10/07/25 01:22:48.75 3u88gQ7/0
こういうの書いてる奴って家でなにしてんの?
相当暇だよな
ってか人間的に終わってる
490:Ch.079 魔法の言葉を囁いて
10/07/25 01:26:40.84 0rANlgxdO
あっ。
もう少し、もう少しですよ先輩。
梓「こっちです先輩」
唯「あ……あずにゃん……これ結構疲れるんだけど……はあふう」
梓「あと……あと三メートルですから!」
来る……唯先輩が来ちゃうう。
私はしゃがみこんで唯先輩を迎える準備をする。
梓「もうちょっとですよ……はあ……はあ……」
唯「へえ、はあ……なんであずにゃんが疲れてるの……?」
梓「あ……」
ここにきてスピードを落とすなんて……。
気が狂いそうだ。
もうすぐそこまで来ているというのに。
唯「あとどれくらい?」
梓「はあ……はあ……え? あ、一メートルです」
唯「おっし。とうっ!」
梓「えっ!」
491:Ch.079 魔法の言葉を囁いて
10/07/25 01:29:52.75 0rANlgxdO
唯先輩は両足で地面を蹴って台車に勢いをつけた。
この距離でそんなスピード出したらどうなるか……予想する前に唯先輩の顔面が私のアソコに着弾した。
ザシュ。
そんな音がした。
梓「んああっ!」
唯「!?」
梓「か……かは……っ」
ぶつかった衝撃で思わずのけぞってしまった。
唯先輩は何が起こったのか把握しきれていないみたい。
梓「先輩……大丈夫ですか?」
さあ、唯先輩何か喋って。
唯「…………え?」
梓「っはぎぃぃぃ……!」
なんてこと。
たった一言、たった一文字の感動詞。
しかしそこからは何もわかっていない唯先輩の無垢さを感じられて、その無垢さを利用して騙している背徳感がむくむくと膨らんでくる。
そこに追い討ちをかけるように羞恥心が流れ込んできた。
唯先輩と接触したことで私のパンツが濡れている事を思い出させられたのだ。律先輩の時にだいぶ濡らしちゃったし今までじらされた事もあってびちゃびちゃ。
さらにパンツが湿った所為なのか振動の強さが倍になっていた。
492:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 01:30:47.20 1uVI1htj0
わっふるわっふる
493:Ch.079 魔法の言葉を囁いて
10/07/25 01:34:48.71 0rANlgxdO
梓「っあ……う……」
身体を震わせながら快楽の波に耐える。
まさかここまでの快感が得られるとは思わなかった。
唯「はあ……はあ……」
私が必死に耐えているというのに唯先輩は息を荒くして私に刺激を送り続けている。
ここまで台車をこいで息があがってるから仕方ないんだけど今の私にはそれだけでも致命傷だ。
まずここは耐える事にして次の唯先輩の言葉でイこう。
きっと私の名前を読んでくれるに違いない。何が何だかわからないといった感じで「あずにゃん……?」と。名前の破壊力は律先輩の時に実証済みだ。今の状況と合わされば何倍もの衝撃が私を―
唯「へっっぶしっ!!」
あ―
一瞬でもっていかれた。
メーターが振り切れてしまった。
そんな……こんな時にくしゃみをするなんて……唯先輩のバカ。
もうすぐ来ちゃう。
何がよかったのかわからない。
振動? 衝撃? それともくしゃみが私の琴線に触れたの?
言葉ですらないのに。
くやしい。
こんなのでイきたくない。でももうだめ。頭に靄がかかってきた。
あ、あ、きちゃう、きちゃう、き―
梓「や、ら、あ、あ、あ……んんんんんぅううううううぅぅぅぅぅ!」
494:Ch.079 魔法の言葉を囁いて
10/07/25 01:41:43.61 0rANlgxdO
唯「―あずにゃんてば」
梓「ひぐっ」
あ……あー……。
漸く戻ってこれた。
ありえないほど気持ちよかった。
けどくしゃみでイったなんて思いたくない。
きっとくしゃみの勢いと濡れたパンツの症状効果だよね。
決してくしゃみなんかでイってしまう自分に酔っていたからじゃない。
唯「あずにゃんどうしたの? 大丈夫?」
梓「あっ! 今は……喋らないで……うあひっ」
腰がいう事をきかない。
何もわかっていない唯先輩の上でビクビクと震えている。
唯先輩は私の事を心配してくれているのにそれが私を余計にゾクゾクさせてる。
梓「す、すいません……唯先輩」
唯「だいじょうぶ?」
梓「ひぎぃ……!」
だいじょうぶ。
なんて濁音の多い言葉なんだ。今の私にはつらいよう。
先輩が優しくするほどに私の快感が増していく。
495:Ch.079 魔法の言葉を囁いて
10/07/25 02:01:56.44 0rANlgxdO
これ以上気持ちよくなったらどうなっちゃうの。
怖い。
怖いけど……あとにひけない。
もう気持ちよくなることしか考えられない。
もうどうにでもなっちゃえ。
梓「唯先輩……」
唯「どうしたの?」
梓「あんっ……私唯先輩の事が……好きなんです」
気持ちよくなりたい一心で口から突いて出た言葉がこれだった。
確かに唯先輩のことは友達として好きだ。でもそれだけ。
なのに大変な事を口走ってしまった。
唯先輩は何て答えるのだろう。
それを受け止める私のアソコはどうなってしまうのだろう。
今までの関係が崩れるかもしれない。そしたらどうしよう。……そう思うことすら快感に変換される。
唯「え……あずにゃん?」
梓「んん……ふあ」
戸惑った声。
さあ今度はどう返すんですか。
ああ、今必死に考えているんだろうなあ。
それとも思考停止しちゃってたりして。
496:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 02:05:36.21 ahHqmy/Q0
497:Ch.079 魔法の言葉を囁いて
10/07/25 02:07:35.19 0rANlgxdO
唯「えっと……ごめんなさい」
梓「あ……っ!」
唯「あずにゃんの事は好きだけど……後輩として、友達として好きなの」
梓「は、あ……んんんん!」
唯「だから、ごめん」
梓「ほぁ……ふぁああ……!」
ああああ振られちゃった。
だけど最高に気持ちいい。
唯先輩の辛そうな声が私のアソコに響いている。
でも足りない……。
梓「そうですか。じゃあ嫌いって言ってください」
唯「え……どうして」
梓「ん、なんとなくです」
唯「……」
梓「ほら、私とは付き合えないんでしょう? なら早く言ってください。私のことなんて嫌いだって―」
唯「そんな事言えるわけないじゃん!!!!」
498:Ch.079 魔法の言葉を囁いて
10/07/25 02:13:01.89 0rANlgxdO
梓「ひぐうううううっ! ……く、へ、あ……!」
あああああやっぱり唯先輩はずるい。
そんな大声出されたらアソコが壊れちゃいますよ。
唯先輩の思いが湿ったパンツを通過して倍増して伝わる。
今の言葉で全身に電気が走ったみたいだ。
もう……い、く……
唯「あずにゃんのバカ!!」
梓「あひぃっ!? な、なにを……」
唯「さっきも言ったじゃん。あずにゃんの事……友達として好きなの! それなのにいきなり嫌いなんて言えるわけ無いでしょ! 今日のあずにゃん変だよ!!」
梓「ひゃ、ひゃめてぇ……も、もういってるからぁ……! んっ、んぐっ」
唯「普段のあずにゃんならあんな事言わないでしょ? ……もしかして何かあったの?」
梓「はっ、あっ、あっ、あっ……はあっ、あ、な、なんでもないですっ……だからしゃべら、あぁんっ!」
唯「どうしちゃったのあずにゃん……あ、あれ? あずにゃん、なんだかパンツがねばねばしてきてるんだけど」
梓「んぎいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
499:Ch.079 魔法の言葉を囁いて
10/07/25 02:18:26.70 0rANlgxdO
梓「ひぐうううううっ! ……く、へ、あ……!」
あああああやっぱり唯先輩はずるい。
そんな大声出されたらアソコが壊れちゃいますよ。
唯先輩の思いが湿ったパンツを通過して倍増して伝わる。
今の言葉で全身に電気が走ったみたいだ。
もう……い、く……
唯「あずにゃんのバカ!!」
梓「あひぃっ!? な、なにを……」
唯「さっきも言ったじゃん。あずにゃんの事……友達として好きなの! それなのにいきなり嫌いなんて言えるわけ無いでしょ! 今日のあずにゃん変だよ!!」
梓「ひゃ、ひゃめてぇ……も、もういってるからぁ……! んっ、んぐっ」
唯「普段のあずにゃんならあんな事言わないでしょ? ……もしかして何かあったの?」
梓「はっ、あっ、あっ、あっ……はあっ、あ、な、なんでもないですっ……だからしゃべら、あぁんっ!」
唯「どうしちゃったのあずにゃん……あ、あれ? あずにゃん、なんだかパンツがねばねばしてきてるんだけど」
梓「んぎいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
500:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 02:20:54.48 ahHqmy/Q0
501:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 02:22:28.96 A3MkePiZ0
大事なことだったのか
502:Ch.079 魔法の言葉を囁いて
10/07/25 02:25:03.20 0rANlgxdO
―あ、あれ。
私失神しちゃってた……?
うっすら目を開けると唯先輩のジーンズが目に入った。
そっか、唯先輩に倒れこんじゃったんだ。
梓「ぁ……唯先輩ごめんなさい」
唯「あ、あずにゃん起きた? 大丈夫?」
梓「んっ……なんとか」
死ぬかと思った。
もうイってるのに唯先輩が話をやめないんだもの。
それに私の言うバカみたいな事に必死になってくれて、そんな健気な先輩の言葉に加えて……ネバネバって何よまったく。最高。
力が抜けてしまってろくにうごけない。
先輩の口は私のアソコにくっついたままだしどうしよう。
今何か言われたらまた飛んじゃうかも。
梓「唯先輩……ひとつだけお願いがあります」
唯「何?」
梓「私の名前を大声で叫んでくれませんか?」
唯「…………うん、いいよ」
梓「思いっきりですよ? これでもかって言うくらいの大声を―」
503:Ch.079 魔法の言葉を囁いて
10/07/25 02:30:31.53 0rANlgxdO
唯「ああぁああああああああああああああぁ!!!!」
梓「っ…………っ!」
あ―
声がでな、い……
からだか、ガクガクって悲鳴上げてる……
唯「ずううううううううううううううううううう!!」
梓「かはっ……! あ……が……っ!!」
あ、もう、もうきちゃう。
先輩の叫び声は今までのことばよりずっとすごいよぉ。
きもちよすぎるおなかがひくひくしちゃう。
わたしぜったいだらしないかおしちゃってる。
唯「にゃあああああああああああああああああ!!!」
梓「いぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
唯「んんんんんんんんんんんんん!!!!」
梓「んんんんんんんんんんんん!!!!」
504:Ch.079 魔法の言葉を囁いて
10/07/25 02:34:44.65 0rANlgxdO
あの後再び気を失った私は唯先輩に台車で運んでもらったみたい。
アスファルトのゴツゴツとした振動が心地よかったのをなんとなく覚えている。
今度は憂に頼んで論文を発表してもらおうかな。
とびきり難しいやつがいい。
そんなくだらない事を考えていられるのも唯先輩との関係が壊れなかったからだ。
あの時の私はどうかしてたよ。
もう無茶な事は控えないとなあ。
それともうひとつ。
この経験を通して今までの考え方を改める事が出来た。
それは歌詞の重要性。
私が音楽を聞く時は大体ギターを中心に楽器を聴いている。
ヴォーカルもメロディラインとして聞くから歌詞に重きを置いていなかった。
軽視してたんだ。
だけど、言葉の重みを知ることが出来てからそんな事はなくなった。
歌詞の、言葉の大切さに気がつくことができた。
そこに隠された思いにも。
そう考えると澪先輩の歌詞も捨てたもんじゃない……かも?
バンドは楽器だけじゃない。
素敵な演奏と歌詞に愛を込めれば全身が痺れるような快感を与えられる。
私はそんな音楽をやっていきたいと思います。
END
505:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 02:38:05.06 1uVI1htj0
イイハナシダナー
506:Ch.080 いやーあれは失敗だった
10/07/25 02:40:07.40 0rANlgxdO
高校生活も残り一年を切った頃、私は一通の手紙をもらった。
手紙には私への思いが綴られていた。
差出人は二年生の後輩、つまり同姓からだ。
手紙を読んでいるうちにふつふつと感情が湧き上がってくる。
なんだろう。
というかそもそもどういう返事を返せばいいのかわからない。
どうすれば。
よし。決めた。
この気持ちを相手にそのまま伝えよう。
そう決心して相手の指定した場所へと向かった。
待ち合わせ場所には赤いタイの学生がいた。
見覚えはない……と思う。
「あの……田井中先輩。手紙読んで頂けたんですね」
「あ、うん」
「ええっと、それで……」
相手が何か言うつもりだ。
ここは私が先手を切ろう。手紙を読んで感じた事をそのまま言うんだ。
そうすればきっと上手くいく。
「気持ち悪いんだけど」
507:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 02:43:37.90 ahHqmy/Q0
508:Ch.080 いやーあれは失敗だった
10/07/25 02:44:19.07 0rANlgxdO
律「っていったらその子どっかいっちゃってさー」
澪「そらそうだ」
律「それ以降不幸の手紙もらうようになっちゃってさー」
律「いやーあれは失敗だった」
紬「失敗は誰にでもあるよ。私も昔友達から貰った手作りクッキーを食べた時に」
紬「今度もっと美味しいクッキーを持ってきてあげるねって言っちゃった」
紬「それ以来その子がよそよそしくて」
澪「そらそうだ」
紬「いやーあれは失敗だった」
唯「私も自分が遅刻した事を憂のせいにしたら暫く口利いてもらえなくなった」
澪「そらそうだ」
唯「いやーあれは失敗だった」
律「つまりもっとよく考えてから喋れって事だな」
END
509:Ch.081 あずビッチ!
