩に手を置いて真っ直ぐにゆたかを見つめた。
……これだけは……言っておきたかったから……。
「ゆたか……これだけは覚えておいて」
「な、なに?」
「私は……この先どんな事が有っても……ゆたかの味方だから……」
「……うん……ありがと……グスッ……」
ゆたかは私の言葉に涙ぐみながらも笑顔を見せてくれた。
……良かった……笑顔が戻って……。
「……やっぱりゆたかには笑顔が似合うね」
「ふぇっ!?いきなりどうしたの?みなみちゃん」
「あ……その……昨日も、一昨日も……ゆたかの笑顔を見ていないなぁって……思って……つい……ごめんね、変な事言っちゃって……」
「……ううん……嬉しいよ……そんな風に言ってもらえると……」
「そう……なの?」
「うん!だってさ、友達に『笑顔が似合う』なんて言われたら……みなみちゃんだって嬉しいでしょ?」
……以前の私なら「わからない」とこたえていただろう
小さい頃から『無表情』『暗い』ってレッテルばかり貼られていたから
……私は『笑顔』と無縁の生活を送っていた
でも今は……ゆたかのおかげで……私は自然な『笑顔』をいつしか見せられるようになっていた
だから……ゆたかの問いにも……自信を持って答えられる
最高の、『笑顔』で
「……そうだね。嬉しいよね」
「でしょでしょー?そうだ、前にお姉ちゃんとおじさんが言ってたよ『笑顔は人を幸せにする』って」
「私も……そう思うな……だって……」
「……だって?」
『ただいまー。……ってあれ?お客さんかな?』
「あれ?おじさん帰ってきた。おかえりなさーい!お仕事早く終わって良かったですねー!」
『ん?今のはゆーちゃんかい?』
「あ、はい!すっかり元気になりましたー」
『そうなの?……入るよー』
ノックの音がしたかと思うと、おじさんが部屋の扉を開けて入ってきた。
「あ……お邪魔しています……」
「あぁ、みなみちゃんだったのか。こんにちは。……ゆーちゃんのお見舞い?」
「はい……あと、プリントも……」
「そうか、いつもありがとね……ゆーちゃんもすっかり元気になったみたいだな」
「はい!お蔭様でぐっすり眠ったら元気になりました!……てゆーかおじさん、許可も無くレディーの部屋に入るのはどうかと思いますけど?」
「ん……?おぉっと!こいつぁ失礼!!」
「次からは気をつけて下さいね。……今回で三回目ですけど……」
「……三回も……?」
「あー、それについては……その……なんだ……ごめんなさい」
ゆたかの言葉におじさんは頭を深々と下げて謝った。
それを見たゆたかは何故か笑顔を見せている。
282:ナハト
10/12/14 00:55:42 WB6lUC200
「……なんで……笑っているの?」
「え?んーっとね……いつもおじさんこんな調子だから面白くって」
「ゆーちゃーん……。ゆーちゃんまでこなたみたいな事言わないでくれよぉ~」
「はいはい……もう怒ってませんよ」
「うぅ~、かなたぁ~。ゆーちゃんまでこなたみたいに俺の事をいじめるよぉ~」
「うふふっ」
……なんか……物凄いやり取りを見ている気がする……。
でも、これがこの家の『日常』なんだろうな……。
だけど……その『日常』も……もうすぐ無くなっちゃうんだよね……
「……ところで、みなみちゃん。そろそろ帰らないとまずいんじゃないか?もう五時半だよ」
「え……?もうそんな時間ですか?」
慌てて時計を確認すると、確かにもう少しで五時半になる。
「じゃぁ……ゆたか、また明日……学校でね」
「うん!今日はありがとね!」
「よっし、それじゃ俺が車で駅まで送ってあげるよ」
「……ありがとうございます……では、お言葉に甘えて……」
「ばいばーい!また明日ねー!」
☆
「いやー、みなみちゃんはゆーちゃんの特効薬だな~」
「……特効薬……ですか?」
駅へと向かう車の中、おじさんは突然そんな事を言った。
……どういった意味なんだろう……。
「ん?大した意味じゃないよ。ただ……みなみちゃんが来るとさ、ほぼ必ずと言って良いくらいゆーちゃんが元気になるんだよね」
