【らき☆すた】つかさ×こなたに萌えるスレ 6at ANICHARA2
【らき☆すた】つかさ×こなたに萌えるスレ 6 - 暇つぶし2ch104:1-724
10/09/26 20:46:04 KOaFltj70
103レスまでのミニネタとナハト氏のSSを保管しました


保管庫(非常時には避難連絡所になりますのでスレ住民はURL保存推奨)
URLリンク(www8.atwiki.jp)
保管庫避難連絡ページ
URLリンク(www8.atwiki.jp)


なお呼びかけましたとおり当スレ分からミニネハは、作者別をスレミニネタに統合します

ナハト氏へ
作中かがみの携帯シーンなどの、文頭の「*」はwikiの構文で小見出しとして表示されますので全角スペースを入れて回避しています。

105:名無しさん@お腹いっぱい。
10/09/27 18:32:05 Puz8J/TqO
>>104
1-724氏
保管お疲れ様です
*の件、了解しました

ふむ……次からは気をつけないといけませんなぁ
メモメモ……゛φ(ロ_ロ)

106:名無しさん@お腹いっぱい。
10/09/27 20:28:41 Puz8J/TqO
連投になってしまうが……


このスレ、結構やう゛ぁい位地に居ますなぁ~

むぅ……落ちるのだけは勘弁してほしいなぁ

107:名無しさん@お腹いっぱい。
10/09/27 20:44:16 4IMnr/cF0
ナハト氏

この板は勢いでなく最後に書き込んでから経過時間の長い順で落ちるから
URLリンク(eriko.s201.xrea.com) で確認して
スレ数が750近くになったら書き込めば大丈夫

今のところボーダーラインは24時間以上経過のようですが
新番組が始まったらスレ乱立とかがおこるので注意

108:ナハト
10/09/27 23:41:45 48Cz7qF90
>>107
(・o・)ゞ了解であります!

成る程……板によって違うんですなぁ~

109:名無しさん@お腹いっぱい。
10/09/28 06:13:30 9QhsKyWIO
☆ゅ

110:名無しさん@お腹いっぱい。
10/09/28 13:01:48 4ck4ub1h0
補足
750近くというのは立っている総スレ数ね
750に達したら700に圧縮される
その瞬間にこのスレが700番までならセーフ
701以下ならアウトでdat落ち

111:名無しさん@お腹いっぱい。
10/09/28 20:01:28 9QhsKyWIO
って事は、今デッドラインギリギリって事!?

o(><)oヒィィィィ-

112:名無しさん@お腹いっぱい。
10/09/28 20:37:03 4ck4ub1h0
あ、そうか携帯からじゃ圧縮チェッカー見れないですか
URLリンク(eriko.s201.xrea.com)

いまのところは24時間放置で600位くらいですね~
スレ数は書き込みが1001達したスレが順次落ちてるので736に減りました
でも30分で110位まで下がってるので板の流れは少し速めみたいですね

新番組始まったらスレ立てあらしとか全く予想が立たないですけれど

113:名無しさん@お腹いっぱい。
10/09/28 22:32:26 sTOYf41B0
PCから確認しますた
成る程……でも来週あたりは気をつけなくちゃいけないんですね
了解です("`д´)ゞ

114:名無しさん@お腹いっぱい。
10/09/29 03:22:22 h9KbThPI0
どうしてもベッドの上では
つかさにかなわないこなた

115:名無しさん@お腹いっぱい。
10/09/30 02:27:19 RhP+652F0
611/744

116:名無しさん@お腹いっぱい。
10/09/30 02:30:41 Yt505CSv0
【らき☆すた】こなた×みゆき 5【こなゆき】
スレリンク(cchara板)

117:ナハト
10/09/30 09:12:12 6wF00cWW0
どもども、木曜ですので約束通りに投下します
タイトルは

dear -Section2 「拾われた苗木」

です

本文5レス程使いますね~


118:ナハト
10/09/30 09:12:45 6wF00cWW0
「すみません、峰岸さん……少々お話したい事が有るのですが、よろしいでしょうか?」
放課後、委員会の用事で残っていた私は、同じく残っていた峰岸さんに声をかけました。
「あ……ええ、大丈夫よ。……人が少ない所で話したほうが良い話し……かしら?」
……やはり警戒していますね……。
「そうですね……、なるべくなら他の人には聞かれたくない話しですから……」
「じゃぁ、場所を移動しましょうか」
「あ、あの……日下部さんにもお話したいのですが……」
「みさちゃんにも……?わかったわ、多分もう少しで部活が終わるから……、その後、何処かで話せば大丈夫でしょ?」
「はい、それで問題ありません」
「じゃぁ、みさちゃんを迎えに行きましょう」
そう言うと、峰岸さんは警戒を解かずに早足で昇降口へと向かっいました。

大丈夫、きっと二人はこの計画を理解してくれるはずです……。

dear -Section2 「拾われた苗木」

ここは、通学路の途中にある公園。夏が近く日が長いとは言え、流石に5時近くにもなると人影もまばらですね。

「で、あたしとあやのに何の話しが有るっての?」
日下部さんは、多少苛々した声で話し掛けてきました。
仕方の無い事です、私が『お二人に』話しが有ると言うことは、間違いなく『泉さんとつかささん』に関係の有る話しですから。
「はい……、お二人はもう気付いていらっしゃると思いますが、泉さんとつかささんについてのお話しです」
「……やっぱりちびっこと妹の事か……」
「で、どんな話しなの?」
「昼休みに、泉さんから頼まれた事なんですが……」
峰岸さんに問い掛けられ、私は泉さんから持ち掛けられた『計画』を話しはじめました……。



ねぇねぇ、みゆきさん。
―なんですか、泉さん。
あのね……。お願いがあるんだけど……、あやのさんとみさきちに『かがみとの連絡』が出来る様に……頼んで貰えない、かな?
―……でも、それなら泉さんが直接……
……あの二人は私に対して物凄い嫌悪感を持っているから……。
―そうでしたね……わかりました。ですが、それだけではお二人は納得されないと思います。泉さんはかがみさんと連絡を取った後、一体どのようなお話をされるのですか?
……言わなきゃ……駄目……かなぁ……。
―はい。
……そっか……、うん、わかった。そうだよね、頼んでいるんだから、何を話すかちゃんと言わないとね。
―では……お聞かせ頂けますか?
うん……、実はね……。



「「駆け落ちぃっっ!!!」」
「……はい、泉さんはそうおっしゃっていました」
流石に、お二人共驚かれていますね……、仕方がありません。私ですら一瞬耳を疑った位ですから。
「で、でもさぁ~、なんでちびっこはいきなり『駆け落ち』なんて言い出したんだ~?」
「私もそう思ったので、即座に理由を聞きました」



―『駆け落ち』を選択すると言うことは、かなりのご覚悟が有ると思われるのですが、その理由は一体何ですが?ご無理で無ければお聞かせ願いたいのですが……。
理由……ね……、『おとーさんとつかさの両親が許せない』って事かな……、それと『私達の覚悟を知ってほしい』ってのも有るから……、その二つだね。



「『許せない』って……ちびっこはそんなに怒っていたのか……」
「『覚悟を知ってほしい』って、一歩間違えば『取り返しのつかない事』も厭わなかったって事……?」

119:ナハト
10/09/30 09:13:11 6wF00cWW0

私は黙って頷いた。
「でも、でもさ~、ちびっこと親父さんはすんげー仲良かったんだろ~、何でそんなに怒るかなぁ~?」
「泉さんは、こうもおっしゃっていました」



私やつかさに対して何らかの罰を下すのなら、まだ許せる。
だけど、かがみを休学させて、みさきちや峰岸さん、それにみゆきさんまで苦しめた。
それだけは、絶対に、許せない。



そこまで話して、私は息を一つつきました。
お二人は涙ぐんでいました、かがみさんが強制的に休学させられてから、お二人はずっと泉さんに冷たく当たっていました。
それなのに、泉さんは『二人を苦しめた事』に対する怒りを露わにしていました。
「ごめんよぉ~……ちびっこぉ~」
「泉ちゃん……今までずっと誤解してた……ごめんなさい……」
お二人は泉さんに対する謝罪の言葉を述べていました……ですが……。
「それは、お二人が直接、泉さんに伝えるのが良いのではありませんか?」
その方が、きちんと気持ちを伝えられますからね……。
「お話の場は、私が設けさせていただきます」
「そんな……悪いわよ。自分達がしてきた事だもの、自分達できちんとけじめをつけなくちゃ」
「いえ……泉さんにこう言われているので」



みゆきさん、もし二人のオッケーがもらえたら、みゆきさんの家で作戦会議を開きたいんだ。良いかな?
―ええ、構いませんよ。
ありがとう。あ、でもね、もしどちらかがノーって言ったら、この計画は全て無かったことにするからね。
―何故、ですか?
ん……、私はね、出来ればこの計画は『おとーさんとつかさの両親』以外全員の賛成がほしいんだ。
でも、実際にはそんなこと無理だから、せめて『かがみ、みゆきさん、みさきち、峰岸さん、いのりさん、まつりさん』
そしてもちろん『つかさ』
この人達だけでも賛成してくれたら、私は計画を実行しようと思う。
―裏を返せば、一人でも反対する人がいたら……。



「この計画はパーって事か、流石ちびっこらしいと言うか何と言うか……」
「では、お二人はこの計画に、賛成して下さいますか?」
「ええ!」「もっちろん!!」
「……ありがとうございます!!」
私は深く頭を下げ、謝辞を述べました。
泉さん……貴方のお気持ちは、きちんと伝わりましたよ……。
「では、今後の事について……」
私達はお互いの連絡先や住所等を交換して、それぞれの家路につきました。



翌日の放課後。
高良家の門前には、インターホンを押す小さな影が一つあった。
『どちらさまですか~?』
「あ、こんにちは~、泉です~」
『あら~、こなたちゃ~ん、どうぞ~』

いつものように門を開け、玄関に向かう。そしていつものようにノブに手を掛けようとした瞬間!
「ぬぉうっ!!!!!」

120:ナハト
10/09/30 09:14:59 6wF00cWW0
「あ~、ピッタリだったわぁ~」
ほぼ同時に、驚愕した声とのんびりした声が、高良家の玄関に響き渡った。
「び……びっくりしたぁ~、……こ、こんにちは、ゆかりさん……」
「うふふっ、びっくりした顔も可愛いわぁ~。……次はどんな顔を見せて貰えるかなぁ~」
悪戯っ子の様な顔をこなたに近づけながら、そんなことを口走るゆかり。
流石のこなたも動揺を隠せ無いようだ。
「や、ややややぁぁぁぁ、可愛いだなんて、いや、その、あの、えと……」
「オドオドしているこなたちゃんも、かぁ~わいぃ」
ゆかりはこなたのおでこを、指で『ツン』とつついた。こなたは顔だけでなく全身を真っ赤にさせ、俯いて恥ずかしさに耐えていた。
「お母様……それくらいにして頂けませんか?先程からみんなで待っているのですが……」
その声にこなたが顔を上げると、そこには親友であるみゆきの顔があった。
「や……やふぅ~……みゆきさん……」
「あらあら、そういえばそうだったわねぇ~。さ、こなたちゃんどうぞ」
「泉さん、こんにちは。お二人がお待ちですよ」
その言葉に、こなたはやや暗い顔をして俯いた。
「うん……わかった……、お邪魔します……」
みゆきの後について、二人はみゆきの部屋へと向かった。

その後ろ姿を、ゆかりは心配そうな表情で見つめていた。
―こなたちゃん……大丈夫かしら?。



私の部屋へ向かう間、泉さんは一言も口にせず、黙って私の後ろを歩いていました。
過度の緊張、なのでしょうか、いつもより明らかに歩みが遅くなっています。
「泉さん、中でお二人がお待ちです」
私が扉の前でそう言うと、泉さんは一瞬戸惑った顔を見せましたが、すぐに緊張した顔に戻りました。
「……ドアを開いても、構いませんか?」
「うん……、お願い」

「泉さんがいらっしゃいました」
私は扉を開け、努めて平静を装った声を出しました。
「あ……お、おっす……」
「こ……こんに……ちは」
「や、やふぅ~……みさきち……と……峰岸さん」
「……では、泉さん。こちらにお座り下さいませ」
私が促すと、泉さんは表情を全く変えずにクッションの上に座り込みました。
さて……ここからが正念場ですね……。



―カチコチカチコチ……

時計の音だけが、室内に響きます。
泉さんをお部屋に案内してからもう少しで十分が経ちます。
ですが……私達の間には、全く会話が有りません。異様な緊張感の中、三人共俯いたままの姿勢で固まっています。

話し掛けたい、という雰囲気は十分に伝わっているのですけどね……。

『ふぅ』と私は心の中で溜息を一つつきました。
そういえば、泉さんは『真面目な話しをする』ということが物凄く苦手でしたね……。
いつもならば、此処にかがみさんがいらっしゃって、泉さんのフォローをされるのでしょうが……。

では、本日は私がその役を努めさせていただきましょう……。

「泉さん」
静まり返った部屋に、私の声が響きました。
三人が顔を上げて私を見ます。
「……そういえば、泉さんのお飲みものを忘れていましたね。申し訳ありません、今からお持ち致しますね……」

121:ナハト
10/09/30 09:15:37 6wF00cWW0
私は軽く頭を下げ、部屋を出ようと立ち上がりました。

もし、予想が間違っていなければ、ここで……
「み、みゆきさん!の、飲み物は……後で……良いから……そ、そこに……座っていて……貰える……かな」
ふふっ、予想通りです……。
私には『常に周囲を観察してしまう』という悪癖が有ります、これを嫌悪することが度々有るのですが……。今回は役に立ちましたね……。

「あ、あの……」
私が座り直すと、泉さんが口を開きました。そして座ったままクッションから体をずらし、床に頭を押し付けました。
「……みさきち!峰岸さん!みゆきさん!ごめんなさい!!」
泉さんはそのまま言葉を続けます。
「私が、つかさと恋人同士にならなければ、今まで通りかがみと楽しく過ごせていたのに、それを私の我が儘で奪ってしまって……。本当に、ごめんなさい!!!」
お二人は……いえ、私も含めた三人は、何も言えずに泉さんを見つめていました。
峰岸さんと日下部さんは、困惑の表情を浮かべています。
そして……、恐らく私も。

泉さんがお二人に対して謝辞を述べられるのは、泉さんの性格からすれば『当然である』と思っていました。
ですが……何故私にも?これは完全に『予想外』の出来事でした。
私は……泉さんに何かしらの『不安』を与えていたのでしょうか……。

泉さんはそのままの姿勢で「ごめんなさい……ごめんなさい」と、涙声でつぶやいています。
すると、日下部さんと峰岸さんが立ち上がり、泉さんの前に座りました。
「ちびっこ……こっちこそ、ごめん!!」
「泉ちゃん……、私こそ、ごめんなさい!!」
お二人揃って、泉さんと同じ様に頭を床に押し付けました。
「ちびっこは、何も悪くないのに、私は自分勝手な気持ちで冷たく当たってた!」
「私だってそう、何であんな酷いことを言っちゃったんだろう……、本当にごめんなさい!」
お二人共、泣いていました。
「本当は、こんな事を言えるはず無いんだけど……ちびっこ、許してくれ!」
「私も、どんなことだってするから、許して下さい!」
泉さんは静かに顔を上げ、じっと二人を見ました。
「みさきち、峰岸さん、……それは私の台詞だよ……、私こそ、二人に迷惑をかけた事、許して下さい!!」
そして再び頭を下げました。

……又、沈黙が訪れました。
三人共頭を床につけたまま微動だにしません。
「……皆さん、そろそろ宜しいのではないのですか?」
私がそう言うと、三人は顔を上げました。
「『許す』とか『許さない』のではなく、泉さんも峰岸さんも日下部さんも、お互いに『謝った』……それだけで充分では有りませんか?」
そう声をかけても、三人は納得していない様子です。

困りましたね……では、先程の様に……。
「こなたも、日下部も、峰岸も、みんな謝ったんだから、これでこの話しは終わりにしなさいよ!」
「「「!!!」」」
ふふふっ、結構、似ていましたか?