10/07/25 02:51:12.23 0rANlgxdO
梓「澪先輩!」
澪「おはよう梓」
梓「おはようございます!」
澪「朝から元気いいな」
梓「澪先輩に会えましたからね」
澪「あ、う……そういうこと言うな!」
梓「えへへ」
律「えー私は?」
梓「何がですか?」
510:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 02:53:56.64 ahHqmy/Q0
しえ
511:Ch.081 あずビッチ!
10/07/25 03:07:07.13 0rANlgxdO
律「だからー私に会えて元気出た?」
梓「澪先輩今日も部活頑張りましょうね」
澪「そうだな」
律「……」
梓「それじゃあ放課後に」
澪「ああ」
律「……」
梓「あ、律先輩」
律「なにさ」
梓「ちゅっ」
律「!」
梓「それじゃあ失礼しまーす」
512:Ch.081 あずビッチ!
10/07/25 03:13:21.81 0rANlgxdO
梓「遅れました」
唯「あっあずにゃん!」
唯「ぎゅううううう」
梓「ちょっと! やめてください!」
唯「えっ……」
梓「まったくもう……誰もいないところでしてくださいね」
唯「あ、うん!」
紬「あ、梓ちゃん!」
梓「はい?」
紬「梓ちゃん、部活の後少し残ってもらってもいいかな」
梓「いいですよ」
513:Ch.081 あずビッチ!
10/07/25 03:18:40.08 0rANlgxdO
梓「それでどうしたんですか?」
紬「実は私……えっと……」
紬「やっぱりなんでも……」
梓「ムギ先輩」
紬「はっはい」
梓「私もムギ先輩と同じ事思ってるかもしれませんよ?」
紬「えっそれって……!」
梓「ふふ」
紬「わ、わたし梓ちゃんのことが―!」
梓「嬉しいですムギ先輩……」
梓「くふ」
END
514:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 03:19:57.83 ahHqmy/Q0
なんという手練
515:Ch.082 ゲストコーナー
10/07/25 03:23:10.94 0rANlgxdO
律「CDTVをご覧の皆様こんばんは!」
律「ほう!」
唯「か!」
梓「放課後ティータイムです」
律「こらぁー! お前はティーだろ」
梓「澪先輩」
澪「ここっ今回の曲は唯が作りました。えっと……この曲のテーマは?」
唯「えっとねーこれは私の妹を思って書いた曲です!」
律「まん」
紬「BOW」クネクネ
澪「ぶふっ……おいやめろ!」
梓「あ゛ー……それでは聞いてください。『U&I』です」
澪唯紬梓律「どうぞっ!」
END
516:Ch.083 ゆうれい
10/07/25 03:28:31.89 0rANlgxdO
ピンポーン
憂「はーい」
ガチャ
澪「こんにちは」
憂「あれ、澪さん?」
澪「今日唯とお泊り会するって話なんだけど……聞いてない?」
憂「えっ!? お姉ちゃん中学の時のお友達の家に泊まりに行っちゃいましたよ!」
澪「ええっ! ちょっと唯に電話してみる……」
憂「おねえちゃあん……」
プルルルル
517:Ch.083 ゆうれい
10/07/25 03:33:07.67 0rANlgxdO
ピッ
憂「どうでしたか?」
澪「うん、唯のミスで本当は来週の日にちを私に教えるはずが何故か一週間早まったみたい」
憂「ご、ごめんなさい!」
澪「憂ちゃんは悪くないよ」
憂「で、でも……」
澪「大丈夫だって」
憂「あ、あの!」
澪「ん?」
憂「澪さんはもう晩御飯食べました?」
澪「いや、まだだけど」
憂「もし良かったらうちで食べていきませんか?」
518:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 03:39:23.33 ahHqmy/Q0
519:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 04:04:39.09 s0h0bKVS0
ぬるぽ
520:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 04:18:59.90 +goNS7/kP
ものっすごい手抜きと無駄に力の入ってるSSが混在してて俺は
それより台車かってきた
521:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 05:33:42.43 rhx6wKms0
台車の話が発想すごすぎる
1はふだん何考えて生活してるんだ?
522:Ch.083 ゆうれい
10/07/25 05:54:49.98 0rANlgxdO
澪「でも悪いよ」
憂「実は今日お姉ちゃんがお泊りに行くのを忘れててご飯作りすぎちゃって」
澪「うーん……それじゃご馳走になってもいいかな?」
憂「はい! 上がってください」
澪「お邪魔します」
憂「今日も両親は出掛けてますからくつろいでて下さい」
澪「今日もか……」
憂「すぐに準備できますから」
澪「ありがとう」
澪(憂ちゃんと晩御飯か……悪くないな)
523:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 06:39:51.86 7ulvK4kfO
>>519ガッ
524:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 07:02:53.05 7ulvK4kfO
保守
525:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 08:36:26.56 7ulvK4kfO
まだ生きてるかな
526:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 09:08:15.84 7ulvK4kfO
保守
527:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 09:18:01.53 8MJXARfG0
こういうの書いてる奴って家でなにしてんの?
相当暇だよな
ってか人間的に終わってる
528:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 09:21:10.39 1uVI1htj0
>>527
そのコピペ色んな所でみるなw
529:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 09:25:14.87 7ulvK4kfO
>>528
どうせ、すぐに飽きるからほっときゃいい
530:Ch.083 ゆうれい
10/07/25 09:35:38.58 0rANlgxdO
澪「でも悪いよ」
憂「実は今日お姉ちゃんがお泊りに行くのを忘れててご飯作りすぎちゃって」
澪「うーん……それじゃご馳走になってもいいかな?」
憂「はい! 上がってください」
澪「お邪魔します」
憂「今日も両親は出掛けてますからくつろいでて下さい」
澪「今日もか……」
憂「すぐに準備できますから」
澪「ありがとう」
澪(憂ちゃんと晩御飯か……悪くないな)
531:Ch.083 ゆうれい
10/07/25 09:40:34.71 0rANlgxdO
澪「―そしたら梓が張り切っちゃって」
憂「梓ちゃんかわいい~」
澪「……あ、もうこんな時間か。そろそろ帰った方がいいかな」
憂「あっ……よかったら泊まっていって下さい」
澪「え?」
憂「あ……お姉ちゃんがいないんじゃ意味ないですよね。何言ってるんだろう私……」
澪「そんなことはないけど、私に気を使わなくてもいいよ」
憂「そうじゃないんです、ごめんなさい。ええと……」
澪「唯がいなくて寂しい……とか?」
憂「うう……はい」
澪「……」
澪「ぷっ」
憂「あう」
532:Ch.083 ゆうれい
10/07/25 09:46:34.62 0rANlgxdO
澪「せっかくだし泊まっていこうかな」
憂「いいんですか?」
澪「元々泊まりに来るつもりだったからね」
憂「ありがとうございますっ。お風呂沸かしてきますね!」
澪「ありがとう」
澪(やっぱりかわいいな)
憂「……ふう。もうすぐ沸きますからお先にどうぞ」
澪「じゃあお言葉に甘えて」
憂「どうぞ~」
533:Ch.083 ゆうれい
10/07/25 09:56:37.76 0rANlgxdO
澪「お先にお風呂頂きました」
憂「……」
澪「憂ちゃん?」
憂「あ、ごめんなさい。ぼーっとしてて……」
憂「そうだ、ベッドはお姉ちゃんのを使ってください」
澪(……まあそうなるよな)
澪「わかった」
憂「私もお風呂入ってきますね」
澪「うん」
澪(仕方ないか)
534:Ch.083 ゆうれい
10/07/25 10:01:15.19 0rANlgxdO
澪「ん……ふわぁあ……」
澪「今何時だろ……8時半か、ちょっと寝すぎた」
澪「……しまった」
ガチャ
澪「おはよう憂ちゃん」
憂「あ、澪さんおはようございます」
澪「ごめんな、私も朝ごはんの準備手伝おうと思ってたんだけど」
憂「澪さんはお客さんだからいいんですよ」
澪(失敗したなぁ)
憂「朝ごはん出来てますからどうぞ」
澪「ありがとう。いただきます」
535:Ch.083 ゆうれい
10/07/25 10:09:49.15 0rANlgxdO
澪「なんだかんだで長居しちゃって悪いね」
憂「そんなことないですよ。それにもうすぐお姉ちゃん帰ってきますし」
澪「そっか」
憂「……」
澪(憂ちゃん横向いたままでずっと時計見てる。やっぱり唯の事が気になるんだ)
憂「……」
澪「……」
ガチャ
憂「あっお姉ちゃん帰ってきた! 迎えに行ってきますね」
トタトタ
澪「……はぁ」
澪(まあ、唯の事を思ってる横顔でも素敵……かな)
END
536:Ch.083 ゆうれい
10/07/25 10:16:36.44 0rANlgxdO
唯「みんな上がって上がって」
律澪紬梓「おじゃましまーす」
唯「外暑かったでしょ。はいこれ」
律「おおーポッキンアイス!」
唯紬梓「ポッキンアイス?」
律「そうそう、これって凍らせて食べることもできるんだぜ」
紬「すごーい!」
律「……って何で唯と梓まで聞き返したのん?」
唯「それってチューペットって言うんじゃないの?」
537:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 10:19:41.27 kMNstkdE0
支援
538:Ch.084 澪「チューペット?」
10/07/25 10:20:25.36 0rANlgxdO
律「あー、私はポッキンアイス派だな」
梓「私はポキニコって呼んでました」
紬「へ~色んな呼び方があるんだ」
律「あーそういえばそうだな……なあ澪?」
澪「なっなんだよ」
律「確かお前は……」
澪「ポッキンアイス! 私はそう呼んでるぞ!」
律「嘘付け。こいつ『チュッチュポッキンアイス』って呼んでるんだぜ」
唯「ぷふふふっ」
紬「かわいい」
梓「ふ……くふ……」
澪「な、なんだよいいだろ別に!」
539:Ch.084 澪「チューペット?」
10/07/25 10:24:17.60 0rANlgxdO
唯「つい笑っちゃったけどその呼び方結構聞くかも」
梓「そうですね。私もチュッチュ棒とかチューチューアイスとも呼んでました」
梓「純もチュッチュとかって呼んでましたし」
律「チューチュージュースとかもあるよな!」
唯「和ちゃんは棒アイスって呼んでたよ。憂は私と一緒でチューペット」
さわ子「私はパッキンアイスかか棒ジュースって呼んでたわよ」
澪「そ、そうなんだ……」
澪(自分の中で名前が決まっちゃってるとつい口に出しちゃうんだよな。それで律が笑うから……)
540:Ch.084 澪「チューペット?」
10/07/25 10:27:57.05 0rANlgxdO
律「ほあちゃー」ヒュンヒュン
唯「おおーヌンチャクみたい!」
紬「ヌンチャクアイスね!」
律「そう呼ぶ人もいるらしいぜ!」ヒュンヒュン
唯「私も! ほあちゃ~」ヒュンヒュン
スポーン
澪「へぶっ」
唯「あ、ごめん」
澪「チュッチュポッキンアイスで遊ぶなー!!」
さわ子「何その呼び方!? ひゃっひゃっひゃ!」
梓「先生笑いすぎですよ! ……くふ」
律「ぶふーっひゃっひゃっひゃ!」
澪「うう……絶対呼び方直してやるぅー!」
END
541:Ch.085 misery
10/07/25 10:32:29.88 0rANlgxdO
一袋のポテトチップスと一本の凍らせたチューペット。
これは唯の中で祝杯を意味する。
唯が曲を作るときは決まって山奥の別荘で缶詰になる。
そして曲が完成したら必ず一袋のポテトチップスと一本の凍らせたパッキンアイスでささやかな祝杯をあげる。
今回はアルバムに収録する曲の原型が完成したのでその記念だ。
唯はシングルやアルバムを数枚出してそこそこヒットしていた。
曲調や歌詞の方向性は甘くて楽しくて元気が出るような感じだ。
だが今回のアルバムは違う。
今までの路線ではなくどちらかと言うと切なかったり暗かったりする曲が多い。
これは新しい事に挑戦したいという唯の考えだ。
自分の今まで見せられなかった一面を見せる。
そのコンセプトを元に頑張ってきただけあって彼女にとって渾身の出来だった。
そしてこのアルバムにはもうひとつ新たな取り組みが施されている。
曲ごとにストーリーが設定されており、全体を通して聞くとひとつの物語が現れる。
内容は曲のコンセプト通り暗めな物語だが、痛みを伴う進化というテーマがある。
聞いてくれる人が物語を読むような感覚で感情移入してくれることを狙っているのだ。
と、中々チャレンジャーな作品なので原曲が完成しただけとはいえ唯の喜びはひとしおだった。
唯は祝杯の準備に取り掛かった。
542:Ch.085 misery
10/07/25 10:35:36.74 0rANlgxdO
唯がチュッチュポッキンアイスを手に持って力を入れる。
「ふっ!」
チュッチュ棒は綺麗に割れた。
「乾杯!」
唯は満足そうにそれを見つめると二ついっぺんにほおばった。
よく冷えたポッキンアイスが唇に痛みに近い冷たさをもたらす。
唯はそれに耐え切れなくなってアイスを口から出すと中身が口から少し零れた。
「おっとっと」
一見無駄な食べ方だがこの無駄加減が一仕事終えたという事を唯に実感させる。
一仕事終えて飲みに入ったり遊びに行ったりするような感覚なのだろう。
唯が零れたポキニコを拭っていると何かを考えて始めて動きを止めた。
こういう時真っ先に口を拭ってくれる妹の事が唯の頭を過ったから。
「憂、大丈夫かな」
543:Ch.085 misery
10/07/25 10:37:24.04 0rANlgxdO
憂。
唯の年子の妹で唯の事が大好き。
唯が都会へ行って音楽活動を始めてからは会う機会が減ってしまい、元々姉が大好きな憂は寂しい思いをしていた。
そんな憂にも大切な人が見つかる。看護師として働いていた憂が仕事場で出会った人だ。
二人が結ばれて籍を入れるのにそう時間は掛からなかった。
ようやく憂も姉離れする事が出来て幸せな家庭を築くことが出来た。
しかしその幸せはあっけなく終わる。憂の夫が事故で帰らぬ人となってしまったのだ。
再び依存していた人物が遠くへ行ってしまった憂は心を病んでしまう。
唯は当時多忙で憂の事を助けてあげられなかった。
会えない日々が続く中で唯は段々憂に会うのが怖くなってきていた。
心を病んで変わってしまった憂と会ってもどうすればいいのかわからなかったから。
それでも唯にとって憂はたった一人の妹。
唯は姉として妹を何とかしてあげたいとずっと思っていた。
「憂……」
唯は思いつめて思案していたが、決意の表情とともに突然ポテトチップスの袋を引きちぎった。
(私は憂のお姉ちゃんなんだから私が何とかしないと!)
