10/01/05 13:22:40 CvyCOHkL
ようやっと規制解けた
スーパー咲世子さんタイム発動で山狗とかイチコロ(ry
もとい、時報救出作戦に近づくと事態も動いてきたって実感湧くね。
てなわけで今年も応援してます!
381:名無しさん@お腹いっぱい。
10/01/08 17:27:04 jAdHK8kr
久しぶりに来たら大分進んでた!
シャーリーはルルーシュにとって かなりの想定外になるだろうな。
>>1さん、のんびりでいいから完結させてねノシ
382:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/01/18 22:28:50 k48EGFOf
>>380,381
応援サンキュー
もう少ししたら投下するよ
ただいい加減スレも過疎ってきたし、少し駆け足で終わらせるかもしれないな
383:名無しさん@お腹いっぱい。
10/01/22 21:03:17 s4VQvJtr
/ ̄ ̄ ̄ \ ホジホジ
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\ mj |⌒´ /
〈__ノ
ノ ノ
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/⌒⌒⌒/ ..:::::::::::.. ヽ ピトッ
| | | { .::::::●::::: }
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ヽ ヽ ヽ `ー一'´
384:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/01/23 12:28:30 rWLV+5lg
目的の人物は思いのほかあっさりと見つかった。発見場所は古手神社の奥にある祭具殿だ。
富竹はそこで中腰になり、祭具殿の扉の錠前をいじり回していた。彼の脇にはその様子を眺める鷹野の姿があった。祭具殿に不法侵入でも企てているのだろうか。
「二人とも探しましたのです」
梨花が声をかけると、二人はびくりと身体を震わせ、反射的に振り返る。
「あら梨花ちゃん、こんにちは」
鷹野は内心の動揺を押し隠すように落ち着き払った様子で言葉を返す。なかなかの役者のようだ。
それに対して、富竹は帽子を深く被る仕草をして気まずそうに俯いてから口を開いた。
「梨花ちゃん……こんにちは。失礼だけど、そちらの彼は誰だい?」
「彼はルルーシュ・ランペルージ。僕の大切な仲間なのです」
「ほら、ジロウさん。前に、この村にブリタニア人の兄妹がいるって話をしたことがあったじゃない?」
梨花の紹介に鷹野が補足を加える。富竹はそれを聞いて表情を和らげた。
「ああ、君がルルーシュくんか。話は聞いているよ。なかなか聡明な子だってね」
「恐縮です。そういう貴方は富竹ジロウさんでよろしいですか?」
「僕の名前を知っているのかい? はは、最近越してきたばかりのはずの君に知られているなんて、僕も有名人になったものだね」
「有名は有名でも、富竹は毎年綿流しの季節になると雛見沢にやってくる全然売れないフリーのカメラマンとして有名なのです☆」
「あはは、きっついなあ」
猫かぶりモードの梨花の毒舌に富竹は頭を掻いて苦笑した。
そんな談笑の最中、鷹野がその流れを切るかのように言葉を吐いた。
「それで、梨花ちゃん? 私たちを探しているって言っていたわね。どんな用件なのかしら?」
俺と梨花は話を切り出す覚悟を決め、視線を合わせて頷いた。
まずは俺が代表して口を開いた。
「では単刀直入に言います。用件はこの村に蔓延する風土病、雛見沢症候群についてです」
その言葉を捉えるなり、富竹と鷹野は先日の入江と同じような表情を見せた。
それから富竹は不器用に惚け、鷹野は警戒心と敵意が入り混じった瞳でこちらを見据えてきた。
「な、なんのことだい?」
「惚けないで結構です、富竹さん。話は全て梨花から聞きました。ですから大体の事情は知っているつもりです」
「小此木!」
鷹野が吼えるように誰かの名を呼ぶ。すると鬱蒼と生い茂る木々の間から数人の男たちが飛び出してきた。
「お呼びですかい、三佐」
突如現れた男たちの一人、小此木と呼ばれたリーダー格の男が面倒そうに鷹野に訊ねる。
「ええ、呼んだわ。その少年を速やかに拘束しなさい」
「鷹野さんっ、山狗を出すなんて!」
「ジロウさんは黙ってて。小此木、早くなさい」
「はいはい了解です、っと」
小此木が声を発すると男たちは素早く俺を取り囲み、流れるような動きで俺の身体を組み敷いた。
385:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/01/23 12:30:53 rWLV+5lg
「ま、待ってくださいなのです! ルルーシュはっ、」
「駄目よ、待てないわ。機密が外部の人間に漏れれば、それを何とかするのが私の仕事だもの。でもルールを守らなかった梨花ちゃんがいけないのよ」
「鷹野!」
梨花が鷹野の服を掴んで訴えるが、鷹野はそれを冷酷に突き放す。梨花は双眸に涙を溜め、俺の傍らで尻餅をついた。俺はそんな梨花を安心させるために小声で呟いた。
「……心配するな梨花、これは想定内の事態だ」
「え?」
梨花がきょとんとするのが早いか俺は鷹野に言ってやる。
「鷹野さん、俺を殺して口封じでもするつもりですか?」
「そうね、残念ながらそうなるわ。だけど恨まないでね、ランペルージ君?」
「それは無理な相談ですが―本当にこのまま俺を殺していいのですか?」
「どういうこと、かしら?」
怪訝そうな表情を浮かべつつも鷹野が話に乗ってきた。よし、これで条件はクリアされたも同然だ。内心ほくそ笑む。
「仮に俺が死ねば、俺が知る全ての雛見沢症候群に関する機密事項がネットを介して自動的にブリタニアの軍基幹コンピュータへとアップロードされる仕組みになっているんですよ」
「……馬鹿ね。ならば貴方を始末した後に貴方のおうちのパソコンを壊してしまえばいいだけの話、違うかしら」
「ふっ、ぬるいな」
「なんですって?」
俺が不敵そうに鼻を鳴らすと、鷹野は不快そうに眉をひそめた。
「無駄だと言っている。パソコンは東京租界のとある漫画喫茶のものを使用した。そこの数台に自作のスパイウェアを仕込み、24時間に一度、機密ファイルがブリタニア軍へ転送されるように仕向けてある。
アップロード開始3時間前に逐一俺のパソコンからパスワード認証及び声帯認証を行わない限りアップロードは防げない。
ステガノグラフィーを利用し、機密ファイルは一時的にシステムファイルに紛れているため、通常使用での判別は不能かつ削除も不可。
さらにスパイウェアは極めて無害故にネットワークを通して急速に感染拡大し、数日も経てば東京租界中に広まる手筈となっている」
「……貴方、何者……?」
鷹野が初めて狼狽の色を見せる一方、俺は落ち着き払った様子で微笑を浮かべた。
「別に、ただの学生ですよ」
「小此木、彼を立たせてやりなさい」
鷹野の命令に従い、男が俺を助け起こす。
俺は立ち上がると服をパタパタと叩いて汚れを落とした。土ぼこりが静かに舞う。
粗方汚れを落としてから鷹野を見据える。鷹野はそれを待っていたかのように訊ねてきた。
「何が目的なの?」
「別に脅迫するつもりはありませんよ。二人に梨花の話を聞いてもらいたいだけです」
「話ですって?」
「ええ、そのお願いを聞いてくれるならスパイウェアは直ちに無力化させましょう」
「そんな約束、信じられないわ」
「疑って結構です。こちらもスパイウェアを止めた後で貴方によって鬼隠しにされる可能性を疑っている。これは信頼とは程遠い打算による契約であり、両者が動けないようにする枷ですから」
そうだ、疑え鷹野。疑えば疑うほど思考の泥沼は貴様を最も愚かな選択へと引きずり込むだろう。
全てはブラフ―。そのようなプログラムなど初めから存在しない。作成は可能ではあるが、それには相応の時間がかかるからだ。俺にはその時間がなかった。
つまりは陳腐な虚言とでもいうべきか。
ふっ……だがそうだとしても鷹野、貴様は易々と嘘を断定できるほど軽率な間抜けではないのだろう?
喜べ、その躊躇が俺にプログラムを作成する隙を与えるのだ。
「っ……」
舌打ちをする鷹野の脇で、今までずっと沈黙を守っていた富竹が声を発した。
「鷹野さん……僕らの負けだ。条件を飲もう」
「……でもジロウさん」
「ここは彼を信じるしかない。一時の感情で動いては駄目だ。契約に従おう」
「…………。……分かったわ」
富竹に説得されてようやく鷹野は折れた。
ここまでは計画通りであるが、仮に計画に沿わなくても俺にはギアスがあった。鷹野が軽率な間抜けだったとしても何も問題はなかったわけだがな。
「……富竹、鷹野。では今から話しますので心して聞いて欲しいのです」
「待て、梨花。その前に――」
梨花の肩に手を置いて制止の言葉をかける。そして、俺は不自然にならないよう言葉に気をつけて絶対遵守のギアスを開放させた。
「お二人にとって、梨花の話は到底信じられないことかも分かりません。ですがそれでも、"梨花の言葉を全面的に信じてやってくれませんか?"」
――。
――――。
………………。
386:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/01/23 12:35:20 rWLV+5lg
「……ああ、構わないよ」
富竹の瞳がギアスにかかったとき独特の虚ろなものへと変わる。
「では頼む。梨花」
「はいですっ」
我慢の限界だったのか梨花が畳み掛けるように話し出す。
富竹と鷹野が綿流しの晩に殺されること。
その数日後、梨花自身が殺されること。
動機が滅菌作戦を引き起こして園崎家を殲滅することであり、黒幕はキョウト六家であること。(勿論、実行犯として鷹野が怪しいという話はしていない。)
梨花がそれら全てを話終えると富竹は静かに口を開いた。
「なるほど、状況は分かった。滅菌作戦はキョウト六家全体の総意ではないはず、上に掛け合って番犬部隊の要請をしてみよう」
「ちょっとジロウさん! こんな子供の言うことを真に受けるの?!」
「ああ、これが事実であるなら由々しき事態だ。僕と鷹野さん、そして梨花ちゃんの警護には、番犬でも随一の実力を持つ精鋭中の精鋭を当たらせよう」
「たしかに……でも! それでも番犬はやりすぎだわ! 私たちには山狗がいるのに、一体どうしたというの?!」
酷く動揺して富竹の説得を試みるのは鷹野。
しかしながらその様子を見ても富竹は彼女の説得を一蹴に付した。
「鷹野さんは少し黙っていてくれ。僕は梨花ちゃんの言葉を信じているんだ、これは現実に起こりうる話だって。では梨花ちゃん、そういうことで構わないね?」
「はいなのです!」
鷹野を蚊帳の外にして話が纏まりかけたところで俺は徐に首を横に振った。
「いえ、鷹野さんの言うことももっともな話かもしれません。あまり大げさに動いてもらってもし実際に起こらなかった場合に申し訳ない」
「ルルーシュ、何を言っているのです?!」
予定にない展開に梨花が困惑して叫び声を上げる。それを無視して鷹野に視線を向けた。
「鷹野さん、山狗というのは俺を瞬時に拘束した彼らのことですね?」
「ええ、そうよ」
「ならば護衛として十分な戦力です。番犬部隊は必要ありません。梨花もそう思うだろう?」
納得のいかない表情を見せる梨花だったが、俺が目配せするとようやく首を縦に振った。
「え、ええ……。ルルーシュがそういうのならそれでいいのです……」
「ですってジロウさん? 番犬は必要ないそうよ?」
鷹野はそう言って安堵の表情を見せる。
「そうかい? 梨花ちゃんがそういうのなら大丈夫かな? では警護は山狗に任せることにするよ」
富竹には梨花の話を信じるようギアスがかけられている。従って梨花の言い分が変われば、富竹の意見も柔軟に変移するのが道理だ。
「ではよろしくお願いします」
「了解、用件はそれだけかい?」
「はい。では綿流しの日はくれぐれも気をつけてください」
「分かった、十分に気をつける。では失礼するよ」
富竹と鷹野が踵を返し、静かに立ち去っていく。それに呼応するように山狗も林の中へとすっと溶けていった。彼らの気配は今やほとんど感じない。
だが周りにはまだ山狗が残っているかもしれない。それを察してか、梨花は声を抑えて訊ねてきた。
「ルルーシュ、なんで番犬は必要ないなんて言ったのよ?」
「うろつかれると邪魔だからだ」
「邪魔? ……まあいいわ、あんたのことだから何か考えがあるんでしょうし、それに山狗の警護も鷹野に取り付けることができたしね」
「おめでたいやつだな。だからお前は逃れられない絶対の運命なんてものを簡単に信じるんだ」
「え?」
振り返って手を振る鷹野と富竹に笑顔で手を振り返しながら、俺は梨花にだけ届くように言った。
「鷹野は敵だ」
387:名無しさん@お腹いっぱい。
10/01/23 12:46:45 6nNK6yVp
敵だ!
388:名無しさん@お腹いっぱい。
10/01/28 00:17:20 CZq9E8dq
乙!!そして規制解除!!
389:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/02/13 11:31:14 PuU9DafQ
【15】
「ちょっと……鷹野が敵ってどういう意味よ?」
「分かりきったことを聞くな、お前を殺す犯人はアイツなんだよ」
唐突に鷹野が実行犯だと断定され、梨花は驚きを隠せないようだった。
この場できちんと説明をしてやりたいが、周りにはまだ山狗が潜んでいる可能性がある以上ここで全てを伝えるのは難しい。
「そういえば朝食がまだだったな。梨花、お前の家で何かいただくことにしよう」
「……もう、勝手に決めて。まあいいけど」
梨花の同意の元、彼女の住まう防災倉庫へと場所を移すことにした。
玄関口を開けると人の気配がない。当たり前か、ここでは梨花と沙都子が二人で生活していると聞いている。沙都子は今、鉄平の件で入江診療所に入院しているわけだしな。
防災倉庫の二階に上がると、梨花はすぐに出来るからと言葉を残し、まっすぐ台所に向かって朝食の準備を始めた。
一方、俺はその合間に診療所と同じように盗聴機の有無を確認していた。
二人での食事を摂り終えると、梨花は堰を切るように問い質しにきた。
「それで、ルルーシュ。一体どういうわけなの? 何故鷹野が犯人だと分かったの? 番犬部隊が必要ないってどういう意味?」
「待て、順を追って説明してやる。それよりもこの家は客人にお茶も出さないのか?」
「……っ、梅昆布茶でいいかしら」
梨花はこめかみを引くつかせながら冷静を装って言う。俺はそれに対し少しばかり横柄な態度でこう返した。
「まあそれでいいだろう」
390:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/02/13 11:33:05 PuU9DafQ
「まったく、図々しく朝食を催促したかと思えば失礼な客人だこと」
梨花は苛立ちながらも二人分のお茶を入れて戻ってくる。湯のみをテーブルに置くと、再び先ほどの質問をしてきた。
「で、どういうわけなのかしら?」
「まず俺のギアス能力についてだが、お前は俺の力をどんなものだと思っている?」
「そうね……最初は異性を魅了するようなギアスかと思っていたけれど、同性の富竹に使っていたようだからどうやら違うみたい。でも対象に命令を強制させるという能力で間違いはないわよね?」
「ああ、俺のギアスは絶対遵守の力。どんな人間にも拒否不可能な命令を一度だけ下すことができる」
梅昆布茶とやらを一口啜る。む、不快ではないものの妙な味がするな。
「一度だけなの?」
俺が梅昆布茶の味に首を傾げていると梨花が不思議そうに聞き返してくる。
「ああ、俺の能力は対象一人に付き、たった一度きり。だが、それ以外にも俺の能力が効かないケースが存在する」
「それは?」
「一つ目は物理的に無理な命令を下した場合。二つ目は使う意味のない命令を下した場合だ」
「えっと。一つ目は分かるけど、二つ目は一体どういう場合かしら?」
「例えばそうだな……今、お前は右手に湯飲みを持っている。その状況下で"右手に湯飲みを持て”とギアスで命令を出した場合どうなると思う?」
「なるほど、それが意味のない命令ね? だけどその話がさっきの私の質問に何の関係があるのよ」
「関係大有りだ。実は先ほど富竹にギアスをかけた際、同時に鷹野にもギアスをかけた」
「なんですって? だって、」
「そうだ。にも関わらず鷹野はお前の話を信じていなかったように見えた。これをどう考える?」
「どうってそりゃ……鷹野にギアスを使うのが二度目って訳じゃなさそうだし? かといって物理的に無理って訳でもないだろうし、だとしたら残すは意味のない命令だったってことになるわね。でもそれってちょっとおかしくない?」
「何もおかしくはないさ、鷹野は心の底ではお前の話を信じていた。それもお前の話が現実に起こる事象だと断定できるレベルでな。それ故にギアスは無効化されたに過ぎない」
「えーっとつまり? 鷹野は私の話を信じてたけど信じていない振りをしていたってことになるわよね? あれ?」
首を捻る梨花。まあややこしい話だから当然の反応かもしれない。埒が明かないので仕方なしに答えを教えてやることにした。
「そんな妙な態度を取ったのは鷹野が実行犯だからだ。信じるも何も自らの起こす犯行計画だ、知らないわけがないからな」
「なるほど! だから貴方は鷹野が犯人だと確定することが出来たのね、流石ルルーシュ――って貴方、それが分かっていてなんで番犬部隊の派遣を断ったのよ?!」
得心がいって手をぽんと叩いたと思えば、梨花は手のひらを強く卓袱台に叩き付けた。その衝撃で湯飲みの液面が大きく揺れる。
「お前の言い分はもっともだ。だがあのまま番犬部隊が警備に来てどうなる?」
俺はゆっくりと茶を啜りながら梨花に問う。すると彼女は興奮が収まらないまま俺の質問に答えた。
「どうなるですって?! ふざけないでっ、番犬がいれば鷹野は身動きが取れなくなって惨劇は回避される! 何も起こらないまま綿流しの祭が過ぎ去り、私は未来を掴むことができた!」
「では再び問おう、お前が望む未来とはどんなものだ。朝から晩まで警護という名の元に、監視をされ続ける不自由極まりない生活を送ることなのか」
「あ……」
どうやら彼女も俺の言わんとしていることが理解できたようだ。梨花はようやく冷静さを取り戻し、短く声を漏らした。
「分かったな。番犬を利用して一時的な平穏を手に入れても何の解決にもならない。逃げずに戦わなければ、いずれまた命を狙われることになるんだよ」
「でも鷹野が犯人ってことは普通に考えて山狗も敵よね……?」
「お前の気持ちも分かる。だが立ち止まっても何も進展しない。まずは信頼できる人間を集めよう」
「……そうね」
梨花は重く頷き、それから梅昆布茶を一気に飲み干した。
現時点で信頼できうる人間はあまり多くはない。
ならば頼らざるを得ないな、俺たちの仲間を。
391:名無しさん@お腹いっぱい。
10/02/13 21:33:02 ljaol4zX
乙☆
392:名無しさん@お腹いっぱい。
10/02/13 22:37:31 nv2lyLuV
黒の騎士団か
393:名無しさん@お腹いっぱい。
10/02/14 00:30:22 y/ALriym
乙
黒の氣志團を指すか?違うような…
394:名無しさん@お腹いっぱい。
10/02/15 08:21:56 x7MpfoK3
>>1さん
乙です!1日遅れだけど、チョコレートどうぞ
つ★
続き楽しみにしてます
395:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/02/15 22:01:11 7legPV4B
コメさんきゅー。
毎度遅くてすまん。
>>392,393
仲間は部活メンバーのことで、黒の騎士団は出さない予定。
つか出したくても人物が多くて書ききれない罠
>>394
チョコなんて人生で二回しかもらったことねーぜ。気持ちだけさんくす!
続き早く出せるようにがんばる
396:名無しさん@お腹いっぱい。
10/02/17 22:29:19 5FLhDSBR
おお、まだがんばってるんだな。何とか完結して欲しいぜ
397:名無しさん@お腹いっぱい。
10/02/26 02:23:22 P+U/uC5M
保守あげ
ここまできたら最後まで読みたいぜ
398:名無しさん@お腹いっぱい。
10/02/26 07:12:59 aTYYUpRs
期待
399:名無しさん@お腹いっぱい。
10/02/28 01:21:22 R1Nu72LM
のんびり
400:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/04 15:56:16 7Za6SIPX
支援
401:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/05 07:18:42 ZZ4dbONl
気長に期待あげ
402:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/05 07:22:43 WHVAi12x
まちまち
403:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/09 17:13:28 nvz6K4z7
ゆったり
404:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/10 13:48:58 rbGr0FMH
まったり
405:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/11 08:58:18 ka41YLCp
とっても面白いです^^
ギアスとひぐらしは今も昔もはまってるのでこういうssがあってうれしいです
がんばって完結して下さいっ応援してます
406:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/11 19:05:30 l6FfQYBX
なんだかんだでがんばってるなあ
407:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/11 19:26:04 QiB8LlU0
更新遅いけど続き楽しみだよね
408:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/03/12 23:08:10 3xMTKmUo
悪い、待たせた。
最近週一の休みしか取れてなくて執筆の時間と精神的余裕が若干なかったわ。
……とちょっと愚痴零しかけたけど投稿する。
409:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/03/12 23:30:01 3xMTKmUo
やはり一番の味方と考えられるのは魅音たち部活メンバーだろう。戦力としては若干物足りないが、そのデメリットを上回る程の信頼がある。
逆に山狗は戦闘能力こそ申し分ないが、彼らは鷹野の手駒であり信用に欠ける。山狗がシロで鷹野の単独犯という可能性もないわけではない。が、だからと言って羊の番をわざわざ狼にやらせる愚を冒せるはずもない。
魅音とレナと沙都子の三人、そしてスザク―これだけでは駒が足りないように思う。他には味方になってくれる人間はいないだろうか?
信頼という観点から見れば、今や俺のほうにはC.C.ぐらいしか思い当たらないが……。
「魅音たちに協力を求めるのは確定だとして、後もう少しだけ味方が欲しいところか?」
「そうね、入江なんかはどう?」
「いや、入江はよそう。確かに彼のおかげで貴重な情報を得られたのは事実だが、今回の件に関して言えば、正直あまり助けになりそうにない」
梨花の提案に俺はゆっくりと首を横に振った。
「それに入江は嘘や隠し事が苦手そうだ。下手をするとこちらの尻尾をつかまれる恐れもあるからな」
「入江が駄目なら他に誰か心当たりは?」
「そうだな―」
呟きながら視線を脇に流した丁度その時、梨花の家のアナログ電話がジリリと騒がしく鳴り出した。
「ちょっと待ってて」
梨花は一言断ると今時珍しいアナログの黒電話へと向かい、その無駄にサイズの大きい受話器を掴んだ。
相手は魅音やレナだろうか。であればこちらから連絡を取る手間が省けるのだが。そんなことを考えていると、梨花がこちらに視線を送ってきた。
「ルルーシュ、あんたによ。咲世子さんから」
「咲世子から?」
一体何の用だろう? 怪訝に思いながらもずしりと重い受話器を受け取って返事をする。
「もしもし、ルルーシュです。どうしました?」
「ルルーシュ様? 大変です、ナナリー様が!」
「ナナリーが一体どうしたんですか?!」
問い詰めると咲世子は酷く取り乱した様子でナナリーがいなくなったことを告げた。それを聞くなり身体中に戦慄が走る。
「少し目を離した隙にナナリー様の姿が見えなくなって、妙な手紙だけが残されていたんです! ああ、なんてこと!」
「落ち着いてください、咲世子さん。……その手紙にはなんと書かれていたんですか?」
咲世子がショックで声を震わせたまま手紙を読み上げる。
***
妹は預かった。
返して欲しければサクラダイト発掘現場のゴミ山に独りで来ること。
他言は無用。
***
410:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/03/12 23:31:24 3xMTKmUo
「―差出人はマオを名乗っています……」
「マオ、だと……」
「ルルーシュ様、何か心当たりでも?」
「いや……ないですね」
内心の動揺をひた隠して否定の言葉を口にする。
馬鹿な……。マオは確かC.C.の放つ銃弾によって頭を打ち抜かれ絶命したはずだ。生きているわけがない。
だがしかし、ナナリーを攫う理由がある人物はアイツだけしか思い当たらない。まさかやつもC.C.と同様に不死の身体を持ち、今も尚俺を嘲笑うかのように平然と生きているというのか?
いや、だとしたらC.C.が何かしら言うだろう……。それともC.C.に謀られた?
違う、それはありえない……。C.C.の言う願いをまだ俺は叶えていない。この状態で裏切ったとしても得は何もないはずだ。
従って現時点では何者かがマオを騙っているとしか考えられない。だが一体誰が?
鷹野はマオを知らないだろう。つまりこの件に関してはシロ。
では俺とマオの関係を知り、俺がこの雛見沢に転校したことを聞いている人物は……?
「……そんなことはどうでもいい。今は……」
独りごちると、咲世子に対しこの件は自分に全て任せるように言い聞かせて受話器を置いた。そして玄関に繋がる階段へと足を急がせる。
「ルルーシュ、何かあったの?」
ただことでない雰囲気を感じ取ったのか梨花が緊迫した面持ちで訊ねてくる。
……他言無用と言っていたが、梨花ぐらいにはいいだろう。幸い盗聴機等の有無は確認済みだ。
「ナナリーが攫われた」
「なんですって?!」
「だから、これから犯人の指示に従って行動する」
「私も行くわ!」
「お前は来なくていい。独りで来いという犯人からの要求だ」
「でも、」
渋る梨花を少し語気を荒くして諭す。
「馬鹿が、お前は他人の問題に構っているほど暇なのか? 違うだろ、お前はお前がすべきことをやれ」
「私がやること……?」
「朝のうちに電話でスザクを呼んでおいた、まもなく雛見沢に到着するだろう。スザクに全てを打ち明けて協力を求めろ。それから―」
魅音たちを呼んでスザクと同様に彼女らの協力も求めるよう梨花に促して、俺は足早に防災倉庫を後にした。
411:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/03/12 23:33:50 3xMTKmUo
犯人の要求通りサクラダイト発掘現場に独りで赴く。
高く詰まれた幾つものゴミ山を乗り越えて、その影に隠れた平地へと降り立つ。
そこには案の定マオはいなかった。ただ少女が独りぽつりと俺を待っていた。
ゴミ山にて決してその場に似つかわしくない燈色の美髪を靡かせる彼女は、果たして俺のよく知る人物だった。
少女は俺にとってたぶん一番大切な友達であり、それ故に繋がりを絶ったはずの――。
「シャー、リー……」
俺は思わずかつてのクラスメートの名前を呟いた。
一方、彼女はまっすぐと俺の目を見て徐に口を開いた。
「ルルーシュ、手紙の指示通りに一人きりで来てくれたのね」
「お前がナナリーを……。そうなのか、シャーリー……」
「うん、そうだよ」
そう答えるシャーリーの口元は綻んでいたが、目は僅かにも笑っていなかった。
「一体どうしてこんなことを」
「自分の胸に聞いて、ルルーシュ。いえ、ゼロ」
強い眼差しで俺をまっすぐと見据え、吐き捨てるようにシャーリーは言う。
「シャーリー……記憶が戻ったのか……?」
動揺する俺の質問にシャーリーは答えない。彼女は肩を竦ませるだけだった。
だがそれでも諦めることなく矢継ぎ早に言葉を紡ぎ出す。
「狙いは俺だろう、ナナリーは関係ない!」
「くすくす。関係、あるよ。だってナナちゃんは貴方の大切な妹だもの」
「ああ……認める。ナナリーは俺の大切な妹だ……。だから頼む、ナナリーを返してくれ!」
俺の悲痛な訴えにも関わらず、シャーリーは眉一つ動かさず冷たく残酷な言葉でもって俺の背筋を凍らせる。
「残念だけど、もう遅いわ」
「な、んだと……? それはどういう意味だ!」
「……貴方には私と同じ悲しみと憎悪を味わってもらう」
「お前……まさか…………」
そんな、ナナリーがもう既に――されているなんて。まさかそんな、そんな馬鹿なことがあってたまるのものか……。
言葉にならない絶望と恐怖がゆっくりと心を締め付ける。
俺は自分の読みを否定するように、一抹の希望を紡ぐように、無意識に首を横に振る。
だがしかし、シャーリーの無味簡素な声によって俺の希望は儚くも打ち砕かれたのだった。
「貴方はお父さんをナリタ山で生き埋めにした。だからそのお返し。貴方も……大切な人がいなくなる悲しみが少しは理解できたかな。ねぇ――ルル?」
「シャアァァリィィィィィッッッ!!」
気づけば俺は眼前の仇の名を叫びながら、その首へと向かって二の腕を突き出していた。
412:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/13 11:46:58 +fNLokei
ナァ~ナァリ~~~~~~!!!!