「み、みゆきさん……。んもぉ~、なんでかがみの真似なんかするかなぁ~」
「ビックリしたぁ~、柊がいるのかと思っちまった……」
「た、高良ちゃん……今のって、やっぱり……柊ちゃんだったの……?」
流石に三人共驚かれたようですね……ふふっ。
「そうですよ……自信は……結構有ったんですけれど、……似ていましたか?」
その問いに、三人共無言で首を縦に何度も振りました。
「いやぁ~、ホントに柊そっくりだったよ~」
「高良ちゃんって、そんな特技が有ったのね……なんか以外だなぁ~」
「いやぁ~、私も長いことみゆきさんを見ているけれど、こんなみゆきさんは初めて見たよ~」
そう言った皆さんの顔に、笑顔が戻りました。
良かった……これで本題に移ることが出来そうです。
「ん、でも、本当にごめんな、ちびっこ」

122:ナハト
10/09/30 09:16:12 6wF00cWW0
「良いって~、こっちこそ、ごめんね」
「良いのよ……泉ちゃん。私達、この間高良さんから聞いて、その時からずっと、泉ちゃんに悪いと思っていたんだから……」
そう言い合って、三人でクスクスと笑い出しました。
「……さて、皆さん。そろそろ本題に移りましょうか。」
その瞬間、先程とは違う緊張感が漂いました。
「で……、あたしらは何をどうすれば良いんだ?」
「『柊ちゃんと連絡を取る』だけなら、明日出来るけれど……」
「……確か、つかさとかがみには二人が定期的にプリントを届けているんだよね」
「ええ、そうだけど……」
学校の方針で、休学している生徒には可能な限り、授業内容をプリントにして渡すという制度があります。
どのような理由付けで申請しているのか解りませんが、お二人は現在『休学』という扱いになっています。
「今、二人はどんな状態なの?常に親が見張っているの?」
「ん~、妹に関してはそんな感じだなぁ~。柊はそうでもないけど」
「おばさんとお姉さん二人が、ローテーションで見ている感じよ。携帯の番号も変えられたって言ってたわ」
「あと、妹は部屋を変えられて……ってゆーか、昼間はその日の担当と一緒に居間で、夜は両親と同じ部屋で寝ているって言ってたな~」
……つかささん、随分と制限を受けられているのですね……。
「そっか……、つかさは私のせいで、随分と酷い目に会わされているんだ……」
泉さんの顔色が変わりました。
私にも、良く解ります。いくら『泉さんと引き離す為』とは言え、これはやり過ぎです。

「じゃぁさ……、明日、かがみにこの手紙を渡してくれないかな?」
そう言って、一通の手紙を取り出しました。
「これを渡せば良いのね?」
泉さんは静かに頷きます。
「一体、なんて書いてあるんだ?」
日下部さんの問いに、泉さんは静かに答えました。
「みさきち、ごめん……それは、言えないんだ」
「えー、なんでだよぉ~」
「二人を信用していない訳じゃ無いんだよ」
「じゃぁ、どうして?」
「この中に書いてある事……それをかがみが実行してくれるかどうかが肝心なんだ」
「では……、かがみさんが実行して、それを確認出来たら……」
泉さんは私達を真っ直ぐに見つめて言いました。
「うん、その時には、ちゃんと話すよ。約束する」
「そうですか……わかりました。ではその時に、お願い致します」
「ちゃんと教えてくれよな、ちびっこ」
「泉さん、お願いね……」
「うん……それじゃぁ……『指切り』しよ!」
そう言うと、泉さんは私達の目の前で小指を立てました。
「『指切り』……ですか?」
「そう、だって『約束』って言ったら、これでしょ~」
「ははは、ちびっこっぽいや~」
日下部さんが指を絡めます。
「そういえば、定番よね~」
峰岸さんも指を絡めました。
「うふふ、嘘をついたら『針千本』ですよ、泉さん」
四人の小指が絡まりました。
「「「「ゆーびきーりげーんまーん、うーそつーいたーらはーりせーんぼーんのぉーます!」」」」

みんなで顔を見合わせて……。

「「「「ゆーびきったっっっっ!!!!!」」」」


Section2 「拾われた苗木」 End

123:ナハト
10/09/30 09:19:31 6wF00cWW0
以上です
あぅ……一つ間違い見つけてもーた

>>119の1行目なんですが

× 私は黙って頷いた。
○ 私は黙って頷きました。

です~。……チェックしたつもりなんだけどなぁ……

ではでは、来週の木曜日に~  ノシ

124:1-724
10/09/30 23:22:34 RhP+652F0
ここまでを保管しました

保管庫(非常時には避難連絡所になりますのでスレ住民はURL保存推奨)
URLリンク(www8.atwiki.jp)
保管庫避難連絡ページ
URLリンク(www8.atwiki.jp)

125:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/01 19:18:33 sSfTXlqIO
>>124
保管乙です!
おまけに修正までしていただいて……
感謝、感謝です _(._.)_

126:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/02 13:01:43 9SvyNuDrO


127:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/03 00:55:51 nbbTwDTz0
つかさの「ひゃん」は想像できるが
こなたの「ひゃん」は想像できない

128:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/03 21:33:06 +iqQXzG50
>>123
交際認めない事自体は、同性愛の茨の道に進ませたくない
親心もあるだろうし分かるけど
3年の大事な時期に学校に行かせないで軟禁はさすがにやばいな。
このスレでは新鮮な内容のSSでけに目が離せん。

129:ナハト
10/10/04 18:56:23 glb27SIbO
フライパンでにホットケーキを焼いているつかさ
そのすぐ後ろにはこなたがお皿を持って何かを待ち構えている。
「こなちゃん!いくよ!」
「オッケー!!」
フライパンを両手でしっかり持ち、中腰になるつかさ。
「せーの!ほっ!!!」
反動をつけて振り上げたフライパンから、ホットケーキがクルクルと回転しながら後ろへと舞い上がる。
こなたはそれを見ながら慌てて落下点へとお皿を滑り込ませた。
「うわうわうわうわ!シュッっと……」
「こなちゃん!やったね!!」
「ふふーん。私の運動神経をナメちゃいけませんぜ」
こなたが持つお皿には美味しそうに焼けたホットケーキが鎮座していた。
「さ、食べようか」
「うん!」


保守ついでに一ネタ

130:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/05 12:35:56 bX8aNN3FO


131:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/05 21:47:32 Zuxvb5rh0
つかさの点心爛漫な中華

132:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/06 14:17:20 MylZ6iQSO


133:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/06 21:05:06 v9WyaWLl0
嘘もつかさが云えば他愛ない内容だから可愛い

134:ナハト
10/10/07 23:11:10 gSc+PdAD0
それでは本日も投下致します
タイトルは

dear -Section3 「鉢に植えられた苗木」

です

今回も本文5レス使いまする~

135:ナハト
10/10/07 23:11:32 gSc+PdAD0
ピーンポーン
……日下部達、来たわね。

『こんにちは……』
『二人共、いらっしゃ~い』
『まつりさん、妹、こんちは~』
『まつりさん、妹ちゃん、お邪魔します』

あらっ?今日の担当はいのり姉さんじゃなかったっけ?
『あれっ?ローテーションだと今日はいのりさんですよね?』
『あ~うん、そうなんだけどさ~、何か急に決まった会議に出なきゃいけないんだって~』
『そうなんですか~、大変ですね~』

ふ~ん、そうなんだ~。
ま、私達にしてみれば『好都合』だけどね。

『あ、おじさんこんにちは~』
『お邪魔しています~』
『やぁ、いらっしゃい。『勉強会』かい?かがみも部屋で待っているよ』

……やっぱり父さんは家に居るのか……。

dear -Section3 「鉢に植えられた苗木」

トントン
『かがみ~、開けるよ~』
「はーい、どうぞー」

「おーっす、日下部に峰岸」
「ちゃーっす、柊~」
「こんにちは、柊ちゃん」
「お姉ちゃん……お邪魔します……」

……今日はまつり姉さんと一緒だから、昨日よりは元気そうね……。

部屋の定位置(私は机、つかさ&峰岸&日下部はテーブル、姉さんはベッド)に皆が座った所で、いつもの『勉強会』が始まった。

「はい、峰岸」
私は前回のプリントを渡した。
「ありがとう、じゃぁこれが次の」
新しいプリントを受け取る。
「今回は丁寧に書いておいたぜ~、柊~」
日下部がノートを差し出す。
「サンキュー、日下部。」
それを受け取り、自分のノートに書き写す。
「妹ちゃん、はいどうぞ」
「峰岸さん……ありがとうございます」
つかさは峰岸からノートを受け取り、自分のそれに書き写す。

そう、これは決して『勉強会』などではなく、その名を借りただけの『受け渡し&書き写し』である……。



あの日、つかさが父さんに『休学』を命じられた日、つかさは泣いていた。
それを見た私は、翌日学校でこなたにその事を話した。
それを聞いたこなたは、つかさを慰めようとして、私に手紙を託した。
それを私は、密かにつかさに渡した。
つかさは、それを読んでとても嬉しそうで……でも哀しそうで……複雑な表情を浮かべていた。
私は……そんなつかさを……黙って……静かに見つめていた。

136:ナハト
10/10/07 23:11:59 gSc+PdAD0

―良かった……。

そう、思っていた。

でも、そう上手くはいかなかった。
安心していたから、気付くのに遅れてしまった。
気がついたら、母さんがつかさから手紙を奪い、父さんがそれを破いて捨てていた。
そして……私の右頬に鋭い痛みが走った。
「あんな女との連絡係を務めるとは!!お前にも罰を与える!!暫く『休学』だ!!!」



……その事件があった日から、つかさには常に『介助』が就くようになった。
確かに、情緒不安定になったりするからあながち間違いではない。
だけど、どうみても

『監視』

だ。

ちなみに、『監視』の厳しさは母さんが一番で、次いでいのり姉さん、まつり姉さんの順に緩くなっていく。
元々まつり姉さんは二人の事を認めていたし、応援もしていた。
それに例の一件は姉さんの部屋の前で起こったため、その後こっそりと私達に「立場上、辛く当たる事になるけど、私は三人の味方だよ」と言ってくれた。
だから、父さんが居ない時の『勉強会』は結構楽しみだったりする。
……でも、残念ながら今日は『在宅』なんだよね……。

『監視』といえば、つかさ程では無いけれど、私にも『手伝い』という名目で、外出時には両親の二人もしくはどちらかが一緒に行く事になった。
母さんと一緒の時は、学校の話題以外で多少なりとも会話が弾むので、ある程度気が晴れる。

でも、父さんは別だ。

毎回必ず
「お前が『休学』しているのは、あの女が悪いからなんだぞ」
「あの女がつかさをたぶらかさなければ、こんな事にはならなかった」
「父さんは、二人の為を思ってこの措置を取ったんだ」
「『復学』しても、あの女とは二度と会うな」
と言ってくる。
明らかに『こなたに対する嫌悪感』を植え付ける為の『会話』。
立場上「解った」とは答えるが、常に『はらわたが煮え繰り返る』状態だ。

だから、私は『決心』した。

―二人が幸せになるのなら、私が出来る事は何でもする。例え、それが『自らの崩壊』を招いても―



部屋の中で、ペンを走らせる音だけが響く。
空気がとても重い。
窓から、爽やかな風が流れ込んで来る。
だがしかし、それを以ってしてもこの空気を軽くすることは出来なかった。
……あぁ、もう!
思わず叫びそうになるのを、何とか抑えた。
もし、今大声を上げたら、即座に父さんがやって来る。
そして、現在の状況を更に悪化させる。
それだけは、避けなくてはならない。
空気が重い、静かすぎる、叫びたい、叫べない……。
貯まってゆくフラストレーション。
この精神状態は、持っても後数分だろう。

137:ナハト
10/10/07 23:12:23 gSc+PdAD0

「まつりお姉ちゃん」
不意につかさが口を開いた。
「な~に?つかさ」
「トイレ……行きたい」
「そっか、んじゃ、行こうか」
そう言って、つかさを連れて部屋を出た。

再び静まり返る室内。
私は書き写しを再開し……ようとしたら、突然目の前に紙が置かれた。

[黙って、じっとしていて]

その紙にはこんな文章が印刷されていた。
横を見上げると、いつの間にか峰岸が立っていた。
よく見ると、まだ数枚の紙を手に持っている。

[絶対に声を出しちゃダメよ]

先程の紙を仕舞い、新しい紙を置いた。
何をするんだろう……?取り敢えず、頷いておく。

[泉ちゃんから、手紙を預かっているの]

「!!」
私は慌てて口を両手で塞いだ。
手紙?預かる?でも二人は私の事で、こなたと仲違いしていたはず……、それもかなり険悪な状態だったはずだ。
それなのに、どうして?
混乱している私の目の前に、一通の封筒が置かれた。
飾り気も何も無い、真っ白な封筒だ。

[この中に入っているから、私達が帰って一人になったら読んで]

その紙を見て、思わず峰岸に問いただそうとした。

何で?
今見たらいけないの?
どうして私への手紙なの?
いつ預かったの?
何が書いて有るの?