それから黙々とポテトチップスとチューチューアイスを食べながら予定を立て始めた。
544:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 10:38:17.11 ahHqmy/Q0
ポキニコははじめて聞いた
545:Ch.085 misery
10/07/25 10:42:56.28 0rANlgxdO
翌日、唯は早々に別荘を後にして平沢家へと向かった。
唯にとっては数年ぶりの我が家である。
唯は久しぶりの実家を眺める。
玄関先やバルコニーの植木は昔のままで手入れが行き届いていた。
憂が手入れしているとしたら……。
思い切って玄関のチャイムを鳴らした。
「はーい」
暫くすると聞き覚えのある声が聞こえた。
それは明るめの声で昔の妹が容易に想像できた。
唯に希望が湧いてくる。
これなら心配する事も無かったんじゃないかと。
「憂、私だよ」
唯も明るい声で返事をする。
「……お姉ちゃん?」
家のドアが開かれた。
そこには昔と変わらない妹の姿。
「ただいま憂」
「お姉ちゃん!」
憂の瞳が喜びで見開かれる。
自分に会えた事を喜んでくれる憂を見て唯まで嬉しくなった。
546:Ch.085 misery
10/07/25 11:01:32.48 0rANlgxdO
「憂、いままで会いに来なくてごめんね」
「いいんだよ。それより入って入って」
姉を暖かく迎える憂を見て唯は安堵した。
それから見慣れたリビングへ向かいソファに腰を下ろす。
唯はとてもいい気分だった。
「お姉ちゃん」
「なあに憂」
「お姉ちゃんてば」
「どうしたの憂?」
「お姉ちゃん、お姉ちゃん」
「はーい」
「お姉ちゃん、起きてよお姉ちゃん」
「起きてるよ~」
「もう、お姉ちゃんてば……」
「……ん?」
547:Ch.085 misery
10/07/25 11:07:53.22 0rANlgxdO
「―あ、憂」
「やっと起きたね。お姉ちゃん」
「……え、あれ」
唯が目を覚ますとそこには見慣れた天井があった。
窓からは日が差し込んでいる。
「私の部屋?」
「そうだよ。私が運んだの」
そう言って憂は微笑んだ。
唯は彼女を見た。数年ぶりに会った彼女は少しやつれている様に見えた。夢の中の憂は唯の記憶の中の憂でしかなかった。
「あれ……憂、私どうして自分の部屋で寝てるの?」
「覚えてないんだね……昨日の事」
「昨日の事?」
唯は寝ぼけている頭で昨日のことを思い出し始めた。
548:Ch.085 misery
10/07/25 11:12:58.73 0rANlgxdO
「確か昨日は別荘で曲を完成させてから……」
曲を完成させてから憂に会う事を決めた唯は祝杯の後に帰り支度を始めた。
既に暗くなっていたが今日中に実家につけると踏んで別荘を後にする。
それから終電ぎりぎりで地元の駅へ到着して徒歩で家まで向かって、
家の前まで来た唯は後方から来た車に轢かれて意識を失った。
「そうだ……私多分車に轢かれた」
「うん。それでお姉ちゃんが家の前に倒れてたのを私が見つけて部屋まで運んだの」
「そうだったんだ。ありがとう憂」
「いいんだよ。それより身体痛くない?」
「そういえば痛いかも。……特に足が」
「お姉ちゃんの両足ね……骨折してるの」
「……え」
両足の骨折が一番大きな怪我だった。後は打撲や擦り傷等。
唯が両足を動かそうとするが痛みが先行して動かせなかった。
「無理しちゃ駄目だよお姉ちゃん」
549:Ch.085 misery
10/07/25 11:16:56.66 0rANlgxdO
「私看護師やっててよかったよ」
唯の怪我の手当ては全て憂によるものだった。
「そっか、憂が手当てしてくれたんだね。でも病院とか行った方がいいよね」
「そうだね。でも暫くは安静にしてたほうがいいよ。痛み止めとか包帯もうちにあるし」
「わかった」
憂に従う事にした唯は痛み止めを飲んでからもう一眠りする。
昼過ぎに再び目を覚ますと憂の作ってくれたご飯を口にした。
その味を昔と比べようとしたが昔の味を思い出す事が出来なかった。
食事をとった後は憂とひたすら会話していた。
憂は唯の話が聞きたいと言って唯に色々な話をせがんだ。
唯は自分がデビューしてからの事を中心に話を進める。
「そうだ、私お姉ちゃんのCD全部買ってるんだよ」
「ほんと? ちょっと照れるや」
「私お姉ちゃんの大ファンなんだから。私はお姉ちゃんのナンバー1のファンだよ」
憂には最後の心の支えがあった。
唯の曲。
それを聞き続ける事で心の傷も癒えたのかもしれない。
唯は憂の心の支えになれていた事が嬉しかった。
550:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 11:21:03.12 ahHqmy/Q0
あああタイトルうう
551:Ch.085 misery
10/07/25 11:21:47.59 0rANlgxdO
「そうだ、憂に新曲を聞いてもらおうかな」
「本当!?」
「うん。本当は自分で演奏したいんだけどまだちょっとね。だから録音したCDを聞いてもらおうかなって」
唯の言葉で憂の表情がみるみる綻んでいく。
「まだ完成したわけじゃないけど一応私の轢き語りみたいな感じになってるから」
「聞く! 聞きたい!」
「私の鞄の中にCDと歌詞が入ってるから」
「うん、それじゃ早速聞いてくるね!」
「あっ聞き終わったら感想聞かせてね」
「は~い!」
憂は喜んで部屋を出て行った。
それを見送ってから唯は三度眠りについた。
552:Ch.085 misery
10/07/25 11:27:12.53 0rANlgxdO
唯が目を覚ますと部屋も窓の外も暗くなっていた。
時間を確認しようを首を傾けて唯はぎょっとした。
「う、憂?」
「……」
そこには憂が何も言わずに佇んでいた。
唯はとりあえず何か喋る事にした。
「あ、えっと、曲どうだった?」
「うん、良かったと思うよ。ただ……」
「ただ……何?」
「……やっぱりなんでもない」
「言ってよ。別に怒ったりしないし参考にしたいからさ」
「……なんだか今までの曲と違ってた」
「うん、今回のコンセプトはね―」
新しい挑戦だという事を話した。
が、どうやら憂は今までの曲の方が好みらしい。
553:Ch.085 misery
10/07/25 11:31:28.22 0rANlgxdO
「これが成功したらもっともっと新しい事にチャレンジしようと思ってるんだ」
「でも……悲しい曲ばっかりだよ」
「それは今回のコンセプトだからね」
「……駄目だよ。以前の様な素敵な曲が聞きたい」
唯は面食らった。
憂は元々相手を否定するような意見をこんなにはっきり言う人じゃなかったから。
唯は憂に解ってもらいたくて説明を続けようとした。
「でもね―」
「あんなのじゃ駄目だよっ!!」
突然憂が怒鳴り出した。
「今までのお姉ちゃんの曲は明るくて楽しくて幸せでそれを聞いてる私も幸せだった!」
「なのに今度の曲は暗い曲ばっか! 詩の中の登場人物がかわいそうだよ!」
「私はあんなの認めない! あんなのじゃ私は幸せになれない!」
憂のヒステリックな声が唯を攻め立て続ける。
怒鳴りながらベッドの脇に置いてあった時計を掴んで壁に叩きつけた。
唯にとって憂のこのような怒り方は初めて目にするもので、
驚きと恐怖で声が出せずコンセプトの説明どころではなくなった。
554:Ch.085 misery
10/07/25 11:36:52.06 0rANlgxdO
暫く怒鳴り散らしていた憂は突然我に返ったかのように大人しくなった。
「あ……ご、ごめんお姉ちゃん。つい熱くなっちゃって……」
「……私今日はもう寝るね。お休みお姉ちゃん」
「あ、うん」
唯は返事をするのがやっとだった。
憂が部屋を出て行ってから落ち着いて考えを巡らす。
やはり憂は心を病んでしまったのだろうかと。
考えても答えは出ないし正直忘れてしまいたい事だったので唯はさっさと寝ることにした。
翌朝、目が覚めた唯は時間を確認しようとベッドの脇を見やるが時計が見つからない。
そこで昨日の事を思い出し少し憂鬱になったが気を取り直して憂の事を呼んだ。
憂が来るまで部屋を見回してみたが時計の残骸はきれいさっぱりなくなっていた。
コンコン。
ドアのノックと共に憂が部屋に入ってきた。
「おはようお姉ちゃん。昨日はゴメンね。朝ごはん出来てるから後で持って来るね」
「うん、ありがとう」
いつもの憂がそこにいた。
555:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 11:37:58.37 O+4Fqjod0
なんか怖いぞ
556:Ch.085 misery
10/07/25 11:43:02.20 0rANlgxdO
暫く怒鳴り散らしていた憂は突然我に返ったかのように大人しくなった。
「あ……ご、ごめんお姉ちゃん。つい熱くなっちゃって……」
「……私今日はもう寝るね。お休みお姉ちゃん」
「あ、うん」
唯は返事をするのがやっとだった。
憂が部屋を出て行ってから落ち着いて考えを巡らす。
やはり憂は心を病んでしまったのだろうかと。
考えても答えは出ないし正直忘れてしまいたい事だったので唯はさっさと寝ることにした。
翌朝、目が覚めた唯は時間を確認しようとベッドの脇を見やるが時計が見つからない。
そこで昨日の事を思い出し少し憂鬱になったが気を取り直して憂の事を呼んだ。
憂が来るまで部屋を見回してみたが時計の残骸はきれいさっぱりなくなっていた。
コンコン。
ドアのノックと共に憂が部屋に入ってきた。
「おはようお姉ちゃん。昨日はゴメンね。朝ごはん出来てるから後で持って来るね」
「うん、ありがとう」
いつもの憂がそこにいた。
557:Ch.085 misery
10/07/25 11:47:39.74 0rANlgxdO
暫くして憂が持ってきてくれたご飯を食べて、薬も飲む。
「それじゃあ安静にしててね。後で病院に行こっか」
「わかった」
「何かあったら呼んでね」
「はーい」
唯は少し安心した。
憂は元々優しい子だから大丈夫なんだと自分に言い聞かせて。
どうしたら憂の心の傷が癒えるかを考えていると急に睡魔に襲われてしまい唯はまた眠りに付いた。
次に目が覚めた時、唯は自分の部屋にいなかった。
558:Ch.085 misery
10/07/25 12:03:07.29 0rANlgxdO
だが部屋に見覚えはある。
ついこの前まで缶詰になっていた山奥の別荘だ。
その別荘の二階の部屋で唯がいつも使っているベッドで寝ていた。
「な……なんで?」
答えが見つかる前に憂が部屋に入ってきた。
「あ、目が覚めたんだ」
「……憂?」
「朝ごはん持って来るね」
そう言って部屋から出て行った。
「……また朝ごはん?」
唯が最後に食べた食事から一日が経っていた。
窓から差し込む朝日と遡ったように見える部屋の時計を見て唯にも理解出来た。
だがおかしい。
いくらなんでも丸々一日寝るはずがない。
だとすると……。
そこまで考えたところで憂が再びやってきた。
559:Ch.085 misery
10/07/25 12:15:02.39 UtMZwig+P
唯は憂が持ってきた朝食に恐る恐る手をつける。
そうしていると憂がぽつぽつと語り出した。
唯がいなくなってからの話。
勤め先の病院で主人と出会った話。
その主人に新たな生きがいを見出した話。
「あの人がいなくなって気が狂うかと思った」
「そんな時、偶然お姉ちゃんのCDを見かけて……それからずっと聞いてた」
「お姉ちゃんの曲が私の新しい生きがいになったの。なのに」
憂の態度が豹変する。
「あんな曲を作るなんて!」
「やっぱりお姉ちゃんは私の事を捨てるんだね」
「そ、そんなことしないよ」
「これからは今までと違うからね。ここに来てる事は誰にも教えてない。私に何かあったらお姉ちゃんも死ぬんだからね」
唯は視界がぐらつくような感覚に襲われた。
両足の自由を奪われた唯が山奥につれて来れれる。当然今の唯では脱出する事は出来ない。
監禁同然だった。
560:Ch.085 misery
10/07/25 12:19:22.09 UtMZwig+P
唯の朝食を片付けてから憂は車に乗ってどこかへ出掛けようとしていた。
唯はその様子を部屋の窓から眺める。
憂の車は以前から平沢家で使われている物だった。
だが、車は前面のバンパーがへこんでいた。
それを見た唯は強く思う。
ここにいたら殺される。
逃げるなら今しかない。
唯は何とか部屋から出ようと考えて、一人ではベッドから降りることも困難な事に気付く。
足が動かない事がこんなにも不便だなんて。
その原因を作った憂に怒りの矛先が向く。
が、今は逃げることが優先される。
まず腕を使って上半身をベッドから下ろし始めた。
上半身とお尻が床に着く。次は折れている足だ。
ギプスでもついていれば多少はましだったかもしれない。
唯はゆっくりと左足を持ち上げるが体勢が悪く腕に力が入らない。
両腕で左足を床にゆっくり下ろしたところで右足がベッドから落ちてしまった。
「あ゛ああああーっ!」
右足に激痛が走る。
両目を閉じて必死に痛みが去るのを待った。
「あ……はあ……はあ……」
額には脂汗がびっしりと浮かんでいる。
