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中国の温家宝首相は28日から6月3日まで韓国、日本、モンゴル、ミャンマーの4か国を歴訪、韓国では中韓、日中韓首脳会談に臨み、北朝鮮の
魚雷攻撃による韓国哨戒艦沈没事件について協議する。
日韓は北朝鮮へ大きな影響力を持つ中国から協力姿勢を引き出したい考えだが、温首相は中立的立場を守り、「朝鮮半島の安定」を最重視した対話を
各国に促す見通しだ。
温首相は25日、訪中したクリントン米国務長官に対し、同事件について、「対話を重ねて良いものにするほど、得られる効果も大きくなる」と、
対話の重要性を強調した。
張志軍・外務次官も26日、「中国は一貫して対立よりも対話、緊張よりも緩和がよいと認識している」と述べた。
韓国、日本との首脳会談に臨む温首相に対し、対北朝鮮包囲網参加への期待と注目が集まる中、中国はひたすら対話を強調しながら、懸命に予防線を
張っている。
中国が現時点で、「経済、安全保障に実質的な影響が出る」(外交筋)対北朝鮮制裁に同調する可能性はほとんどない。
現在の中国の戦術はむしろ、「朝鮮半島の安定化」という誰もが合意できる共通認識の再確認に重点を置き、制裁とは別の論議の軸を作り出すことだ。
温首相も歴訪で、会談が制裁論議に傾斜しないように議論をリードするとみられる。
このため、制裁の根拠となる韓国の調査結果に明確な支持を与えず、中立の立場を確保する見通しだ。
中国外務省の馬朝旭・報道局長は27日、「中国は事件の直接の証拠を持ち合わせていない」とした上で、「各方面の情報を真剣、慎重に検討、
評価している」と繰り返した。
外交筋によると、中国は直接調査に加わっていないことを根拠に、「北朝鮮の立場を配慮して、調査結果が正しいかどうかの判断は今後も下さない」
方針という。
北朝鮮への過度の配慮が国際社会の非難につながりかねないため、韓国の調査を否定することもない。
温首相の訪日日程は、30日から3日間。2007年4月以来となる今回の訪日では、同事件への対処のほか、東シナ海を巡る懸案などについても
協議する。
【北京=大木聖馬】
読売新聞 URLリンク(www.yomiuri.co.jp)
2010年5月28日17時04分