でも、峰岸は済まなそうな顔をして、余白にこう書いた。
[ごめんね柊ちゃん]

[何て書いてあるのかは知らされていないの]

あ……そっか……、知っている訳無いよね……。
こなたの事だから、みゆき経由で峰岸に頼み込んで、これを届けてもらったのだろう。
……あれ?
一つの疑問が、私の中に浮かんできた。
もしそうならば、この『手紙』の事を日下部が知らないはずが無い。
じゃぁ、何でこの『手紙』は無事なの?

今回の『事件』の後、最初に『勉強会』をした時。
原因となった人物であるこなたに、日下部は激しい怒りの感情を顕わにしていた。
あの時の感情を思い返すと、これがここに有るなんて事は、決して有り得ない。

私が難しい顔をして手紙を見つめていると、それを見た峰岸が首を傾げたので、今度は私が書き込んだ。

138:ナハト
10/10/07 23:12:50 gSc+PdAD0

[二人共 こなたと ケンカ してなかったっけ ?]

すると、峰岸は微笑みながら紙を取り出し目の前に置いた。
そこには、

[私も、みさちゃんも、泉ちゃんと、ちゃぁ~んと仲直りしたよ!!]

と書いてあった。

……峰岸……と、日下部……が、こなた……と、仲……直り、した?
思わず紙を手に取り、峰岸に向かってその部分を指で指した。「ほんとに?」と
声を出さずに尋ねると、微笑みながら頷いた。
振り返って日下部にも同様に聞いてみた、すると満面の笑みで左手の親指をグッと起てた。

ホントに……本当に……仲直り……できた……んだ……。
目頭が熱くなる。
視界が歪む。
泣いてはいけない。
泣いて……は、いけ……ない……の……に……。

「我慢しなくて良いんだよ、柊ちゃんは悪くないんだから」

耳……もとで……そんな……こ……ヒック……こと……ささや……ヒック……くなん……てっ……ヒック……は……グスッ……はん……そ……ヒック……く……グスッ……よっ……ウウッ。

「今はさ、この部屋にあたしらしか居ないんだから、好きなだけ泣いておきな」

ヒック……あ……ヒック……あた……ま……グスッ……なで……ヒック……る……な……グスッ……なん……て……ヒック……よけ……よけい……グスッ……なみ……だが……ヒック……と……グスッ……とまら……ない……ウウッ……じゃ……グスッ……ない……のっ……ヒック



「落ち着いた?」
峰岸が聞いてきた。
「ん……」
私は静かに頷く。
時間にしたら一分程度だろうか、峰岸に頭を抱えられた私は、何とか平常心を取り戻した。
本当は、大声を上げて泣きたかったけれど、それをすると確実に父さんが来るから、それだけは何とか耐えた。
「二人共……ごめんね……ありがとう」
「別に構わないって、柊だって辛いんだしさ」
「みさちゃんの言う通りよ。それに、私達の仲じゃない」

うぅっ……そ……そんな……こと……いわれ……たら……って、ダメダメダメダメ!!!
ここは耐えろ、耐えるんだ、私。

「ただいま~……おっ?何かあったの?」
姉さんとつかさが戻ってきた。
「ん?特に何もないけど」
良かった……二人が戻ってくる前に落ち着いて……。
「そっか、んじゃまぁいいや。……所でかがみ~、そろそろ終わりそう?」
「あ、ちょっと待って、あとページ半分だから」
そういや、そろそろ二人が帰る時間だわ、急いで写さないと……。



「日下部、峰岸、今日もありがと。じゃ、また明後日よろしくね」
「んじゃ、柊~、また明後日なぁ~」
「柊ちゃん、またね」
そう言って、二人は部屋を出て行った。
つかさとまつり姉さんが追いかける。

139:ナハト
10/10/07 23:13:30 gSc+PdAD0

『おや、もう帰るのかい?』
『はい、おじさん。お邪魔しました~』
『それでは、失礼します』
『お二人共……今日も……ありがとうございました』
『みさおちゃん、あやのちゃん、またね~』

扉の閉まる音が聞こえる。
親が居る時、私には見送る『権利』が無い。
……別に、それくらいは良いじゃない……。
これも『こなたに対する嫌悪感』を植え付ける為なんだろう。

―でもね、父さん、母さん。
あなたたちは、本当に『娘達』の事を理解しているの?
少なくとも、私とまつり姉さんはその『計略』全てを『お見通し』なんだよ―



「じゃぁ、まつり姉さん。ノート渡しておくから、つかさの事よろしくね」
そう言って、姉さんに私が書き写したノートを渡した。
「ん、頑張ってみる。無理だったら……今日はアンタに手助けしてもらえないか……」
私は「父さんが居るからね」の一言を飲み込んで、小さく「ごめんね」と言った。
「別に、アンタが気にする事じゃ無いって。それに、ほら、あたしも少しはつかさに『姉』っぽい所を見せないとね~」
姉さんは「じゃ~ね~」と手を振って部屋を出た。

扉が閉まるのを見送って、ベッドに倒れ込んだ。

……ウッ……グスッ……
顔を枕に埋めて、声を押し殺して泣いた。
ここ最近は何時もそうだ。
二人が帰って、つかさと引き離されて、一人になって、寂しさが一気に込み上げて来る。

……ウウッ……グスッ……エグゥ……
何で、私は独りにされなきゃならないの?
『監視』が居れば、つかさと一緒に居たって良いじゃない?

……ヒグゥ……グスッ……エグッ……
私が何をしたって言うの?
つかさとこなたが付き合うのは、そんなにも『人の道を外れた』事なの?

……グスッ……ウウッ……ヒック……
わからない……わからないよ……。
なんでなのか、ぜんぜんわからないよ……。

……グスッ……ウウゥッ……エグッ……ウウッ……ヒック……ウグッ……
だれか……おしえて……よ……



Section3 「鉢に植えられた苗木」 End

140:ナハト
10/10/07 23:28:04 gSc+PdAD0
以上です

ではまた来週木曜日に


……そろそろタイトルのネタが尽きそうなんですけどねw


追記:
現在書き終えているのがSection8迄です。
……一応10~11で終わる予定です。

一応ですけどw

141:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/08 03:33:05 9+6kDrDl0
747捕手

142:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/08 16:06:36 GltSYl4H0
乙!
ヒヤヒヤしながら待ってるぜ

143:1-724
10/10/09 01:24:04 rK0ctm5I0
ここまでのSSとミニネタを保管しました

保管庫(非常時には避難連絡所になりますのでスレ住民はURL保存推奨)
URLリンク(www8.atwiki.jp)
保管庫避難連絡ページ
URLリンク(www8.atwiki.jp)

144:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/10 05:09:02 KNmJOn0cO
☆ゅ

145:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/11 20:02:09 nP9ZIrroO
ほらきたよ
しもやけおててに
ゆきんこが

読み人:つかさ

146:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/13 07:04:39 56Lz5qhRO
うにょん

147:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/14 05:05:04 KAgNRIND0
☆ゅ

148:ナハト
10/10/14 23:56:10 bWAL2xur0
仕事が長引いたために滑り込みセーフで何とか木曜日に投下w

タイトルは

dear -Section4 「水を与えられる苗木」

です

今回は本文7レスほど使いますね~


149:ナハト
10/10/14 23:56:37 bWAL2xur0
『……み』
『ほ……お……さい』
どこからか、声がする。
『……ん、でき……よ!』
ん~、疲れているんだから、寝かせてよぉ~。
「おらぁぁっっ!!さっさとおきろぉぉぉぉっっ!!!!」
「ぬおぅわぁぁぁ!!!」
驚いてベッドから跳び起きると、目の前にまつり姉さんの顔が有った。
「あ、ね、姉さん、おはよう」
「……どうみても、今は夜だと思うんだけど……。ま、いいや。ご飯食べて無いの、アンタだけだよ、早く来な」
えっ?もうそんな時間?
目覚まし時計を見ると、午後八時を僅かに過ぎた所。
……って事は、三時間近く寝ちゃっていたんだ。
あや~、久々にやっちゃったなぁ~。

dear -Section4 「水を与えられる苗木」

「ほら、さっさと顔を洗って来なさい」
「はぁ~い」
電気が灯っていないから気付かれなかったけれど、今の私はかなり酷い顔をしているはずだ。
何時もなら、こんな時間まで寝たりしないのに……。
はぁ……、さっきのが原因だよねぇ……やっぱり……。



「母さん、お帰りなさ~い」
「かがみちゃん……その挨拶はもう少し早く言ってほしかったわ」
食卓を見ると、私の晩御飯だけが残っていた。
父さんはお風呂に入っているらしく、居間ではまつり姉さんがつかさの相手をしている。
「いやぁ~、何か急に疲れが出ちゃったみたいでさ~、まつり姉さんに起こされるまで、全然気がつかなかったのよ~」
「全く、しょうがないわねぇ……。あんまり根を詰めないで適度に力を抜きなさい」
「!!」
後ろからいきなり声をかけられ、振り向くといのり姉さんが居た。
「あ……、姉さんお帰りなさい。うん、なるべく無理しないようにするわ……」
「そうそう、いのり、今日買い物行ったらね……」
私はお母さんといのり姉さんの話を聞きながら、晩御飯を食べた。

この二人は、私が父から受けた『罰』に対して、否定的な考えを持っている。
なので、父さんが一緒に居ない時は『学校に関する事以外』ではあるけれど、色々な話をしてくれる。
だから、私にとってこの時間が家庭内で唯一の『癒し』の時間になる。
……母さん、いのり姉さん、いつもありがとう……



普段よりは少し遅くに入ったお風呂から出て、今私は自分の部屋に居る。
ここからが、本当の『一人の時間』だ。

はぁ……何だか今日は疲れたな……。
折角の『一人の時間』だけど……今日は早寝しておくか……。
あれ?何だか忘れているような……あ、手紙……

先程渡された封筒から手紙を出し、内容に目を走らせる……。

えええぇぇぇぇっっっっ!!!

叫びそうになる口を、慌てて両手で塞いだ。

150:ナハト
10/10/14 23:57:02 bWAL2xur0

……これって……、えと……、どうしよう……。
確か明日は……母さんと父さんはつかさと一緒に、午後から氏子さんの所へ出掛ける予定よね……。
いのり姉さんは……今日出社させられたから、休みだってさっき言っていた……。
まつり姉さんは……夕方から飲み会に行くって言ってた……かな?
じゃ、じゃぁ、明日の午後、つかさ達が出た後に話しをすれば良いわね……。
う~ん……、なるべくなら早めに話をしたいけど、どうあがいてもそれが一番早いか……。
でも……どうやって切り出そう……。

どう頑張っても考えが上手く纏まらないから、机に手紙を仕舞って私は寝る事にした。

『決戦は金曜日』……ならぬ『木曜日』ね……。
……神様、どうか作戦が……上手く……いきます……ように……おね……がい……しま……す……



「父さん、母さん、つかさ、おはよう~」
「かがみ、おはよう」
「かがみちゃん、おはよう、良く眠れた?」
「お姉ちゃん……おはよう……」
「うん、母さん。夢見る間もなく朝だったわ~」
「へぇ~お姉ちゃん熟睡だったん」
「ゴホン!ゴホン!……かがみ、今日父さん達とつかさは午後に出掛けるから、勉強をしっかりやっておきなさい」
「……はい、父さん」

つかさと私の間で許される会話は『挨拶と事務的連絡』のみである。
まぁ……実際には『父の前限定』なんだけどね。
だからさっきみたいに、うっかり話しをすると即座に割り込まれ、中断させられる。

あ……なんか……心の中がイヤな感じ……さっさとご飯食べて午後に備えておくか……。



『じゃぁ行ってくるから、二人共かがみの事頼んだよ。』『は~い、りょーかい』
『父さん達も気をつけてね』

行った……か……

朝食を食べた後、午前中は自分の部屋で勉強をし、昼食の後も勉強……の振りをして『その時』を待っていた。

……出掛けてから十五分……そろそろ大丈夫かな……

わたしは、ノートの間に『手紙』を忍ばせ、姉さん達が待つ居間へと向かった。

「姉さん達、今日もお願いね」
「おっけーだよー」
「……」
「どうしたの?いのり姉さん」
「ん……、何時も思うんだけどね、まつり。私達ってかがみの『勉強の手伝い』に必要なのかしら?」
「姉さん……それは言わない約束だよ~」
「ま、まぁ、取り敢えず私勉強するから、一応見ててよ」そう言って、道具一式を座卓に広げ勉強を始めた。

「……かがみぃ~、なんかアタシらに話したい事あるんじゃない?」
「へっ?な、何の事?まつり姉さん」
「隠したって駄目だよ、あんた昨日アタシが呼びに行った時泣いてたでしょ?『勉強会』の時もそうだったし」
……ヤバ、ばれてる……

