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中国語の普及などのため、中国が海外の大学と提携して運営する「孔子学院」について、
同学院を開設する大阪産業大学(大阪府大東市)の重里(しげさと)俊行事務局長が、
中国側の認可組織を「文化スパイ機関」などと発言したため、同大は1日、重里事務局長に辞職を求めた。
中国人留学生らから抗議の声が上がり、中国側からも説明を求められていた。
辞職が受け入れられなければ解任し、学内に謝罪文を掲示するという。
孔子学院は、中国の国家漢語国際推進指導グループ弁公室(漢弁)が認可し、
中国と現地の大学が共同運営する。
大阪産業大は2007年、上海外語大と提携し、大阪市北区のビルにサテライトキャンパスを開設。
社会人らのべ340人が入門、初級、中級、上級の中国語や、中国の歌、切り絵など計九つの講座を受講している。
大阪産業大によると、09年4月、孔子学院側に大学所有のビル(大阪市福島区)にキャンパスの移転を提案。
同大学が資産運用に失敗し、経営の合理化に迫られたためだったが、
孔子学院側は「上海外大や中国政府との協議が必要」と難色を示した。
このため今年3月末、土橋(どばし)芳邦理事長名で「廃校せざるを得ない」と同学院に通知した。
このことが4月27日、大阪産業大の教職員組合と大学側の団体交渉で取り上げられ、
出席した重里事務局長が「孔子学院は中国政府のハードな侵略ではないが、ソフト的な拡張主義」
「漢弁は文化スパイ機関と認識しており、提携することは適当ではない」などと発言したという。
同大学には全国で4番目に多い1070人の中国人留学生がおり、留学生らから5月中旬、
「発言は事実無根。撤回し、謝罪してほしい」との要求が上がった。
上海外大の王静(ワン・チン)副学長も同31日に来日し説明を求めた。
土橋理事長は「移転や廃止話に、経営合理化以外の理由はない。
失礼な発言があったことをおわびする」と謝罪し、移転・廃校の白紙撤回を約束したという。
大阪産業大学内部監査室は取材に対し、
「重里事務局長は、インターネットで孔子学院について否定的な意見があることを知り、
紹介するつもりでそのまま口にしてしまったようだ。言ってはならないことだ」としている。(阿久沢悦子)
ソース 朝日新聞 2010年6 月2日
URLリンク(www.asahi.com)