こんな展開ってぇ・・・・
413:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/14 00:01:52 PTLaiyXU
過疎
414:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/14 00:07:04 lTu4ae4M
支援
415:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/14 00:13:45 GS5XAaq5
馬鹿……な…!?
416:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/14 02:02:59 GS5XAaq5
記憶完全に戻ってれば仇の件飲み込んでデレるのに~(涙
417:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/14 08:02:26 hTKvBQir
規制つづきでなかなか乙できないのがもどかしい!
ちょこちょこのぞいて楽しみにさせてもらってます。
ぼちぼちでも最後までまってるよー
418:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/25 16:56:40 x2qitCOv
シャーリーヤンでるよwww
ヤヴァイよ・・・・ギアス的にどうよ この展開は・・・・
でも楽しみに待ってます 心から応援してます~!
419:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/25 16:59:02 sObq7AIj
おおッ!!!
420:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/27 14:51:22 85Ynlrcz
とりあえず、乙
421:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/28 12:26:42 uIReCxhK
ゼロ出ないかな~
422:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/03/29 20:20:22 90Lv1psf
俺の両の手がシャーリーの首へとかかり彼女は苦悶の声を上げる。苦しいという気持ちが痺れるように徐々に腕を伝い昇ってくるのが分かる。
このまま後数十秒も締め付けていれば目の前の少女の命はあっけなく止まってしまうだろう。それだけで俺はナナリーの仇を討てた。
そのはずなのに、俺は自然と彼女を開放していた。
シャーリーは肺に新鮮な空気を送り込みながら息も絶え絶えに言った。
「……どうして止めるの」
シャーリーにとってみればそれは当然の疑問。だが俺からしてみれば決してそうではなかった。
撃って良いのは撃たれる覚悟のあるやつだけ、俺は今までそう自分に言い聞かせて生きてきたからだ。だから分かる。俺の怒りはシャーリーの怒りでもあったのだ。
俺が誰かの大切なものを奪えば、俺も大切な何かを失ってもそれは至極当然の帰結なわけで……。
「私はナナちゃんを殺したのにどうして? 私が憎くないの」
「…………」
憎くないかと問われれば憎い。だが母親を殺した犯人を探し出して復讐をしようとしている俺がシャーリーに対して何を言えるだろうか。
何よりシャーリーは俺の大切な人だった。大切なものを失ってそれで今度は自らの手で大切なものを壊してしまったら、俺は自分を許すことができなくなってしまうから。
だから俺はシャーリーを殺すことができなかった。
「分かった、自分で手を下すのが怖いんでしょう?! だから殺せないんだ!」
シャーリーは唇を震わせてそう言い、俺の服を強引に掴む。それを振り払うこともせず、俺はされるがまま別のことに思いを馳せながら、ただ呆然と立ち尽くしていた。
どうして俺は未だこうして生きている? 最愛の妹がいなくなったその時点で、俺の生きる目的はとうになくなってしまったというのに。
ああ、そうか……分かった。俺の最後の役割が。
「シャーリー、お前を殺さない理由を教えてやろうか?」
「え?」
「フッ、それはな……お前が俺にとって取るに足らない存在だからだよ……ッ!
お前の言う通り、俺の正体は日本を解放に導く偉大な革命家ゼロ! だがそれに対しお前は支配されるだけの矮小無力な女に過ぎない! 従って、殺す価値などただの一遍もないのだよ!」
「……ルルーシュ、まさか貴方は……?」
シャーリーが俯き加減だった顔を上げる。それを見計らって、俺は高らかに嘲笑って言葉を続けた。
「くっくっく、覚えているかシャーリー? 父親が死んだ時お前は俺に泣きついたんだ。その泣きついた相手が父親を殺した張本人とも知らずにな!」
「やめて、ルルーシュ……やめてよ」
嫌々とばかりに頭を振るシャーリーを尻目に俺は平然と踵を返す。彼女に対して無防備な背後を見せつける形で……。
「見ていて面白かったぞ。お前は俺を楽しませるための滑稽な道化だった。ありがとう、お前は本当にいい暇つぶしになったよ、あっはっはっは!」
「ルルーシュッッッ!」
シャーリーが俺の背中目がけて飛びかかってくるのが分かる。
そうだシャーリー、お前の憎い相手はここだ。殺せば楽になるというのなら殺せばいい。
そしたらすべて忘れて、俺が好きだったあの頃の君に――。
423:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/03/29 20:27:06 90Lv1psf
Turn of Hinamizawa Village ― Rika side
ナナリーは大丈夫だろうか。
私はルルーシュの親友スザクと電話で呼び出した仲間たちを待ちつつ物思いに耽っていた。
ルルーシュが防災倉庫を飛び出てもう十数分経つ。
やはり無理を言ってでも私も着いて行ったほうが良かったのではないか。何度もそんな不安にかられる。
だが私がいてどうなるものでもないとその都度思い直し、もはや頭の中はぐちゃぐちゃに煮込んだシチュー鍋のようになっていた。
思い悩んでいるうちにも時間が流れ、ついに玄関の呼び鈴が鳴った。
両頬をぴしゃりと自らの掌で打ち、頭を切り替える。
……ルルーシュの言う通りだ。今は自分のことだけを考えろ。
仲間たちに私の話を信じてもらい、この惨劇を終わらせる。ここが正念場なのだ。
皆は信じてくれるだろうか? よもや冗談半分で流されないだろうか……。そんな弱気な考えを切り捨て、玄関を開ける。
玄関の扉を開けると、そこにはスザクが立っていた。先に魅音たちが来てくれるとばかり思っていただけにぎょっとする。
「どうもこんにちわ……古手梨花ちゃんのお宅で、いいのかな?」
「はいです、貴方がスザクなのですか?」
「うん、そうだよ。よろしくね。君は梨花ちゃんで間違いないかい?」
スザクとはこの世界では初めてだが、以前の世界では何度か綿流しの当日に会ったことがある。
そういえば、彼に幾度か助けを求めたこともあったっけ。あれは苦い思い出だった。
スザクは真摯に私の話を聞いてくれたけれど、結局毎回鷹野の通常業務(機密保持)によって消されてしまっていた。
彼は強い力を持っているのは間違いない。だがそれに見合う経験が足りていなかった。
綿流しの当日から私が死ぬまでの僅かな期間では焦りたくなる気持ちも分かるが、彼はスピードを重視するあまりやりすぎた。情報収集の際、いつも引き際を誤って命を落としていたのである。
大変失礼な話だが、私にはそれが死にたがっているように思えたので、酷くやさぐれていた頃の私は陰で彼を死にたがりと呼んでいたことがあるぐらいだ。
勿論、本人には内緒なのだけれど。(余談だが、ルルーシュのほうは頭でっかちの無能呼ばわりしていた。)
そんなこともあって、以来スザクに話すのは控えていたのだけど……きっと今度こそは大丈夫だろう。
今回の味方は彼一人ではない。今までどうしても力になってくれたことのなかったルルーシュがいる。ううん、彼だけじゃない。魅音やレナ、沙都子たちもいるのだ。
ふと、人は助け合って強くなれると誰かが言っていたのを思い出す。
以前の私はそれを戯れ事だと嘲っていたけれど……今回は、見誤らない。
悲劇なんて知るもんか、惨劇なんて知るもんか。きっと今度こそ、悪魔たちの考えた脚本など打ち破り、私は私が納得いく決着を付けて見せよう。
424:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/03/29 20:27:55 90Lv1psf
「えっと……梨花ちゃん、だよね?」
「あっ……そうなのですよ。初めましてなのです、にぱー☆」
スザクと会話中だったことを思い出し、慌てて言葉を返す。
「早速だけど上がらせてもらっていいかな?」
「どうぞなのです」
スザクを防災倉庫の二階に招き、お茶の用意をする。
入ってすぐ彼も盗聴器の有無を確認しようとしていたが、ルルーシュが既に行っていることを伝えると安心して腰を下した。
「じゃあ……真相を聞かせてもらうよ、いいね?」
「はいなのです。けど、一緒に話を聞かせたい人たちがいるので、しばらくの間待っていてもらえますですか?」
「それは信用できる人たちかい?」
「僕の友達なので心配はいらないのです」
「そっか。そういうことなら待たせてもらうけど、一つ聞いていい?」
差し出したお茶を丁重に受け取ってスザクは訊ねてくる。
「なんなのです?」
「ルルーシュはいないのかい?」
「えっと、彼は……急用を思い出したとかで少し前に出て行ってしまったのです」
スザクにはナナリーが攫われた事実を伝えたほうが良かっただろうか。
少し考えて止めておくことにした。スザクには自分の話を聞いてもらわなくてはいけないのだ。ルルーシュのほうへ向かわせるわけにはいかない。
そもそも今はどこにいるかも分からない状況だ。無駄足になる可能性が高い。ここはルルーシュを信じるしかない。
「そっか。彼は元気かな? ほら、最近は電話で連絡を取り合うぐらいだからさ」
……ルルーシュは大丈夫だろうか。
大丈夫だ……大丈夫。ルルーシュなら上手くやってくれる……。
不安を誤魔化すかのように私はスザクへと冗談交じりに言葉を返した。
「もちろん元気なのですよ。この前なんかウェディングドレスで村を練り歩いたぐらいなのです、にぱー☆」
「あはは、どういう経緯でそうなったのか知らないけど、それはきついね」
スザクは苦笑してお茶を一口啜る。それに倣い、私も湯呑みに口を付け、彼に雛見沢でのルルーシュの生活を教える。
部活やその罰ゲームでのこと。沙都子が叔父に連れて行かれた時助けてくれたこと。そして今も真剣に私の話を聞き、共に行動してくれていること。
スザクが聞き上手なのもあってか、本当によく喋った気がする。
一しきり話終えた頃、丁度良いタイミングで玄関の呼び鈴が鳴って、私とスザクは顔を見合わせ頷き合った。
425:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/03/29 20:30:40 90Lv1psf
Turn of Hinamizawa Village ― Lelouch side
背中にトスンと軽い衝撃。
痛みはないが刺されたのだ。そう思った。刺された時なんて案外こんなもんだろうと思っていた。
だけどそれは違っていて、すぐにそれがシャーリーの温かい抱擁だと分かった。
「シャー、リー……どういうつもりだ」
「やめて……もう、いいから……。もう、嘘はつかなくて、いいから……」
「嘘だと? この期に及んで信じられないのか。お前の父親は俺が殺したんだよ」
「そうかもしれない、でもルルーシュは……。ルルは泣いているから」
「泣いている? 俺が? いつどこで?」
「たった今だよ。悪人を演じながら、ルルは心の中で泣いているよ……」
「イカレてるとしか言いようがないな。確かにナナリーが死んだことは悲しいが、これでゼロとして動きやすくなった。別に泣くほどのことではない」
明らかな嘘だった。ただ最愛の妹がこの世にいないというだけで胸が張り裂けそうだった。けれど、シャーリーのためにはこう言う他なかったのだ。それがせめてもの償いとなると思ったから。
「私もルルに嘘をついた……」
「何……?」
「ナナちゃんは生きてる」
「えっ?」
シャーリーの言葉が上手く飲み込めない。その癖妙な浮遊感が体を包む。
ナナリーが……生きて? それって……。
「殺してなんかない! 今もちゃんとナナちゃんは生きてる!」
「それは、それは本当なのか?!」
振り返ってシャーリーと対面する。その時初めて浮遊感の正体が喜びなんだと気づく。
「嘘をついて、ごめんなさい……」
目の前に現れたシャーリーの頬は涙で酷く濡れており、再び俯きながら彼女は俺に呟くように謝る。
「どうしてそんなことを……?」
「最初は殺そうと思ってた。だけどその時になって思ったの。“あたし“は何がしたいんだろうって」
そう言いつつシャーリーは涙を拭うと、それから俺の目をまっすぐと見据えた。
「ルルを殺そうと考えたこともあった。だけどそんなことをしたら何も罪のないナナちゃんが私と同じ目にあってしまう。
だからって貴方に私と同じ苦しみを与えるためにナナちゃんを殺すことはできなくて……ごめんなさい……」
「そうか……よかった……よかった……っ……」
気づけば俺の双眸からは涙が流れ出てきていた。
「ルル、私気づいたの。人を憎む気持ちを無くすのはとても難しいこと。けれど、だからこそ途中で誰かが止めないといけないんだって。
……貴方は憎悪に支配されても結局は私を殺さなかった。だから私は貴方を許そうと思う」
「シャーリー……」
「ルル、私は貴方を許すよ。例え世界が貴方を許さなくても私が貴方を許します」
「っ……ありがとう、シャーリー……ありが、とう……っ…………」
俺は恥も外聞もなく声を出して泣いた。
涙は止めどなく溢れ出て、まるで涙腺が壊れてしまったようだった。
それをシャーリーという少女は慈愛に満ちた微笑を浮かべながら背中を擦り、俺を快方してくれた。
自分もつらいはずなのに、彼女は憎い相手を許す強さを持っていた。
結局の所、彼女は憎しみの連鎖を断ち切ったのが俺というが、決してそうじゃなかった。他でもない彼女だったのだ。
涙が止まらない。自分の不甲斐無さが身に沁みて嗚咽がどうしても抑えられない。
「済まなかった……済まなかった! それがあの時どうしても言えなくて!」
もしかしたら俺は、彼女の記憶を消したその時からずっと彼女の許しが欲しかったのかもしれない。
426:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/30 20:01:48 58ry30Dg
おおっ?!キター
みな早く集まってこい!!
427:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/30 20:19:39 Hov5tESt
おおっ、おおっ! 涙で前が見えない…(T__T)
リアルでもらい泣きしそうになった名シーンですわ
428:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/31 05:53:22 H74Vzsi4
うううぅぅぅぅ乙!!
いつまででも待ってる!!
429:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/31 23:36:04 wuwkRSrV
シャアリィィィ!!
SSで泣いたの初めてだわ
430:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/31 23:45:51 YGBLXxlb
あれ?目から汗が…
431:名無しさん@お腹いっぱい。
10/03/31 23:49:06 gUswwDAB
>>429
お願いだからsageてくれ
変なのに荒らされたくないだろ?
432:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/06 20:29:58 7aP0Ox5a
了解です。
気をつけるお。
433:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/07 21:29:34 vK7pL5Hg
保守
434:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/09 22:16:45 BZP2Tk75
待つです。
435:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/12 13:47:55 L4+0L10Y
いつまでも待ってるよん
436:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/18 13:08:07 dNH57KmV
保守
437:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/18 13:16:44 fi3RIscs
羽入にレイプされるルル
438:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/29 22:55:25 5w2rSAa7
保守
439:名無しさん@お腹いっぱい。
10/05/05 23:31:49 iEBu5ENV
待ちますよ~
440:名無しさん@お腹いっぱい。
10/05/08 16:49:43 4L1EL0ZL
初見です。一気に読んじゃいました。
とても良かったです。
続きに期待しながらずっと待ってますよ~。
441:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/05/10 23:12:57 8F6F4szm
kakunin
442:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/05/10 23:14:09 8F6F4szm
シャーリーの案内の元、ナナリーのいる場所へと向かうと、意外にもそこはゴミ山のすぐ近くだった。
サクラダイト発掘のために建てられた廃墟の中で、ナナリーは特に拘束されているというわけではなかった。
例え目が見えなくとも、逃げようと思えば易々と逃げられる。そんな状況下でナナリーはいつもの車椅子に座り、まるで待ち合わせ場所で誰かを待っている風貌だった。
その様子を見て取り、本当にシャーリーはナナリーに危害を加える気がなかったんだなと今更ながらに思う。
ナナリーと二三、言葉を交わした後、共に廃墟から出る。
それからシャーリーと向かい合い、俺は彼女と別れの言葉を交わす。
「じゃあね、ルル」
「ああ、シャーリー……元気でな」
どちらからというわけでもなく、握手を交す。
「ルルこそ元気で……。そして、もう道を誤らないで」
「ああ、約束する……。俺はもう間違わない」
手段より追及すべきは結果。そう信じて今まで俺は歩み続けてきた。
けれどふと後ろを振り返ると、そこにはたくさんの屍が横たわっていて。その命を無駄にしないためという大義名分を掲げ、さらに多くの命を犠牲にしてきた。
だが俺は今日、その果てに至る未来をシャーリーに気づかされた。
至るのは破滅。結果を追い求めすぎ、そのせいで大事なものを自ら壊してしまうというもの。
それはただの想像なのに酷く生々しい光景で、俺はその現実感に寒気を起こす。
「スザクが言っていた。間違った方法で得た結果に意味なんてない。今ならそれが分かる」
「うん……そうだね。それに気づけたルルならきっと……」
唐突にシャーリーが握手を交わすその手を手前に引いた。それにつられ、身体が前に引っ張られる。
シャーリーはバランスを崩しかけた俺の身体を抱き寄せるかのように支えた。
「さようなら、ルル。またいつか」
「ああ、またいつか」
シャーリーはすっと身を翻し、未だ抱擁の余韻も消えないうちにその場を後にする。
もう彼女は僅かにも振り返ることはしなかった。
彼女の後姿―風に靡いた燈色の髪が夕焼けに交じり見えなくなった頃、唐突にナナリーがくすりと微笑んだ。
「お兄様、良かったですね。シャーリーさんと仲直りできたみたいで」
ナナリーのその言葉が引き金となってまた少し涙腺が緩む。
少し間が空き、不思議がるナナリーに俺は微笑交じりに言葉を返した。
「ああ、そうだな……。本当に長い刻を彼女と仲違いしていた気がする。でも、だからこそ――」
俺はもう二度と彼女を裏切る真似はしないと誓おう。
443:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/05/10 23:16:32 8F6F4szm
【16】
Turn of Hinamizawa Village ― Rika side
「―以上、これが僕の話したいことのすべてなのです。ぺこり」
防災倉庫のリビングにて短くない時間を費やし、ようやく魅音やスザクに私が置かれている状況を説明することができた。
一呼吸置いて周りを見回すと、皆呆然として押し黙っているのが見える。
魅音、レナ、沙都子、スザク……。やはりこんな荒唐無稽な話、簡単に信じてくれはしないか。
「信じられないのは分かりますです。でもこれは事実なのです」
……だが、こればかりは時間をかけてでも信じてもらわなくてはならない。何故なら、これから起こる事件が私だけの命を奪うものではないと、もう私は知ってしまったのだから。
「それで、おじさんたちはどうすればいいのかな?」
説明を終えてから、魅音が初めて口を開く。彼女に倣って沙都子も言葉を発すした。
「私たちに一体何が出来るというんですの?」
その言い方には僅かに私を責めるような強さがあった。
二人は怒っているのだろうか?
何に対して? もしかして私がいるせいで大量虐殺が引き起こされるから?
私が死ぬとそれに巻き込まれると知ったから?
二人にそんな目で見られているかと思うと居た堪らなくなった。私は自然と謝罪の言葉を口にしていた。
「ごめんなさい……」
「それは何に対してのごめんなのかな、かな」
レナだけはこの空気を理解して私を責めないでくれると思っていた。けれど彼女もまた二人と同じく私をきつく見据えて詰問してくる。
仲間が周りにたくさんいるはずなのに、私は何故か孤独感を感じてしまっていた。
「それは……皆を巻き込んでしまったからなのです。そして僕が死んでしまった時、皆も犠牲になるからです」
俯き加減にレナの問いに答える私。口に出して酷く悲しい気持ちになる。
皆の罵りの言葉が聞こえてくるような気がして再び謝った。
「本当にごめんなさい。でも僕が頼れるのは皆しかいないのです……」
首を横に振るレナ。それは拒絶?
「梨花ちゃんは謝るべきだと思う」
もう謝っているのに、これ以上何を謝罪しろと言うのか……。レナが分からない。
レナの言葉を引き継ぎ、スザクが言った。
「梨花ちゃん。僕は皆とは初対面ではあるけど、皆が君の何に怒り、何に謝罪を求めてるかが分かるよ」
「それは一体何なのです……?」
「どうしてもっと早くに相談してくれなかったの? 僕には魅音たちがそう言っているように見えるよ」
「え……」
非難されても仕方がないと思っていた所に意外な答えが返ってきて、思わず唖然としてしまう。
そんな私にレナが真顔で語りかけた。
「梨花ちゃんの相談がもっと早ければ、奴らに比べたら限りなく無力に近いこんな私たちでも、今より多くの事が出来たかもしれない。逆に相談がもっと遅くなっていたなら、最悪、何もできずに私たちはただ梨花ちゃんを失っていた。理解できるよね?」
「はいです……。僕は皆の気持ちを全然考えてなかった。本当にごめんなさいなのです……」
私は自分の事を信じてもらおうと考えて、そのくせ仲間を信じることが出来ずにいた。その私の心を責められていたのだと気づく。
「分かってくれたならいいよ。幸いまだ時間がないわけじゃないし、それに……」
そこで場の空気を仕切り直すかのように魅音が手を叩いた。
「はいはい、そこまでにしようか。まだ梨花ちゃんに最初に訊ねたことの答えを聞いてないからね」
「最初に訊ねたこと……?」
「ええ! 梨花が私たちに何をどうして欲しいかってことですわ!」
沙都子が先ほどまでの責めるような表情を一変させて、いつもの太陽のような笑顔を向けてくる。
彼女だけじゃない。見回すと他の皆も笑顔で私の答えを待っていてくれた。
「皆……。僕を、いえ私を……助けてください!」
「「当然!!」」
皆は口をそろえてその想いに答えてくれたのだった。
444:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/05/10 23:20:15 8F6F4szm
>>440
いらっしゃいませ。楽しんでいただけたなら幸いです。
最近(前から?)、ハンターハンターの富樫のようなゆったりペースですが、
なんとか完結まではこぎつけたいと思っています。
しかし後何カ月かかるかなあ……
445:名無しさん@お腹いっぱい。
10/05/11 04:08:38 ouLYDA4k
待ってましたっ!
ほんとシャーリーにはやられた…
と思ってたら部活メンバー+スザクもやっぱ熱い…
ぐぁー、いいなぁ、たのしいわ~
読み返したりしながらまたしばらく待つとしますー
446:名無しさん@お腹いっぱい。
10/05/21 22:56:45 o2F0NimT
待つー
447:名無しさん@お腹いっぱい。
10/05/23 01:16:13 u+iWxc0E
一気に読んでしまったわ。
月刊か季刊かは知らないが、俺は次を待ち続ける。
448:名無しさん@お腹いっぱい。
10/06/03 01:41:44 UWetOTyn
楽しみにしてます
449:名無しさん@お腹いっぱい。
10/06/04 10:11:37 s6fETXB2
規制に負けずに続けてくれ!
大丈夫 おれたちゃ待つのは慣れてる
450:名無しさん@お腹いっぱい。
10/06/04 20:48:28 vHgCZ1/b
規制あけたぞー
451:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/06/06 10:44:12 757u+4/6
お前らお待たせなんだぜ
規制に引っかかっていたせいじゃないが遅れてすまん
今から投下する
452:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/06/06 11:09:50 757u+4/6
Turn of Hinamizawa Village ― Lelouch side
ナナリーを家に送り届け、咲世子に適当な話をでっち上げて宥めた後、俺はまっすぐと梨花の家に戻った。
梨花へ問題は解決したもとい、そもそも事件自体なかったことを告げ、防災倉庫の階段を昇る。皆への打ち明けは済んだようで梨花は満面の笑顔で俺を迎え入れてくれた。
だが二階の居間に入ると、俺がいなかった間に何かあったようで少々疎外感を覚える。
まあいいか……。一人呟くように言ってすぐに頭を切り替える。
「それで? お前ら、事情を知った所で何か考えはないか?」
「考えって言われてもねー。逆に聞くけどルルの方はどうなのさ?」
緊迫した空気が辺りを包む中、魅音がいつもの様子で横柄に言う。空気が読めないのか、それとも場馴れしているのか、どちらにしろこの状況下では彼女の存在は心強かった。
「そうだな、俺は梨花を殺そうと思う」
「「な、なんだってー?!」」
俺の発言に対し、皆が一様に驚きの声を上げる。さながらMMRの登場人物たちのようだと言ったらお分かりになるだろうか。
このまま勿体ぶるのも一興だが、今はそんな場合ではないので続けて説明に移ることにする。
「綿流しの祭りまでの時間は少なく見積もっても優に48時間以上ある。今なら緊急マニュアルを逆に利用できるんだ」
「緊急マニュアルを逆に利用? あ、そっか! レナは分かったんだよ!」
まずレナが最初に俺の考えに気が付く。当然だろう。普段は隠しているが、彼女が部活メンバーの中でも群を抜いて勘が鋭いことを俺は知っている。こういうのを日本のことわざで能ある鷹は爪を隠すというんだろうな。
「え? え? どういうことですの? ルルーシュさんの言う事はいつも肝心の部分の説明が足りませんわ!」
「右に同じ。ルルみたいな優等生タイプってやつはそういうトコ、相手が分かってるのを前提で話を進めるから厄介この上ないよね」
沙都子が首を捻るその脇で魅音もまた同様の仕草をする。
「あのね、沙都子ちゃん。つまりこういう事なんだよ」
レナが耳打ちしてようやく得心がいったのか沙都子が手をぽんと叩いた。
「ああっ、まさかそんな手があったとは! まさに最高に優雅なトラッププランじゃありませんの!」
「な、何?! 沙都子どういうこと?!」
「おーっほっほっほ、これには魅音さんも驚くと思いましてよ~!」
今度は沙都子が魅音に耳打ちし、次は魅音からスザクへ。
傍観していた梨花だけが酷く困惑した様子で置いてけぼりとなっていた。
「みぃ、僕だけ仲間はずれなのです……」
「安心しろ、今説明してやるから。梨花以外はもう分かっているとは思うが、一応確認のために一緒に聞いてくれ」
皆に作戦内容とその段取りを伝え、それを元に俺たちはついに行動を開始する。
――最悪の結末を回避するために、大切な人たちを守るために……。
「さあ、反撃を始めよう」
―タイムリミット;オヤシロさまの祟りまで後2日。
453:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/06/06 11:10:41 757u+4/6
Turn of Hinamizawa Village ― Takano side
診療所の休憩室の一角で、紅茶の香りを愛でながら私は一日の仕事の疲れを癒していた。
今まで長い時間この職場で働いていた気がする。しかしそれも今日明日と従事してしまえばそれで終わりとなる。
思えば、ブリタニアの侵攻によってトウキョウが解体された時こそが私の運が尽き始めた頃だった。
雛見沢症候群の研究資金の供給ルートが断たれ、素性もよく知りもしない人間から援助を受けた。
私の方針など耳を貸さないそいつらの顔色を窺って研究を続けている現状……。
私は明日、最愛の人を殺すことになるだろう。
そして、この雛見沢に住む何の罪もない二千人余りの人たちを私の自己満足に巻き込むだろう。
だが立ち止まることは許されない。亡き祖父の遺志を継ぐと決めたあの日から私の心は変わらない。
「……。…………ん」
ふと覗き込んだティーカップの紅茶の液面に、ルルーシュ・ランぺルージの顔が映り込んだ気がした。
何故彼の顔が浮かんだのかぎょっとするが、その刹那に私は悟る。
ああ、彼は私に似ているのだ。いや、その言い方は多分誤り。正しくは”似ているような気がする”だろう。
冷徹で個人主義……。手段より結果を尊び、結果を出すためならいかなる犠牲も厭わない。そんな気がする。
もしあの少年が私の立場に居たなら、彼に同じ選択が取れるだろうか?
