10/05/13 17:56:51.77 wDYMhP9r0
試合までの時間が迫っているというのに、俺は505号室の玄関に突っ立っていた。
「……なぁ朝倉よ」
「なあに?」
「お前の右手に持っているものはなんだ?」
「何って……、包丁だけど?」
「何のためにそれを持っているのか、今すぐ教えて欲しい」
「あら、もしあなたの想像するような回答が得られたらどうするの?」
そんなの決まってるだろ、7階に駆け込むだけだ。
「ふふ、そんなに怖がらないでよ。わたしが料理をしているところにあなたが訪ねてきたってだけなんだから」
客人を迎えるために包丁を置くという機転が利かなかったなどという楽天的な考えに望みは持つまい。
朝倉の心から愉しむ様な笑顔に、ある一つのことを気付いてしまった。
ああ、この宇宙人は根っからのサディストなんだなと……。