それでも憂が戻ってくる前にここから逃げるためには動くしかない。
足を引きずってやっとの思いで辿り着いた部屋のドアには、鍵が掛かっていた。
561:Ch.085 misery
10/07/25 12:25:35.51 UtMZwig+P
唯は結局逃げることが出来ず、かといってベッドに登る事も出来ず、床で眠りについた。
次に目が覚めたのは憂に起こされた時だった。
「お姉ちゃん大丈夫? ベッドから落ちちゃったんだね」
「う、憂……」
「今戻してあげるね。痛いけど我慢してね。せーの!」
「うっ……ぐ……!」
痛みを伴いながらベッドに戻された。
「痛み止め持って来るから大人しくしててね」
憂は部屋を後にする。
逃げる事の出来ない唯は憂に従うしかなかった。
562:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 12:32:10.39 1uVI1htj0
タイトルからして嫌な予感がしたがやはり・・・
563:Ch.085 misery
10/07/25 12:32:36.42 UtMZwig+P
唯は扉の開く音で目を覚ました。
憂はバーベキュー用のグリルを部屋に持ち込んでくる。
「何それ? 部屋でバーベキューでもするの?」
「そうだね。ほら」
憂がグリルの蓋を開ける。
網の上にはCDと紙が置かれていた。
「私やっぱりこのアルバムは駄目だと思うの。これがお姉ちゃんの考えた物語だなんて間違ってる」
「だからね、お姉ちゃんには作り直してもらおうと思うんだ」
「それにはまずお姉ちゃん自身の手でこの駄作を無かった事にして欲しいの」
苦労して作った曲を燃やしてなかった事にするなんてありえない。
唯は憂の言葉を無視し続けた。
「これはお姉ちゃんがけじめをつけないと駄目なんだよ。お姉ちゃんはマッチに火をつけるの」
そう言って唯にマッチを渡した。
564:Ch.085 misery
10/07/25 12:37:46.19 UtMZwig+P
唯はそれを手に取ることなくそっぽを向いている。
「今度は幸せな物語が見たいな」
憂が話しかけながらCDと楽譜と歌詞ノートに油をかけ始める。
「お姉ちゃんがこれを燃やさなきゃ駄目なの。わかるよね」
憂は唯の掛け布団にも油をかけ始めた。
「や、やめて……」
慌てて静止するが憂はマッチを顎で指すだけだ。
仕方なく唯がマッチに手を伸ばす。
躊躇していたが憂が再び布団に油をかけようとしたところでマッチに火をつけた。
グリルに投げ入れられえた瞬間、唯の新しい挑戦と努力の結晶があっけなく燃えかすに変わり果てる。
プラスチックの燃える嫌な臭いが充満する。
パチパチと紙の燃える音と唯のすすり泣く声、それを励ます憂の声が静かに響いていた。
565:Ch.085 misery
10/07/25 13:05:30.37 UtMZwig+P
後日、憂は唯に車椅子とギターとノートパソコンをプレゼントした。
唯に一から曲を作らせるつもりらしい。
憂は唯を車椅子に乗せた。
「ありがとう」
唯は一応礼を言った。
憂は車椅子を押して机の前に移動させる。
机の上にはノートパソコンが置かれていた。
「お姉ちゃんて作詞するときはいつもパソコンを使ってるんでしょ?」
「よく知ってるね」
「雑誌のインタビューに書いてあったよ。私お姉ちゃんのことなら何でも知ってるんだから」
にこやかに話す憂。
「ギー太は車に轢かれた時に壊れちゃったから……これで我慢してね」
そう言ってギターを唯に手渡した。
566:Ch.085 misery
10/07/25 13:07:52.28 UtMZwig+P
唯はそのギターを見つめる。
どこのメーカーかはわからないがレスポールタイプで色もギー太に似ている。
似てはいるがおそらくいいギターではないだろう。性能や音は言わずもがな。
唯は試しに演奏してみた。
「あ……この弦」
「え?」
「私がいつも使ってるのと違うや。これだと私が出したい音色が出ないよ」
「せっかくお姉ちゃんのために買ってきたのに……」
「それなのに文句ばっかり言わないでよ!!」
憂はギターに付属していたミニアンプを唯の足に落とした。
「……っあああ!」
痛みに悶える唯を尻目に憂は弦を買いに出掛けた。
567:Ch.085 misery
10/07/25 13:11:01.13 UtMZwig+P
次の日から唯の曲作りが始まった。
車椅子に乗って机のノートパソコンに向き合って歌詞を考える。
こういう作業は自身の気分が作品の質や作業の進行に大きく影響する。
唯にとって今の状態は最悪としか言いようがなかった。
こんな状況で明るく楽しい曲を作れというのだからなおさら気が進まない。
カタカタカタ。
何かを少し打ち込んではすぐにバックスペースを押して白紙に戻す。
カタ。
f┃
カタカタカタ。
fuck┃
カタカタカタカタ。
fuckfuck┃
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ。
fuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuck┃
カタ。
┃
568:Ch.085 misery
10/07/25 13:13:30.97 UtMZwig+P
それでも少しずつ曲が出来始める。
憂からたまにダメ出しされることもあったが、唯は適当に手直しして憂の機嫌をとった。
唯にとってここまでやる気の起こらない作曲活動は初めてだ。
だが作らなければ何をされるかわからないので仕方なくやっている。
憂が喜ぶ曲でも唯にとってみればどうでもいい適当な曲でしかない。
それをたらたらと書き綴っている。
そんなある日、憂は車に乗って数日に一度の買出しに出掛けた。
ブロロロロ……
車の音が遠くなったところで唯は部屋のドアの前まで車椅子を進めた。
そこで髪の毛を留めているヘアピンをひとつ外して折り曲げる。
それを鍵穴に差し込んでかちゃかちゃと動かした。
かちゃかちゃかちゃ……がちゃり。
「うっし!」
唯にとってダメ元でやってみるだけの選択肢だったがうまくいった。
唯はドアを開けて一階へと通じる階段まで向かう。
ここからは車椅子を降りなければ先に進めない。
唯は車椅子を降りてゆっくりと階段を降り始めた。
569:Ch.085 misery
10/07/25 13:15:19.97 UtMZwig+P
「はあ、はあ」
汗を滲ませながらなんとか階段を降りる。
それから唯は玄関と反対方向へ這いずりだした。
周りは山と林に囲まれていて公道までは一本道。
この状態では車椅子があったとしても公道へ行く前に憂と鉢合わせしてしまう。
かといって山に入ってもこの足では満足に動けない。
ここでの通信手段は携帯電話を使用していたが自分のはおろか憂のすらどこにも無い。
唯は別の方法で打開しようとキッチンへ向かった。
憂がここで料理をするようになってキッチンに道具が増えた。
唯は包丁を手にとって思案する。
憂にこんな事をするなんて。でもこのままでは自分が殺されてしまう。
「ごめんね」
唯は何かに謝ってから包丁を持って自室へ戻り始めた。
階段を上り始めたとき、
ブロロロロ……
聞き慣れた車の音が唯の耳に届いた。
570:Ch.085 misery
10/07/25 13:21:19.97 UtMZwig+P
瞬間、唯の鼓動が跳ね上がる。
腕を使って一段ずつお尻を持ち上げていく。
「痛っ! ……っく、はあ、はあ」
急ぐあまり足を階段にぶつけてしまう。
それでもこの状況がばれるよりマシと判断して鬼気迫る表情で階段を上った。
何とか階段を上りきり車椅子に座る。
車のエンジン音はもうしない。
憂が玄関を開けるまでに自室に戻らなければ。
唯は必死に車椅子を漕いだ。
ガチャ。
憂が玄関を開けるより僅かに早く唯が自室のドアを閉めた。
「はあー、はあー」
唯は汗だくで、おまけに腕を酷使したせいで力が入らなかった。
かちゃ がちゃり かちゃ がちゃり
憂は帰ってからすぐに唯の部屋に顔を出した。
571:Ch.085 misery
10/07/25 13:24:28.97 UtMZwig+P
「ただいまお姉ちゃん。……どうしたの?」
「あ……」
唯は全身から汗を垂れ流している。
汗の言い訳を用意していなかった唯の顔は蒼白だ。
「大丈夫お姉ちゃん?」
「はあ……はあ……」
唯は何も答えられない。
「お姉ちゃん」
「……っ!」
「もしかして痛み止めが切れちゃったの?」
「そ、そう! 憂、早く薬持ってきて」
「待ってて、すぐに持ってくるから」
憂は薬を取りに行った。
唯はその間に急いで包丁をベッドとマットの間に隠した。
572:Ch.085 misery
10/07/25 13:26:30.29 UtMZwig+P
「それじゃあまた後でねお姉ちゃん」
「うん」
憂が部屋を出て行く。
唯は包丁をいつでも出せる位置に移動させる。
次に憂が来た時に行動するつもりだ。
「……」
唯は頭の中でその時のシミュレーションと憂への懺悔を繰り返していた。
そうして時間は過ぎる。
「―んぁ」
「……えっ!?」
唯が気が付いた時目の前に憂がいた。
いつの間にか唯は眠ってしまっていたのだ。
憂は唯を押さえつけて注射を刺した。
それからすぐ唯は放心状態になり、自分が何をしているのかもわからなくなってしまう。
その後唯は眠ってしまった。
573:Ch.085 misery
10/07/25 13:29:27.33 UtMZwig+P
唯が起きたのは翌日の日が昇ってからだった。
「……」
ぼんやりと天井を眺める。
「……あっ」
ようやく正気に戻ると傍には憂がいた。
憂は何も喋らない。
唯は身体を動かそうとして、それが出来ない事に気が付いた。
ロープでベッドと一緒に縛られている。
異様な雰囲気を感じ取った唯は急いで包丁の隠してある辺りに手を伸ばす。
だが全身をベッドにくくりつけられている所為でベッドの隙間に手が届かない。
必死にもがいていると憂が喋り始めた。
「……探してるのは、これ?」
そう言って包丁を唯に見せ付ける憂。
唯の顔が引きつった。
「お姉ちゃん、この包丁で何しようとしてたの?」
574:Ch.085 misery
10/07/25 13:30:49.52 UtMZwig+P
唯は答えない。
「私がいない間に勝手に部屋から出て……元気いいね」
「でもそれじゃ困るよ」
憂は話しながら何かの準備をし始めた。
「ご、ごめん憂! もうこんなことしないから許して……!」
「お姉ちゃんの足治ってきたのかな。だからこんないけないこと考えちゃうんだよね」
「悪かったから、もうしないから。ごめんなさい……!」
唯の言葉は憂には届いていない。
「い゛っ……!」
憂が唯の足を開かせた。
その動作には怪我人に対する配慮がまるでない。
それからふくらはぎの間に長方形の木箱を置く。
唯の足はロープと木箱の所為で固定されてしまった。
575:Ch.085 misery
10/07/25 13:33:03.94 0rANlgxdO
「な、何してるの……?」
ふくらはぎに置かれた木箱が何をするためのものなのかわからない。
それでも唯の恐怖はどんどん膨らんでいく。
「もうこんなことはしないでね?」
「うん、もうしない! だから……」
「よい……しょ!」
唯の左側に回りこんだ憂は床から巨大な槌を持ち上げた。
柄の部分は1メートル近くあり、錆びて輝きを失った頭部がやたら重そうに見える。
「……え」
唯には何がなんだかわからない。
そんな事お構いなしに憂は槌を振りかぶった。
「せーのっ」
「や、やめてやめて嫌いやごめんなさ―あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!」
槌は野球のスイングのように振られ唯の左足のくるぶしより少し上にヒットする。
足は木箱とロープで固定されていたため、すねの辺りの骨が綺麗に折れた。
唯は自分の左足が折れる瞬間を目の当たりにした。
576:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 13:34:58.66 O+4Fqjod0
痛いいいぃぃいいいぃ
577:Ch.085 misery
10/07/25 13:35:02.03 0rANlgxdO
「あ……ぐ……っは!」
唯が痛みでもがくが縛られていて上手く動けない。
「……」
憂は躊躇なく唯の右側に回りこむ。
それを確認した唯が本気で哀願する。
「や゛めてっ! お願い、ごめんなさい! 許してえ!」
「んっしょ……!」
先程と同じ要領で右足を折ろうと憂が振りかぶる。
唯はおもいきり目をつぶった。
578:Ch.085 misery
10/07/25 13:39:55.81 0rANlgxdO
カタ。
カタカタ。
カタカタカタカタ。
アルバム製作も終盤戦。
後2曲で完成というところだ。
唯がいつもの様に曲を作っていると憂が部屋のドアを開けた。
「買い物に行って来るね!」
「いってらっしゃい」
憂はご機嫌な様子で、唯はいたって普通に言葉を交わす。
唯が窓の外を見やると憂が丁度車に乗り込むところだった。
お互いに目が合う。
憂は唯に向かって笑顔を向けながら手を振る。
唯は無表情で右手の中指を突き出した。