……その疑問に特に意味はない。ただ少し頭を掠めただけだ。
だがその答えとは関係なく、明日彼は何かしら行動を起こすだろう。
私の計画が漏れているはずはない。……が、雛見沢症候群の存在に気付いた彼なら何かを掴んでいると見ていいだろう。
「だけど、それでも――」
私は私の未来を一歩も譲りはしない。
勝つのは私かそれとも彼か。否、最後に笑うのは他ならぬこの私だッッッ……!
強い意志は運命を強固にする。揺るがない信じる心こそが運命を切り開く鍵となる。
私の決意は地球という一つの惑星よりも遥かに重い。故に何者にも決して負けはしないし負けるはずもない。
すっと席を立ち、いつの間にか傍らで待機している小此木に飲みかけの紅茶を手渡して私は休憩室を後にする。
「さあ、祭りの準備を始めましょう?」
―タイムリミット;オヤシロさまの祟りまで後1日。
454:名無しさん@お腹いっぱい。
10/06/06 18:08:19 YHhYuKVJ
おつおつ!
いよいよ決戦なのか!? はじまるのか!?
455:名無しさん@お腹いっぱい。
10/06/17 01:38:41 5gaLeQcW
待ちまふ。
456:名無しさん@お腹いっぱい。
10/07/05 01:28:08 /V8CoFmW
悪玉
457:名無しさん@お腹いっぱい。
10/07/05 15:45:54 qpeC6KvI
初レスです
応援してます
続きが楽しみだぁ~
458:名無しさん@お腹いっぱい。
10/07/18 14:29:55 J2PRbEU0
ネタ切れ
459:ももも
10/07/21 23:38:20 sHrJbsPS
まだ~ まさか・・終わりじゃないよな
460:名無しさん@お腹いっぱい。
10/07/22 22:54:15 uyStlswA
それでも待つんだなこれが。
461:名無しさん@お腹いっぱい。
10/08/02 11:19:32 a5bp3sh2
夏本番
462:名無しさん@お腹いっぱい。
10/08/06 03:57:00 Bxj2YQtJ
保酒
463:名無しさん@お腹いっぱい。
10/08/13 20:01:14 954SLl3k
あう規制が空けてる内に…
早く続きが読みたい(;_;)
がんがれ
464:名無しさん@お腹いっぱい。
10/08/20 01:16:22 OzRp0b8E
わたっし待ーつーわっ ♪
465:名無しさん@お腹いっぱい。
10/08/26 21:59:07 kBfThqRF
test
466:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/08/26 22:04:16 kBfThqRF
こんな規制続きでまだ見ててくれている人がいるとは驚きなんだぜ。
もちろんいい意味で。
駄目作者ですまん。
467:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/08/26 22:09:59 kBfThqRF
―タイムリミット、綿流しの祭当日
日が落ち始め、辺りに綿流しの祭りの合図である打ち上げ花火の音が鳴り響いた頃の事だった。
作戦を開始しようとした矢先、小此木から一つの無視できない情報が入った。
「……っ…………なんですって?!」
小此木によって耳打ちされた内容によって、私は人目もはばからず驚愕の声を上げてしまう。
周囲を見回し、軽く咳払いをする。声のトーンを落とし、小此木を引き連れ、人気のない場所に移ると彼に聞き返した。
「本当なの……? Rが二日前に既に殺害されていたというのは……!」
「へい、東京租界から出張ってきたブリタニアの警官が死体を発見したとのことで」
「一体どうして……?! いえ、誰がそんな真似を……!」
山狗には古手梨花の殺害予定時刻についてはしつこく何度も確認を取っているはず。まさか山狗が先走ってしまったとは思えない。
一体誰が?! 焦りと苛立ちで思わず歯ぎしりをしてしまう。
そんな私とは対照的に小此木は冷静に話を進めた。
「Rをやっちまった犯人は既に捕まっています」
「誰! 誰なの?!」
急かす私の疑問に対し、小此木は重苦しいため息をつく。
「あの小僧……ルルーシュ・ランぺルージです」
徐に答えを告げる小此木。私の心情を察してか酷く残念そうだった。
古手梨花殺害の犯人の名を聞き、私はまるで後頭部を激しく強打されたような衝撃を受けた。
ルルーシュ・ランぺルージが何かしらの行動を起こす可能性は考えていたが、まさか友人の古手梨花を殺害してしまうなんて想定の範囲外だったのだ。
彼は古手梨花の友人であり、どちらかといえば彼女を守る側の人間のはずだ。いや、例えそのような関係を抜きにしても、彼女が死んでしまえば村人の急性発症が起きてしまう事を知っている彼がそんなふざけた真似をするわけがない。
つまりルルーシュ・ランぺルージが彼女を殺すことで得るメリットなど何もないはずなのだ。
468:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/08/26 22:10:49 kBfThqRF
ぐちゃぐちゃに煮込まれたシチューのような頭で私は言葉を零す。
「分からない……どうして彼が?」
「雛見沢症候群の急性発症が考えられます」
「急性発症ですって?」
「入江の奴が隠してやがったんでさ。小僧が犯人として捕らえられた知らせが届いた時の奴の様子がおかしかったので、問い詰めてやると簡単にゲロしました。あの小僧、一度症状をL4まで悪化させていて診療所に治療に来ていたようなんですわ」
「……っ……雛見沢症候群を、再発させたですって…………?」
そんな馬鹿な事があってたまるものか。だって、二日前会った時には彼にそんな素振りは僅かにも見られなかったじゃないか。
山狗に囲まれて組み敷かれても、動揺の色を少しも見せなかった彼が……あれほど古手梨花を信頼していたルルーシュ・ランぺルージが、その身に宿る疑心暗鬼や凶暴性をひた隠しにして雛見沢症候群を再発させていたというのか……? 馬鹿な、あり得ない!
「そうよ……これは何かの罠よ! ただちに事実確認をして頂戴!」
「へい、現在やっておりますが、少々問題がありまして」
「出来ないっていうの?!」
キッと睨みつけてやると小此木は狼狽し表情に苦笑いを浮かべた。
「いえいえ、出来ないとは言いません。ただ、ブリタニア警察には我々の息のかかった者がおりませんで、なかなか難儀しているところですわ」
「っ……可能な限り迅速に調査させなさい!!」
「へい、三佐の仰せのままに。……おいお前ら!」
小此木が近くにいる山狗隊員に強い口調で命令すると、彼らは一度綺麗に敬礼をし、逃げるようにその場を立ち去った。
「くっ……こんな形で私の計画に綻びが生じるなんて」
小此木の隣で、山狗が出て行った扉を呆然と見ながら呟く。
山狗の情報によると、古手梨花が死亡してまる二日……。これでは緊急マニュアルの発動の有意性が足元から崩れてしまっていることになる。
緊急マニュアルは古手梨花が死亡して48時間以内に行わなければならないもの。それを超えて発動させても何の意味も持たないただの大量殺戮なのだ。
何故……どうして? 緊急マニュアルを発動していなければ、村人の急性発症を止める手立ては何もないはず。もう今の段階で村人は発狂して殺し合いを始めていてもおかしくない時間ではないのか……?
にも関わらず村の様子がいつもと変わらず続いているという事は、私の尊敬するお爺ちゃんの論文が間違っていたという事……?
「それを認めろというの……? そんなことって……」
こぶしを強く握り込み、爪を掌に食い込ませても苛立ちは収まらない。
「三佐、まだ終わったわけではありません」
「……どういう意味?」
小此木の言葉が呆然自失だった私を現実へと引き戻す。
「作戦決行直前の古手梨花の死亡。何やらタイミングが良すぎはしませんか?」
469:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/08/26 22:14:55 kBfThqRF
Turn of Hinamizawa Village ― Rika side
地下祭具殿。それは園崎本家の一角にある、重厚な扉の先に存在していた。
奈落の底のような暗く陰鬱とした地下道、そこを通ってしばらく歩くと、祭具とは名ばかりの拷問器具が眠っている部屋に出る。
そのおどろおどろしい拷問器具らの寝室を通過し、傾斜の高い十数段からなる階段を降りていくとようやく私の居る部屋へと到達する。
その部屋には私と沙都子の二名が寝泊りをしている。先ほどの拷問器具の部屋と違って数多くの照明が施されており、気分的にどうということはない。
近くには監視カメラの映像を映す数台のディスプレイ。そこだけ見ると、さながら漫画やアニメに出てくる秘密基地のようだ。
私の傍らでは、沙都子が机に突っ伏しながら監視カメラの映像と睨めっこをしている。
「ねぇ、梨花」
突然、沙都子が姿勢を正して話しかけてくる。
「何なのです?」
すぐに返事をするも、警戒心の強い彼女の視線は映像に向いたままだ。
「私たち、だいぶ長い間ここに閉じこもっているわけでございますけど、一体外は今どうなっていると思いまして?」
「分からないのです。スザクやレナ、魅ぃが帰ってきてくれれば外の様子が分かるのですが……」
沙都子に倣ってカメラの映像を注視する。映像は園崎本家の敷地内を移しているが、怪しい人影は特に映ってはいない。
考えていたよりもカメラの映像だけで得られる情報は少ないようだ。分かることと言えば、私がここに隠れていることが山狗たちにまだ知られていないという一点のみ。それすらも憶測に近い怪しい情報である。
「レナたちはもう富竹さんを保護できている頃でしょうか?」
「分かりませんわ、手はず通りならもうこちらに到着していて良い時間ですし、案外手間取っているのかもしれませんわね」
そう答える沙都子は焦りからか膝に乗せた両手を頻りに動かしている。
こちらの動きを敵に勘づかれないように富竹の保護をぎりぎりまで先延ばしにする。そのルルーシュの判断は間違っていたのだろうか……?
「いずれにしろ、私たちはまだこの場を動くわけには参りませんわ」
「ええ、分かっていますです」
ここで私が出て行けば緊急マニュアルの有意性が復活し、再び敵の攻撃が始まる。最悪ルルーシュの策をぶち壊しにしかねない。
それは沙都子が出て行くのであっても変わらない。沙都子と私は一緒に失踪した事になっているからだ。
狂気に駆られたルルーシュによって私たち二人は共に殺害された。敵にそう思わせておかねばならない。そんな中、沙都子が雛見沢を闊歩していればこの私自身の死すら疑いの目を向けられかねない。
「ルルーシュが警察に捕まって封殺された今、下手に作戦にずれが生じれば修正は困難になりますです」
何も出来ず、おめおめと地下に籠ることしかできないなど全くもって歯がゆいことだが……作戦が失敗に終わることだけはなんとしても避けねばならない。
やはりルルーシュを序盤で失ったのはこちら側にとって大きな痛手となっている。だが信頼できる仲間の中で、山狗たちに対して違和感なく私の殺害動機を仄めかす事が出来る人間は雛見沢症候群を一度発症した彼だけなのもまた事実だった。
結局これを最善手と考えて、後は彼の力を借りずに奴らと戦うしか道はないのだろう。
沙都子と私は向かい合い、お互い深刻な面持ちで頷き合った。
470:名無しさん@お腹いっぱい。
10/08/27 21:04:29 xiFNJz3N
おぉぉぉ? 乙?
すべては計画通り、ルルーシュがんがれ?
471:名無しさん@お腹いっぱい。
10/08/27 21:05:31 xiFNJz3N
!が?になっとる…orz
472:名無しさん@お腹いっぱい。
10/08/31 13:00:14 JPCil6bv
復活きたー!!
473:名無しさん@お腹いっぱい。
10/09/06 23:38:26 GDxly6LS
保守
474:名無しさん@お腹いっぱい。
10/09/07 21:42:28 25AZOG03
よかった…よかったよう
475:名無しさん@お腹いっぱい。
10/09/15 18:57:07 IaYum4/B
保守
476:名無しさん@お腹いっぱい。
10/09/22 20:00:33 8QooB8LF
おわってしまうのがさみしくなってきた。
477:名無しさん@お腹いっぱい。
10/09/22 20:02:41 bKVc/1Vh
同意だけど、完結してこそのSSだからね。ゴールに向かって頑張って欲しい。
書き手さんはモチベ維持するのってホントに大変だろうけど
478:名無しさん@お腹いっぱい。
10/09/27 22:37:32 xP5QqbEV
ガンバレ!!待ってるからさ
479:名無しさん@お腹いっぱい。
10/09/27 22:44:31 yYS+Zk40
SS書くとマジでテンションの維持が難しいからな
俺はやめてしまった口だけど、こういうのがあるとまた書きたくなるんだよな
480:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/02 00:23:25 3bZuokT+
保守(`・ω・´)
481:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/11 04:24:33 jIGPsG7v
保守
482:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/12 01:33:56 OmsekNKt
ほ
483:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/18 09:27:54 nF+nwl0c
定期保守
484:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/21 20:07:38 Qn9lCIjp
保守
485:名無しさん@お腹いっぱい。
10/10/26 11:59:48 89a43kIT
保守
486:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/06 15:50:11 Pw928ORr
保守
487:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/08 23:59:31 lYNQ/vEd
保守
488:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/11 19:58:30 D1m8r/Lr
待つ
489:雛見沢住人 ◆xAulOWU2Ek
10/11/11 22:42:14 2AZYduSJ
生存報告。
リアル事情で忙殺されててあまり書く暇がないのがつらいが、少しずつ書いてるよ。
とりあえず次回の投稿でまとめて出して最後にしたいと思うんだ。まだまだかかりそうだけどな……
いつも保守してくれている人ありがとう!
時間かかっても絶対完結させるからな!
490:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/11 23:52:53 MI+VAPyQ
>>489
期待してます!
491:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/12 00:11:46 9hilrcVe
生存確認!
なんぼでも待ってるから無理はすんな~
492:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/12 00:25:23 bqg/F2lG
オレハマッテルゼ
493:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/16 12:12:09 Z8iDHhA+
生存来たー!!
待ってます♪
494:名無しさん@お腹いっぱい。
10/11/26 08:33:51 3/fiKEjg
保守
いつまでも待ってるZE
495:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/01 15:37:25 CRhRsznm
師走保守
496:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/09 01:08:32 ylj6HZYH
保守しなければッ!
497:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/13 19:55:26 RgWaQItd
保守
498:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/14 22:22:23 +mR2h1Et
僕も保守しますのですよ~♪
あぅあぅ☆
499:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/18 07:58:40 +QgsHQ3M
保守……ッ!
500:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/20 08:13:56 pW0gywM3
保守ってどれくらいの間隔がいいんかな?
501:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/26 02:07:32 x8mYY6u6
hosyu
502:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/26 20:35:16 tVjbd26g
文章上手くて読みやすいしすごく面白いです!!
支援します
良作の為ならいくらでも待つので焦らず完結させてくれ!
503:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/27 00:03:45 xXCqJnAC
二周年記念。
504:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/30 18:43:50 uR8uTa1g
ほしゅでございますのよ
505:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/01 02:38:50 OICRr6vD
あけましたので保守
506: 【大吉】 【922円】
11/01/01 06:12:25 Nzg11qkK
あけおめ
507: 【吉】 【1361円】
11/01/01 07:22:55 ja3kaw18
あけおめー
508:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/07 23:50:45 /b6Niw2l
保守
509:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/08 01:05:42 INzJixBj
まだすかねぇ
510:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/08 11:11:27 INzJixBj
まだまだ待ちますよ~
511:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/09 00:27:07 fMChJpvI
生存確認
保守
512:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/11 22:27:51 YEOEphKc
保守
遅いけどあけおめ
513:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/12 01:39:37 t9hvQPb1
今日一気に読んだ!
最初例によってクソスレだと思ったら凄い!書いてる人天才!
完結求む保守!
514:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/12 04:30:12 1TOWT+Xb
あけおめ
515:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/13 12:47:10 MFYBA/qn
┐
└ ● /
_,◆ /
_, ◆
‐― ◆' ̄
-― ◆ ―
― ◆ ―
― ◆ ― すみません。ちょっと通りますよ~
― ◆ ―
― ◆―
_,◆⌒
_,◆⌒
,◆⌒/
/ ,◆
/ ●┐
. └
516:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/14 18:15:51 +jpKWJHw
↑これなに??
517:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/14 20:43:31 35stefQw
┐
└ ● /
_,◆ /
_, ◆
‐― ◆' ̄
-― ◆ ―
― ◆ ― >>516
― ◆ ― ちょっと通りますよでつ。。。
― ◆ ―
― ◆―
_,◆⌒
_,◆⌒
,◆⌒/
/ ,◆
/ ●┐
. └
518:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/15 14:52:34 +5HJ1kKr
_,◆⌒
,◆⌒/
/ ,◆
/ ●┐
. └ 。。。。
519:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/15 21:14:18 +5HJ1kKr
└ 。。。。
520:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/26 02:41:23 OdO1gTLr
保守
521:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/26 11:41:23 hybURUoK
┐
└ ● / や あ
522:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/26 17:24:53 OdO1gTLr
おまえさんに保守を任せるのには抵抗があってだな…
523:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/26 18:47:37 j1IdyLm6
保守
524:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/27 00:29:17 6WZbRycg
_,◆ /
_, ◆ なんで?
‐― ◆' ̄
525:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/30 10:50:27 aocdl60b
保守である。
526:名無しさん@お腹いっぱい。
11/01/30 14:27:10 a24qJpcC
-― ◆ ―
― ◆ ―
― ◆ ― ちょっと通りますよ。。。
527:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/02 17:40:10 cOhIpPxB
そういや次投稿で最後ていってたんだな
待ち遠しいがそう思うとちとさみしいな
生きてるか~
528:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/05 11:32:49 jlcsoaR5
ゆっくり待ってるから焦らず頑張って
529:527
11/02/05 17:11:50 vIXDfxaQ
なんか誤解まねきそうだな、
むしろ最後でなくていいんだ、
時間あるときにでも元気な姿をみせとくれ
530:(><)
11/02/06 00:54:08 lepk7hiG
(><)
531:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/07 16:01:21 Hhwd030B
保守
532:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/11 15:47:22 6WG1Iz+J
保守かな、かな
533:(><)
11/02/11 21:33:20 VvW+IqbM
(><)
534:竜騎士θ7 ◆xAulOWU2Ek
11/02/11 23:04:20 UCPPBYWc
生存報告&消えたのでついでにコテ変
535:527
11/02/11 23:49:24 K2rL1Ak0
お…! おお!
536:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/12 22:46:57 UqP3rQ4o
キタ―(゚∀゚)―!!
537:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/14 14:46:43 RPXG7Q4/
>>534
なんとッ!?
ようし、生き返った!
538:竜騎士θ7 ◆xAulOWU2Ek
11/02/14 22:59:50 f3GW1XYR
行き詰っていた話の展開が開けてきた気がする。楽しくなってきた
ところで、気が早いかもしれないがエンドロールに事件後の話をちょこっと入れることを考えているんだけど、
サブキャラで取り上げたほうがいいやつとかいる? もしいたら教えてほしい
一応メインキャラは全員分書くことになっているんだけど。
539:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/15 04:43:18 HRIPgFS+
>>538
この作品の中でどこまでがメインでどこからがサブキャラ?
540:竜騎士θ7 ◆xAulOWU2Ek
11/02/15 23:22:50 OaYDrepM
ひぐらし→部活メンバー・鷹野・富竹
コードギアス→ルルーシュ・スザク・シャーリー
とりあえずこれぐらいかな?
541:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/15 23:30:35 LgS3wZoy
地味にさよこさんが気になります。できれば…
542:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/16 07:36:47 JQpxbYPn
あえて鉄p…ゲホゲホ
543:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/16 09:08:31 SvOsbHH0
>>542が書かなかったら言うつもり無かったけど自分も鉄ぺ(ry 実はちょっと気になってたw
544:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/16 09:54:28 lNrgONd6
鉄「助けに来た!」
545:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/16 11:34:52 YPn6HM16
鉄ぺ(ryてなんでつか?
546:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/17 22:01:42 vVSh8FPC
じゃあ登場しなかった角の生えた傍観者かなぁ。
登場しなかっただけに何を語ってくれるのやら…
547:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/17 22:03:06 vVSh8FPC
すまない!
sage忘れてしまった!!
一生引きこもります。
すんません。
548:竜騎士θ7 ◆xAulOWU2Ek
11/02/19 12:55:33 u73NGdO1
鉄平・さよこさん了解。
羽入は忘れてなかったら本編にもちょっと出そうかなと思っているぐらいだから書くと思うよ。
ありがとう
>>547
別に下げなきゃならないルールなんて決めてないし気にしなくていいんだぜ
俺が上げ下げ使い分けてるのはSS投下したとき分かりやすくするためだけだし。
549:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/21 23:36:16.77 BlS6Dag/
>>548
そ…そうだったのか?
俺はてっきりsageなきゃいけないのかと…(ToT)
荒らされるとか何とか言ってる人もいたし(汗)
気にしないでおくぜ。
あと、俺こそありがとう。
羽入イジリを承諾してくれて。
楽しみに待つo(≧∀≦)o
550:竜騎士θ7 ◆xAulOWU2Ek
11/02/22 00:14:00.15 1SmsZf2b
>>549
誤解ないように言っておくけど、必ずしも下げなきゃいけないルールは無いが下げてもらえると助かるよ
今更荒らしなんて来ないだろうけど心づかいがうれしいし。
ま、結論としては間違って上げても謝る必要はないし守ってもらう理由もないけども、基本はさげ進行でやってもらいたいってこと
551:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/22 04:27:28.11 hHr9uf2x
楽しみにしてるからがんばれ
552:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/23 15:48:17.07 beco+oEr
復活してたのか!!
ちょううれしい
553:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/23 19:14:39.24 APo2lHeH
>>550
了解した(`▽´ゞ
楽しみに待ってるぜ!
ファイト!お~!
554:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/23 20:24:31.47 THkJtCns
馴れ合い厨自重汁
555:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/23 21:18:23.47 nfrIDOB/
>>550の意味わかってねーだろと思った人挙手
556:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/24 15:58:34.89 q3RdjBGK
>>554
そんなこと言ったら、このスレ人いなくなるぞ
557:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/24 16:28:41.23 qiYGdGAv
別に来たくない奴は来なくていいんじゃね?
558:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/26 00:31:43.19 jwbY0/LX
>>556
変なのはスルースルーw
まったりいこうぜw
559:名無しさん@お腹いっぱい。
11/02/26 14:05:59.81 YavFP5l0
↑
一番変なのが北
560:携帯からうぷ主
11/03/01 21:49:03.44 LNVJMg3e
とりなし失礼。
次で最後の投稿とか言ってたけどごめん。
まとめてだすと誤字とか見つけにくいし、うぷも面倒だ。
勝手だがやっぱり何回かにわけることにしたよ。
そのほうがスレ的にもいいだろうし(たぶん)
561:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/01 22:57:55.48 mfy5X1Kt
>>560
了解しましたですわ!
562:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/04 23:42:25.54 aJuB2Pch
>>560
乙!待ってます
563:竜騎士θ7 ◆xAulOWU2Ek
11/03/07 00:01:59.68 PL/ByVjB
「梨花ちゃん! 沙都子ちゃあああん!!」
そんな叫び声が地下洞に木霊する。
「レナさん?」
沙都子が耳に手を当て、声がする洞窟の暗がりのほうを向いた。
地下が静かすぎたために幻聴が聞こえたかと思ったが、なるほどあれは確かにレナの声だ。
この地下室には複数の脱出口があり、それらが迷路のように複雑に絡み合って出口へと繋がっている。その中の一つを通ってこちらに戻ってきたのだろう。
下手すると遭難する危険性があるのだが、正面口から入ると敵にこの場所を察知される恐れがあるので園崎本家へ戻ってくる時は仕方がなくこういった手法を取っている。
地下室に響く忙しない足音と共に暗がりからレナの姿が現れた。レナは私と沙都子の目前で動きを止めると、肩で息をして呼吸を整えた。
「二人ともっ、大変なんだよ!」
「一体何があったんですの?」
慌ただしいレナに対し、落ち着き払った様子の沙都子が先を促す。
十中八九、レナの知らせは悪い報だろう。だからこそ沙都子は冷静に状況を分析しようとしているのだ。
レナは一呼吸置いて叫ぶように口を開いた。
その内容は予想通り悪い報で、ルルーシュのいる警察署が何者かに襲われたという最悪の事態を告げるものだった。
悪い知らせだと身構えていたつもりなのに私の心臓が大きく跳ねる。
このタイミングで警察署が襲われる理由は……考えるまでもない、鷹野側にこちらの攻撃が見破られてしまったからだ。
まずいことになった。私の死体が偽物だと気づかれたのもそうだが、それよりもルルーシュのほうだ。
嫌な汗が私の頬を舐めるよう、緩やかに伝り落ちた。
564:竜騎士θ7 ◆xAulOWU2Ek
11/03/07 00:02:53.57 PL/ByVjB
「それで、ルルーシュさんは?」
「……ごめんね、そこまではレナも知らないの」
沙都子が訊ねるとレナは俯き気味に視線を逸らして首を横に振る。
「そんな……じゃあ彼は……」
まるで足元が崩れ去ってしまったかのように身体から力がぬけてゆく。
今まではルルーシュという存在が私を勇気づけ支えてくれていた。再び運命に立ち向かう意思を持てたのも彼がいたからだ。もし彼が敵の手に捕らえられてしまったのなら私は……。
貧血の時に起こるような酷い眩暈が私を襲ったが、そのまま倒れてしまいそうになるのを隣にいる沙都子が支えてくれた。
「梨花! 大丈夫ですの?!」
「え、ええ……ありがとう沙都子。でも……」
最悪な現状は変わらない。
ルルーシュの場合、捕まっても例のブラフにより殺されはしないだろう。しかし、殺されずとも死ぬよりもつらい拷問を受けることになり、そうなれば流石のルルーシュでも喋らざるを得ない。
「ルルーシュが鷹野に捕らわれたのだとしたら……」
もう私たちに勝ちの目はなくなってしまう。
彼の安否が不明というだけで、急速に私の心は沙都子が鉄平に連れ去られたあの日のように衰弱していくようだった。
「―その心配は無用だ」
「誰?!」
どこか聞き覚えのある男の声が聞こえ、皆一様に声のする方角―レナの現れた隠し通路のほう―を向いた。
何者かがコツコツと靴音を鳴らし、私たちの居る場所へゆっくりと近づいてくるのが分かる。この通路の秘密を知っているのは仲間だけのはず……。ふとルルーシュの顔が頭に浮かぶ。
一歩、二歩……。ゆっくりと距離が詰められ、その姿が室内の明かりにさらされる。はっきりと見えるようになるまでにそう時間はかからなかった。
あれは……ルルーシュでは、ない?
暗闇の奥から現れた人物は漆黒のマントとヘルメット型の不気味な仮面を身に付け、その場に立っていた。
「あなたは……ゼロ?!」
その姿を認識するなり、皆の声を代弁するかのようにレナが彼の名を叫んだ。
565:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/07 03:57:11.17 Z6oNTAZR
>>564
乙!!
ついにゼロ登場かあ
わくわくするよw
よし、今までのストーリー忘れてる部分あるんで読み返すぞw
566:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/07 12:01:33.50 9ArwCgHV
同じくあたまから読み直し中だったw
ゼロ登場か、あついぜっ!
567:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/08 23:34:47.38 brrEiRPm
「その心配は無用だ。」のところで脳内でゼロの声が再生された。
568:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/10 16:49:41.12 uKCggtvJ
自分はこの作品全キャラそのキャラの声で聞こえるよw
キャラの性格や口調が本当に言いそうに描かれてるからだと思うw
569:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/11 21:44:31.50 +yw4TjVQ
スレ主さん何処のひとなんだろう、
みんな無事でいて…
570:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/11 23:41:41.50 FhxnRPEO
竜騎士θ7!!
無事か!?
無事なら返事くれ!!!
