09/01/12 21:35:47 TXQqd38W
【3】
午後の授業が終わり帰宅しようとしていると、両側からレナと魅音に腕を押さえつけられる。
「一体なんのつもりだ」
「あんたこそどこ行くつもり?」
「どこって、家に帰ろうとしていたに決まっているじゃないか」
「駄目だよ、ルルーシュくんは今日から一緒に部活やるんだよ、だよ」
そういえばそんなことになっていたな。半ばなし崩し的に。
聞く所によると、部活とは『複雑化する社会に対応するため、活動毎に提案されるさまざまな条件下、時には順境。あるいは逆境からいかにして脱出するかを模索すること』を目的にして魅音より発足されたスリリングかつシビアな部活動のことだそうだ。
平たく言うと放課後にゲームをやってスコアを競い合う集まりらしい。
「授業中に約束したの忘れちゃったかな、かな?」
「約束はしてないが、そうだな。やってもいいぞ」
「ホント?!」
「さすがルル! そうこなくっちゃ!」
レナと魅音の表情が嬉々としたものに変わる。
「ただし、一つだけ問題がある。分かっていると思うが、ナナリーはその、目が見えない。どうやって遊ぶんだ? その問題がクリアされない限り俺が入部に応じることはないぞ」
仮に俺が楽しくてもナナリーがつまらないと感じているなら、魅音の部活には何の価値も見出せないからな。
魅音たちがこの問題を解決できないのであれば、悪いが断ろうと思った。
「だったらルルがナナちゃんの目になれば良いじゃん」
「なんだと?」
「ルルが目で見た情報をナナちゃんに伝えて二人で協力すれば良いんだよ。おじさんたちは歴戦の兵だからね、ルルたちが協力すれば丁度良いゲームバランスになると思うよ」
ふ、なるほど。そう来たか。
「面白い。ナナリーはそれでいいか?」
「はい、お兄様。それなら私も皆さんと遊べますね」
「なら決定でございますね。準備が出来たらすぐに始めましてよ!」
沙都子はもう待ちきれないようだ。まったく、落ち着きのないやつ。
その隣から梨花が魅音に訊ねた。
「みぃ、ところで今日は何をするのですか?」
「そうだねぇ。ジジ抜き……ってのはどう?」
「それはいいですわねぇ!」
魅音と沙都子が不敵な笑みを浮かべる。開始早々嫌な予感した。
「頑張りましょうね、お兄様」
「ああ、そうだな」
俺の杞憂であると良いのだが……。