151:ナハト
10/10/14 23:57:28 bWAL2xur0
「そうなの?かがみ。何かあったの?」
「い、いや~、た、たいしたことないって~」
「かがみ、その態度でバレバレなんだけど」
……何時もと違って、まつり姉さん鋭いなぁ……。仕方ない、そろそろ切り出すか……
「あ、あのさ、姉さん達……これから話すこと、今いない『三人』には黙っていて……もらえる……かな……」
「アタシは別に構わないけど」
「私は……『内容』によるわね」
……そうだよね……普通はそう言うよね……
「でもそれって暗に『取り敢えず黙っておく』って答えているんじゃないの?姉さん」
「……だって、一応『監視役』なんだから……そう答えるしか無いじゃないの……まつり……」
あ、そうか……姉さん達も自分が『監視役』だって事わかっているんだ……って当たり前か……。
「ごめんね、ありがとう、いのり姉さん」
「んじゃ、その『話し』とやらは何なの?」
まつり姉さんに促されて、例の『手紙』を差し出した。

「これって……何時、誰から貰ったの?」
「昨日、姉さんとつかさがトイレに行った時、峰岸から」
「峰岸さんから……?それにしては余りにも素っ気ない封筒だけど……」
「取り敢えず、中身を見てみようよ、姉さん」

まつり姉さんが中から『手紙』を取り出して読み始めた……。

「なぁぁぁっっっ!!!」
「ど、どうしたの、まつり」
「どうもこうも……、姉さん見てよ」
「一体何なの……?あら、これって……こなたちゃんから?」
「……うん、そう……」
「姉さん、先を読んで」
「はいはい……、へっ?ええぇぇぇぇっっっ!!!!」
流石に二人共驚いたみたいだ。
まぁ、しょうがないよね、だってこんな事が書いて有るんだもん。



親愛なるかがみへ

この手紙をかがみが受け取っているって事は、私が峰岸さん&みさきちと仲直り出来たって事だね。
本当なら、ちゃんと会って話さなきゃいけないんだけど、それは無理だってわかっているから、手紙で伝えます。

今回の事で、かがみやつかさ、みゆきさんに峰岸とみさきち、色んな人に迷惑かけちゃったね。

ホント、ごめんなさい。

特にかがみにはいくら謝っても足りないくらい。
かがみのは完全にとばっちりだもんね・・・。

重ね重ね、ごめんなさい。

さて、本題に入るけど、今回わざわざこれを書いたのはちゃんと理由があるんだ。
率直に書くと

つかさと駆け落ちしたい

無茶な事を書いているのは承知しているよ。
でも、今回の事を解決するのに出来る限りの事を考えたら、これしか残らなかった。

152:ナハト
10/10/14 23:57:55 bWAL2xur0

そこで、かがみにお願いなんだけど、出来たらでいいんだけど、この計画を認めてほしいんだ。

残酷なお願いをしているのはわかってる。
でも、かがみには認めてもらいたいんだ。
いや、かがみだけじゃない、いのりさんにも、まつりさんにも認めてもらいたい。

でも、強制はしないよ、だって、かがみやお姉さん達の事を私が決めるわけにはいかないからね。

だから、もし、本当に、三人がこれを認めてくれるのなら、もう一枚の紙に書き込んで下さい。
その紙は、次の勉強会の時にこの手紙ごと峰岸さんに渡してください。

どちらを選んでも、文句を言ったりしないから、安心して。

それじゃ、またね。

泉こなた



「……で、二枚目には何て書いてあったの?」
「ここに入って無いってことは、かがみが持っているのかしら?」
私は無言で頷いて、二人の前に差し出した。
「こ、これって……」
まつり姉さんが目を見張った。
当然だろう、だってそこには……



「誓約書」

私は、柊つかさと泉こなたが駆け落ちする事を認めると共に、部外者へ口外しないことを誓います。



その下には記名欄が三つ並んでいた。
そして、既に私は記名を終えている。

「……で、どうする、姉さん。アタシは……書くよ」
「ちょっとまつり!」
「姉さんが何を言おうと関係ない。もとよりアタシは今回の事で父さん達に目茶苦茶腹立ててるんだ」
「まつり、良く考えて!つかさよ!?駆け落ちよ!?」
大声をあげるいのり姉さんに、まつり姉さんはゆっくりと静かに言った。

「だから、書くの」

まつり姉さんはそのまま話しを続けた。
「姉さん……つかさは今、幸せなのかな……」
「アタシはね、父さんが言っていた『結婚』や『出産』だけが女の『幸せ』って意味が良くわからないんだよ」
「ゼミの先生は、五十歳を過ぎているけど独身生活を満喫している」
「サークルのOGは、女の子二人だけど同棲生活している」
「……アタシの後輩は……病気で卵巣を全摘出している」
「だけどね、姉さん」
「みんな、とっても『幸せ』って顔をしているんだよ」
「そりゃ、今までに『辛い』って思った事はあるだろうし、今でもたまにそんな雰囲気を見せる事もあるよ」
「でもね、みんなそれを補ってなお余る位の『幸せ』を見せてくれるんだよ」

153:ナハト
10/10/14 23:58:13 bWAL2xur0
「ねぇ、姉さん」
「本当に『結婚』や『出産』だけが女の『幸せ』なのかな?」
「つかさにとって、本当の『幸せ』は、そこには無いと私は思うんだ」
「だから」
「私は、つかさに見つけて貰いたいんだ」
「自分だけの」
「本当の『幸せ』を」

……何も言えなかった、まさかまつり姉さんがそこまで考えているとは思ってもいなかった。
「かがみ……、ほら、ちゃんと拭きな」
まつり姉さんにハンドタオルを渡されて気がついた、悲しい訳ではないのに私は涙を流していた。
「……ま、そういった理由で、私は此処に名前を書く。姉さんは、自分の好きにすれば良いと思うよ」
「……」

まつり姉さんはいのり姉さんの前で名前を書き込んだ、ついでに『私は応援するよ!』のメッセージも添えていた。
「ねぇ、かがみ」
不意にいのり姉さんが声をかけてきた。
「こなたちゃんの性格を考えると……私の名前が無かったら……」
「計画を中止すると思うわ、確実に」
すると、いのり姉さんは口許に笑みを浮かべてこう言った。

「じゃぁ、仕方が無いわねぇ」

紙を手元に引き寄せる

「私一人のわがままで『可愛い』妹達とその友人を悲しませるなんて」

ペンを手に取る

「そんな趣味は無いからね~」

『柊いのり』
と書き込ん……だ。

……も、もう……限界……涙……ヒック……がま……ん……ヒック……で……き……
「かがみ」
……柔ら……グスッ……かい……いのり……姉さん……ヒック……私の……あた……ヒック……ま……グスッ……だっ……ウゥッ……こ……し……ヒック……
「心配だったのね……。大丈夫、私もまつりと一緒で、今回の事は腹にすえかねているからね……」
……グスッ……あり……がと……エグッ……ねえ……さ……グズッ……
「安心しなさい、私も『みんな』の見方よ」
ウッ……ウワァァァ……
「辛かったよね、苦しかったよね……でも、それも今日でおしまい」
ウウッ……エグゥ……
「そうだよ、アタシも、姉さんも、かがみの力になるからね。父さん達がいない時は何時でも甘えな~」
ウグゥ……ヒック……エグッ……ウゥッ……ヒック……
「わた……グズッ……わたし……こわ……ウウッ……かっ……エグッ……」
「今は何も言わないで、泣いていなさい……」
「そうだよ、これから暫く泣くヒマないんだからね……」
ヒック……ウウッ……グズッ……



いのり姉さんに抱きしめられ、まつり姉さんに背中を撫でられ、私は段々と気持ちを落ち着かせていった。

「……ありがと、もう大丈夫だよ……」
「そう?私としてはもう少し妹の成長を確かめたいんだけど」

154:ナハト
10/10/14 23:59:00 bWAL2xur0
「んなっ!!な、なにを、いわれ、る、の、ですか?」
「いのり姉さんいいなぁ~、私も抱きしめたかったなぁ~」
「ま、まつり姉さんまで……やめてよ……ハズカシイ……」
私は顔を真っ赤にして言った。
「ま、それは冗談として……」
いのり姉さんはそう言って体を離した。
……冗談だったんですか、いのり姉さん。
「次の『指令』が届くのは……来週の月曜日……かな?」
「多分……そうだと思う。明日これを渡すから……」
『勉強会』のスケジュールは月水金の週三日。
今日は木曜日だから、必然的にそうなるよね。
「それじゃ……まつり、かがみ」
急に姉さんが真剣な表情に変わった。

「手紙に書いてある通り『他言無用絶対遵守』だからね、わかった?」

へっ?
あ、あの~。
「いのり姉さん……それ……私の台詞……」
「ん?良いじゃない、これくらい」
いや、そう言われても……。
「それに私達、勉強では姉らしい事出来ないんだから、こんな時位はその役をやらせてよ」
「姉さん、私『達』って……何気にアタシまで含めてない……?」
「あら、違うのかしら?」
「いや、違わないけどさ……」
「なら、問題無いでしょ」
「んと、その、何と言うか、釈然としない感じがするんだけど……」
「……そっか、まつりは今の台詞を言いたかったのね~」
「はえっ?別にそんなこと思っていないし、ってゆーか、さっきの会話にそんな要素は無かったはずなんだけど」
「だって、私『達』ってまつりが言ったから……」
「姉さん……アタシが突っ込んだところはそこじゃ無いから……」

……ウッ……ププッ……
「どうした、かがみ。また泣いているの?」
……ウウッ……ククッ……
「かがみ、大丈夫?まだ辛い?」
……だ……だめ……ククッ……
「ァハッ……アハハハハハハハ……」
「!?」
「ごめっ……ごめん……クスッ……だって……姉さん……達の……アハッ……掛け合い……見てたら……フフッ……わ……わらいが……ククッ……こらえられ……なくって……アハハハ……」



ハァ……ハァ……あぁ~、苦しかった~。
「かがみ」
ちょ……ちょっと……まって……いのり……ねえさん……
「元気出た?」
そう言われて、思わずハッとなった。
「……やっと……笑ってくれたね」
まつり姉さん……
「……うん……ありがと……いのり姉さん、まつり姉さん」
「ま、アタシらが出来るのはアンタを元気付ける事位だからね~」
「かがみ、これからは私達も『味方』なんだから、どんどん頼って、一人で抱え込まないようにしてね」

……何も言えなかった。
そして、私は今まで全く気付いていなかった。

155:ナハト
10/10/15 00:03:17 FNdmX2o90
こんなにも近くに『最も頼れる存在』が居たという事に。

……ウウッ……
「ほら、泣きたかったら無理しない、アンタの傍にはアタシが姉さんが必ず居るから」
「わたっ……グズッ……わたし……ごめっ……ヒック……ごめん……な……エグッ……ね……ねえさ……ウゥッ……」
「何も、言わない……。何も、言わなくて、良いんだよ……」

なんで気づかなかったんだろう。
生まれた時から、二人の姉はずっと身近に居たのに。
なんで甘えることを拒否していたんだろう。
二人はこんなにも私を甘やかしてくれるのに。
つかさが居たから?
自分の事は自分で何とかするという無意味な『枷』を自ら付けていたから?

……ぜんぶ……じぶんの……『わがまま』……じゃ……ない……の……



「かがみ」
まつり姉さんが優しく声をかけてくれた。
「ん……あれ?」
気付くと、私は自分のベットに寝ていた。
「大丈夫?」
「あ……うん……なんで……ここに?」
「アンタ、私の腕の中で寝ちゃったんだよ……」
へっ!?
「そ、そう……なの?」
「久しぶりに抱っこしたけど、結構成長したわね~」
!!
「寝顔も可愛かったわ~」
……はうぅぅ~
「これぞ『姉冥利に尽きる』ってやつね~」
もうやめて~、私のHPは0よぉ~!!
「ま、冗談はそのくらいにしておいてっと」
ま、まつり姉さんまでそんな事を……。
「父さん達、もう帰ってきてるから。それと、アレはアンタのプリントに挟んでおいたからね」
「うん……ありがとう、まつり姉さん」
「たは~、改まって言われると、アタシも流石に照れるわぁ~」
姉さんは顔を赤くしている、でも多分私はそれ以上に赤いだろう。
うぅ……さっきから顔が熱い……。
「んじゃ、もうちょっとでご飯だから……今日もちゃんと顔を洗ってから来なよ~」
「はぁ~い」
「じゃ~ね~」と言って、姉さんは部屋を出ていった。

……さて、今私が出来ることは全てやった。
後は、次の『指令』を待つのみ……。

こなた、覚悟しておきなさいよ!
これだけいろんな人がアンタの事を応援してくれるんだから
もしアンタがつかさと一緒に『幸せ』を見つけられ無かったら……
私が絶対に許さないんだからね!!


Section4 「水を与えられる苗木」 End

156:ナハト
10/10/15 00:06:12 bWAL2xur0
以上です

まつりがイメージと違う!
と言われるかもしれませんが
今回の主張にぴったりだったのでその役をお願いしましたw


ではでは また来週の木曜日に ノシ

157:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/15 06:21:10 ZY+fKFls0
うまくいってくれよ・・

158:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/15 17:08:14 flflzFkd0
>>156
手馴れた感じと文体に独特の癖があるね、他のスレでも書いてる?

159:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/15 17:12:16 Z3En9FaWO
>>158
まぁ、それは
ヒ・ミ・ツ♪
って事でw

160:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/16 02:16:09 npy11MC90
512/740さすが改変期早い

161:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/17 01:16:59 3X4A1n/10
612/745
この時期は24時間でも安心できない

162:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/17 01:21:02 nqE/RObV0
んじゃ、ほしゅほしゅっと

163:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/18 01:08:55 SNNEz4ix0
「あ、あたりクジだってこなちゃん。一回ずつ引いてみない?」
「んーお祭りのクジはハズ…んや、やってみよっかー」

プピルルルルルルルブーーー
「あはははは何だか変な音するよこれ」
「こっちはう○こだよう○こ風船、えんがちょー」
「わーえんがちょー!」
好きな人とならアタリハズレ関係なく楽しめるもんだなぁと思ったこなたんであった

164:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/19 07:31:01 7E9KuPSDO
こ「ほ!」
つ「ほ……ホタテ!」
こ「し!」
つ「し……しらたき!」
こ「ゆ!」
つ「ゆ?ゆー、ゆー、ゆ……あっ!!ゆば!!」
こ「あちゃー、これは厳しいなぁ」
つ「じゃぁ覚悟してね……ほ!」
こ「ほ……ホヤ貝!」
つ「凄いねぇ……し!」
こ「し……しじみ!」
つ「ゆ!!」
こ「ゆ……ゆ……」

み「かがみさん……お二人は一体何をされているのですか?」
か「『決められた三文字で鍋に入れる具材を言っていこうゲーム』だって~」
み「はぁ……そうですか」
か「まぁ、向こうは放っておいて私達で先に食べましょ。長くなりそうだし」
み「あ、はい」

こ「ゆ……ゆ!?ゆー、うーん……そうだ!!百合根!!」

165:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/20 12:00:25 e/J39v000
「百合根といえば…」
「つかさ、好きだよ!」
「こなちゃん、愛してる!」
「私達って」
「「百合ねっ!」」バッ

「ダシが出て美味しいわね」
「そうですね」

166:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/21 01:52:00 zzUbZVCa0
こなちゃんの純潔はおいしくいただきました

167:ナハト
10/10/21 23:40:04 jOOiHdEy0
どもども
木曜に投下するって書いたのをちょっと後悔してるナハトです

 dear -Section5 「風に揺れる苗木」

今回も本文7レス使いますねー

168:ナハト
10/10/21 23:40:42 jOOiHdEy0
「……みさきち達、ちゃんと受け取ったかな……」
「はい?……あぁ、『手紙』の返事ですか?」
今私達が居るのは泉さんの部屋。
今日は金曜日なので、泉さんの部屋で勉強会をしているところです。
「時間的には丁度『勉強会』をしているところですね……」

dear -Section5 「風に揺れる苗木」

峰岸さんは、水曜日の『勉強会』の途中で『手紙』を渡すことが出来たと言っていました。
泉さんはその時の反応をしきりと聞きたがっていましたが、お二人共にそれを頑として拒否されていました。
多分、泉さんの不安感も、それからきている物だと思われます。
「内容が内容ですからね……、かがみさんがそれを読んでどう思われるか……」
「だよねぇ……」

駆け落ち

それがどんな意味を持つか。
それは誰もが知っている事でしょう。

「……やっぱり、こんなコトしちゃいけなかったのかなぁ……」
……私は、何も言えませんでした。
なぜなら、今回の『計画』を聞かされた時、私は明確に反対したからです。



―私やつかさに対して何らかの罰を下すのなら、まだ許せる。
―だけど、かがみを休学させて、みさきちや峰岸さん、それにみゆきさんまで苦しめた。
―それだけは、絶対に、許せない。

……泉さん。
―何?
……そこまでの決意を聞かせていただいた上での無礼を承知で言わせていただきますが……。
―……。
その選択は『間違っている』と思います。
―……みゆきさんは、そう言うと思っていたよ。
……?では、何故私にお話しされたのですか?
―……今みゆきさんが言ったでしょ?二人に説明するには『理由』が必要だって。
それは……そうですが……。
―それにね、いずれはわかる事でしょ……それだったら、早いうちに言っておいたほうが良いかな、と思って。
そうですか……ですが、私の考えは変わりませんよ。
―……『間違っている』って事はわかっているよ。でもね、これ以外に方法が浮かばなかったんだよ……。
……本当に、『それ以外』が浮かばなかったのですか?
―……流石はみゆきさんだね……。
―わかっているんだ……ホントは。もっと他の『選択肢』が有るって事。
では……何故?
―他の『選択肢』をかんがえると……どれだけ頑張ってもハッピーエンドにならないんだよ……。
……ハッピーエンド……ですか。
でもそれは、泉さん『だけ』のハッピーエンドではないのですか?
この『選択』の結果、他の方々は『アンハッピーエンド』を迎えてしまうと思うのですが……。
―うん……そうかも知れないよね……特に互いの『家族』にとっては……。
それでしたら……。
―でもね、ダメなんだよ。どんな『選択肢』を選んでも、みんなが『ハッピーエンド』なんてモノは無いんだよ……。
それは……そうですが……だからといって
―それにね、これ以外の『選択肢』は、私が一番許せない互いの『親』が、必ず『ハッピーエンド』になるんだよ……。



169:ナハト
10/10/21 23:41:07 jOOiHdEy0

あの時、私は泉さんがそこまで『親』を憎んでいるとは思いませんでした。
特に、泉さんにとってのおじさまは唯一の『肉親』であり、趣味や行動を共にする『親友』でもあります。
泉さんがおじさまの事を話される時、とても輝いた表情で話されていました。

その『父親』に対して、泉さんは『嫌悪』を剥き出しにした表情で語ったのです。



―『親』が『子』に対して、色々と言ってくるのはわかるよ。
―でもね
―いくら『親』でも、踏み込んではいけない部分が有ると思うんだ。
―言いたい事はわかるよ、確かに『親』にしてみれば『娘』は『結婚』をして『出産』をして『母親』になる事が『幸せ』なんだろうから。
―だけど
―それって『親』の『幸せ』なだけで、必ずしも『子』の『幸せ』じゃないよね。
確かに……言われてみれば、そうかもしれませんが……。
―そう考えたらさ、一体『私』の『幸せ』って何なんだろうって思ったんだよね。
泉さんの……『幸せ』……。
―私が思うに、自分自身の『幸せ』を得る為には『エゴイズム』が必要だと思うんだ。
そうですね……確かに、自らが『幸せ』を得る為には、そこに誰かの『不幸せ』が生じますね……。
―だから、私はそうしようと思って、今回の『計画』を考えたんだ。
―決して、単純な『思いつき』なんかじゃない。
―私なりに目一杯考えた『結果』なんだ。
―みゆきさん……出来れば、それだけはわかってほしいんだ……。



私は、何も言えませんでした。
大変失礼なのですが、泉さんの話を聞くまで、この『計画』は『思いつき』で言った物だとばかり思っていたのです。



そうですか……では、わかりました。
―?
泉さんが、それだけの考えを持ってこの『計画』を立てたのでしたら、私はもう何も言いません。
―じゃぁ!
ですが、私は『賛成』も『反対』もいたしません。
―ど、どうゆう事?
私自身『駆け落ち』という行為に対する見識は『間違っている』と思っています。この事実は変えられません。
ですが、私は泉さんやつかささん、かがみさんや峰岸さんや日下部さんの『友人』です……自分自身では『親友』のつもりですが……。
―みゆきさんは、今言ったみんなの『親友』だよ。
……ありがとうございます。
なので、あくまでも『一人の友人』として、この『計画』の『手伝い』をさせていただきます。
―……ありがとう……みゆきさん……。
……泉さん、一つだけ、約束していただけますか?
―……どんなコトかな?
『計画』の通りに事が進んだ場合、とても多くの人を巻き込む事になります。
―そう……なる……かな……。
ですから……必ず……『幸せ』……に……なって……下さい。
決して……泉さん……の……『おじさま』と……つかさ……さんの……『ご両親』……が……『幸せ』……に……なる……結末……だけ……は……迎……えな……いで……くだ……さ……い。
―……みゆきさん……泣かないで……ごめんね……
あや……あやまら……ないで……くださ……い……こ……これは……わた……わたし……が……かって……に……ない……ている……だけ……です……から……。
―でも!
……泉さん!!……この……けいか……計画……を……じっこ……実行……する……には!
……こ……このよう……なこと……事が……この先……なんど……何度も……あ……ある……有るん……ですよ!
いず……泉さん……は……これを……のり……乗り越え……なければ……いけ……いけない……んで……す!!

170:ナハト
10/10/21 23:41:37 jOOiHdEy0
ですか……ですから……ですから………です……か……ら……。



私の涙は止まることを知りませんでした。
『計画』を打ち明けられたことで、私自身かなりのショックを受けていたからだと、今になって思います。
泉さんにも、かなり酷いことを言ってしまいました。



―わかったよ、みゆきさん。
……そう……です……のり……乗り越え……て……くだ……下さい……。
―でもね、私一人で乗り越えようとか、私とつかさの二人でとかは思わないよ。
……なん……なんで……ですか……これ……これは……。
―さっき言った通りだよ、私は『エゴイスト』になったんだからね。
―だから、『親』以外のみんなには出来るかぎり『幸せ』になってもらいたいんだ。
……いずみ……さん……
―悲しみを『取り除く』なんで事は無理だってわかっているけど、それを『和らげる』事なら出来るかもしれないからね。
……泉さん……
―だから……さ
―辛い時は何時でも言って
―決して一人で抱え込まないで
―悩んだ時はみんなで一緒に考えようよ
―悲しい時はみんなで一緒に泣こうよ。



とても重い言葉でした。
そして、気付かされました。

泉さんは、今回の『事件』からずっと
その辛さを、一人で抱え込み
その悩みを、一人で考え
その悲しみを抑えるため、一人で泣いていた

その時になってやっと、自分が成すべき事に気付きました。



……泉さん。
―ん?……落ち着いた?
はい……それと……ごめんなさい!!
―ほえっ!?な、なんで謝られなきゃいけないの?だって、酷いことを言ったのは私だよ?
いえ……今の泉さんの『言葉』を聞いて、自分の……不甲斐無さに……気付きました。
―?
泉さんは……私の事を『親友』と……言ってくださいました。
―う、うん……そうだけど……。
ですが!私は!泉さんが一人悩んでいるのにも!辛く悲しんでいる事にも!何一つ気付きませんでした!
―……ま、わからないように振る舞っていたからね……。
でも!それでも!気付くのが『親友』では……ないので……すか……。
……そんな……わたし……が……ヒック……しん……ヒック……親友……なんて……ウグッ……名乗る……しか……エグッ……資格……ウウッ……なんか……グズッ……
ウ……ウワァァァーーーー……
―……
……エグゥ……グズッ……ウゥッ……
―……
……ウグッ……エゥッ……ヒック……

171:ナハト
10/10/21 23:42:40 jOOiHdEy0
―……みぃ~ゆ~きさん。
……ヒクッ……ウウッ……エグゥ……
―なんで、私がみゆきさんを抱きしめているかわかる?
……わかり……グズッ……ません……ヒック……
―私はみゆきさんの事を『親友』だと思っているからだよ……
―それに、みゆきさんは今『親友を名乗る資格は無い』って言ったけど……
―今のみゆきさんの様な姿を見せられるのって、『家族』や『親友』位だよね……
―そう考えると、みゆきさんは私の『親友』になるんじゃないじかな?
―私は、そう思うんだけど、みゆきさんはどう?
……グズッ……ありが……とう……ヒック……あり……が……と……ウグッ……う……ごめ……ヒクッ……ごめんな……さい……
―謝るのは、私のほうだよ……ごめんね……。
……ヒック……?
―私、みゆきさんの事を試してた。
……!?
―私が、この『計画』を『考えている』って事が、みゆきさんに気付かれなければ、誰にも気付かれないはずだから……
……そう……だったん……です……か……。
―だから、本当に酷いのは私、みゆきさんは……何一つ……悪くない……んだよ。
―……ごめ……ごめん……なさ……ご……ごめ……ん……な……さい……



「……みゆきさん?どうしたの?」
「え……あ、ああ……すみません、少々考え事をしていました……」
不意に声をかけられ見上げると、泉さんの心配そうな顔がそこにありました。
「……もしかして、この間の事?」
「……はい……」
相変わらず、鋭いですね……。
「……あの時は、みゆきさんを泣かせちゃったからね~」
「あ、いえ、それは、構わないのですが……。実際、私自身の問題であのようになってしまった訳ですし……」
「うん、私もみゆきさんがあんな風になっちゃうなんて、思ってもいなかったよ~」
……普段の『私』を見ていれば、そう思うのも当然の事でしょうね。
「でも、泣きじゃくるみゆきさんは『萌え~』だったなぁ~」
「はぁ、『萌え~』ですか……」
「そだよ~、あれは間違いなく『萌え』だね~」
「それを言われるのでしたら、その後に『泣きじゃくった』泉さんも『萌え~』ですね」
ウフフッ……我ながら良い切り返しを閃きました。予想通り、泉さんは顔を真っ赤にしています。
「……ず、ずるいよぉ~、そんな『声真似』までしなくたっていいじゃん……」
「あ、すみません……つい……」
「もぉ、笑いながら謝ってるし……」

クスッ……フフッ……アハッ……ウフフッ……
アハハハハハハハハハ……!!

「……いや~……ププッ……久しぶりに大声で笑ったね~」
「……本当……クスッ……久しぶりですね~」
「おとーさんが出掛けてて良かったよ……」
「……そうですね……」

泉さんの家で最初に勉強会をした時、『つかささんやかがみさんとの関係が全く無い』話題に花を咲かせていました。
何を話していたのかは定かではないのですが、話が盛り上がって先程の様に二人で笑い声を上げたその時、不意にノックの音がしておじさまの声がしました。

「二人共、『勉強会』なんだから、『勉強』だけに集中しなさい……こなた!返事は?」
「はい……わかりました……」

泉さんの声は落ち着いていましたが、その顔はまさに『苦虫を噛みつぶしたよう』でした。
そして、それ以降泉さんの家で勉強会を行うときは、おじさまが在宅か否かによって私達の振る舞いが変わるようになったのです。

172:ナハト
10/10/21 23:43:00 jOOiHdEy0



その後も、和気藹々としながら勉強を進め、気が付くと私の帰宅時間が迫っていました。
「では、泉さん。私はそろそろ帰りますね」
「あー、もうそんな時間かぁ~……今日はなんだかあっという間だったなぁ~」
「私も、そんな気がします……それに、今日は久しぶりに楽しく勉強できました……」
「……そだね……」
電車の時間があるので、二人で手早く勉強道具を纏め、玄関へと向かいました。

「……そういえば……」
靴を履きながら、ふと思い出した『疑問』を泉さんに問い掛けました。
「先日、峰岸さんや日下部さんと一緒に私の家で勉強会をした時、泉さんは峰岸さんや日下部さんと共に私にまで『謝意』を述べていらっしゃいましたよね……」
「あ……うん……」
「私、泉さんから何もされていませんが……何故ですか?」
なにかしらの『酷い事』や『損害』を受けていれば、それを理解出来るのですが、私には思い当たる節が全くありません。
「……みゆきさん……私に何か隠してない?」
「……いえ……何も隠してはいません……」
「ホントに~?嘘はダメだよ~。この間、みゆきさんを泣かせちゃった時、何か考えていたでしょ~」
「……気付いていましたか……」

あの時、私が気付いた『自らが成すべき事』
それは、誰にも話さずに実行すべき事

……やはり、泉さんに『隠し事』は通用しませんね……。
「で、何を考えていたのかな?」
「……『これから先、どのような事があろうとも、泉さんとつかささんのサポートをする』という事を考えていました」
「……そっか……ありがとう……でもね……」
「?」
「『どのような事』って言ったけど……辛かったら何時でも逃げて良いん……」
「そんな事はいたしません!!」
弱気な泉さんの言葉を遮り、私は大声で叫びました。
「泉さんは、私に教えて下さいました!『決して一人で抱え込まないで。悩んだ時は一緒に考えよう』と!」
「……そんな事も……言ったね……」
「それに、泉さんは私の事を『親友』と言ってくださいました。ならば私は『親友』として、出来る事は全てするつもりです!」
「……」
「……泉さん……安心して下さい。幸いな事に、私は『範囲外』なんですよ……」
「……はえっ?どうゆうこと?」
「泉さんのおじさま、それにつかささんのご両親共々、私に対しては完全なる『無関心』です」
「……つかさの所はわからないけど、少なくともおとーさんは……そう……かもね……」
「ならば!『範囲外』の私が色々と動き回った所で、私自身だけではなくお二人にも『悪影響』が出る可能性は、全く有りません!」
「……でも……そんなに上手くいくかなぁ……」

……どうやら、『弱気の虫』が出てきたみたいですね……。
……ならば!!