憂は機嫌よさげに「まったくもう」といいながら車に乗り込み出掛けていった。
579:Ch.085 misery
10/07/25 13:43:49.34 0rANlgxdO
いよいよアルバムも完成間近になり、唯は憂に最後から二番目の曲を聞かせていた。
「……すっごくよかったよお姉ちゃん!」
「そう?」
「そうだよ~主人公の女の子が頑張ってる感じが素敵!」
「それはどうも」
「……でも」
不穏な空気。
「お姉ちゃんの足が治ったらまたどこかに行っちゃって私の好きな歌を作ってくれなくなっちゃう」
「そんなことないよ。私はずっと憂の傍にいるよ」
「……嘘はだめだよお姉ちゃん」
「本当だよ」
唯の嘘は憂には通じなかった。
それどころか、
「もう、お姉ちゃんを殺して私も死んじゃおうかな……」
580:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 13:47:55.73 rhx6wKms0
ミザリーこえー
実妹だから余計救われないな
581:Ch.085 misery
10/07/25 13:53:46.19 0rANlgxdO
「……え?」
憂が突然包丁を懐から取り出した。
「そうしよう……お姉ちゃんはもうどこにも行かない」
憂が唯に近付く。
「ま、待ってよ憂! まだアルバムは完成してないんだよ!」
「……」
「じゃ、じゃあせめてアルバムが完成するまで待って! 憂だって最後の曲が気になるでしょ?」
憂が立ち止まった。
「お願い憂、私に最後までやらせて。それからでも遅くないよ」
憂は暫く考えた後、
「そうだね。私もお姉ちゃんの最後の曲聞きたい」
そう言って部屋から出て行った。
582:Ch.085 misery
10/07/25 13:56:48.65 0rANlgxdO
それから一週間後。
「出来たよ、憂」
「本当!? やったねお姉ちゃん! じゃあ早速……」
「ふふ、慌てるのはまだ早いよ。ねえ憂。憂は私のナンバー1のファンなんだよね?」
「うん、そうだよ」
和やかに会話が進む。
「それじゃあ、私がいつも曲を作り終わった時に何をするか知ってる?」
「……あ!」
憂がはっとして答える。
「一袋のポテトチップスと一本の凍らせたチューペット!」
「正解。今回のアルバムは憂と作ったからね。一緒に祝杯をあげようよ」
憂が感嘆の声をあげる。
「うわぁ~! いいのっ!?」
「もっちろん!」
583:Ch.085 misery
10/07/25 14:01:43.53 UtMZwig+P
祝杯はいつもリビングでとり行う。
だから唯もリビングまで連れて行ってもらった。
ギー太モドキも一緒だ。
「それじゃあポテトチップスとチューペット持って来るね!」
「よろしく」
楽しそうにキッチンへ向かう憂は先程からとても浮かれている。
「おまたせ~!」
憂は一袋のポテトチップスと一本の凍らせたチューペットを持ってきた。
「わーいチューペットだ。でもチューペットはもう一本いるかなあ」
「えっ」
「これは一人で一本を食べるから、憂の分もなくっちゃね!」
そう言って憂にウインクした。
「わ、わかった! すぐに持ってくるね!」
憂が大急ぎでチューペットを取りに行っている間に唯はポテトチップスの袋をわざとテーブルの下に落とした。
584:Ch.085 misery
10/07/25 14:04:12.28 UtMZwig+P
「今度こそおまたせ!」
「憂~ごめんポテトチップス下に落としちゃった」
「今拾ってあげるね」
憂が四つんばいになってテーブルの下のポテトチップスに手を伸ばす。
唯は静かにテーブルのチューペットに手を伸ばす。
チューペット、ポッキンアイス、棒ジュース等様々な呼ばれ方をするこのアイス。
憂が頭をテーブルの下から出した瞬間、それをヌンチャクのように振り下ろした。
「ぐっ……!?」
憂の後頭部にクリーンヒット。
唯はうずくまる憂にすかさずギー太モドキを叩きつける。
「お……おね……ちゃ……」
憂は倒れて動かなくなった。
「はっ……はあ、はあ……やった」
唯はこの一瞬を狙っていた。
憂は気持ちの高揚と低下が激しい。
憂にとって高揚しそうな場面でなら油断するかもしれないと読んでの行動だった。
唯はここから出る準備を始めようと考え始める。
585:Ch.085 misery
10/07/25 14:08:08.64 UtMZwig+P
その時突然車椅子が倒された。
「あぐっ……!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛お゛ね゛え゛ち゛ゃんんんんんんん!!」
憂が唯にのしかかる。
同時に骨折している部分を手で叩いた。
「ああああっ!」
唯に激痛が走る。
それでも必死になってギー太モドキに手を伸ばす。
「う゛う゛う゛う゛う゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
憂は錯乱して唯の首を締め出した。
「ん……ぐ……!」
伸ばした手がギー太モドキに届く。
唯は再び憂をギー太モドキで殴りつけた。何度も何度も。
憂が動く事はもうなかった。
586:Ch.085 misery
10/07/25 14:12:15.97 UtMZwig+P
あの事件から一年後。
唯は社会復帰する事が出来た。
一度は燃やす羽目になったアルバムも作り直して無事に発売された。
「やっほー和ちゃん!」
「唯、久しぶり」
小さなバーで待ち合わせをしていた二人は早速昔話に花を咲かせる。
「それにしても……大変だったわね」
「うん、生きてるのが奇蹟みたいだよ」
「今こうして無事でいてくれて嬉しいわ」
「えへへ。昔さわちゃんが貸してくれたCDの曲みたいな体験だったよ」
「ふうん、じゃあその体験を曲にしたら売れるかもね」
「やめとくよ」
「そうよね」
587:Ch.085 misery
10/07/25 14:15:24.68 UtMZwig+P
「そういえば今日はもう一人呼んでるの」
「えっ誰々?」
「久しぶりに会えるって言うから……あ、来たわよ」
唯が振り向くとそこには懐かしい友人がいた。
「澪ちゃん!」
「久しぶりだな」
「会いたかったよ~」
「私もだ。半分はファンとしてだけどね」
「そうなの!?」
「ああ、CDやグッズは全部そろえてるし唯が出てる雑誌もチェック済みだ」
「す、すごいね……」
「なんて言っても私は唯のナンバー1のファンだからな」
END
588:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 14:17:33.33 kMNstkdE0
四円
589:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 14:19:03.07 O+4Fqjod0
なんか怖くて鬱った
590:Ch.086 唯「のどか……ちゃん……」
10/07/25 14:19:52.14 0rANlgxdO
URLリンク(sakuraweb.homeip.net)
END
591:Ch.087
10/07/25 14:23:06.30 0rANlgxdO
律「はぁー今日もティータイムだっぜ」
梓「律先輩! 先に練習しましょう」
律「そう言うなって。ほれケーキうまいぞ~」
梓「あ、う」
律「あーん」
梓「……あむ。おいしい……」
律「だよなー!」
澪「梓もケーキに釣られるなよ……」
梓(しまった……澪先輩が呆れてる)
梓(もう……りっちゃんてば……)
律「何だよー?」
梓「なんでもないでふ!」
END
592:Ch.087 梓(りっちゃん)
10/07/25 14:26:58.98 0rANlgxdO
律「はぁー今日もティータイムだっぜ」
梓「律先輩! 先に練習しましょう」
律「そう言うなって。ほれケーキうまいぞ~」
梓「あ、う」
律「あーん」
梓「……あむ。おいしい……」
律「だよなー!」
澪「梓もケーキに釣られるなよ……」
梓(しまった……澪先輩が呆れてる)
梓(もう……りっちゃんてば……)
律「何だよー?」
梓「なんでもないでふ!」
END
593:Ch.088 ここにキスを落として?
10/07/25 14:30:21.42 0rANlgxdO
唯「ちょっと寄り道していかない?」
梓「いいですけどどこに行くんですか?」
唯「そうだなー……こっち!」
梓「脇道に入っただけじゃないですか。この先って確か行き止まりじゃあ……」
唯「いいんだよここで」
梓「唯先輩?」
唯「ねえあずにゃん」
梓「なんでしょうか」
唯「今日の部活の時間にムギちゃんが言ってた事覚えてる?」
梓「ムギ先輩が言ってた事……えっ」
唯「ほら早く」
梓「……キスする場所によって色々な意味があるっていう話の事ですか」
唯「正解」
594:Ch.088 ここにキスを落として?
10/07/25 14:33:13.19 UtMZwig+P
梓「どうして今その話をするんですか」
唯「わからないの?」
梓「それは……」
唯「あの話聞いてたらちゅーしたくなっちゃった」
梓「だからってこんな所で……」
唯「ねえ、いいでしょ?」
梓「うう……」
唯「誰も来ないから平気だよ」
梓「……」
唯「……あずにゃん、手のひら出して」
梓「えっ」
唯「ほーら」
梓「は、はい」
唯「……ちゅ」
梓「ひゃっ!」
595:Ch.088 ここにキスを落として?
10/07/25 14:36:07.81 UtMZwig+P
あずにゃんの手のひらにちゅーしちゃった。
あったかくてぷにぷにしてる。
梓「あ、ちょっと、唯先輩……くすぐったい」
唯「……ふう。手のひらにするちゅーの意味、覚えてる?」
梓「えっと……懇願?」
唯「そうだよ」
梓「あぅ……わかりましたよ。でもちょっとだけですから」
唯「ありがとー」
私はあずにゃんの指関節にキスをした。
これは感謝の気持ちを表してる。
あずにゃんは私の唇をボーっと眺めてた。
唯「んふふ……次はどこにしよっかな」
唯「あずにゃんはどこにして欲しい? それとも私にしてくれる?」
梓「ええっ! そんなこと言われても……」
唯「特にないなら私にして欲しいんだけど」
梓「……わ、わかりました」
596:Ch.088 ここにキスを落として?
10/07/25 14:39:22.31 UtMZwig+P
唯「それじゃあ足にしてもらおうかな」
梓「足……え、足っ!?」
動揺してる動揺してる。
梓「足にする意味って……その、服従じゃないですか!」
唯「そうだよ」
梓「そ、そうだよって」
唯「あずにゃんは誰のもの?」
梓「それは……」
唯「ね? だから足にして?」
梓「こんな所で足なんて……」
唯「あ、そ」
私はあずにゃんのYシャツの袖をまくって二の腕にキスをした。
夏服だから出来るところだね。
梓「そ、そんなところに……」
597:Ch.088 ここにキスを落として?
10/07/25 14:42:25.65 UtMZwig+P
二の腕にキスしながらあずにゃんを抱きしめた。
梓「あっ……」
それから……お尻揉んじゃえ。
梓「いっ! ちょっと……本気ですか」
くふふふ。
もう一押しかな。
唇をあずにゃんの首筋に這わせた。
梓「んっ」
唯「……あずにゃんがしないなら私がしたいようにするよ」
梓「だめですよこんな所で」
唯「あ、やっぱり意味わかってた?」
梓「腕と首へのキスは……欲望って」
唯「せいかーい。というわけで最後までやっちゃおうかな」
梓「だめっ。か、かわりに私がキスしますから許してください」
やったね。
598:Ch.088 ここにキスを落として?
10/07/25 14:44:48.55 UtMZwig+P
唯「それじゃあ……」
私は壁に手をついて右足のローファーと靴下を脱いだ。
……あ。タイツ越しにキスしてもらうのも面白そうだな。
秋が来たらやってもらおう。
梓「うぐ……」
あずにゃん耳まで真っ赤だ。
かわいいなあ襲っちゃうぞ。
唯「ほらーは、や、く。今日は体育なかったから多分大丈夫だよ」
梓「いや、そういう問題じゃなくて……うう」
あずにゃんが渋々しゃがみこんだ。
戸惑いつつも私の足を手に持って、それから足の甲に口づけした。
梓「んっ」
唯「おほ」
あずにゃんを見下ろす形になるんだけど、これはまさに服従って感じがするね。
地面に両膝をついて両手で足を持って、健気にキスを繰り返す。
うあっ。
今身体がぶるっとした。
599:Ch.088 ここにキスを落として?
10/07/25 14:49:42.19 0rANlgxdO
いいよあずにゃん。
もっとしてよ。
唯「ペロペロって舐めてくれると嬉しいな」
梓「……」
あずにゃんは何も言わないけど、私の足にぬるっとした感触が生まれた。
唯「いい子だね」
梓「……ちゅっ」
唯「……ありがとう。もういいよ」
あずにゃんが顔を上げる。
顔はさっきから真っ赤だけどそれに加えて泣き出しそうだった。
あちゃあ……調子に乗りすぎた。
唯「えっと、ごめん」
梓「……あ、あんまりいじめないで下さいよぅ」
おお……胸がキュンってなる。
私は涙声で訴えるあずにゃんを抱きしめた。
唯「ごめんね。あずにゃんが可愛くってついいじめちゃった」
600:Ch.088 ここにキスを落として?