「そう……ですか」
「そう。だから『特効薬』って思ったんだけどさ……嫌だったらごめんね」
「いえ……嫌では……ありません……」
「そぉ?良かった~、変なおやじって思われなくて」
「そ、そんな事……思いません……」
そこで会話が途切れた。
元々他人が苦手な私が……親友がお世話になっているおじさんとは言え……会話を続けるなんて事自体無理な話だ。
「俺さ……不安だったんだよね」
そんな心中を察してくれたのか、おじさんが再び話しはじめた。
「……不安、ですか?」
「そう。……俺が居ない間にゆーちゃんにもしもの事が有ったら……こなたも居ないのに……ってね」
「そう……ですか」
「そしたらね……なんか『こなたもゆーちゃんもいなくなったらどうしよう』って考えちゃってさ……そんな事無いのにね」
そう言うと、おじさんは自嘲気味な笑みを浮かべて話しを続けた。
283:ナハト
10/12/14 00:56:05 WB6lUC200
「だけど一度そんな考えが頭を過ぎるとそれからが大変でさ、何をしていても手につかない」
「それは……大変ですね……」
「だろ~?……だから今日は打ち合わせもそこそこに急いで帰ってきちゃった」
「はぁ……大丈夫なんですか?」
「んー、まぁ何とかなると思うよ。それにしても……なんであんな事考えたんだろうな~。……有り得るはず無いのに……」
「……そうですよ、ゆたかが居なくなるなんて……有り得ませんよ」
「……そうだよね……最近疲れているのかなぁ~」
「……あまり無理をしないで下さいね……ゆたかが心配していましたよ」
「ゆーちゃんが?……そっか、気をつけないといけないな……」
その後も、おじさんが話して私が答えるという形だけど、他愛のない話しをいくつかした……時折、笑顔も見せたりした。
……こんな事が出来るのも……ゆたかのおかげだよね……。
「お、この先のロータリーで良いかな?」
「あ、はい……お願いします」
気が付くと、駅はもう目の前。
外はいつの間にか降り出した梅雨の雨。
「傘有るかい?」
「はい……折りたたみが」
駅に着き、外に出ると雨と共に冷たい風が私に襲い掛かった。
慌てて傘を開き、車のドアを閉める。
すると助手席の窓が開き、おじさんが顔を近付けた。
「みなみちゃん……ゆーちゃんの事……これからも頼むよ!」
「あ、はい……」
「それじゃ、気をつけてね」
「今日はありがとうございました……おじさんもお気をつけて……」
おじさんは親指を立てると、窓を閉めて自宅へと車を走らせた。
……ゆたかの事を頼むよ……か……。
一昨日、お母さん達が『計画』に参加した理由を言ってた
でも……私の理由はお母さん達とは違う
ゆたかは……私に色んな表情を見せてくれる
私は、そんなゆたかを見るのが……好きだ
ゆたかは……私を変えてくれた
一人ぼっちだった私を……
だから、今度は私の番
ゆたかが一人ぼっちにならないように……
ゆたかの笑顔が無くならないように……
ゆたかを、支え続ける
それが、私の理由。
Section12「苗木を守る人達~岩崎みなみ~」 End
実行日まで
あと四日
284:ナハト
10/12/14 00:58:40 WB6lUC200
以上です
みなみちゃんがしゃべり杉
と思われる方もいらっしゃるでしょうが
ゆーちゃんと一緒に居る時はこんな感じで話してるのかなぁと思って書きましたw
ではでは、また火曜日に ノシ
285:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/16 07:16:17 jRoo2e+YO
☆ゅ
286:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/18 23:26:19 /VHcda2CO
うに④
287:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/18 23:54:03 6sbZ5uTL0