「こなた!そんなに『親友』の言うことが信じられないの!」
「!」
「ちびっこぉ~、『親友』の言うことはちゃんと聞いたほうが良いぜぇ~」
「み、みさきちまで……みゆきさん……何気に腕をあげたねぇ……」
「ふふっ……どうですか?これでも信用出来ませんか?」
「……ううん……プッ……だ……大丈夫……クスッ……ハハッ……アハハハハハ……」
……やはり、泉さんにはこの手が一番のようですね……。

「それでは、失礼いたします」
「今日もありがとね~」

173:ナハト
10/10/21 23:43:27 jOOiHdEy0
「どういたしまして……では、次は日曜日に」
「そだね~、じゃあ……またね~」
「はい……それでは『バイニ~!!』」
「み、みゆきさん……手振りまでするとは……」
思わず固まってしまった泉さんを残し、私は泉家を後にしました。
家の中から「キャラじゃないよぉ~」と声が聞こえましたが……。

ふふっ……
泉さんが知らない『私』も居るんですよ……。



「おぉーい、みゆきちゃーん」
家を離れ、暫く歩いていると後ろから声をかけられました。
「あら、泉さんのおじさま、……まだ一応『こんにちは』の時間ですね」
振り向くと、おじさまが車の中から手を振っていました。
「今帰る所かい?何時も悪いねぇ、良かったら送って行くよ、もう遅いし」
「そうですか?……では、お言葉に甘えてお願いいたします」
「さぁ、乗った乗った」
おじさまは助手席のドアを開けて、私を迎え入れました。

「駅までで良いかい?」
「はい、ありがとうございます」
車がゆっくりと動き出します。
「いやー、みゆきちゃんのお陰でこなたの態度も成績も随分と変わってきたよー」
「そうなんですか?」
「うん、……何と言えば良いのかなぁー、うーん……『吹っ切れた』……違うなぁ……『生まれ変わった』とでも言うのかなぁー」
「『生まれ変わった』……ですか……」
「そう……アイツは……『生まれ変わった』……だな……」
おじさまの顔に陰が差しました。
「今回の事で、色々と考える所が有ったんだろうが、それ以上につかさちゃんと離れた事が大きいんだろうな……」
おじさまは淡々と話し始めました。

つかさちゃん、かがみちゃん、みゆきちゃんは、こなたにとっては初めての心からの『親友』なんだ
高校に入るまで、家で学校の『友人』の話しなんか一度もしたことが無かった
でも、高校に入ってすぐ、家での会話につかさちゃんの話題が出てきたんだ
よっぽど嬉しかったんだろうな……その時の喜びようは今でも覚えているよ
それから程なくして、かがみちゃんとみゆきちゃんの話しもしてくれたよ
本当に……大切な……『親友』って言っていたな……

おじさまはそこまで話して、「ふぅ」と一息つきました。
「あ……ごめんね、こんな話し聞かせちゃって」
「いえ……お気になさらずに……続けて頂いて結構ですよ」
「そう?……ありがとう。それでね」
丁度信号待ちだったので、私に顔を向けて聞いてきました。

「みゆきちゃんは、『同性愛』について……どう考えてる?」

その眼差しは、とても真剣な物でした。
もし回答を間違ってしまったら……多分、二度と泉さんに会うことは出来なくなるでしょう。
私は、慎重に回答を選びました。

「私は……『間違っている』と思います」
『以前の私なら』という言葉を心に仕舞い、そう答えました。

信号が変わり、再び車が動き始めました。

174:ナハト
10/10/21 23:44:30 jOOiHdEy0

「そうか……良かった……」
おじさまは安堵の声を漏らし、話しを続けました。

さっきも言ったように、こなたにとって三人は『親友』なんだ
だけど、自分自身のせいでそのうちの二人を失ってしまった
そして、もしみゆきちゃんが二人と同じ考えの持ち主だったら
オレはもう一度こなたから『親友』を引き離さなきゃならない
……出来れば、それはしたくないんだ
だから
みゆきちゃんが二人と違う考えの持ち主で本当に良かった……

おじさまは、安心しきった表情で話していました。
……やはり、一人娘である泉さんの事が心配なのですね……。

気が付くと、車は駅のロータリー近くまで来ていました。
「今日はごめんね、こっちばっかり話して、その上変な事まで聞いちゃって……」
「気になさらないで下さい、『親』からすれば『子』の行動や環境は人一倍気になる事でしょうし……」
「そう言ってもらえると、助かるよー」
どうやら、普段のおじさまに戻られたようですね。
「私でよろしければ、いくらでも聞きますので本当に気になさらないで下さいね」
「もし、また何か有ったらそうさせてもらうよ。今日は本当にありがとう」
車が駅前に着きました。
「じゃ、これからもこなたの事を頼むね」
「はい。それでは、失礼いたします」

私を下ろすと、車は静かに走り去って行きました。
それを見送りながら、私は心の中で呟きました。

泉さん……おじさまは、私が『範囲外』であると認識されました……
ですが、おじさまは、こんなにも泉さんの事を思っていらっしゃいます……
それでも、泉さんは『計画』を実行されるのですか……

先程の『決心』が揺らぎそうになります。

誰も居なくなったロータリーで、私は一人呟きました。

「泉さん……本当に……これで……良いのですか……?」



Section5 「風に揺れる苗木」 End

175:ナハト
10/10/21 23:48:11 jOOiHdEy0
以上です

ラストに向けて現在書いている所なんですが、どうやら予定より少々長くなりそうですw

ではでは 次回は再来週の火曜日に投下致しまする~ ノシ

176:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/22 03:22:21 MMoYO//k0

続き期待

177:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/23 13:42:49 2gcdChYQ0
こなかがは正義

178:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/24 11:56:49 oK0Lj8150
ほちゅ

179:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/25 03:17:53 0oYY7dy60
「ゆきちゃん誕生日おめでとう」
「みゆきさんは変わらずよき萌え要素でいてよ」
「おま、それちがうだろ、みゆき誕生日おめでとう」

180:紳士 ◆F5tes7w.5Ild
10/10/26 00:05:17 cwnIrT3OO
こなたとつかさが赤貝をしゃぶり合う!最高だな!!

181:紳士 ◆F5tes7w.5Ild
10/10/26 00:09:05 kzHrypOhO
サラ金返すと家賃払えねえ!

182:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/26 13:39:07 JGztMu+/0
うにょーん

183:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/27 03:48:30 5vUBGHOV0
「ん…にゃ、んぁ私寝落ちして…はて何故ベッドに」
「あ、おはよーこなちゃん。風邪ひくと思ってベッドに運んだんだー」
「んおぉ意外と力持ちだねつかさ。ありがとそしてオハヨー」

「…ところで何で頭に包帯まいてるのカナ私」
「ご、ごめんねこなちゃん…運ぶ時に一回落としちゃって…」
「そういうとこつかさらしくて愛してるからダイジョーブ博士」

184:紳士 ◆F5tes7w.5Ild
10/10/27 21:06:45 Obt6dSv+O
つかさとこなたが寿司屋にやってきた。
つかさとこなたは赤貝を注文した。超イケメン寿司屋の紳士は敢えてシャリの両脇に赤貝を並べた。
つかさは「こなちゃんのマンコみたいだね」と言って股間をまさぐり始めた。こなたも「つかさのマンコみたいだね」と言って股間をまさぐり始めた。
彼女いる歴=年齢の紳士は、豊富な女性経験から二人が処女であることを見抜いていた。
紳士と目が合うと二人は悩殺されて紳士に処女膜を破いてもらおうと言い出した。紳士も、処女膜を破けば二人が激しく百合まくれることを見通していたのでビッグマグナムを勃起させた。

185:紳士 ◆F5tes7w.5Ild
10/10/27 21:21:05 Obt6dSv+O
紳士のビッグマグナムを見た二人はマン汁が溢れまくってビロが赤貝のように充血した。
二人はケツを突き出しながら違いの舌を絡め合い、順番に処女膜を破いてもらった。
紳士は二人を気遣いどちらの腟にも中だししてやった。
つかさとこなたは同棲し、それぞれ身篭った子を生み紳士に感謝して生きたということだ!!
fin

186:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/28 07:15:17 YLkrFWS4O
こ「つかさの『つ』は!」
つ「『つながる』のつ!」

つ「こなたの『こ』は!」
こ「『こいごころ』のこ!」

つ・こ「二人あわせて『つながるこいごころ!』」

か「……だから何なんだ?」

187:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/28 12:55:19 rydoEwL90
つかさのリボン

188:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/30 18:33:48 Bv49DmrtO
>>178の書き込みから

つ「こなちゃんこなちゃん」
こ「なーに?」
つ「ほっぺに」チュッ
こ「ほぇっ!?なに?」
つ「ほっぺにちゅーだよ」
こ「いや、それはわかるんだけど」
つ「えっと、この間『ほちゅ』って書いてあったから、ほっぺにちゅーなのかなって思って……」
こ「あぁ、『ほしゅ』って事ね……」
つ「……嫌だった?」
こ「いんや、全然そんなことないよー」
つ「じゃぁ……もっとしてもいい?」
こ「え、えっと、つかささん!?ちょっと目が怖いんですけどぉ!?……ハッ!これは『八海山』?もしかして……」
つ「えへへぇ~、こ~な~ちゃ~ん」
こ「あのさ、もしかして、これぜんぶ、のんだの?」
つ「うん~。おいしかったよぉ~」
こ「四合半を、一人で!?」
つ「そんなにあったんだ~、きがつかなかった~」
こ「気がつこうよ!てかこれが俗に言う『大トラ』!?」
つ「へぇ~、そういうんだ~。がお~!たべちゃうぞ~」
こ「って、言ってるそばから押し倒してるし!!」
つ「いただきまぁ~す!」
こ「のぉぉぉぉーーーー!!!!」



微エロ失礼w

189:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/01 05:29:21 nVbzez0sO
☆ゅ

190:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/02 02:50:25 4LgjdmrF0
「…寒くなってきたね、こなちゃん」
「なんかこう一気に寒くなると…」
モゾモゾ  モゾモゾ
「ね、こなちゃん…」
「うん、つかさ…」

「「くかー」」
「ほーら朝だおきろー」バサッ
「「うわぁぁ殺生なー」」

191:ナハト
10/11/03 00:33:45 NCgh/ZW80
どもども、火曜日に投下すると言いながら
致命的な矛盾が見つかってそれを修正するのに時間がかかってしまいました

タイトル

 dear -Section6 「倒れかけた苗木」

今回は短めに本文4レス使います

192:ナハト
10/11/03 00:34:32 NCgh/ZW80
晩御飯の食卓で、高良ゆかりは悩んでいた。
母親である自分だから気付く程度なのだが、帰宅した娘のみゆきが明らかに気落ちしているのである。
―確か、こなたちゃんのお家に行ったのよねぇ……。

dear -Section6 「倒れかけた苗木」

今から一ヶ月余り前の夕方、居間にいたゆかりは帰宅したみゆきから突然の知らせを聞いた。
「お母さん……つかささんが本日より『休学』となりました……」
その顔は暗く、受けたショックの大きさを物語っていた。
「まぁ……つかさちゃんが……?何か、病気なの?」
「……わかりません……理由は聞かされていないので……」
「そう……早く『復学』出来れば良いわねぇ……」
「……そうですね……じゃぁ、私は部屋に行ってます」
そう言い残して、みゆきは自室へと向かった。
ゆかりは閉められたドアを見つめながら呟いた。
「みゆき……大丈夫かしら……」

だが、翌日、ゆかりはさらに衝撃的な知らせを聞いた。
「お母さん……かがみさんまで……本日から『休学』だそうです……」
「えぇっ!?かがみちゃんまで……?」
「……はい……」
「理由は……わからないわよね……。でも、一体どうしたのかしら?こんな連続で、しかも姉妹で休学するなんて尋常じゃないわよね」
「……取り敢えず、暫く待ってみます。もしかしたらそれ程経たずに『復学』されるかもしれませんし……」
「そう?わかったわ。でも、何かあったらちゃんとお母さんに言いなさいね」
「はい……では、着替えてきますね」