10/07/25 14:52:25.80 0rANlgxdO
梓「もう……」
一度あずにゃんから身体を離す。
あずにゃんの鼻に軽く唇で触れた。
梓「……あ」
意味的にはごめんなさいなんだけど。
流石に今はまずかったかな……?
梓「……バカ。ん」
唯「んむっ」
大丈夫だったみたい。
世界共通のキスで返してくれた。
601:Ch.088 ここにキスを落として?
10/07/25 14:56:12.50 0rANlgxdO
唯「そういえば胸にするキスってどんな意味があると思う?」
梓「意味も何も一つしかないでしょう」
唯「そっか。ねえあずにゃん、私の家に寄って行かない? 胸にキスがしたいなーなんて」
梓「もう唯先輩に付き合うのはやめようかな」
唯「ああ~んそんなこと言わないでさぁ……」
唯「ん?」
梓「どうしました?」
唯「さっきから誰かに見られてるような気がするんだよね」
梓「や、やめてくださいよ……あんなの見られてたら……っ!」
唯「あははは、あずにゃん真っ赤。かーわいー」
梓「一人で帰ります。失礼します」
唯「ああん! 待ってあずにゃーん!」
END
602:Ch.089 軽音!
10/07/25 14:59:02.39 0rANlgxdO
律「はぁーあ」
唯「どしたのりっちゃん」
律「今度立花さん達とカラオケ行く事になったんだけどさー」
律「そうすると私の歌いたい歌が歌えないわけですよ」
唯「苦痛なカラオケだね」
律「例えば90年代のバンドの曲を歌ってごらんよ」
律「そらあもうどんびきですよ」
唯「仕方ないよ。時代だよ」
澪「それに私達でカラオケに行った時は歌いたい放題なんだから一回くらいいいだろ」
律「よくねー。逆に何歌えばいいんだよ」
澪「それは……私最近の曲ってよくわからないし……」
律「今から練習とかやだよまったく」
紬「あの頃が懐かしい……」
603:Ch.089 軽音!
10/07/25 15:00:25.83 0rANlgxdO
律「だよなぁ。シングル2毎同時に出したーとかそんな事で喜んでいたさ」
唯「3枚同時だーとかね」
澪「どうでもいバンドの情報も何故かキャッチしちゃったり」
紬「友達にほぼ無理やり好きなバンドの曲聞かせたり」
律「なんでだよ! 当時はミリオン規模の人気だったじゃないか!」
澪「それをローテクの靴が流行りだしたらエアが入ってる靴がダサイみたいに鞍替えしちゃって」
紬「私達がニッチなだけかも……」
唯「虹色に輝く素敵な瞬間だったのにね……」
ガチャ
梓「みなさん!!」
澪「梓?」
梓「時代だとか流行だとかよく解りませんけど要はカッコ良ければそれでいいんじゃないでしょうか!!」
唯澪律紬「その通り!!」
END
604:Ch.090 梓がいない軽音部
10/07/25 15:04:46.56 UtMZwig+P
唯「りっちゃん苺ちょうだい」
律「やらん。澪から貰いなさい」
澪「だ、だめだ!」
紬「じゃあ私のあげるね。はいあーん」
唯「ありがとう! あーん」
律「澪にもあーんしてやろうか?」
澪「しなくていい」
梓「……」
梓(同級生同士仲いいなあ……)
梓(もしかして私って……)
605:Ch.090 梓がいない軽音部
10/07/25 15:10:41.33 UtMZwig+P
さわ子「あら? 梓ちゃん何してるの?」
梓「あっいえ、別に……」
さわ子「……」
ガチャ
唯「あ、さわちゃん先生!」
さわ子「みんなー梓ちゃんが寂しがってたわよ」
梓「ちょっ!?」
唯「なんだって!」
律「そいつはいけねえなあ!」
紬「梓ちゃん一緒にケーキ食べよう?」
澪「梓、こっちおいで」
梓「う……」
梓「そ、そんなことよりみなさん練習しましょう!」
END
606:Ch.091 澪「鼻毛を読む」
10/07/25 15:13:38.73 UtMZwig+P
澪「律は私のこと好き?」
律「もっもちろん! 世界で一番好きだ!」
澪「じゃあ私の鼻毛食べれる?」
律「なっ!? ……た、た、食べれますとも!」
澪「ふうん。じゃあここに三本あるから食べてよ。それで三本とも消化されることなくうんちから出てきたら……何でも言う事聞いてあげるよ」
律「」
律「あ……あ……? あ、ああ。あーーーー!」
律「ほ、本当だな? やってやるぞ。私は必ず三本とも消化させない。そっちこそしっかり探してくれよな」
澪「安心しろ。私は鼻毛を数えるのが得意なんだ」
END
607:Ch.092 IF もしも 2「尾行するなら幼馴染コンビか先輩後輩コンビか」
10/07/25 15:20:48.08 UtMZwig+P
唯「澪ちゃんりっちゃんバイバーイ」
律「じゃなー」
澪「また明日」
梓「失礼します」
「ゲッヘッヘ。桜校でもレベルの高い部類の軽音部……さあてどっちを尾行しようかねえ」
「やはり幼馴染コンビか……はたまた先輩後輩コンビか……」
「どちらも捨てがたいでござる……ゲッヘッヘ」
「おうふ、早くしないと見失うでござる」
「ゲッヘッヘ」
A 尾行するなら幼馴染コンビ……>>426 Ch.069 69 へ
B 尾行するなら先輩後輩コンビ……>>593 Ch.88 ここにキスを落として? へ
END
608:Ch.093 来世が過去だったら
10/07/25 15:23:31.70 UtMZwig+P
?「死んだ」
?「俺が先にいっちゃったか……ごめんなばあさん」
?「まあ大往生だったからいいか」
?「さて、次の俺の人生はどんなんだろうねえ」
?「オギャー」
609:Ch.093 来世が過去だったら
10/07/25 15:27:34.67 UtMZwig+P
十余年後
澪「うう……緊張するなあ」
律「なんで入学式で緊張するんだよ」
澪「だって……まわりは知らない人ばっかりなんだよ」
律「適当に話しかければ良いじゃん」
澪「それが出来ないから緊張してるんだ」
律「大丈夫だって。適当にパンツ見せとけばみんな話しかけてくるよ」
澪「んなわけないだろ!」
ゴチン
律「ぐへぁ……!?」
ドサッ
澪「えっ、律? 嘘……しっかりしてよ律ぅ!」
律「あいててて……あれ? 俺は……」
澪「よかった! ……ゴメンな」
律「え……か、母さん!?」
610:Ch.093 来世が過去だったら
10/07/25 15:28:37.41 UtMZwig+P
澪「はあっ!?」
律「か、かあさーん!」
ガバッ
澪「きゃあ! ちょっと律何言って……」
律「まさか母さんの若い頃に会えるなんて!」
澪「……いい加減にしろ!」
ゴチン
律「ぎゃああああ!」
澪「まったく……先に行く」
律「いてええええ痛すぎる……あ、待ってよ母さん!」
611:Ch.093 来世が過去だったら
10/07/25 15:29:35.56 UtMZwig+P
律「おかしい……母さんはもっと優しかったはずなのに」
澪「……本気で怒るぞ?」
律「あれで本気じゃなかったのか……ごめんかあさ、じゃない……み、澪」
澪「何故そこで照れる」
律「だって名前で呼ぶのは流石に……」
澪「まだ続けるのか?」
律「ごめんなさい」
律(まさか母さんの親友が来世だったとは……)
律(しかし母さん可愛すぎるな……まあ子供を生んだ後でもかわいいままだったけど)
律(そういえば初恋は母さんだったようなそうでないような)
612:Ch.093 来世が過去だったら
10/07/25 15:30:52.04 UtMZwig+P
一週間後
律「澪ー部活決めた?」
澪「文芸部に入ろうと思って」
律「……あれ? 軽音部じゃないの?」
澪「いや、文芸部に」
律(どういうことだ? 昔から軽音部の思い出は良く聞いていたのに……)
律(もしかして俺……いや、私の記憶がある所為で何かまずい事しちゃったのか?)
律(ま、……まずいぞ。母さんは軽音部が大好きだったはずだ。下手したら母さんの親友が減っちゃう)
律「け、軽音部に入ろう? ね?」
澪「だから文芸部に入るって。ほら、もう入部届け出したし」
律(ま、まずい……どうしようどうしよう)
律「う……うああああああ!」ビリビリ
澪「何すんだよ律ー!!」
律(律さんすいません……)
613:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 15:43:09.30 7ulvK4kfO
最後までがんばー
支援
614:Ch.093 来世が過去だったら
10/07/25 15:43:28.61 0rANlgxdO
律「何とか軽音部に入れることに成功したぞ」
律「でもこの先上手くやっていけるんだろうか」
唯「どしたのりっちゃん?」
律「いやなんでもない」
紬「お茶が入りましたよ」
律「サンキュー」
律(二人とも母さんから聞いたことある。優しい人達だな)
澪「……律?」
律「うわあっ! か、顔近いよ母さん!」
唯「母さん?」
律「いや、澪!」
澪「またそれか……」
615:Ch.093 来世が過去だったら
10/07/25 15:48:00.27 0rANlgxdO
律(そういえば母さんって人見知りが激しかったんだな)
律(ちょっと引っ込み思案だし……手を引っ張ってあげたくなる感じだ)
律(律さんも同じこと考えてたのかも)
律(いや違うか……私の場合母さんだからほっとけないんだし母さんの記憶どおりにしなきゃっていう思いがあるからな)
澪「ねえ律」
律「んぇあ?」
澪「最近何かあった?」
律「へあっ!?」
律(中身が違う事がばれたのか!?)
澪「何かあるならいつでも相談にのるから」
律「あ……うん。ありがと」
律(母さん……やっぱり優しい)
律(とにかく私が母さんを引っ張っていかなきゃ!)
616:Ch.093 来世が過去だったら
10/07/25 15:53:05.90 0rANlgxdO
律(いつも母さんの事を気にかけて早二年)
律(母さんの思い出はこれでいいのだろうか)
澪「律、おはよ」
律「あ、ああ」
澪「……」
律(そして重大な問題が増えてしまった)
律(私は母さんの事が……)
律(いつもそばにいたし、優しいし、元々初恋の人だったし……)
律(でもダメだ! 今は女だし、母さんの思い出を壊してしまう)
澪「律、今日部活終わったら家にこない?」
律「へ、あ、あー……」
澪「いいだろ?」
律「あ、うん……」
617:Ch.093 来世が過去だったら
10/07/25 15:56:27.94 0rANlgxdO
澪の家
澪「どうぞ」
律「おじゃまします」
律「……」
澪「……」
律「あ、ええと……めずらしく部屋が綺麗だな!」
澪「なあ律」
律「は、はい」
澪「迷惑かもしれないけど」
律「えっ!?」
律(な、なんだ……!? まさか告―)
澪「律さ、悩んでる事あるよね」
律「……あ、ああそっちか」
澪「そっち? ていうかやっぱり悩んでたんだ」
618:Ch.093 来世が過去だったら
10/07/25 16:03:56.75 0rANlgxdO
律(しまった……)
澪「話してくれないかな」
律「……」
澪「もうずっと前からそんな感じだろ?」
澪「話してくれるのを待ってたけど全然話してくれないし」
澪「おせっかいかもしれないけど……たまには私も律の役に立ちたい」
律「澪……」
澪「だ、だめかな……?」
律「う……」
律(やっぱり律は母さんにとってとても大切な人なんだ)
律(それを私が壊すなんてできない。それにもしそんなことしたら澪の子供、つまり私が生まれてこなくなる)
律「ありがと、でももう大丈夫」
619:Ch.093 来世が過去だったら
10/07/25 16:08:47.76 0rANlgxdO
澪「……そう」
律(うあ、悲しそうな顔させちゃった。でも本当のこと言えないし……)
澪「じゃあもうひとつ」
律「え?」
澪「律さ……わ、私のこと」
律(えっ!? 今度こそ来るのか―)
澪「き……いや、なんでもない」
律「あ……うん」
620:Ch.093 来世が過去だったら
10/07/25 16:20:20.81 0rANlgxdO
律(あれ以来母さんとまともに喋ってないな)
律(なんか避けられてるし)
律(あああどうしよう。母さんの思い出が……)
律(私じゃ律さんの代わりにはなれなかったのか)
律(……あれ、待てよ)
律(確か母さんが父さんと出会ったきっかけって律さんが関係してなかったっけ)
律(このままじゃやばい)
律(でも母さんと話してると自分の気持ちが抑えられなくなる)
律(ぐああああ……私が我慢すればいいんだ私が)
621:Ch.093 来世が過去だったら
10/07/25 16:26:16.38 0rANlgxdO
律「はあ……せっかくの夏フェスもこの気分じゃなあ……」
唯「あれ、りっちゃん、澪ちゃんは?」
律「澪なら唯達と一緒にいたんじゃないの?」
唯「私はりっちゃんといると思ってたんだけど……」
律「ちょっと電話してみる」
律「つながらねぇ……」
唯「澪ちゃん大丈夫かなあ」
紬「そういえば夏フェスって薬でナンパで女になりましたなんだよね」
梓「なんですかその偏った知識は……」
唯「あれ、りっちゃんがいない」
622:Ch.093 来世が過去だったら
10/07/25 16:35:46.96 0rANlgxdO
律「澪ー! どこだー?」
律(まずい……最悪の事態だけは避けなければ)
律(くそー! 私がついていながら何やってんだよ)
律(本当の律さんならこんなことにはならなかったはずなのに!)