/: :/ : : : : 〃: 'l V:ト 、 : : !: : : ハ キラ ,':.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:./|::i:.:.:.:.:.:.:|ヽ::.、:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:\
/:/: /: : 斗.'/ |:/ | ',:ト、ヘ : :|: : : : ハ ☆ |:.:.:.i/:.:.:.:.::,':-‐:/ |:|.:.:.:.:.i::| ーl-|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.∧
/ィ.:,' /: : : l/ !' リ ヽ.: : |: : : : |: :l. |:.:.:,':.:.:.:.:.::|:.:.:./ !|::.:.:.::|:.l |::|、:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.、:.:ハ
/ ,': :||: : /xぅ外 fぅメ、}: : : : !: :! |:.:.|:.:.:.:.:.:.:|:.:/___ |:.:.:./|/_|/ ∨:.:.:.:|:.:.:.:.:.|\
l: : !∧ .〃ん: ハ ん 小: : : | |: :l ☆. |:.:.|:.:|:.:.:.:||:/三三 |:/ 三三 /::∨::.:|∧:.:.:| ☆
l: : !: :.} ハ 辷り/ / / ,弋に:フ7: : ∧!: :!. |:.:.|:.:|:.:.:/|´ ・ハ:.:.:|:.:/ \:| ☆
| :∧: :|: :} ' ¨ /: : //: Ⅵ |:.:.|/|:.:/::| xxx ` xxx |:.:.:.:|/ ☆
Ⅳ V个ゝ、 ⊂つ /: :.イ/!.:/ ☆. |:.:.:.::|/::.:.|、 'ー'^ー' ,..':.::|:| ∪ キラ
∨.:/l }> .. __ . <.:イ}/ l'☆ キラ. |:.:.:.:.:|::..i::|::>::... __ __,..イ::i:.:.:.|:| ☆
☆ Ⅴ jノ__r ィノ Lr 、__ / ☆. |:.:.:.:.:.|:.:.|::| \j 〈::.} ゛|::|:::.:.:|:| ☆
, ┤ ぅハr、. { (ヽ >、. ☆ |:.:.:.:./|.:.:|::|\ \ ./ |::|:::.:.:|:| キラ
▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△
△ 【つかさ こなた一緒に】 SAVE LOAD MENU▽
▽ △
△ おねえちゃん 『えろげ』って なぁに? おしえて わたしわかんなぁい☆ ▽
▽ △
△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽
288:1-724
10/12/19 15:40:31 xMKBna/10
ここまでのミニネタとナハト氏SSdear -Section6から12を保管しました
保管庫(非常時には避難連絡所になりますのでスレ住民はURL保存推奨)
URLリンク(www8.atwiki.jp)
保管庫避難連絡ページ
URLリンク(www8.atwiki.jp)
289:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/20 19:16:20 CQBRm4uXO
>>288
保管乙です
290:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/21 08:04:28 yPzknh5r0
>>287
その問いに私は…
二人を叱る
こなたを叱る
姉と言われる筋合いのないほうを叱る
>>288
保管乙であります!
