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ざっと見て、いまの日本には「戦場」が三つある。
津波で多くの命と財産を失い、10万人が避難所で暮らす東北の被災地。
内外に放射能と不安を広げる事故原発。そして、これらに一丸であたるべき者たちが争う国会だ。
谷垣自民党総裁は、菅首相との討論で「だからお辞めなさい」と迫り、内閣不信任案のカードを切った。
震災という共通の敵が暴れている時に、陣内で斬り合ってどうする。
菅おろしの勢力は「震災で政権延命を図るな」と批判するけれど、国難の政治利用ならお互い様だ。
「被災者のため」と言い張る野党に、民主党の「党内野党」が呼応する。これが政策にかこつけた政局でなくて何だろう。
領土問題などでの「甘さ」に我慢ならない保守論壇も、震災対応の不手際をここぞと攻め立てる。
曰(いわ)く、この首相では国が滅ぶ。では空前の大災害を、誰がいかに収めるというのか。
経済学者の浜矩子さんが、「絶句につぐ絶句……仕事しろ」と政治状況を嘆いておられた。
情けないのは右往左往する与党議員だ。とうに政党の体をなさぬ民主党ながら、
党に残ったまま不信任に賛成するのはずるい。造反といえば格好いいが、信念より打算が見え見えである。
ベトナム戦争の最前線を命がけで取材した開高健は、戦場を「ウソのないたった一つの場所」と書いた。
作家の定義に従えば、永田町は戦場の名に値しない。しかもこのB級コメディー、
制作費の大半が血税だから泣くしかない。せめて短編で終わりますように。