10/12/28 00:38:52 4TsXnTnR0
本拠地、横浜スタジアムで迎えた中日戦
降板後に中継ぎ陣が大量失点、打線も勢いを見せずムエンゴだった
スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「今年こそ１００敗だな」の声
無言で帰り始める選手達の中、昨年のムエンゴ王加賀は独りベンチで泣いていた
コンチネンタルカップで手にした栄光、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今の横浜で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいカロ・・・」加賀は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、加賀ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃカロ」加賀は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、加賀はふと気付いた
「あれ・・・？お客さんがいる・・・カロ？」
ベンチから飛び出した加賀が目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにベイスターズの応援歌が響いていた
どういうことか分からずに呆然とする加賀の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「カロカロ、守備練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返った加賀は目を疑った
「の・・・野村さん？」 「なんだｶﾛｶﾛ、居眠りでもしてたのか？」
「か・・・川村コーチ？」 「なんだ加賀、かってに川村を引退させやがって」
「佐々木さん・・・」 内川は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
１番：石井琢 ２番：波留 ３番：鈴木尚 ４番：ローズ ５番：駒田 ６番：中根 ７番：進藤 ８番：谷繁 ９番：加賀
暫時、唖然としていた加賀だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるカロ！」
三浦からグラブを受け取り、マウンドへ全力疾走する加賀、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・
翌日、ベンチで冷たくなっている加賀が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った