291:ナハト
10/12/21 23:55:25 S2YYaIEn0
どもども、SS投下します
タイトル
dear -Section13「苗木を守る人達~日下部みさお・峰岸あやの~」
本文4レスつかいますね~
>>290
えっと・・・「二人を叱る」でお願いしますw
292:ナハト
10/12/21 23:55:58 S2YYaIEn0
「それじゃ、失礼しまーす」
「次は金曜日に来ますね」
「はーい。んじゃね~!」
「気をつけて帰ってね」
まつりさんとおばさんに見送られた私達は、家への道を歩きはじめた。
……明後日が最後……か……。
dear -Section13「苗木を守る人達~日下部みさお・峰岸あやの~」
「なぁ、あやの」
「……何?みさちゃん」
いつもの帰り道、でも明後日で終わる予定の帰り道。
「明後日で……最後……だよな……」
「えぇ……明後日で……最後よ……」
柊の『休学』が決まってから始まった『勉強会』
『計画』が成功すれば……これも終わる……はずだ
「今日で何回目なんだろうな?」
「……わからなくなる程に、いっぱい来たわね……」
そして……
ちびっこと……妹とも……
「……色々、あったよな……」
「うん……色々と、あったね……」
妹が休学して……
ちびっこが柊に手紙を託して……
柊も休学して……
ちびっこと喧嘩して……
『勉強会』が始まって……
ちびっこと仲直りして……
『計画』がスタートして……
「あのさ……あやのは……どうして、『計画』に参加しようと思ったの?」
「どうしてって言われても……なんでそんな事聞くの?」
どうして……か
そうなんだよな~
なんでなんだろう……
「……柊が『休学』してからさ……ちびっこと一緒に居る機会が増えたじゃん」
「そうね……一緒にお弁当食べたり、昼休みに話す機会が増えたわね」
「ちびっこと話したり……一緒にお弁当食べたりしてさ……ちびっこの事が色々とわかってきたら……」
「わかってきたら?」
「……私は、なんでこの『計画』に賛成したのか……わからなくなっちゃってさ……」
「……みさちゃんも、そうなんだ……」
……ん?
みさちゃん……も?
293:ナハト
10/12/21 23:56:20 S2YYaIEn0
「『も』って……もしかしてあやのも?」
「うん……。私も同じ……」
「そっか……」
あやのもわからなくなってたんだ……
「……みさちゃんは……なんであの時賛成したの?」
「ちょっ!それってさっき私がした質問じゃん!……まぁ良いけどさ」
「だって……人の意見を聞くときにはまず自分の意見を言うのが常識でしょ?」
「みゅぅ~」
確かにその通りなんだけどさぁ……
はぁ……、仕方無い、ちゃんと話すか……
「あの時……私は……ちびっこと妹が幸せになれれば良い!……って思ってさ、それで……」
「……私も……最初は高良ちゃんの事が気になっていたけど……大丈夫だってわかったら……」
「そっか……」
「……これって……賛成した理由になるのかな……」
「……わからない……」
「……だよね……」
お互い黙ったまま歩く帰り道
いつもと距離は変わらないはずなのに……
今日は、とても、長く感じる
「柊……大丈夫かな……」
「……どうして?」
あぅ……
「あやのぉ~、なんで高良が一人ぼっちになるのはすぐにわかったのに、柊の事がわからないんだよぉ~」
「え?……あ!そっか……。妹ちゃんがいなくなったら……」
「柊は……あの家で一人ぼっちになっちゃう……」
「で、でも、お姉さん達が……」
「……二人共居ない時は?いのりさんが残業で、まつりさんが飲み会だったら……柊と親しかいなくなるんだぞ!」
「あ……」
「それに!もしお姉さん達がたまたま旅行で何日か出掛けたら……」
「……その間、ずっと、一人ぼっち……」
「そんな……そんな状態で柊が普通でいられると思うか?妹とお姉さん達がいるのにも関わらず……あんな……ボロボロになって……」
「みさちゃん……」
「メイクで隠してるけど!目の下には隈が出来てるし!腕なんかも妹以上に痩せて細くなってるし!」
「……」
「柊は大丈夫って言ってるけど!どこが……どこが大丈夫なんだよ!」
「……無理してるよね……柊ちゃん……」
「だよな!……まったく……柊は中学の時から全然変わってないよな!」
「そう?」
「そうだよ!面倒な事は全部自分で抱え込んで!どんな時でも、自分が倒れない限り具合が悪くても無理をするし!」
「……そうだね……」
「なんで……なんで柊は……自分を大事にしないんだよぉ……」
「……正義感が強いから、じゃないかな……」
「……わかってる……わかってるよ……。でも!だからって……」
「柊ちゃんは……私達が注意しないと……突っ走っちゃうからね……」
「……グズッ……」
「みさちゃんは……優しいね……」
「……エグッ……」
294:ナハト
10/12/21 23:56:36 S2YYaIEn0
「もぉ!これは全部終わったら……柊ちゃんに一言……言わない……とね!……みさちゃん……を……泣かせたん……だよ……って……」
「……あやのだって……」
「……」
「あやのだって……泣いてるじゃんか……」
「……グスッ……みさちゃ~ん!」
「あやのぉ~!!」
夕焼けが照らす道の真ん中
私達は人目をはばかる事無く抱き合い泣き続けた
☆
それからかなりの時間が経ったけど
涙は止まる事無く溢れ出ている
この涙は何の為に流れるの?