571:携帯からうぷ主
11/03/12 02:41:36.10 1e1q4iEk
心配してくれてありがとう
うちは埼玉県です。特に被害はなく多少びびったぐらいです。
つかニュース見て大変なことになってるって知ったんだけど
リアルタイムでは
ついに奴(架空の封印されし地獄の帝王)が復活したか…なんてぶさけたこと考えてました(^_^;)
572:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/12 11:29:39.00 TYnSZgFR
おおおよかたー
573:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/16 21:14:45.65 pH4CZFRo
ほ4
574:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/22 21:22:10.02 sll48LsZ
ただちに保守が必要なレベルだとは思わないけれど念のため。
575:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/23 20:03:32.99 L5xObw/a
ほしゅ
576:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/23 20:05:29.20 L5xObw/a
書き込んでから気づいたけどIDの最初がL5ww
577:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/24 17:14:23.00 G4RBm9XY
仕事の合間に保守
>>1が無事で何よりであるな
578:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/30 23:24:44.12 4/8Q0aEL
ほしゅ
579:名無しさん@お腹いっぱい。
11/03/31 19:31:43.31 JqZDBUPO
ほしゅだゆ☆
こんな時期だしいつ始めればいいか迷うよね主も…
580:名無しさん@お腹いっぱい。
11/04/02 10:57:37.70 Au0kuJEs
ほしゅ
581:名無しさん@お腹いっぱい。
11/04/09 19:36:46.81 3c5RPDPU
ほしゅでございましてよ
582:名無しさん@お腹いっぱい。
11/04/13 07:50:21.07 F6vXhtYv
保守だなぁ
583:竜騎士θ7 ◆xAulOWU2Ek
11/04/16 20:02:30.93 JCRzprff
【17】
Turn of Hinamizawa Village ― Okonogi side ≪数刻前≫
「ブリタニア警察を襲撃なさい」
物々しい雰囲気に包まれた作戦指揮車内にて、お姫様こと鷹野が呟くように命令を発した。
その言葉に俺を含めた山狗全員が耳を疑った。
「三佐、そりゃ無茶ってもんでさぁ」
「何故? どうして出来ないの?」
代表してリーダーの俺が否定を口にすると、鷹野はさながら何も知らない子供のように聞いてくる。
そんな事も分からないのか……。ため息交じりに、無能な上官もといお嬢へと分かりやすく説明してやるとしよう。
「いいですか三佐、確かにブリタニア警察をつついて古手梨花の生死が分かれば楽でしょう」
「じゃあどうして実行しないのよ?」
これからそれを教えてやろうとしているのに、お嬢は待ち切れず口を挟んでくる。やれやれだ……。
「―ですが、戦力が絶対的に足りてないんですわ」
ため息交じりにそう答える俺。さてどうやってこの昭和のマリー・アントワネットを説き伏せいればいいだろうか。
まず、襲撃して古手梨花死亡の事実確認をするだけなら容易くはないだろうがやってやれない事はないだろう。
しかし相手が警察であるのなら、強襲チームを組むだけでなくそれと同数以上の、安全に撤退を促すためのチームが確実に必要となる。
そんなチームを作るだけの戦力は現在の山狗にはない。その旨を懇切丁寧に教えてやればいいか。
頭でまとめた答えをお嬢にぶつけると彼女は腕を組んで押し黙った。
どうやら宥める事に成功したようだ。お嬢から視線を逸らし、車内を見回す。
すると隊員が一様に苦笑を浮かべていたので、俺もそれに苦笑いで返してやることにした。
584:竜騎士θ7 ◆xAulOWU2Ek
11/04/16 20:07:36.93 JCRzprff
「くすっ……くすくす……」
背後で哂い声が漏れた。俺は思わずぎょっとし、体を翻して振り向く。
「三佐?」
果たして笑い声の主は先ほど大人しくなったはずの鷹野だった。
「くすくすくす!」
彼女が唐突に腕を組んだままお腹を抱えて笑い出した。
「何かおかしいことでもあったんですかい?」
そんな疑問にも鷹野は今にも吹き出しそうな笑いを堪えて言葉を紡ぐ。
「ええ、小此木は随分と頭が堅いのねって思って。くすくす」
普段陰でお姫様と馬鹿にしている存在から嘲笑を浴びせられて少し頭に来る。だがそれでも本心を気取られないようにするのがプロであるこの俺だ。
「おや、そいつはどういう意味ですんね、三佐?」
柔らかい物腰で先を促すが、内心穏やかじゃない。お嬢の『本当に分からないの?』とでも言いたげな表情が本当にイラつく。
585:竜騎士θ7 ◆xAulOWU2Ek
11/04/16 20:09:03.00 JCRzprff
しばらくして鷹野は子供がクイズの正解を発表する時のように言った。
「くすくす。いいわ、教えてあげる。時に小此木、警察を強襲するために、撤退の助けが何故必要なの?」
「それは……」
お姫様は何を言ってるのか。理由は先ほど説明したはずだ。
俺が答えを濁していると、不敵な表情そのままにお嬢が続けた。
「強襲チームは古手梨花の生死を確認後、無線で連絡。これだけで済む話じゃなくて?」
「はい? これだけで済むとは?」
「言葉通りの意味よ」
俺は逡巡してお嬢の言葉から思惑を辿る。そして、気づいた。
「……まさかとは思いますが、三佐は隊員を切り捨てるおつもりで?」
「まさか? ふふ、山狗の隊長ともあろう貴方が何を甘い事を。任務遂行のために必要であればそれは当然の成り行きではなくて?」
冷たい目で笑う鷹野を前にして思わず背筋が凍る。
切り捨てるなんて言い方はまだ生易しい。鷹野は見殺しにするつもりなのだ。
そうさ、ブリタニアの警察署内でそのような騒動を起こそうものなら、ブリタニアはその威信にかけて日本人である山狗隊員を生かしておく事などしないだろう。
運が悪ければ拷問後、公開処刑。仮に運が良くともその場で射殺されるだけだ。それを鷹野に伝えても彼女は笑みを崩さない。
「それが何か?」
鷹野のそんな一言を聞いて俺は悟った。
ああ、この女は俺たちを便利な捨て駒としか考えてないんだな、ってな。
586:竜騎士θ7 ◆xAulOWU2Ek
11/04/16 20:10:35.14 JCRzprff
Turn of Tokyo settlement ― Lelouch side ≪数刻前≫
「―そろそろ動き出すか……」
東京租界の警察署の取り調べ室にて俺は独りごちる。
ここを出て雛見沢に居る皆と合流。その後は……。
机を挟んで対面に座っている刑事に目配せをし、ゆっくりと席を立つ。既に彼は俺のギアスによって一時的に俺の協力者となっている。何も問題はない。
刑事は俺の脇へと来ると俺に手錠をし、共に取調室を出る。
俺がブリタニア警察に捕まった事は既に鷹野らに知られているだろう。従って、ルルーシュ・ランぺルージは戦線を離脱しているとまず敵は誤認するはず。
そうでなくても警察は彼らの天敵ともいえる存在であり、俺のマークは当然の如く緩和される。その綻びを突く。
俺は協力者の刑事にパトカーに乗せられ、警察署をまんまと抜け出る。表向きはここより上位の警察署に連行されることになっているが、鷹野らにはそれを見破る術はない。
となれば、奴らは居所の分かっている俺の動向よりも、梨花の死の真偽を調べるのに躍起になるはずだ。
587:竜騎士θ7 ◆xAulOWU2Ek
11/04/16 20:11:36.21 JCRzprff
ところがそれも難しい。
何故ならギアスで俺の支配下に居るのは何も取調室の刑事だけではない。梨花の遺体とされるモノが安置されている部屋にも、俺のギアスに操られた刑事達が存在する。
彼らへの命令は一つ。部屋を封鎖し、侵入者があった場合″出来る限り平和的に排除しろ″というもの。これによってその場にシュレーディンガーの猫箱を構築する。
古手梨花が”生きているか死んでいるか”は部屋に入って中を確認するまで分からない。生死不明の状態で緊急マニュアルを行使する暴挙はあり得ない。
従って、敵は必ずこの餌に食いつき、何かしらの動きを見せるに違いない。そこを揺さぶるとしよう。
この動きはチェスで例えるならナイトの動きといえる。駒を飛び越え、縦横無尽に動き回って相手を翻弄する奇策といった所か。
「……さて、敵はどう切り返してくる?」
車の後部座席で身体を楽にすると、考え付く限りの敵の手を予想していく。
588:竜騎士θ7 ◆xAulOWU2Ek
11/04/16 20:13:09.16 JCRzprff
しばらくして人気のない道へと入った。この先に予め決めておいた降車ポイントがある。
追手がないことを確認後、その場所でパトカーを降りた。
付近にはサイドカー付きのオートバイを傍らに携えた少女が一人。彼女は黒いバイクスーツに身を包み、長い緑髪を風に靡かせ佇んでいた。
「待たせたな、C.C.」
「遅いぞ、馬鹿。女を待たせるとは随分と甲斐性がないんだな」
待たされたことに腹を立てたのかC.C.は皮肉を口にしながら、ヘルメットを投げてよこす。そんな彼女に俺は悪びれもせず言葉を返した。
「甲斐性? そんなもの、正義の味方には必要ないだろう?」
「ふっ、正義の味方か。そんな悪人面ぶら下げてよく言えるものだ」
C.C.は俺の物言いを鼻で笑いながらアクセルを吹かせる。俺がサイドカーに乗ったのを見計らってバイクを急発進させた。
589:竜騎士θ7 ◆xAulOWU2Ek
11/04/16 20:16:45.60 JCRzprff
お久しぶりです。お待たせしました。
とはいえまた次の投稿はいつになるか分からんのですが。
というかいつの間にか一レスの文字数制限が5000から1600に減ってるな…
こんなんでどうやって投稿すればいいんだよと思ったw
もうすぐ終わるはずだからそれまでの辛抱なんだけど
590:名無しさん@お腹いっぱい。
11/04/21 22:35:35.39 80rzIZcR
>>589
乙
緊急自然災害板に入り浸ってて今更見に来てたんだぜw
もしかしたら文字数制限で次スレまで立つかもだな(°д°;)
次の投稿楽しみに待ってるぜ!
591:名無しさん@お腹いっぱい。
11/04/28 00:10:40.30 3YNwf0CL
>>589
乙です!
文字制限大変でしょうが完結楽しみにしています
592:名無しさん@お腹いっぱい。
11/05/04 18:47:36.14 XH82iu2C
保守っ……!
593:名無しさん@お腹いっぱい。
11/05/07 19:49:46.95 bKb2niXc
おおぅ電力板からいまさらもどってきたらば!
保守しつつ待ってるぜー
594:名無しさん@お腹いっぱい。
11/05/12 07:37:30.11 W11W8ogA
ほしゅ
595:名無しさん@お腹いっぱい。
11/05/17 12:02:40.32 aTNk20u5
ほし
596:名無しさん@お腹いっぱい。
11/05/22 11:49:57.86 P04ZS9sY
ほ
597:名無しさん@お腹いっぱい。
11/05/28 05:22:14.64 BrV2tCAr
待ってます
598:名無しさん@お腹いっぱい。
11/06/01 01:45:56.57 1RFfWsWM
もう6月かぁ早いなぁ
599:名無しさん@お腹いっぱい。
11/06/05 17:18:08.20 B1bH9C7A
保
600:名無しさん@お腹いっぱい。
11/06/09 07:36:00.46 a/9JFjWQ
圧倒的保守
601:名無しさん@お腹いっぱい。
11/06/16 15:03:59.46 HTCkC5G0
ほすほす
602:名無しさん@お腹いっぱい。
11/06/22 17:27:21.67 IY2vbKka
保守ッ
603:名無しさん@お腹いっぱい。
11/06/26 08:33:53.19 AabR1qOV
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる!
このスレを保守せよ!
604:竜騎士θ7 ◆xAulOWU2Ek
11/06/26 13:00:25.81 MlP5HPKk
【18】
Turn of Hinamizawa Village ― Rika side
仮面の革命家、ゼロ―日本をブリタニアから奪い返すために動いている神出鬼没かつ正体不明の人物だと聞いている。
何故彼が雛見沢に……否、どうしてこの場に現れるというのか。考えている間もなく仮面の男が口を開いた。
「そうだ、私はゼロ。だがそれは今さほど重要な事ではない。急ぎ故に単刀直入に聞くが、ここに古手梨花はいるか?」
「梨花に何の用ですの?!」
沙都子が私を背中に押しやりながら強い口調で訊ねる。その身体は幾ばくか震えていた。無理もない、ゼロは正義の味方を自称しているとはいえそれでもテロリストのような存在だ。年端もいかない彼女が怖くないはずもなかった。
「質問を質問で返さないでもらおう。安心しろ、私は古手梨花を助けにきただけだ」
「なら、その仮面をお取りくださいですわ。信用のできない貴方の助けなど必要ありませんでしてよ。さっさとお帰りくださいませ」
沙都子は鋭い目つきで一蹴、仮面の男を見据える。その瞳は鉄平の件で悩まされていた時のものと比べると極めて対照的で、私にはとても澄んでいるように感じた。
しかし彼女の厳然たる態度にも彼は少しも怯まなかった。
「ふっ……私が信用できないか、当然だな。しかし君は間違っている。私は君に許可など求めてはいない、いつでも私は自らの意思にのみ従って行動するからだ」
「なっ……」
唖然とする沙都子を無視し、彼は私のほうに視線を向けた。実際には仮面越しなので本当のところは分からないがそんな気がしたのだ。
「君だな、古手梨花は?」
名前を呼ばれ、自然と身体がびくりと反応してしまう。これでは図星を突かれたと言っているようなものだ。
自分の失敗に内心苛立ちつつも、仕方なしに私は仮面の男の言葉を肯定することにした。
「……ええ、ご明察の通り。私が古手梨花よ」
「そうか、間に合ったようで良かった。私が来たからにはもう安心していい」
「私を助けてくれるというの?」
「ああ、そうだ」
605:竜騎士θ7 ◆xAulOWU2Ek
11/06/26 13:02:49.66 MlP5HPKk
「どうして貴方が?」
期待を胸に抱きながらもまだ心は許せず、冷やかな疑問を投げかける。
ところがゼロは私の質問には答えず、唐突に話題を変えた。
「ルルーシュ・ランぺルージという少年を知っているな」
「何故、貴方がルルーシュのことを? ……いえ、ゼロ。先ほど貴方はルルーシュの安否を気にしていた私たちに、その心配は無用だと言っていたわね。一体どうして?」
「知っているという認識で話を進めて構わないようだな」
かみ合わないゼロとのやり取りに苛立ち、私の声の抑揚は自然と上がっていた。
「質問に答えなさい! ルルーシュは無事なの?!」
ゼロは私の威勢に少しも動じることはなく、徐に頷いて言葉を続けた。
「ああ、彼は無事だ。今は黒の騎士団のメンバーが保護している。こちらには来られないが問題はない」
「それは本当なのね?」
「好きに取ったらいい」
ルルーシュは無事……。その報を聞き、私は胸を撫で下ろした。
「落ち着いた所で悪いが話を先に進めさせてもらおう。悠長に語らって居られる程あまり時間は残されていないものでね」
一呼吸ついてからゼロは再び話し始めた。
「……私が今ここに居るのは彼の作ったスパイウェアを偶然発見し、その中身を解析したからだ」
「ルルーシュのスパイウェアを?」
確かそれは鷹野に対するブラフだったはず。ルルーシュはあの後それをこの短い期間で完成させていたというのか。
「そのスパイウェアには、雛見沢症候群という病気を引き起こす寄生虫の膨大な情報が詰め込まれていた。そのレポートを全て読ませてもらった」
そう口にし、ゼロは分厚い紙の束を私のほうに投げてよこす。手渡す気はなかったらしく、それは当然のように宙を舞って地面にばら撒かれた。
ゼロの言い分を簡単に説明するとこうだ。
『ルルーシュのレポートから、雛見沢症候群が大変危険な存在である事が分かった。それを用いて細菌兵器を研究している人間がいるという事実を正義の味方を自称する自分は見過ごす
ことが出来ない。故に奴らの目的であり、雛見沢症候群の引き金である古手梨花を守りに来た。』
筋は通っているように思える。だけど、信じるには何かが少し足りない気がした。
あの”ゼロ”が本当に私を助けてくれるのなら、確かにこれ以上の味方はないといえる。けれど沙都子も言うように、顔も見せない素性の分からない人間を果たして信頼していいのだ
ろうか。
私だけの命がかかっているのならまだいい。だが私が死ねば雛見沢に住まう人々が皆殺しにされてしまう。もしくは強制的に症状をL5にまで引き上げられ、雛見沢は地獄と化してしま
う。従って、私に選べる選択肢など初めからなかった。
「ルルーシュを保護してくれたのは感謝するわ。ただ、残念だけどそれだけの理由で貴方を信用することは出来ない」
ゼロの言葉を安易に信じる気持ちにはなれなかった私は突き放すように拒絶の言葉を紡いだ。
「貴方の助けは―不要よ」
606:竜騎士θ7 ◆xAulOWU2Ek
11/06/26 13:05:27.30 MlP5HPKk
「っ……。……ほう、ならばどうする? 何か手があるというのか……?」
意外だったのか、ゼロの声が若干裏返ったような気がした。その様子に私も少し驚いた。
噂を聞く限り、私はゼロを機械のように無機質な極めて冷酷な人物かと思っていた。だが実際はそうではないらしい。
仮面はただ素性知られたくないからという理由だけで被っているのではなく、何を考えているのか分からないといった怪しさ、それから生まれるカリスマ性を得るためのものなのだろう。
私はその―白鳥が水面下で足をバタつかせているような―ゼロの涙ぐましい努力を内心微笑ましく思った。
そのおかげか正体不明のゼロへの恐怖感が薄まり、真っすぐ彼と対峙する事が出来るようになる。
「ルルーシュの策が、あるわ」
あたかも知人と話をするかのように自然と言葉が口をついた。
「……その策は彼が一人で考えたものだろう。彼なしで上手くいくものか」
「例えそうだとしても私には仲間がいる。仲間がいればまだ私は戦える」
そうして私はレナと沙都子を一瞥した。
「馬鹿な……無策で敵と戦うだと!? 正気か!」
思いのほか感情を高ぶらせてゼロは叫んだ。その様子からテロを防ぐという面とは別に、彼が私自身を本気で心配してくれているように思えた。
正体不明の仮面の革命家は案外優しく信頼の置ける人間なのかもしれないとすら感じる。
そんな感想を持ったことを悟られないように私は真顔で答えを返す。
「ええ、私は至って正気よ」
「そんなのは、馬鹿げているぞ古手梨花……」
「ならばその仮面を外して正体を明かして頂戴。そうしたなら、私は貴方のことを少しは信頼できると思うから」
「…………それは無理だ」
ゼロは刹那的な沈黙の後、徐に首を振る。少しは考えてくれていたのだろう。その真摯な態度には素直に感心ができる。
が、それとゼロを信頼できるかということは別次元の話だ。
「そ、残念。では申し訳ないけれど素早くお引き取りいただこうかしら」
「…………」
ゼロはその場を動かなかった。
607:竜騎士θ7 ◆xAulOWU2Ek
11/06/26 13:09:44.03 MlP5HPKk
久しぶりで投稿ミスったOTL
読みづらくて申し訳ない
それと投稿おそくてすまない。
亡国のアキトが始まるまでには終わらせたいと思ってる…
608:名無しさん@お腹いっぱい。
11/06/27 00:56:53.71 uj4O3YT3
ありが乙!
おもしろくなって来た!
次回たのしみだ!
609:名無しさん@お腹いっぱい。
11/07/02 05:23:46.27 66oecBnt
いつも保守ってた人たちはどこへ行っちゃったんだw
気付いてないのかな?w
次の投下が楽しみ
がんばってね>>1
610:名無しさん@お腹いっぱい。
11/07/02 05:34:32.91 Bsh0RCZ3
おつ!ゼロっぽさが出てて流石ですなぁ
>>609
今ちょうど読みに来たところさ・・・
保守なら出かける前に出来るんだが、読むとなるとじっくり読むタイプなんでねw
611:名無しさん@お腹いっぱい。
11/07/03 10:25:05.71 wfkf5WNO
おおっ、来てたかw
投下乙です
ルルが信頼され過ぎた結果、ゼロが信用されないとは何たる皮肉w
一筋縄じゃいかないもどかしい展開…だが、それがいい!
次回作もwktkしながら待っとります
612:名無しさん@お腹いっぱい。
11/07/12 06:42:05.39 UjN6bCye
ほしゅ
613:名無しさん@お腹いっぱい。
11/07/15 04:09:49.67 ysUYHhCU
保守なのですよ~
にぱーっ
614:名無しさん@お腹いっぱい。
11/07/15 19:54:16.77 a7ZwFvnC
うpありがとうさぎ
さあ次はどうなるどうなる?!!
θ7先生の作品が読めるのは2ちゃんだけ。
次号:ゼロの正体に気づき始めた梨花が取った行動とは…?
615:名無しさん@お腹いっぱい。
11/07/23 10:47:44.54 fDvtCkDl
ひと月近く経って気づくとはなんたる不覚!
うp乙!そして保守!
616:名無しさん@お腹いっぱい。
11/07/23 21:06:39.57 XxSYjGWy
携帯から失礼
保守and感想ありがとう
個別にレストラン返すことができず申し訳ない
617:名無しさん@お腹いっぱい。
11/07/23 21:08:11.54 XxSYjGWy
レストランちゃうwレスや
618:名無しさん@お腹いっぱい。
11/07/23 21:09:10.31 kmtqy3q8
レストランわろたw
619:名無しさん@お腹いっぱい。
11/07/24 11:24:53.30 nDfxxRzI
これは流行るw
620:名無しさん@お腹いっぱい。
11/07/27 19:55:57.71 FlzDDNbj
次のレストラン待ちホシュ
621:名無しさん@お腹いっぱい。
11/08/02 21:38:05.71 IGi5JEjB
ほ
622:名無しさん@お腹いっぱい。
11/08/07 05:09:16.73 GP77SUNP
れすとらん
623:名無しさん@お腹いっぱい。
11/08/09 20:53:11.99 mWYoJhyh
最初から一気に読んだが面白かった
というわけで保守
624:名無しさん@お腹いっぱい。
11/08/13 12:34:31.68 9I1Egzu5
三つほしゅレストラン
625:名無しさん@お腹いっぱい。
11/08/17 22:16:18.89 OLJysV0N
保守
626:名無しさん@お腹いっぱい。
11/08/24 02:43:29.67 h86gGOwf
保守デリカ・ベルンカステル
627:名無しさん@お腹いっぱい。
11/08/26 20:20:02.30 +JYbwGI5
保守
628:名無しさん@お腹いっぱい。
11/09/05 19:21:25.50 bL6zhbyb
ほ す
629:名無しさん@お腹いっぱい。
11/09/13 00:50:40.24 tEZR1WJ+
保守とらん
630:名無しさん@お腹いっぱい。
11/09/13 11:49:20.93 ofuVsUUT
このSSっておもしろいの?
誰かここまでのあらすじを3行にまとめてくれないか
631:名無しさん@お腹いっぱい。
11/09/13 12:05:32.48 tEZR1WJ+
ギアスとひぐらしが好きなら読んで損はないと思うよ
632:名無しさん@お腹いっぱい。
11/09/13 13:35:48.21 NMutEG9o
ギアスと
ひぐらしが
ナイスクロス
両方好きな俺は見事にハマったわ
脳内再生余裕でした
633:名無しさん@お腹いっぱい。
11/09/16 08:48:30.11 +DUtqP+P
>>632とほぼ同じく
そしてそれぞれの原作を再現する文章のうまさがはんぱない
だから生き生きと脳内再生されるんだと思う
おすすめです
634:名無しさん@お腹いっぱい。
11/09/18 07:47:41.20 7YVe9hrq
支援
635:名無しさん@お腹いっぱい。
11/09/22 17:12:49.68 iiYSQLDI
沙都子の言い分に対して自分の意思を少しも曲げようとしなかったゼロは今、私の拒絶を前にして酷く動揺しているように見えた。自らの意思によってのみ行動する。沙都子にそう宣った時のゼロはもう見る影もない。
今更になって少しの違和感を覚える。沙都子の時は平静を保っていながら、私の時はそうではなかった。それは何故だろう?
ゼロは、私が拒絶する事はないと思っていたのか? 否、彼はそんな能天気で愚鈍な人間ではないはずだ。
助力を拒まれる可能性は考えていたが、実際に拒絶され、ゼロは思いの他ショックを受けてしまったということなのか?
では沙都子と私の時の違いは一体なんだろうか。
私がゼロにとって救うべき対象だから? 違う、そうではない。それだけの理由なら、ゼロから漏れ出るこの打ち拉がれたような悲壮感の説明が付かない。
なんだろう……。もう少しで分かる気がする。何が、というと言葉では表せられないが……後一歩の所まで、私はゼロを”理解”する所まで来ていた。
「待って、梨花ちゃん。ここはゼロさんの力を借りるべきだと思う」
思考の迷路で彷徨い歩く私を、唐突に現実へと引き戻す声がした。
私とゼロの睨み合いの中、それを制したのは他ならぬレナだった。私は耳を疑った。
「レナさん、急にどうしたんですの?」
これには沙都子も驚きの声を上げた。それもそのはず、先ほどまではレナも沙都子と同じく―いや沙都子以上に疑心の目でゼロを見ていたのだから。
一体、何が彼女の気持ちを変えたのだろうか。聞かねばなるまい。
「レナ、僕にも聞かせてください。何故貴女がそういう結論に至ったのかを」
真剣に訊ねる私に対して、レナは普段の様相で不思議そうに首を傾げた。
「はぅ? 別に理由なんてないんだよ。強いて言うならあんなかぁいい仮面を着けてる人に悪い人はいないんじゃないかな、かな?」
「レナ、今は冗談を言っている時では……」
いつもなら微笑ましいそれも、このような非常時では決して笑う気になどなれない。逆に呆れてしまう。
私の内心を悟ったのか、レナはすぐに表情を真剣なものへと一変させた。
「ごめんね。だけど、本当に理由はないって言ったら?」
「……レナは素性を明かそうとしない人間を信じろというの?」
「うん、そうだよ」
微笑を浮かべながらレナは頷いた。
理解できない。この状況で信頼できない人間を仲間に加えることがどんだけ危険な事かレナなら分かるはずじゃないのか。
私がそれを口にしようとした刹那、表情に微笑みを留めたままのレナの口から冷たい言葉が矢継ぎ早に発せられた。
「梨花ちゃんこそ何をそんなに拘っているのかな、かな? 信頼? そんな綺麗事で敵に勝てるの?」
「レナさん! それは――!」
「沙都子は少し控えていて」
レナに食って掛かろうとする沙都子を宥め、レナに先を促すと彼女は後にこう続けた。
『今必要なのは絶対的な戦力を覆す力だよ。』
私はその言葉に動揺を隠せなかった。
……確かに力には力をぶつけるのがセオリー。レナの言いたい事も分かる。いくら軍師が優れていても兵が伴わなければ戦に勝てはしないのだ。
けれどレナの意見を肯定できるほど、私は大人には成れないでいた。
「それを覆すためにルルーシュが考えてくれた策を、レナは忘れたのですか」
「梨花ちゃんこそ忘れたのかな。ゼロさんも言っていたけど、その策はルルーシュくんときちんと連携が取れてこそのものだったはずだよ」
「そうだとしても!」
例えそうだとしても私には他にも頼もしい仲間がいる。仲間がいれば私は戦える。その言葉さえも、レナは綺麗事と笑うというのか。
「なら梨花ちゃん。信頼が大事というのならゼロさんじゃなくて私を信じて?」
「レナを……?」
彼女のそれは、私を納得させるための方便。ずるい言い方だった。
ここで私が彼女を信じなければ、私自身が信頼を否定することになり、結果自らの考えを根本から捻じ曲げることになるからだ。
けれど、分かっていても私は首を縦に振るしかなかった。
「……分かりましたのです。今はレナの判断に従います。でもゼロが少しでも不審な行動を取ったなら……」
「うん、それで構わないよ。ありがとう」
そう言ってレナはゼロのほうに向き直って微笑んだ。
「そういう訳だから―ゼロさん。よろしくなんだよ、だよ☆」
レナは右手を差し出してゼロに握手を求める。彼は逡巡した後それに応じた。
どうしてだろうか。この時の私は、ゼロに対してレナが浮かべる微笑に確かな信頼があるように思えた。