【書評】日本軍人と大陸浪人らが描いたアジアの夢はかくも壮大だった…『帝国陸軍、見果てぬ「防共回廊」』関岡英之著 [10/03/14]at NEWS4PLUS
【書評】日本軍人と大陸浪人らが描いたアジアの夢はかくも壮大だった…『帝国陸軍、見果てぬ「防共回廊」』関岡英之著 [10/03/14] - 暇つぶし2ch1:星空φ ★
10/03/14 14:28:09
月並みな言葉を用いれば「近現代史の空間にぽっかり空いた穴を埋めた」秀作であり労作である。

不都合なことが多い所為か正史からきれいさっぱりと消されていた驚くべき事実が、最近公開された機密文書、公電から徐々に明らかにされ、当時の日本の壮大な秘密工作の全貌、すなわちシナ包囲網の構築、そのユーラシア戦略の希有壮大さが、ようやくにして浮かび上がった。
ただし本書は過去に山のように出された大陸浪人伝や馬賊物語、日本人のマフィアまがいの血湧き肉躍る活劇冒険譚とは、まったく基本の性格が異なる。小日向白朗や野中進一郎といった馬賊になった日本人等は日本の戦略的ヴィジョンとは関係のない地点での活躍であった。

それにしても労作だ。
関東軍の「秘密工作」と諜報活動に携わった人等の、当時の雑誌にちょっと書いた論文等や人名録をたよりに、或いは引き揚げてきた人の遺族を三年がかりで訪ねあて、残っている写真やら遺品をヒントに、この作品は自らが歴史探偵となって進むベッド・ディテクティブの趣き。
いやヒストリー・ハンターと形容した方がぴったりかも知れない。
つまり旧満州とモンゴルーウィグルに「親日国家群」を樹立させようとして獅子奮迅の活躍をした民間人、大陸浪人、シナ通、イスラム教徒、軍人。その背後には政治家と官僚たちが「国益」「国家目標」を共有できた、あの熱血の精神があった。
中央でこれらの作戦を立案し、推進させたのは森銑十郎、板垣征四郎らである。辻政信や東条英機も、その戦略的人脈から言えば直系である。

しかし現代日本の若者は所謂「太平洋戦争」史観と「東京裁判」史観で洗脳され、なんだか日本が侵略戦争をしかけたような間違いを信じており、マスコミがいまも嘘を垂れ流し続けているため、基本の知識がない。
いきなりこの本を読んでも、あのとき日本が置かれた国際環境やリアル・ポリティックスの時代背景も理解しないために、この本には巨大な市場性がたぶん希薄だろう。
いきなり余談で恐縮だが、本書の題名はあまりに真面目すぎる。小生なら『シルクロードに散った浪漫』とか、この一直線のタイトルは回避しただろうけれども。

▲日本人は使命感に熱く燃えていた

さて本題に入る。
東京英機は「西北シナに潜入せよ」という密命を出す。いまのフフホト (当時は「厚和」といった) にあった興亜義塾に学ぶ二人の男がいた。西川一三 (かずみ) と木村肥佐夫。
かれらは「モンゴル語、北京語、ロシア語や現地の地理、歴史、政治経済などの学習と軍事訓練にいそしみ、その後さらに一年間、モンゴル人ラマと起居をともにし、一モンゴル人になりきるべく、その風俗習慣を徹底的にたたき込んだ」と著者はかれらの活躍を活写し始める。
西川は「残置諜者」(忍者用語で言えば「草」) のごとく「モンゴル人ロブサン・サンボー」と名乗り、以後終戦を挟んで八年間、アジア各地を放浪した。
現在の内蒙古省にあたる地域は日本の勢力圏だった。
「その西方に位置する寧夏省、甘粛省、青海省は敵地であり、中国国民党、中国共産党の漢人、モンゴル人、チベット人、ウィグル人などの各民族や、当時『東干人』(トングァン) と呼ばれた回民 (中国ムスリム) などの諸勢力が割拠してしのぎを削る危険地帯」であった。
西川はこれらの地区で諜報活動をしながら、さらに西へすすむと「ソ連からの援蒋ルートを目撃する。北方からドラム缶や平気を満載したトラック隊が土煙を上げて姿を現し、航空機が甘粛省の省都蘭州方面へ爆音」を響かせていた。

[>>2 に続きます]

■ソース
日本軍人と大陸浪人らが描いたアジアの夢はかくも壮大だった
チベット、モンゴル、ウィグルの独立を支援し、秘密工作は進捗していた
関岡英之『帝国陸軍、見果てぬ「防共回廊」』(祥伝社)
URLリンク(www.melma.com)
宮崎正弘の国際ニュース・早読み 2907号 日曜版


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