この哀しみは……どこから産まれてくるの……?
柊が辛い目に会ってるから?
それなのに私達は……何も出来ないから?
……多分両方なんだろうな……
柊……
正義感が人一倍強くて……
曲がったことが大嫌いで……
それが原因で人から誤解されたりするけど……
でも……
本当はとても優しくて……
いつでも他人に気を配ってて……
だから……いつでも自分は二の次で……
そんな性格だから……
私達に心配をかけないようにって思って……大丈夫なんて言っちゃうんだよな……
……そっか!
私達にしか出来ない事……あった!!
「あやの」
「……グスッ……」
「泣き止んで……。私さ、わかったよ」
「……なに……が?」
「今回の『計画』に参加した理由」
「……?」
「あのさ……さっきも話したけど……柊って正義感強いよな」
「うん……」
「そんでもって、実はとっても優しい」
「……今の台詞を柊ちゃんが聞いたら、物凄く驚くわね」
「べっ、別に言ったっていいじゃんか~。……柊だっていないんだし……」
「フフッ……そうね。みさちゃん、柊ちゃんがいない所で色々と言ってるもんね」
「みゅ~、あやのがいじめるぅ~」
「ごめんごめん……つい、ね」
「全く……。んで、えーっと……どこまで話したっけ?」
「柊ちゃんが優しい、ってところまで」
「あ、そかそか。んで、結構周りに気を配る」
「……そう、だね」
295:ナハト
10/12/21 23:56:58 S2YYaIEn0
「……自分を二の次にして……」
「……」
「だからさ」
「……?」
「私達は……柊を支える役になれば良いんじゃないか?」
「柊ちゃんを……支える?」
「そ。柊が自分を二の次にしないように。……あんなにも悩んで苦しんでる柊なんて……見たくないよ……」
「……そうだね。私も……あんな柊ちゃんは二度と見たくないな……」
「やっぱ、柊は元気じゃないとな」
「そうね、それと笑顔!」
「本人は気付いてないけど、笑った柊って可愛いよな~」
「みさちゃん、それちゃ~んと柊ちゃんに言ってあげてねっ」
「そ、そんな恥ずかしいこと出来るわけないだろっ」
「冗談よ、じょ・う・だ・ん。……でも、柊ちゃんには笑顔でいてもらいたいよね……ずっと……」
「もぉ……。でも、そうだよな、柊には笑顔が一番似合うよな!」
「だよね!!」
怒った顔……
困った顔……
色んな顔があるけど
悩んで苦しんでる顔の柊なんて……
もう絶対に見たくない!!