だがしかし、その後も二人が『復学』する気配は全くなかった。

それから数日が経った頃、みゆきはこなたと共に帰宅してきた。
「あら、お帰りなさい。こなたちゃん、いらっしゃい。……みゆき、お友達を連れて来る時は言っておいてって言ったじゃない……」
「すみませんお母さん、急に決まったので……。これから暫くの間、週に数日程度泉さんと勉強会をすることになりました」
「そうなの?……じゃぁ、仕方が無いわねぇ」
「今日、詳しい曜日を決めるので、後でお知らせしますね」
「わかったわ~」
そこまで話した所で、こなたが口を開いた。
「えと、ゆかりおばさん、ご迷惑をかけ……」
「もぉ~『おばさん』なんて言わないでぇ~!『ゆかりちゃん』って呼んでぇ~!」
『おばさん』という単語が気に障ったのか、こなたの発言を遮り、駄々っ子のようにゆかりが叫んだ。
「あ、え、えーと、じゃぁ……『ゆかりさん』……で構いませんか?」
「えぇ~、私としては……『ちゃん』のほうが良いんだけどなぁ……」
人差し指を唇に当て、子供がせがむような目線をこなたに向けた。
「えと……あの……その……」
「なぁ~んちゃって、『さん』で構わないわよ、うふふっ」
真っ赤になったこなたを見て満足したのか、ゆかりは含み笑いをしながらそう言った。
「もぉ~、お母さん、あまり泉さんを困らせないで下さい……」
「はいはい……じゃ、勉強会頑張ってね~」
「では、泉さん、行きましょうか」
「あ、うん、じゃ、じゃぁ……ゆかりさん、ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」
「い~え~、お構いなく~」



その晩、みゆきから「火曜日が私の家、金曜日が泉さんの家、土日のどちらか都合の良い日にどちらかの家と決まりました」と聞かされた。
今日は金曜日、泉家で勉強会をしてきた筈なのだが……。

193:ナハト
10/11/03 00:35:01 NCgh/ZW80
「みゆき……どうしたの?具合でも悪いの?」
「えっ!?い、いえ……特別体調を崩したりはしていませんが……」
「そう?……なら、良いんだけど……困っている事があるのなら言いなさいね」
「はい……」
みゆきはそう言ったきり黙ってしまった。
―どうしたものかしらねぇ……
そう思いながらも、決して顔には出さない。
高良家では『個人の自主性』を大事にしているからである。
例え、誰かが明らかに困っていたとしても、本人が言い出すまでは何も言わずに待つことにしているのだ。
「……もし、話したくなったら、何時でも言ってちょうだい」
「はい……すみません……」

結局、その日も翌日も、みゆきの口からその悩みが話される事は無かった。



ピンポーン
「はーい」
インターホンを取ると、元気な声が聞こえた。
『あ、こなたです~、峰岸さんと日下部さんも一緒です~』
「どぉぞ~」
暫くして、玄関が開いた。
「こなたちゃん、あやのちゃん、みさおちゃん、いらっしゃ~い」
「「「お邪魔しまーす」」」
そこには、いつになく真面目な表情の三人が居た。
「……どうしたの?三人共……随分と真面目な顔をしているけど……」
「え!?えと、……そんな感じ、します?」
ゆかりの問いに、少々慌てた感じでこなたが答えた。
「ええ、……なんだか、一昨日からのみゆきちゃんみたいよ~」
すると、それを聞いたこなたの表情が曇った。
「やっぱり……そうですか……。あの、みゆきさんは、部屋、ですか?」
「居るわよ~、後でお茶を持って行くから、行ってて~」
ゆかりに促され、三人はみゆきの部屋へと向かった。
「……さて、どんなタイミングで『様子見』に行こうかな……」
それを見送ったゆかりは、一人呟くのであった。



―カチコチカチコチ……

時計の音だけが響く。
まるで、先日この部屋でこなた達がお互いに謝罪した時のようだ。
ただ、その時と違うのはその『重い空気』の中心にみゆきが居るという事である。

こなた達が部屋に着き、『手紙』の受け渡しをし、約束通りこなたはその『手紙』を皆に見せた。
手紙の内容は、他の三人にとってはある程度予想していた通りだったので、特に驚きの声があがる事も無かった。
だが、二枚目の『誓約書』を見せた時から、この場の雰囲気が徐々に変わっていったのだ。

『誓約書』には、三人の署名と共にそれぞれからのメッセージが添えられていた。
それを見たこなたは満足げに頷くと、鞄から一枚の紙を取り出した。
「ん?ちびっこ……これって……」
「『私達の分』って事?泉ちゃん……」
「う、うん……そうだよ……、みゆきさんから聞いているかもしれないけれど、この『計画』はみんなの『賛成』が無いと出来ないからね……」
そこまで言って、こなたは目を伏せた。

194:ナハト
10/11/03 00:35:26 NCgh/ZW80
「アタシはかくよぉ~」
「私も、書かせてもらうわね~」
「……」
こなたに快い答えを返した二人とは対照的に、みゆきは俯いたまま黙っていた。
「高良ちゃん……どうしたの?」
それを見たあやのは、思わず声をかけた……が、みゆきはそれが聞こえていないのか、返事をすることなくそのままの姿勢を崩さなかった。

「……みゆきさん……一昨日、おとーさんと会って駅まで送ってもらったんだよね……」
誰に聞かせるでも無く、こなたが呟いた。
「はい……それで……私……私……」
すると突然、みゆきは顔を手で覆い泣き出した。
「……ウウッ……わから……エグッ……なく……グズッ……なって……ヒック……しまった……グスッ……んです……」
「わからなくなったって……高良~、一体何があったんだ?」
「高良ちゃん……もしよかったら、私達に話してもらえないかな?」
「……ヒック……はい……グスッ……すみません……取り乱してしまいまして……」
涙を拭ったみゆきは、一昨日の車内で話した事全てを皆に話した。

「そんな事があったんだ……おとーさんからは『みゆきさんを送った』としか聞かなかったよ……」
「……ちびっこ、本当にそれだけか?」
「本当だよぉ~、もう隠し事はしないって決めたもん……。でも、おとーさんが『ご機嫌』だったから、何か重要な話しをしたんだとは思ったけどね~」
そう話すこなたの眼差しは真っ直ぐで、嘘など全くついていないのがよくわかった。
「……泉さん……本当に、良いのですか?」
「みゆきさん……言いたいことはわかるけど、『私自身』はもう戻る気など全く無いよ」
「高良、ちびっこが『決心』した事なんだから、アタシらは全力で応援すれば良いんじゃないか?」
「ちょっと、みさちゃん……」

―峰岸さんは、この『署名』の意味がわかっているようですね……、日下部さんは……気付いていませんか……。
みゆきは心の中で呟いた。

「日下部さん、失礼ですが……この『署名』の意味は……理解されていますか?」
「ん?ちびっこと柊の妹が駆け落ちするのを認めるって意味じゃないの?」
「……確かに……日下部さんと峰岸さんの『お二人』に限って言えば、その通りですね……」
「へっ!?高良にとっても同じじゃぁ……」
「みさちゃん!!!」
尚も言葉を続けようとしたみさおを、目に涙を浮かべたあやのが怒りを含んだ強い口調で制した。
「な、なんだよあやの……アタシ何か悪いこと……」
「もっと高良ちゃんの事を考えなさいよ!!……だって……だって……高良ちゃんにとって……」
「そうです……私は……『署名』……する事で……『親友』……を……二人……同時に……う……失い……ま……す……」

みゆきは、子供のように泣きじゃくっていた。
あやのも、みさおに抱き着き泣いていた。
みさおは、自分の不甲斐無さに腹を立てていた。

「わたっ……グズッ……どう……ウウッ……どうしたら……エグッ……」
みゆきは、自分が何を話しているのかでさえわからなくなっていた。
「初め……ウグッ……初めて……ヒック……の……ウグゥ……しん……ウウッ……親友……グズッ……いなく……エグゥ……なっちゃ……」

高校に入学するまで、みゆきには本当の意味での『親友』は居なかった。
『博識が有る』『運動が得意』等の理由で親しくなる友人は居たが、それ以上の関係を持つ事は無かった。
そんなみゆきにとって、先程の理由など関係無しに接してくれたこなた達は、初めての本当の意味での『親友』なのである。

「……」
こなたは、何も言えなかった。

195:ナハト
10/11/03 00:35:52 NCgh/ZW80

自分が考えたこの『計画』
実行するためには、必ずなにかしらの『困難』が有ると認識していた
ただ、その『困難』がどれ程かを認識していなかった
この『計画』が、これ程『非情』で『残酷』な物だということを

「みゆきさん……」
こなたが声をかけたが、みゆきにはその声ですら届かないようだ。

―カチコチカチコチ……

時計の音だけが響く。

『重い空気』の中心であるみゆきは、既に泣き止んでいた。
誰も、何も言えなかった。

暫くの間、沈黙が続いた。

「……どんなに考えても、どの『選択肢』を選んでも……」
不意にみゆきが口を開いた。
「……私は……『親友』を……失うのですね……」

『そんなことはない』と、こなたは言いたかった。
だが、言えなかった。
本当に『そんなことはない』のか、自分でもわからなかったからだ。

バタン!!!!!

突然、大きな音をたてて、部屋のドアが開いた。

「みゆき!そんなことはないわよ!!あなた、一つ勘違いをしているわ!!!」

そこに立っていたのは……

「お……お母さん……」



Section6 「倒れかけた苗木」 End

196:ナハト
10/11/03 00:38:22 NCgh/ZW80
以上です

ゆかりさんの性格が漫画やアニメと少々違う点については目をつぶっていただけたら幸いですw

ではでは、また来週の『今度こそ』火曜日に投下しますね ノシ

197:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/03 00:40:03 23l5FQSS0
レス増えてるなと思ったら、1人の基地外が長文連投してるだけか

198:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/03 00:58:50 021fVOlW0
今のところそうじろうがらき☆すたとしてはしっくりこないね、どんでん返しがあるのかな

199:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/04 05:57:58 OzNcxSwv0
☆ゅ

200:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/05 23:29:54 /WKSpZ+Z0
ピッチピッチほしゅほしゅランランラン♪

201:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/06 16:26:41 HBTFprnn0
こなかが最高

202:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/07 16:15:29 b/vAGD4jO


203:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/08 12:56:46 7jltbX3B0
こなたってつかさと一緒の時は雰囲気けっこう変わるよなぁ

204:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/09 21:03:00 f/x4Ly8l0
ナハト氏SS 
dear -Section4 「水を与えられる苗木」 
dear -Section5 「風に揺れる苗木」

ならびに、ここまでのSSとミニネタを保管しました

保管庫(非常時には避難連絡所になりますのでスレ住民はURL保存推奨)
URLリンク(www8.atwiki.jp)
保管庫避難連絡ページ
URLリンク(www8.atwiki.jp)
ここまでのミニネタを保管しました

保管庫(非常時には避難連絡所になりますのでスレ住民はURL保存推奨)
URLリンク(www8.atwiki.jp)
保管庫避難連絡ページ
URLリンク(www8.atwiki.jp)

205:1-724
10/11/09 21:03:51 f/x4Ly8l0
ナハト氏保管内容ご確認下さい

206:ナハト
10/11/09 22:21:32 nTj5HZrV0
>>205
1-724氏 保管お疲れ様です
Wiki確認しました
作者別ページで何故かSection1が二つありましたので、修正をお願い致します m(。_。;))m ペコペコ…


えー、ではでは

dear -Section7 「支えられる苗木」

投下します
6レス使いまする~



207:ナハト
10/11/09 22:22:37 nTj5HZrV0
みゆきは混乱していた。

突然開かれたドア
母親からの一言

その二つが、無防備となった『心』に直接襲い掛かったのである。

「かん……ちがい……?なに……を……勘……違い?」
「……みゆき」
優しい、それでいて力強い母の声が、静まり返った室内に響く。
「そう、勘違いなのよ……。あなたは、決して『親友』を失ったりしません」
「でも、でも……」
ゆかりは呆然とした娘に駆け寄り、優しく抱きしめた。
「みゆき……落ち着いて、私の話を聞いてちょうだい……。お母さんね、さっきの話、全部聞いていたの……」

dear -Section7 「支えられる苗木」

「さて……と、そろそろ……かしらね……」
こなた達が部屋に向かってからおよそ十五分。
もし、ゆかりの知らない『何か』をみゆきが話すのなら、ちょうど頃合いだろう。
「取り敢えず……お茶とお菓子は用意しておかないとねぇ~」
そう呟き、鼻歌混じりに差し入れセットの準備をし始めた。

―……一体、何なのかしらねぇ……今日来た三人も、何時もと違う雰囲気だし……
思いを巡らせつつ、みゆきの部屋へと向かう。
―面倒な事でなければ良いんだけど……

『……ウウッ……わから……エグッ……なく……グズッ……なって……ヒック……しまった……グスッ……んです……』
部屋のドアをノックしようとしたその時、泣きながら話すみゆきの声が聞こえ、思わず手を止めた。
『あの日、おじさまに駅まで送っていただきました……』

―『あの日』って……金曜日の事?
ゆかりは手に持った差し入れセットを静かに床に置き、ドアに耳を当て中の会話を聞いた。
みゆきはその日、車内で起こった事を話していた。
自らの感情を全く入れずあくまでも静かに、淡々と。

『……信号待ちの時、私に『同性愛』について……どう考えているか、問い掛けてきました』

―『同性愛』について?それって一体……

『私は、間違っていると答えました……『以前の私なら』という言葉を心の中でつけましたけど』

―……『以前の私なら』間違っている?
―……じゃ、じゃぁ、今は肯定しているって意味よね……
―という事は……ええっ!?みゆきが……なの?
驚きのあまり、思わず立ち上がりそうになったが、子供達に気付かれてはいけないので、必死で気持ちを抑え再びドアに耳を当てた。

『……そして、このように言われました』
『もしみゆきちゃんが二人と同じ考えの持ち主だったら、オレはもう一度こなたから『親友』を引き離さなきゃならない……出来れば、それはしたくないんだ』

―えっ?それは、つまり、つかさちゃんとかがみちゃんが……そうだって事……よね……
ゆかりはドアから耳を離し、考え込んだ。
―……でも、だからって引き離す必要は無いわよねぇ……ん?もしかして、こなたちゃん……も?
もう少し情報が必要だと判断し、もう一度ドアに耳を当てた。

『日下部さん、失礼ですが……この『署名』の意味は……理解されていますか?』

208:ナハト
10/11/09 22:23:16 nTj5HZrV0

―『署名』?

『ん?ちびっこと柊の妹が駆け落ちするのを認めるって意味じゃないの?』

―ええっ!!駆け落ち!?……こなたちゃんとつかさちゃんが?
ゆかりはドアから体を離し、冷静になって考えた。
―今聞いた事から考えると……こなたちゃんとつかさちゃんは……つまり……『恋人』って事……よね……。
さらに考えをまとめるため、立ち上がり腕を組んで壁に寄り掛かった。
―こなたちゃんのお父さんは、二人が付き合わないように引き離した……じゃぁ、つかさちゃんとかがみちゃんが『休学』しているのも……。
ゆかりは事の真相がわかってきた。
だが、腑に落ちない点も幾つか有る。
―直接聞いてみないとね……。
改めてドアをノックしようと近づいた時、再びみゆきの泣き声が聞こえた。

『……私は……『署名』……する事で……『親友』……を……二人……同時に……う……失い……ま……す……』

―……何で?『失う』必要なんてあるの?

『わたっ……グズッ……どう……ウウッ……どうしたら……エグッ……』
『初め……ウグッ……初めて……ヒック……の……ウグゥ……しん……ウウッ……親友……グズッ……いなく……エグゥ……なっちゃ……』

―……そっか……二人共、みゆきにとって初めて出来た本当の『親友』だものね……
本当ならば、今すぐに中に入りみゆきを抱きしめたかった。
でも、それは出来ない。
今入った所で、中の子供達はゆかりに対して盗み聞きをしていた事の非難以外の言葉は何も聞けないだろう。
ゆかりはドアの外で息を潜め、じっと『その時』を待った。

―カチコチカチコチ……

時計の音だけが響く。

室内からは、物音一つ聞こえない。

ゆかりが用意したジュースの氷もすっかり溶けていた。

―新しいジュースを用意しないといけないわね……
そう思い、台所に向かおうとしたその時、気落ちしたみゆきの声が聞こえた。

『……どんなに考えても、どの『選択肢』を選んでも……私は……『親友』を……失うのですね……』

―だから何でそんな風に思うの?そんなことはないじゃない!
ゆかりは居ても立っても居られなくなった。
―あの子、絶対に勘違いしている!早く教えてあげないと!
盗み聞きを咎められる事など、もはや眼中には無かった。
みゆきを抱きしめてあげたい、勘違いを正してあげたい。
その一心だけだった。

バタン!!!!!

目一杯の力を込めて部屋のドアを開け大声で叫んだ。

「みゆき!そんなことはないわよ!!あなた、一つ勘違いをしているわ!!!」



ゆかりは優しく話しつづけた。
「みゆき……さっきのあなたが言っていた通りなら、こなたちゃんのお父さんはあなたに万全の信頼を寄せているはずよ……そうでしょ?」
「……あ、え……」


209:ナハト
10/11/09 22:23:35 nTj5HZrV0
「ほら、落ち着いて……今はお母さんの質問にだけ答えれば良いから……」
そう言って更に強くみゆきを抱きしめる。
「……」
「どう?落ち着いた?」
「……少しだけ……」
それを聞き、少しだけ腕の力を緩め、みゆきと顔を合わせ、再度質問をした。
「じゃぁ、答えられるかしら?……みゆきは、こなたちゃんのお父さんから、万全の信頼を得ている……そうよね?」
「……はい……十中八九間違いないと……思います……」
するとゆかりは満面の笑みを浮かべ、更に問い掛けた。
「なら、みゆきがこなたちゃん達と『決別』する必要なんて、全く無いと思うんだけどな~」
「……?何故……そう……言い切れるの……ですか?」
みゆきには、母が何故そんな事を断言出来るのか、全くわからなかった。
『署名』をするしないに関わらず、『親友』が離れていくのは紛れも無い事実ではないのだろうか。
「『信頼を得ている』という事は、みゆきに対して『一分の疑いを持つことも無い』という事と同じだというのは……わかるかしら?」
みゆきは静かに頷いた。
「じゃぁ……もしみゆきが陰で誰かと連絡を取っていたとして、こなたちゃんのお父さんはそれに気付くかしらねぇ?」
「……つまり、私が泉さんやつかささんと隠れて連絡を取り合っていても、おじさまはそれに気付く事は無い……ということ……ですか?」
「そーゆーこと」
ゆかりは満足げに頷いた。
「じゃ……じゃぁ……お二人……と……別れ……る……必……要……は……」
「そんな『選択肢』は存在すらしていないわよ~。……全く……みゆきは何時でも『最悪』を考えるから……」
「そうだよ……みゆきさん、言ったじゃん……『私は範囲外』だって……」
ゆかりの言葉を聞き、こなたも思い出したように言った。

「そう……でした……」
みゆきはハッとした。
自分はこなたにそう言っていたのだ。
なのに自分は思い込みで大きな勘違いをしてしまった。

「あらあら……全く……『うっかりさん』も程々にしないとね……」
みゆきはそれ以上、ゆかりの言葉を聞く事は出来なかった。
「……お母さん……私……わたし……」
「……大丈夫……みゆきは何も悪くないのよ……ちょっとだけ、心が悪いほうに傾いただけよ……」
ゆかりはみゆきを優しく抱きしめた。
みゆきは、その胸の中で泣く事しか出来なかった。



「……落ち着いたかしら?」
「……はい……ありがとうございます……お母さん……」
「うん、いつもの『みゆき』に戻ったみたいね~」
時間にして五分位だろうか、母に抱かれ泣きつづけたその顔は酷い状態であったが、精神的にはかなり落ち着いたようだ。
「……皆様、お恥ずかしい場面をお見せしてしまい、申し訳ありません……」
「気にしなくて良いわよ、高良ちゃん……。もし私が同じ状況になったら、もっと不安になって何も手につかなくなっちゃうだろうし……」
「そうだよ、高良はなーんにも悪くない、悪いのはこんな気持ちにさせた『親』なんだからな」
「みさおちゃん……それには『私』も含まれるのかな~?」
意外な反撃に思わずみさおはたじろいだ。
「い、いや、その……『ちびっこのお父さん』と『柊の両親』って事で……決して『ゆかりおば……』」
「『おばさん』!?」
「あ、え、えと……『ゆかりさん』の事を言ったわけじゃ……」
その様子を見て、ゆかりは思わず微笑んだ。
「ふふっ……わかっているわよ~みさおちゃん。もぉ~可愛いんだからぁ~」
「か、可愛いって……」
みさおはその言葉に思わず赤面した。
「お母さん……あまりからかわないで下さいね……」
「はいはい……」
それを聞いていたこなたから、思わず笑い声がこぼれた。
「あははっ、やっぱりゆかりさんには敵わないや~」


210:ナハト
10/11/09 22:24:33 nTj5HZrV0
あやのもそれに続く。
「うふふっ……本当ね……こんなに真っ赤になったみさちゃんなんて、初めて見たわ~」
「みゅぅ~あやのぉ~そんな事言うなよぉ~」
『アハハハハハ……』



「そういえば……」
ひとしきり笑い合い、すっかり温くなってしまったジュースをゆかりが配っている途中で、あやのが口を開いた。
「ゆかりさんは……泉ちゃんの『計画』の事……どう思っているんですか?」
その言葉に、こなたの表情が固まった。

―ゆかりさんにも知られてしまったんだ……

そう、『計画』を知られた時点で、ゆかりは『部外者』ではなくなってしまった。
つまり、ゆかりがこれを拒否した場合、即座にこの『計画』は『中止』となってしまう。

こなたはゆかりの言葉を待った。

「んーとね、それについてこなたちゃんに聞きたいんだけど……どうして『駆け落ち』をしようって思ったの?」
「それは……」
こなたはそこに至るまでの経緯を詳しく説明した。
特に、今回の『計画』を決意させた父の言葉に対しては、事細かく、感情を込めて。

「そっか……」
一通り聞いて、ゆかりは溜め息を一つついた。
「で……ゆかりさんは……どう、思って、います、か?」
今にも消え入りそうな声で、こなたが聞いた。
その顔は、処刑宣告を受ける直前の罪人のように蒼白だった。
「そうねぇ……」
頬に手を当て、考え込む『ふり』をする。
ゆかりの心は既に決まっていた……が、それを口に出すにはまだ幾つか確認しなければならない事が有る。
「……もう少しだけ良いかしら?こなたちゃんは、『駆け落ち』した後……どうする予定なの?そもそも、どうやって『駆け落ち』するの?つかさちゃんは『監視』されているんでしょう?」
矢継ぎ早に質問が浴びせられた。
「……『駆け落ち』した後は……親の手が届かない場所……まだ未定ですけど……そこで暮らそうと……思っています。……『手段』は……まだ決まっていません……」
こなたは、とても小さく、絞り出すような声で答えた。
「成る程……」
そう言って、今度は本当に考え始めた。

―漠然とした計画は立ててあるのね……、でも……こなたちゃんだけじゃこの先は難しいかもしれないわねぇ……
「あの……ゆかりさん?」
―ううん、こなたちゃんじゃなくても、普通の高校生じゃこの『計画』を実行するなんて不可能に近いわね
「えぇっと……」
―あ、そうか。だったら『大人』が手助けをしてあげれば良いんじゃないの
「ゆーかーりーさぁーん!!!」
「はっ!はいぃぃ!!」
大声に驚いて目の前を見ると、こなたが少しむくれた顔をしていた。
「あ、ご、ごめんね~、ちょっと考え事しちゃった~」
「……もぉ……で、改めて聞きますけど……どう思っているんですかぁ?」
不安な中、随分と待たされたためか、少々棘のある口調で再びゆかりに聞いた。
「その事だけど……『両手を上げて』って訳じゃないけれど『賛成』するわ~」
「……お母さん、何故『両手を上げて』じゃないんですか?」
みゆきは不思議そうに聞いた、他の三人も同様に困惑の表情を浮かべている。
「何故って……完全に独立している訳でもないのに『駆け落ち』を『両手を上げて』認める大人はあまりいないわよ」
それもそうだと皆は思った。
自ら生計を立てている訳でも無い只の学生が『駆け落ち』を宣言するなど、通常では考えられない。
―じゃぁ、どうして『賛成』なんですか
あやのがそう問おうとした時、不意にこなたが口を開いた。

211:ナハト
10/11/09 22:24:58 nTj5HZrV0
「じ、じゃぁ、なんで『賛成』なんですか?」
その顔は先程以上に困惑していた。

「ん~、だって『個人の自主性』が大切でしょう?特にこういった事は……」
みゆきにはそれで全てがわかったらしい。
「そうですね……確かにそれは、とても大切ですよね」
「……あやのぉ、どーゆー事かわかる?」
「……全然、泉ちゃんは?」
「……同じく、何なんだろ……?」
小声で話す三人に、ゆかりが優しく話しかけた。
「『個人の自主性』ってのはね、我が家の『家訓』なの……」

―さっき外で聞いていた事と、今聞いた事から判断すると、今回の根源は双方の『親』が『子離れ』出来ていない事だと思うの
―高良家ではね、子供が十六歳を迎えた時から『一人の個人』として扱っているのよ
―これは、私がそうだったから、そうしているだけなんだけどね、お父さんもちゃんと了承してくれたわ
―だから、もしみゆきが何か困っていても本人が言い出さない限り、決して口出しはしない事にしているの
―……まぁ、実際には何かしらの『きっかけ』を与えたりするんだけどね

「……話が逸れちゃったわね。ええっと、だからね、こなたちゃんが自分で『決心』した事についてとやかく言うつもりは無いって事よ」
そこまで言って、ゆかりは一息ついた。
「はぁ……そうですか……」
「なんか……スゲーな、高良の家って」
「本当。私の両親なんか、未だにベッタリだもん」
三人共、呆気に取られていた。
それを見て、ゆかりは思わず顔を赤くして言い訳のように言った。
「そ、そんな大それた事じゃ無いのよぉ~、要は『親の意識』の問題なんだから」
「うーん、これは是非ともおとーさんに爪の垢を煎じて飲ませたい位だね」
「全くだ」
「本当ね」
こなたの意見に二人も同意した。
「それでね、こなたちゃん」
ゆかりが真剣な口調で話し掛けた。
「この『計画』を実行するには、子供達だけでは限界があると思うんだけど……どうかしら?」
こなたの体が一瞬震えた。
「そう……かもしれません……でも……これは……これだけは、絶対に実行したいんです!」
強い口調でこなたが宣言した、他の三人も強く頷く。
「そうよね~、だ・か・ら~、おばさんも仲間に入れて貰えないかなぁ~」
『へっっっ???』
一同の思考が思わず停止してしまった。まさかゆかりからそんな事を言われるとは、誰も思っていなかったのである。
「あ、あの、お母さん?それは一体?」
なんとか平静を取り戻したみゆきが、おずおずと聞いた。
「そのまんまの意味よぉ~、だって楽しそうじゃないの、頭の固い大人を懲らしめるのって」
「は、はぁ」
「それにね……さっきも言ったけど、大人の手助けは絶対に必要だと思うの」
「で、でも、ゆかりさんまで巻き込む訳には……」
「もう巻き込まれているわよ」
こなたの言葉を遮り、話を続けた。
「大丈夫、絶対にこなたちゃんの『計画』を成功させてあげる、私は嘘はつかないわ」
「じ、じゃぁ、どうやるんですか?」
あやのが思わず疑問を口にだした。
「……ま、まぁ、それはこれから考えるって事で……」
先程までの表情とは一転して、申し訳なさそうにゆかりが答える。
まさかそのような答えが返ってくるとは誰一人思っていなかったらしく、開いた口が塞がらなかった。
「ゆかりさん……いくらアタシでもさぁ、一応こういった事はちゃんと考えてから喋るようにしてるよ~」
「お母さん、日下部さんの言う通りです。事が事なんですから、ちゃんと計画を立ててから話して下さい」
みさおとみゆきに責められ、ゆかりは思わず体を小さくしてしまった。
―はぁ~、やっちゃったわ~。こなたちゃん、怒っているわよねぇ~
ゆかりが反省の念に駆られていると、こなたが二人をなだめた。


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