10/07/23 11:07:41 BISBUiYp0
とある平凡な一夫婦の一風景 ~ その2(前編) ~
前話は>>653を参照してください。
(前話653のSSの元ネタは私ではなく、あくまで652さんがお考えになったものです)
日が落ちた里山の小さな農家にて
夕食を終え、明日の買出しのための準備を夫婦二人でいろいろ相談しながら、
念のためもう一度大津での買出しのチェックをしている二人。
なにせ距離もあって時間もかかる上、
一つでも買い忘れると、後々なかなか面倒なことになってしまうのである。
剣心「うん、よし、これで明日の準備は整ったな。
………明日は大津まで下りて、なにか必要なものを色々買ってくる。
巴、あとは何かない? たとえば欲しいもの――とか。」
巴 「え………ほ、欲しいもの……ですか?
………い、いえ、お気になさらず。
それよりも、
夫のあなたの無事のご帰宅をお待ちしています。――それだけ、です。(ポッ)」
剣心「(頭をポリポリ)………あ、そ、そうか、ありがとう、巴。
………明日の留守、くれぐれも気をつけて。
あ、でも、本当に何もない? 最近、薬も売れはじめて少しは蓄えもある。
遠慮することはない。
俺も大津へ行ったらついでに、
なにか自分の欲しいもの一つ買ってこようと思っているんだ。」
巴 「(少し考えてから)………あ、そ、そう―ですか。」
剣心「ああ、だから、べつに遠慮はいらない。
………その、俺たち、一応その、夫婦(めおと)――だし。(カァァ)」
巴 「あ、は、はい、そうですね。(ポッ)
………わかりました。
では、私も一つだけ、贅沢を申しても、よろしい――ですか?」
剣心「(頷いて)………ああ、もちろん。
………さ、言ってくれ。――巴は、なにが欲しいんだい?」
巴 「え、その………では………に……を………」
剣心「え? ごめん、なんて言ったのかな?
よく聞き取れなかった――もう一度、言ってくれないかな?」
巴 「(少し気を落ち着けて)………は、はい、ごめんなさい。
………あの、笑わないですか?
その、じつは、その………べに………紅が、欲しい……です。(ポッ)」
そりゃ紅は、いつの時代も≪女の必需品≫ですから☆――つづく(後編へ)