「柊を二度とあんな顔にさせないためにも……」
「私達が頑張らないとね!!」
柊が二度とあんな顔しないように……
私達が全力で支えて、助ける
それが、私達の、理由
Section13「苗木を守る人達~日下部みさお・峰岸あやの~」 End
「ところでさ、私達って今回何も役割が無いじゃん?」
「そうねぇ」
「でさ……ちょっと耳貸して……」
「いいけど……何?」
「あのさ……ってのはどう?」
「えっ!?で、でも……」
「まぁ、ダメもとで相談してみない?」
「……そうね、今のままだと何も出来ないもんね」
「よし!じゃぁメールで……」
「オッケーしてもらえるといいね」
「『……相談に行っても良い?』っと……こんな感じで良いよな!」
「……みさちゃん、そこは『良いでしょうか』だと思うんだけど……」
「えっ!?……あ、じ、冗談に決まってるだろ~」
「……心配だからメール手直ししておくね……」
「……みゅぅ~」
実行日まで
あと三日
296:ナハト
10/12/22 00:03:08 S2YYaIEn0
以上です
先に謝っておきますが、次とその次もこなつか分ありません
_(__;)ゞ スイマセン
ついでにちょいと年末年始は投下出来そうにないのでそれも謝っておきます
m(_"_)m ペコペコ
携帯から小ネタ程度なら何とかなるんですがね・・・
一応このシリーズの投下再開は来年の11日・・・より前には再開したいなぁw
ではでは ノシ
297:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/24 16:40:14 2Jtso18T0
捕手
298:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/25 07:32:30 yIN3CB/DO
「おはよ、こなちゃん」
「おはよ、つかさ」
「……」
「どったの?」
「……サンタクロースって、本当に居るんだなぁって思って……」
「……?」
「だってさ、ちゃんと、プレゼント、置いていってくれたから……」
「ほぇっ!?どこに?」
「……ここに」
「……ここって……どこにあるの?」
「……私の目の前」
「目の前?……何も無いよ?」
「あるよ……ほら……」
「ん……?つかさの目の前……あ……」
「ね、あったでしょ?」
「……それを言ったら、私だって同じだよ……」
「……そうなの?」
「うん。……目の前に、とても素敵で……大切な……『つかさ』っていうプレゼントがあるよ……」
「……こなちゃん……」
「……つかさ……」
「大好き!!」
「私も大好き!!」
Merry Christmas to Tsukasa&Konata!!
299:stole【ストール】
10/12/26 20:59:16 tlUmbM/TO
Σ(; ̄д ̄)おぉ!!?
SS引退してから、板離れしてたけどまだ続いてたとはビックリだ!
(´・ω・`)久しぶりに何か書きますか?
300:ナハト
10/12/26 23:46:24 yhFD27l6O
>>299
おぉ!お久しぶりですー!
えぇ、まぁボチボチと続いてますよ~w
書いていただけるのならどんな内容でもおkです~
・・・他人の書いたつかこなに飢えはじめてきてるんでww
301:stole【ストール】
10/12/28 02:09:07 eMsRB8lxO
>>>299
(;´・ω・`)でも、かがみ×つかさ の方は無くなったみたいだね……
じゃあ、時間が空いたら書きますねヾ(=ω=.)
規制されないといいんだけどwwww
302:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/28 20:40:52 tG89TCub0
743 ☆湯
303:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/29 07:14:11 zKxINIGMO
ふと思ったんだが・・・
こなたはつかさを置いて有明にいくのだらうか?
304:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/30 13:19:52 HqK09K+y0
588/741 ☆ゅ
305:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/31 17:41:20 Its6qKYc0
「ごめんねこなちゃん…私から言い出したのに…うぅ…」
「その気持ちだけで嬉しいからさ、少し休憩して帰ろ」
「でもまだ中にも入れてないのにこれじゃこなちゃんが」
「欲しい本の大半は通販もやってるしさ、これ以上つかさの命を削るのは」
「……………」
「…こなた、買い物リスト全部よこしなさい」
「か、かがみん軍曹…まさか」
「つかさの想いを大切にしたいだけよ、あんたのためじゃないからね」
「お姉ちゃん…」
―見ておきなさいつかさ、これが姉の雄姿よ―
大半がピーな表紙の本だったけど頑張って買いましたあいつ許さん byかがみ
とかいう妄想を大晦日にしてしまったでござる
306:ナハト
11/01/01 00:23:53 19GOJwlUO
「つかさ~、あけおめ~」
「こなちゃん、あけましておめでとう。はい、お年玉どーぞ」
「ありがと~!……って、この紙切れは一体?」
「……お年玉だけど?」
「……あ、何か書いてある……手料理券?」
「うん、私が手料理するの」
「へぇ~。……何か嫌な予感がするけど……何を?」
「それはもちろんこなc」
「ちょっと待ったストーップ!!」
「え~、なんで~?」
「まだ今日は元旦なんだし、ね」
「そっかぁ~」
「そうだよ~」
「じゃぁ、明日ならいいんだね?」
「いや、だから、そのさ、えと……」
あけおめことよろです~
307:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/01 03:45:08 8oBd1CGD0
今年もつかさ×こなたは地道に不滅です
308:2-613
11/01/01 22:30:46 hQfI+UiuP
「「あけましておめでとうございます」」
「あけましておめでとう。こなた、つかさちゃん」
「って事でうちのほうはもういいよ、じゃつかさの家に行ってくるね~」
「ちょっと待ってよこなちゃ~ん」
「うう…年を追うごとにオレへの挨拶がどんどんおざなりになっていくのは気のせいなのか…?
しかし、こなたがどこぞの男とくっつく事を考えたらそれはそれで…うぉー、オレはダメな親父だぁー!」
ちなみにゆーちゃんはゆい姉さんと一緒に実家。
最近なかなかスレに書き込んでいられる余裕が持てませんでしたがあけましておめでとうございます。
309:1-724
11/01/02 02:27:23 Xgul7/gI0
つかさに姫はじめされるこなた
2-613氏お久しぶりです
310:ナハト
11/01/02 20:19:37 872LcccSO
>>309
姫初めネタを書こうと思ったけど・・・
自重したでござるw
311:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/03 01:58:20 aPZ0Q8680
☆ゅ
312:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/05 05:15:46 6ORa8xnWO
おもちうにょ~ん
313:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/06 04:53:19 fzwCyMoQ0
「あのね、初夢にこなちゃんいっぱい出てきたんだー」
「い、いっぱい?そかー私もつかさの夢見たよー」
「えへへ嬉しいなぁ…どんな夢だったの?」
「んー曖昧みーまいんだけど…つかさに膝枕してもらって…て、そんな感じカナ」
「じゃあ、初夢が正夢になったんだね」
まだ、と言い返そうとした時私の頭は既につかさの膝上にあった。
そうか、もうナチュラルすぎて気付かなかった。
「そだねー。あと耳かきとほっぺにちゅーとかもしてくれたヨー」
「もー脚色しちゃダメだよこなちゃん」
こりゃ流石に調子に乗りすぎたかな?