律「澪ー!」
澪「あ、律」
ズシャア
澪「うわっ!」
律「……いたい」
澪「何もないところで転ぶなよ」
律「足痛い」
澪「まったく。テントまで歩ける?」
律「うん……」
623:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 16:36:58.64 A3MkePiZ0
支援
624:Ch.093 来世が過去だったら
10/07/25 16:40:05.97 0rANlgxdO
律「……」
澪「……」
律(ぐぅ……どうしよう母さんと気まずい)
律(と、とにかく原因は私にあるんだからここは謝るしか……)
律「澪」
澪「何?」
律「その……ごめんなさい!」
澪「……何が?」
律「いや、その、悩みが言えなかったり態度がおかしかったり律さんみたいにうまくできなかったり母さんの思い出を壊しちゃったり……」
澪「ぷっ、何言ってるのかわかんないよ」
律「お、怒ってない?」
澪「怒ってないよ。それより律の様子がおかしい事の方が心配」
律「……やっぱりおかしいよな」
625:Ch.093 来世が過去だったら
10/07/25 16:53:09.14 0rANlgxdO
澪「何が?」
律「私だよ。高校に入ってからおかしいと思わないか?」
澪「ああ……まあ確かに」
律「やっぱり……私じゃ律さんになれないよ……ごめんなさい」
澪「意味わからないよ」
律「澪ごめん……私の所為で澪の大切な思い出が台無しになっちゃった」
澪「え?」
律「本当は今回の夏フェスだってもっと楽しいはずなんだ。でも私の所為で……」
澪「何だかわからないけど私は楽しいよ。みんなや律と来てるのに楽しくないわけないよ」
律「澪……でも最近あれだったしそもそも私は律さんじゃないし」
澪「だから意味がわからないってば」
澪「律は律だろ?」
626:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 16:55:20.28 mD3ZUSco0
わーい、まだ続いてたー
ワンフェス帰りで支援
627:Ch.093 来世が過去だったら
10/07/25 16:57:04.08 0rANlgxdO
律「私は……」
澪「律だろ」
律「……うん」
律(確かに今の私は律でしかない。母さんの子供だったのは前世なわけだし……今の私とは関係ない)
律(そうだよ関係ない。私は私なんだ。どうせ律さんと同じ事は出来ないし今も母さんを傷つけてる)
律(このままでもだめになるだけ。私が母さんに思いを打ち明けてもだめ)
律(だめって言うか私が生まれない)
律(ん、待てよ。私が生まれたらこの世界に私が二人いることになる)
律(でも私の意識はここにしかない。と言うことは生まれてくる私は私だけど私じゃないってことだ)
律(そもそも私が告白しても上手くいくとは限らないじゃん)
律(これは私の人生なんだし、どうせ行き詰るなら……)
律「ねえ澪」
628:Ch.093 来世が過去だったら
10/07/25 17:05:45.15 0rANlgxdO
律「もし私が澪の人生や思い出を壊しているとしたらどうする?」
澪「はあ? それは私が律に会ってなかったらとかそういう事か?」
律「まあそんな感じ」
澪「うーん……イラッとするな」
律「ですよね……」
澪「でも、私にとってはこれが楽しいし、律といるのが楽しいんだよ」
澪「……他にも私に言いたい事があるんじゃないのか?」
律「えっ……」
澪「律は考えすぎだよ。律は律だし自分の思ったことをすればいいと思う」
律「……母さん」
澪「好きなのか?」
律「へ!?」
澪「その『母さん』ってやつ」
律「あーいや……」
629:Ch.093 来世が過去だったら
10/07/25 17:11:15.34 0rANlgxdO
律「ああー……」
澪「?」
律「もうどうにもならない!!」
澪「うわっ!」
律「か……澪!」
澪「は、はい」
律「すきっだ!」
律(ぐあー言ってしまった母さん律さん父さんごめんなさい)
律(生まれて来れない私もごめんなさい)
澪「あ……えっと……ん?」
律「いえ、だからね……」
澪「私も……す、好きだよ」
律「うそっ!?」
澪「もちろん。……親友だろ?」
630:Ch.093 来世が過去だったら
10/07/25 17:22:43.86 0rANlgxdO
律(あれから何年経ったっけ)
律(私と澪は今も親友のままだ)
律(そして今日は澪の結婚式)
律(澪は私の心配をよそにすくすく育ってくれたよ)
律(私は私で自分の人生をエンジョイしてるしね)
律(てか前世の記憶なんて殆ど忘れしまった)
律(覚えてるのは澪が私の母さんだったってことだけ)
律(記憶と一緒に好きの気持ちも忘れちゃったぜ)
律(あの告白が未遂で終わってて良かった)
律(今日は澪を祝福してやらないとな)
律(でも何故かあの父さんであろう人がむかつく)
律(お祝いのスピーチで一発かましてやろうか……なんちゃって)
律(その前に……)
律「澪。結婚おめでとう!」
END
631:Ch.093 来世が過去だったら
10/07/25 17:26:15.90 0rANlgxdO
紬「ねえねえ唯ちゃん梓ちゃん。私ゆいあずのマーク考えたんだけど」
唯「マーク?」
紬「そう。×でいいかなーとも思ったんだけどちょっと露骨な感じだったから」
梓「はあ」
紬「それでは発表します!」
唯「おおっ!」
紬「ゆい( ´∀`)σ)Д`)あず」
梓「……」
紬「どう? どう?」
律「あっはっはー。唯と梓の関係を表してて良いんじゃない?」
澪「……そうか?」
632:Ch.094 ×の代わり
10/07/25 17:35:20.56 0rANlgxdO
律「んじゃりつみおにも何かつけてよ!」
紬「一応考えたんだけど……」
律「どれどれ」
紬「りつ(´ε(○=(゚Д゚ )みお」
梓「あー確かに関係を表してますね。んふっ」
律「いやだーこんなの認めない!」
澪「私もこれはちょっと……」
紬「じゃあみおりつバージョンはどうかな?」
律「あるの!?」
紬「みお( ゚ ‐゚)⊃)`д)りつ」
律「だめじゃーん!」
澪「あ、これいい……」
律「いいのかよ!?」
唯「かわいいじゃーん」
END
633:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 17:35:35.58 FxtLXKzj0
いよいよ百か…
胸が熱くなるな
でも最後の話ってゲームだとバグがあr
634:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 17:37:34.68 1uVI1htj0
ここまで黙々と投下し続けていくのは素直に凄いと思う。
635:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 17:42:17.29 Z/Sp5np8O
どういう精神状態で書き上げているのか
636:Ch.095 安全ピン
10/07/25 17:43:55.95 0rANlgxdO
澪ちゃんとりっちゃんが監禁されました。
同じ部屋に入れられていますが扉の鍵は開いています。
これは監禁といえるのでしょうか。
えっと、りっちゃんは縄で縛られて壁にくくりつけられています。
澪ちゃんは後ろ手に縛られていて、足が自由な代わりに両乳首に安全ピンを留められていてそこから二メートル程の鉄線で壁に繋ぎとめられています。
澪「うぐ……」
律「澪……大丈夫か?」
澪「大丈夫……」
澪「おい律、歩けるか?」
律「縛られてなければな」
澪「よし、ここから出るぞ」
律「どうやって」
637:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 17:46:57.52 b/Mrdzm60
もう3日も書き続けてるww
タフだなぁw
638:Ch.095 安全ピン
10/07/25 17:53:13.60 0rANlgxdO
澪「私が律を助ける」
律「……澪?」
澪「ふー、ふー」
律「な、何するつもりだよ」
澪「う、うう……!」
澪ちゃんは覚悟を決めると後ろ向きに走り出しました。
律「澪っ!?」
そして鉄線が伸びきりそうになった時思いっきり後方へジャンプします。
澪「がっ!?」
両乳首は安全ピンによって引き裂かれてしまいました。
枷がなくなった澪ちゃんは背中を床に打ち付けました。
639:Ch.095 安全ピン
10/07/25 18:00:08.39 0rANlgxdO
澪「うっ……げほっ!」
律「澪!!」
澪「……へ、へいき……うっ」
澪「うああ……痛い!」
律「澪! 大丈夫か!?」
澪「ぎ、あ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーー!!」
澪「あぐぅ……う、ぎゃああ……ひぎぃ!」
律「み……お」
澪「あ……はあ……はあ……今助けるから……いぐっ」
律「無茶しすぎだ……」
澪「こうしないとどうにもならないだろ」
こうして二人は無事脱出する事ができました。
よかった。
END
640:Ch.096 松茸になめこが生える話
10/07/25 18:08:08.84 0rANlgxdO
律「澪好きだ!」
澪「駄目だよ……本当の私を知ったらきっと嫌いになる」
律「な……なんだよそれ! 納得いかない!」
澪「わかった……見せるよ」
シュルシュル
律「な、何脱いでるんだ……?」
律「あ、わ、わかったぞ! どうせ女なのに松茸が生えてるとかそんなことだろ!?」
律「その程度で嫌いになるわけないだろ!」
澪「これを見てもそんな事が言えるのか?」
ポロン
律「!?」
641:Ch.096 松茸になめこが生える話
10/07/25 18:16:45.52 0rANlgxdO
律「な……なんだ……澪のところから松茸が生えている……そこまではわかる」
律「でもその松茸の茎の部分から枝分かれして生えてるなめこのようなものはなんだあー!?」
澪「これも私の一部だよ……。はは、気持ち悪いだろ?」
律「……いや、気持ち悪くない」
澪「いいよ、自分で気持ち悪いと思ってるし」
律「だから気持ち悪くないって言ってるだろ」
澪「そんなわけないだろ! こんな枝分かれしてる松茸なんて男でもいないよ!」
律「……むしろ好都合だっての」
澪「は?」
642:Ch.096 松茸になめこが生える話
10/07/25 18:25:42.94 0rANlgxdO
律「私の鍾乳洞の中身は普通のそれとは違う」
澪「え?」
律「澪のように直接見られるわけじゃないから黙ってようかと思ったけど」
律「私の鍾乳洞は澪のように枝別れしているんだ! それも2本もな!」
澪「なっ!?」
律「どうだ? ここまで聞いたら私達がベストカッポーだってことくらいわかるだろ?」
澪「あ……あ……」
律「こいよ、澪。なめこだろうがしいたけだろうが私が包み込んでやるよ」
澪「りつっ!」
643:Ch.096 松茸になめこが生える話
10/07/25 18:38:48.76 0rANlgxdO
律「ああ……いいぞ、そのまま」
澪「う……あ……」
スポッ
澪「うあっすごい一体感だ! かつてこれほどまでに私を包んでくれる存在があっただろうか!」
律「へへ、だから言ったろ?」
澪「ああ……私と律はベストカッポーだ……」
律「……それに」
澪「え? ……あひぃ!?」
グルン
律「このように後ろからの体勢でも私には2本の枝分かれした道があるから問題ない!」
澪「ひゃ、ひゃああ……しゅごいよりちゅぅぅ……」
?「ちょっと待って!!」
644:Ch.096 松茸になめこが生える話
10/07/25 18:48:30.12 0rANlgxdO
律澪「!!?」
紬「……」
律「ムギ!」
紬「私だって……りっちゃんの事が好きなの!」
律「……さっきの話聞いてたんだろ? ならわかるよな」
紬「聞いてた。だからこそ私はりっちゃんにふさわしいと思った。これを見て」
ポロン
澪「なっ!」
律「これは……ムギの松茸の茎から左右になめこが生えている!!」
紬「そう……私もなめこが生えているの。それも2本もね」
645:Ch.096 松茸になめこが生える話
10/07/25 18:57:18.61 0rANlgxdO
律「……ゴクリ」
澪「……律?」
紬「りっちゃんは生まれてこのかた完璧に満たしてもらったことはないでしょう?」
律「……」
紬「私ならそれが出来る」
律「あ……あ……」
澪「りつ!?」
紬「りっちゃんだってわかってるでしょ? それが私以外には出来ないってことを」
律「う……」
紬「……」
グイ
律「あっ、ムギ待って」
紬「待たない」
澪「いやああああ!」
646:Ch.096 松茸になめこが生える話
10/07/25 19:06:32.61 0rANlgxdO
律「がっ?!」
紬「はぎゅ!?」
律「な……なんて圧迫感……そして充実感……!」
紬「すごい……よし!」
グルン
律「あひっ、後ろから!?」
紬「私だって出来る! どう?」
律「は、あ、し、幸せだよう……」
澪「そんなっ」
紬「私も……満たされている……」
澪「うう……りつぅ……」
?「澪ちゃん……」
?「澪先輩……」
647:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 19:10:39.56 1uVI1htj0
カオスになってきた。
648:Ch.096 松茸になめこが生える話
10/07/25 19:14:33.65 0rANlgxdO
澪「唯! 梓!?」
唯「私を問答無用でふったのにはそんな理由があったんだね」
澪「いやっ見ないで!」
梓「大丈夫ですよ。私はそれでも澪先輩が好きです」
澪「え……?」
唯「それ……見せて」
澪「お、おい、二人ともやめ……」
唯「私は松茸を食べるからあずにゃんはなめこをお願い」
梓「わかりました」
澪「な、なにを……」
唯梓「「せーのっ、あむ」」
澪「かはっ……! こ、これしゅごいぃ……でも、でもぉ」
唯「今この瞬間が幸せなら。むぐ」
梓「それでいいんじゃないでしょうか。ちゅぽ」
END
649:Ch.097 MIOON CHILD
10/07/25 19:19:47.22 0rANlgxdO
最初に澪と出会ったのは幼少の頃のよく晴れた夏の日。
廃工場で友達とかくれんぼをしていた私は日陰に身を隠している澪を見つけた。
「お姉ちゃん何してるの?」
澪は虚ろな目で私を見返した。
その瞳の透き通った青色は南国の海を連想させる。
私はそれに釘付けにされた。
「……何も」
その言葉でようやく我に返った私は澪を質問攻めにした。
この時点で澪に惹かれていたんだと思う。
とても綺麗な澪の事が気になってしょうがなかったんだ。
澪はめんどくさそうにしていたけれど質問には答えてくれた。
私はそれが嬉しくてどんどん澪に話しかける。澪はめんどくさそうに返事をする。
それがとても楽しい事のように思えて。
この日から私は毎日廃工場へ通い始めた。
その甲斐あってか私と澪はひと月で仲良くなれた。
最初はぶっきらぼうだった澪も普通に会話してくれるようになった。
私の中で澪は既に友達になってた。澪もそう思ってくれていたはず。
せっかく友達になったのだから澪と遊びに行きたい。
そう思って澪を誘うんだけどいつも断られちゃったんだよな。
何回も断わられるからある時理由を聞いてみることにした。
「昼間はちょっと無理なんだ。そうだな……律がもう少し大きくなったら夜に遊ぼう」
この時は理由を教えてくれなかったけど、後々解らされた。
650:Ch.097 MIOON CHILD
10/07/25 19:32:31.73 0rANlgxdO
澪と出会ってから数年後。
漸く一緒に出かける事が出来た。
澪は誰かと出掛けるなんて何年振りだかわからないと言って喜んでいて。
今は私以外の友達は居ないとも言っていた。
何とかしてあげたいと思って私と同じ高校へ行かないかと誘う。
澪は首を振った。
学校は朝からなんだから澪が行けるはずないか。
「ありがとう律。でも私は今のままでも楽しいぞ」
そうは言うけど友達はたくさん居たほうが楽しいに決まっている。
いつか何とかしてあげたいと思った。
高校に入ってからもずっとその事を考えていた。
高校に行けないのなら私の友達を紹介するのはどうだろう。
私の所属している軽音部の二人なら仲良くなれるんじゃないかな。
さっそくその二人に会わせたい人がいると言ったら快くOKを貰えた。
後は澪に言うだけだ。
それで澪の友達が増えると思っていたのに澪はあっさり断った。
「な、なんでだよ!」
「いや、私は……律だって解ってるだろ」
「でも……」
「ごめんな、せっかく私のためにしてくれたのに」
「でも……もう連れて来ちゃった!」
651:Ch.097 MIOON CHILD
10/07/25 19:43:21.68 0rANlgxdO
「は?」
澪の綺麗な顔が崩れる。
結局澪は私の強引な手によって友達を増やす事になった。
澪は私と同い年という事にしておいた。
ちょっと発育が良すぎるけど疑われなかった。
私は澪に友達を作ってやったという達成感でいっぱいだった。
澪も喜んでくれているはずだった。
けれど澪の顔は浮かない。
「嫌だった?」
「あ、いや……嬉しいよ。でも……」
でも。
その先の言葉を聞いて自分の浅はかさに気付いた。
あの二人と澪は後何年友達でいられるのか。
結果は十年以下だった。
澪は容姿の変わらない自分に対して疑問を持たれる前に親交を絶つと決めていたから。
私達が大学を卒業する時に澪は自分から別れを告げて、それ以来あの二人に会う事はなくなった。
社会人になっても二人と親交のある私は辛かった。
澪はもっと辛いのかもしれない。
それ以来私は澪に友達を紹介しなくなった。
今でも高校時代の友人の話が出る事があるけどその度に私は謝ってしまう。
そうすると澪は、
「律が居るから大丈夫だよ」
って言ってくれた。
652:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 19:44:06.02 ahHqmy/Q0
653:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 19:47:54.00 DE/qf2TvO BE:2329503168-2BP(1001)
sssp://img.2ch.net/ico/samekimusume16.gif
先に言っておく
ごめん
654:Ch.097 MIOON CHILD
10/07/25 19:49:15.90 0rANlgxdO
じゃあ私が居なくなったら澪はどうなるの?
