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シンポジウムでは、四国学院大学の金永子教授(連絡会副代表)が「在日コリアンと生活保護」というテーマで特別講演を行った。
講師はまず、生活保護が日本国憲法第25条に規定された理念に基づいた法制度で、
「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」であるとし、在日同胞もこの権利を有すると強調した。
また、「どのような手段を尽くしても最低限度の生活が保障されない場合に求められるのが生活保護である」とし、
社会保障制度の最後に位置するセーフティネット(社会安全網)であるということについて解説した。
講師は、生活保護が「持ち家があると対象に含まれない」「65歳以下や子どもがいるともらえない」などの誤解、
「恥ずかしいからもらいたくない」「日本政府の世話になりたくない」といった否定的なイメージによって、
生活保護が必要な同胞が権利を行使していないケースがあると指摘し、
「生活が厳しくなったらまずは申請することを勧める」と述べた。
講師は、在日同胞にとっての生活保護の問題点について、▼外国人は生活保護の権利がないと法解釈する主張がある
▼子どもを朝鮮学校に送る場合、生活保護制度の中で教科書代や給食費など「義務教育を受けるのに必要なお金」が
支給される教育扶助の対象に含まれていない▼申請にあたり不服申し立ての権利がある-ことなどを指摘した。
また、在日同胞が社会福祉を適切に享受するための課題として
▼地域住民の福祉増進に努める奉仕者である民生委員に在日コリアンを登用すること
▼在日コリアンソーシャルワーカーなどの人材育成
▼在日コリアンに対する理解を深めるための職員研修などの体制作り-などを挙げた。
講師は、「生活保護を受ければそれですべてが解決する訳ではない。人間が人間らしい生活、
幸せを感じられる生活を送るためには、生活保護制度が必要条件であるが十分な条件ではない」と指摘。
独居老人などの実例を挙げながら、家族や親戚だけでない「人と人とのつながり」「孤立でなく連帯」が求められており、
そのために必要なことについて考えてほしいと訴えた。
質疑応答では、年金需給者も生活保護の対象であること、
連絡会が生活保護の申請をためらう同胞のための窓口になってほしいなどの指摘があり、視
覚障がい者の交流の場があればいいなどの提起もあった。
金永子教授
URLリンク(www1.korea-np.co.jp)
朝鮮新報 記事の一部抜粋
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