頬に唇が触れる。それと同時に薄紫の髪の毛が私の首筋を往復してくすぐったい。
「耳かき手元にないから…ごめんね」
「んーん、耳かきは気のせいだたよ。しゃーわせしゃーわせ」
「じゃあ、正夢だね」
何だか嬉しそうな声。こういう純粋なところもつかさの魅力だよね…
「私の夢も正夢にならないかなぁ?」
「やーそれはナイナイ」
「ガーン」
314:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/06 23:03:02 rUNZRHC90
☆ゅ
315:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/08 00:53:25 wup3eGEcO
こ「ホイコーロー!」
つ「シューマイ!!」
こ「ユッケ!!!」
か「……なにやってんの?」
つ「あ、お姉ちゃん。三連休のメニュー決めてるんだよ~」
こ「んで、さっきの三つに決定したのだよ~」
か「……叫ぶ必要性が無いような気がするのは……気のせいだろうか……」
316:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/08 01:17:56 tKCGELAS0
↑そんなに精力つけたらこのスレ的にはつかさが暴走すると思う
317:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/09 13:08:06 nNpTuRRX0
うにょーん
318:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/11 00:04:02 tQPYsQHh0
「おねえちゃんを開いちゃおうか」
「ああ、かがみん開きか」
319:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/11 08:10:01 1Wye7efU0
「な なにをする きさまらー!」
320:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/11 22:41:20 QOPGeS2c0
つかさスレから転
URLリンク(ls-up.matome.org)
321:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/14 02:46:37 jCBvgOvj0
685/705
24時間以上空けると何時おちても不思議ではない状態
322:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/14 10:25:27 r7YNf6s90
つかさとこなたの出会いをラブコメ風に30分アニメやってほしい
323:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/15 10:38:44 TWfsjtDeO
外国人「Ano sumimasenn 」
つかさ「ふぇっ!?」
外国人「Eki ha dochiradesyouka?」
つかさ「あの、えと、ふぇぇぇ~」
こなた「むむっ!○岸あ○り似の少女が悪漢に襲われている!!これは助けなければ!とうっ!!!」
324:ナハト
11/01/15 16:29:46 LWGP1paH0
どもども、ようやくPC起動できたのでSS投下します
タイトル
dear -Section14「苗木を守る人達~田村ひより~」
本文6レス使います~
325:ナハト
11/01/15 16:30:16 LWGP1paH0
「ホッホッホッホッ……」
……元々は体力をつけるために始めた夜のジョギングだけど……
「ホッホッホッホッ……」
まさかこれが役立つとはねぇ~、三ヶ月前の自分が知ったら驚きっすね
「ホッホッホッホッ……」
駆け落ちかぁ……
あの日……泉先輩に釘を刺されたけど……
こんな良いネタ、ほって置く訳にはいかないっすよ~
dear -Section14「苗木を守る人達~田村ひより~」
でも……あの時の泉先輩は怖かったなぁ~
●
「……ひ~よりん。ちょ~っと一緒にあっちに行こうね~」
泉先輩に呼ばれた私は、素直に後を付いて行った。
……多分、怒ってるっすね……
そんな事を考えながら歩いていると、少し離れた場所で不意に立ち止まりこちらを向いて小声で話しかけてきた。
「……ひよりん……さっきさぁ『ネタ』って……言ったよね」
「は、はい。確かにそう言ったっす……」
「まぁ、漫画を書いている人からしたら、今回の事はかなり良い『ネタ』だよね~」
「……」
「素直に答えてよ。ね、ひ~よりん♪」
そ、その最後の『♪』がとても怖いんすけど!
何か今までに見たことのない笑顔だし!
「……で、ど・う・な・の・か・な?」
「……とても……良い……『ネタ』……っす……」
「うんうん、そうだよね~。こんな事、普通に生活してたらまず巡り会う事なんてないもんねぇ~」
「……そうっす」
「そりゃぁ、『ネタ』にもしたくなるよね~」
「そりゃぁもぉ、こんな事有り得ませんからね!」
この時に、ちゃんと自重してればよかったんすよね~
「両親によって恋人と会えなくなった娘!それを助け出そうとする恋人!もぉ、王道っすよー!」
「ふぅ~ん」
「恋人を助け出すために策を練り上げ、それを実行して恋人と駆け落ちする!……はぁ……ロマンチックっすね~」
「ほぉ~」
「そして、駆け落ちした先での数々の試練!……それを乗り越えた二人はさらに愛を深め、そして……えへへ……」
「ひよりんは、そんなさきのことまでかんがえているんだね~」
「はい!……って、なんで棒読みな感じで言うんす……はっ!」
思わず勢いで色々と話してしまった私を、泉先輩はとても清々しい笑顔で見つめていた。
……目は笑っていないけど……。
「……あ、あのぉ~」
「な~に?」
「す、すみません……でした……」
「何が~?」