また一人になってしまうの?
そう聞くと澪は毎回「大丈夫だよ」と言う。
何が大丈夫なんだろう。
「だから大丈夫だって」
話す気はないらしい。
「それより律は運転に集中すること」
私がお金を貯めて買ったオープンカーの助手席から澪が小言を言う。
買ってから重大な失敗に気付いたが時既に遅し。
この頃は週末になると夜のドライブへと繰り出していた。
目的地は毎回バラバラだけど、海へ行く事が多かった。
澪は海が好きだから。
「海といえば海から見る朝焼けはすっごく綺麗だぞ」
「私だって見たことあるよ。だいぶ昔だけど。」
「えっそうなの!?」
「今じゃ見れないけどな。昔の話だよ」
「そっか」
655:Ch.097 MIOON CHILD
10/07/25 19:54:22.96 0rANlgxdO
「でもまた見たいな。朝焼け」
「おいおい」
「冗談だよ。こうして夜ドライブしてるだけで私は楽しいし」
車で色々な事を話す。
澪が昔の話をすることもあれば私の今の生活が話題になる事もある。
「そういえば前に話したよな? この前銀行に行ったらってやつ」
「ああ、律が一目惚れした話だろ」
「いや、まあ、そうだけど」
澪に相談に乗ってもらう事もある。
656:Ch.097 MIOON CHILD
10/07/25 20:03:36.55 0rANlgxdO
澪に相談すると大抵の事は上手くいく気がする。
昔から澪は頼りになった。今の仕事も澪に相談して決めたし。
だから今回も上手くいく気がする。
「上手くいくも何もゴールしただろ」
「いやいや、ここから第二の人生がスタートするんだよ」
「そっか。律、おめでとう」
そう言ってくれた澪の表情はお母さんが披露宴で見せたような表情だった。
「ははは、私の妹みたいななりのくせに」
「うらやましいか? 若いだろ」
「実際はおばさんってレベルじゃないけどな」
「うるさい」
私達の関係は変わらないし、澪も変わらない。
変わるのは私だけ。
「なあ澪、これからもよろしくな」
「うん」
657:Ch.097 MIOON CHILD
10/07/25 20:09:40.16 0rANlgxdO
澪がいつまでも出会った頃のままだから私と出歩いてると親子にしか見えない。
ちょっと前までは私の娘が大きくなったらこんな風に出掛けたいなんて言っていたのに気が付いたら私の娘の方が澪より年上に見えるようになった。
娘を澪に会わせたのは二回だけ。小さい時に一回、高校生の時に一回。
なんだか娘が二人いるみたいだ。
でも澪からしたら私なんてまだまだひよっこなのかもしれない。
私と澪の見た目はまだ年の離れた親子だよね。まだおばあちゃんじゃないよな。
なんて思っていたら娘が結婚して実の孫が出来た。
「律もおばあちゃんなんだな」
「そうみたい」
「もう少しでひいお婆ちゃんかもな」
何十年も先の事を「もう少し」って言えてしまう。それが澪。
でも実際にひいお婆ちゃんになってみると「もう少し」という表現は正しかったと思えた。
そのくらい時間の流れが速く感じた。
私が若い頃乗っていたオープンカーはうん十年前澪にあげた。
今では澪が運転席で私が助手席。
オープンカーだけど私を乗せてくれる時は毎回幌を着けてくれている。
オープンカーの意味がないかもしれないが老体には色々ときついので助かる。
相変わらず海を見に行く事が多いが温泉旅行にも行ったりした。
祖母孝行に見られようが何だろうが私と澪にとっては親友との思い出旅行だ。
大きい旅行はその温泉が最後だった。
658:Ch.097 MIOON CHILD
10/07/25 20:19:55.98 0rANlgxdO
もう少し。
私の寿命は澪にとってどれだけの時間だったのだろう。
私にとっての全ては澪にとっての「少し」だったのだろうか。
「どう?」
「どうって……少しじゃないよ。律と過ごした時間は私の全てだよ」
「そうかい」
全ては言いすぎだろう。
澪には私と出会う前の気の遠くなるような時間があるだろうに。
そういえば澪は私が居なくなったら……。
昔そんな事を聞いたことがあった。
でも答えは得られなかった。
「澪」
「なんだ、律」
「私がいなくなったら、澪はどうするの?」
「……」
「今更隠さなくてもいいてば」
「……多分私もいなくなる、かな」
659:Ch.097 MIOON CHILD
10/07/25 20:24:23.56 0rANlgxdO
やはりそうか。
なんとなくだけど解っていた。
「こんなこと言ったら律に怒られそうな気がしてさ」
「今更怒らないよ」
「そっか。ところでさ、この前律のひ孫に会ったんだけど」
「へえ」
「律に似てて人懐っこかった」
「そりゃ良かった。てことは話したの?」
「うん、割とたくさん話した。来年高校生だってな」
「めずらしい。澪が友達作るなんて」
「うるさいな。あと律に似て綺麗だったよ」
「澪がそれを言ってもなあ」
「いいだろ別に。律は綺麗だって」
「はいはい。でもあの子が二十歳になるまで生きたかったなあ。ねえ澪、あの子の世話してやってよ」
「……律にそんな事言われたら断れないじゃないか」
660:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 20:29:02.74 1uVI1htj0
支援
661:Ch.097 MIOON CHILD
10/07/25 20:33:27.99 0rANlgxdO
「この後は律の車で夜通しドライブしてから朝焼けを見るつもりだったのに」
「……朝焼けを見ながら?」
「その予定だったけど……まあわかったよ。二十歳までな」
「ああ……ありがと……な」
「まったく、律は出会った時から強引なところがあったよな」
「勝手に友達を作らされたりしたし」
「振り回されたなあ……でも楽しかったよ」
「律に会わなかったらと思うと怖いよ」
「ありがとうな」
「……さて、久々にオープンカーをオープンカーにするかー」
「それで新しい友達を乗せてやろう。夜限定のドライブになるけどな」
「じゃあそういうわけだから」
「律……バイバイ」
END
662:Ch.098 青色のタイ
10/07/25 20:41:18.54 0rANlgxdO
梓「お疲れ」
後輩「お疲れ様です。飲み物入れますね」
梓「ありがと」
後輩「それにしてもこの部活変わってますよね」
梓「うーん、そうかもね」
後輩「思ってたよりまったりした部活で」
梓「部員が集まったらもっと本格的にやるから覚悟しておいてね」
後輩「はい」
ガチャ
後輩2「こんにちは~」
梓「お、来た来た」
梓「お茶あるよ」
後輩2「ありがとうございます!」
663:Ch.098 青色のタイ
10/07/25 20:49:09.11 0rANlgxdO
梓「それ飲み終わったら勧誘手伝ってもらうね」
後輩2「はーい」
梓「えーと、あれはどこにやったかな……」ゴソゴソ
後輩「梓先輩何を探してるんですか?」
梓「あった、勧誘はこれ着てやるよ。好きなの選んでね」
後輩「え……え? これは……」
梓「ウマだよ」
後輩2「このブタ……前に外にいたのってもしかして梓先輩ですか……?」
梓「うん」
後輩2「わ、私は制服のままで……」
後輩「私も……」
梓「ダメダメ、これ着て勧誘しなきゃ」
664:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/25 20:56:02.10 TvaPdb7g0
もうすぐか
665:Ch.098 青色のタイ
10/07/25 20:56:25.68 0rANlgxdO
後輩「来ませんね新入部員」
梓「あと一人なんだけどな……」
後輩2「何か作戦とかないんですか?」
梓「ええっと……行き倒れ作戦、とか」
後輩「行き倒れ……?」
梓「あ、いや、とにかく多くの人にビラを配ろう!」
後輩2「はーい」
666:Ch.098 青色のタイ
10/07/25 21:03:24.05 0rANlgxdO
後輩「やっぱり来ませんね……」
梓「うーん……今日はもう無理かな」
後輩2「最近着ぐるみつけて勧誘してるだけのような……」
梓「言われてみれば……。よし! 今日は練習しよう」
後輩「練習って始めてかも」
梓「えっそうだっけ……そうかも」
後輩2「お茶と勧誘しかしてなかったですもんね」
梓「でもやる時はキッチリやるからね!」
後輩「はい!」
後輩2「はーい」
梓「今年からは厳しく行くんだから!」
END
667:Ch.099 毎日がエブリデイ
10/07/25 21:11:03.01 0rANlgxdO
唯「次の授業なんだっけ?」
和「次は体育。早く着替えちゃいさない」
唯「はーい」
律「澪ー早く校庭行こうぜ」グイグイ
澪「ちょっと待ってまだスカート脱いでない」
紬「ほらほらはやくぅ」グイグイ
澪「ああもう……」
668:Ch.099 毎日がエブリデイ
10/07/25 21:17:07.64 0rANlgxdO
純「……」ボヘー
梓(……何時まで校庭見てるのよ)
純(もうすぐ澪先輩の番だよ)
梓(ちょっと純、前見て!)
純(今澪先輩が飛ぶんだから邪魔しないで)
さわ子「鈴木さーん?」
純「は、はいぃ!」
さわ子「もうちょっと授業に集中しててね」
純「すみません……」
梓(だから言ったのに)
純(ああっ、澪先輩の背面飛び見逃したぁ……)
梓「……」
669:Ch.099 毎日がエブリデイ
10/07/25 21:22:54.74 0rANlgxdO
憂「授業中何見てたの?」
純「澪先輩!」
梓「……校庭で唯先輩たちが体育の授業受けてた」
憂「そっかー」
梓「次私達も体育だよね」
純「えぇー移動教室からの体育とかありえないよ」
唯「うい~!」
憂「お姉ちゃん~!」
唯「あずにゃーん!」
梓「ちょっ! 唯先輩砂だらけじゃないですか!」
唯「あ……ごめん抱きついちゃった」
梓「もうっ」