【中日新聞・テーマを読み解く】日韓関係(中)~流浪する人々[05/16]at NEWS4PLUS
【中日新聞・テーマを読み解く】日韓関係(中)~流浪する人々[05/16] - 暇つぶし2ch1:ピアノを弾く大酋長φ ★
10/05/16 22:40:56
テーマを読み解く 日韓関係(中)

流浪する人々 李 鐘元

高崎宗司著『朝鮮の土となった日本人―浅川巧の生涯』ほか

 「帝国」とは、人々の移動をも意味する。日本の支配が拡大するにつれ、多くの人が国境を越えて、
「大東亜共栄圏」に散らばっていった。日本人と朝鮮人をともに巻き込んだ奔流は、帝国の支配と戦
争という構造の中で渦巻きとなり、「加害」と「被害」が錯綜(さくそう)する歴史の残骸(ざんがい)を残
した。

 高崎宗司『植民地朝鮮の日本人』(岩波新書)が詳細に伝えるように、日本の朝鮮統治は「草の根
の植民地支配」によって支えられた。一九一〇年の併合時に約十五万人であった在朝日本人は、四
五年の敗戦時には約七十五万人に膨れ上がった。官吏、憲兵、警察官、教員、駅員など統治機構
の要員だけでなく「小商人から雑貨屋や質屋」にいたるまで、日本社会の周辺部から数多くの「庶民」
が朝鮮に渡り、植民地社会における「民族差別と階級差別」のハイアラーキーを構成した。

 植民地支配の壁を乗り越えようとした人もいた。朝鮮の林業と美術工芸研究に尽力した浅川巧もそ
の一人だが、高崎の『朝鮮の土となった日本人―浅川巧の生涯』(草風館)は、支配構造の下での「美
談」のもつ限界を指摘しつつも、一個人の生きざまが人々に語り継がれ、戦後、日韓をつなぐ架け橋
になっていく過程に光を当てる。

 多くの朝鮮人が兵士や労働者として戦争に動員され「南方」にまで展開された。その中には、日本の
戦争責任を問われて、戦犯として裁かれ、処刑された人もいた。内海愛子は『キムはなぜ裁かれたの
か―朝鮮BC級戦犯の軌跡』(朝日新聞出版)など一連の著作で、捕虜収容所という大東亜戦争の現
場に立たされ、国家と歴史に翻弄(ほんろう)された朝鮮人軍属たちの運命を鮮烈に描き出した。内海
の著作は「戦犯」となった彼らが韓国社会で「犠牲者」として「復権」される契機にもなった。

 日本と朝鮮半島の間で、国家の思惑による人々の移動は戦後も続いた。五九年から八四年にかけ
て約九万人の在日朝鮮人(と日本人妻)が北朝鮮に渡った「帰国」について、テッサ・モーリス=スズキ
『北朝鮮へのエクソダス』(田代泰子訳、同)は、機密解除された国際赤十字社の文書を駆使して、「人
道」と「国益」がいびつに絡み合う日朝関係の一断面を厳しく問う。

(リー・ジョンウォン=立教大教授)

ソース:中日新聞 2010年5月16日付 朝刊10面 読書面(紙ソース)

関連スレ
【中日新聞・テーマを読み解く】日韓関係(上)~「坂の上の雲」の裏側[05/09]
スレリンク(news4plus板)


レスを読む
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch