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* 個人情報保護法違反
個人情報保護法は5000件以上の個人情報を取り扱う事業者(≒企業)が対象です。VIPPERSには適用されません。
* プライバシーの侵害
まず前提として、プライバシー権は憲法に明文が存在せず、憲法13条を根拠に導き出されるいわゆる「新しい人権」です。
参考:憲法13条
「すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。」
プライバシー権には明文がないため,いかなる場合に侵害となるかについては判例の解釈によります。
そこでプライバシーに関する判例ですが,ここでは最高裁の判例がないので東京地裁の判例を紹介します。
いわゆる「宴のあと」事件(中学の公民の教科書にも載っているはず)のプライバシー侵害の要件です。
「プライバシーの侵害に対し法的救済が与えられるためには,公開された内容が,私生活上の事実又は事実らしく受け取られるおそれがあり,一般人の感受性を基準にして当該個人の立場に立った場合公開を欲しないであろうと認められ,
一般の人々にいまだ知られていない事柄であることを必要とする。」(東京地判昭和39年9月28日)
まとめると,
①公開された内容が事実or事実っぽい
②普通の人だったら公開されたくない情報である
③未公開の情報である
ということになります。
さて,そこで今回の祭についてどう解すべきかという点になるのですが,
そもそもゆとレント達はブログで個人情報を晒していて,それをもとにVIPPERSが整理し直し,特定を進めているという流れなので,
上記の要件のうち③を決定的に欠きます。よってプライバシーの侵害にはあたりません。
ただし,住所とか電話番号のように未公開の情報についてはプライバシーの侵害となる可能性があります。
もっとも,今回の祭で住所とか電話番号を特定して晒した例はありませんがw
自宅の場所を特定したケースはありますが,いずれもタゲ自身が自宅(から)の画像を公開していたものです。
また,仮にプライバシーの侵害にあたるとしても,それだけではVIPPERSが逮捕されるという結果にはつながりません。
これは,日本の憲法は付随的違憲審査制という制度をとっているためです。
付随的違憲審査制とは,「違憲審査をするための特別の機関を設けず,通常の裁判所が,係属した事件に法令を適用するに際し,必要な限りにおいて違憲審査をする方式」のことです。
要するに,何か具体的な事件があり,それについて裁判になったときに,裁判所が必要な限度で憲法違反についても審査するというものです。
すなわち,プライバシーの侵害にあたるとしても,こちら側がタゲから訴えられない限り問題にはなりません。
※ちなみに,付随的違憲審査制の例外(=憲法違反のみで訴えを提起できるもの)として客観訴訟というものがあります。
これは,国や公共団体の行為が憲法に違反するものであるとして一般人が訴えるものです。小泉元首相の靖国参拝などが典型例です。
ですが,VIPPERSはもちろん国でも公共団体でもないのでこの心配もありません。