10/03/11 20:31:31
【マニラ矢野純一】フィリピンでコンドームの是非論争が起きている。
保健省がコンドームの無料配布を始めたのをきっかけに、
国民の8割の信者を抱えるカトリック教会側が、「神の教えを冒し産児制限につながる」として
保健相の辞任を求めるまでに発展。5月に行われる大統領選挙の候補者も巻き込んだ論争になっている。
保健省はバレンタインデーの前日の2月13日から、コンドームの無料配布キャンペーンを始めた。
教会側の反発を和らげるため家族計画ではなく、エイズ予防を強調したのだが、
教会側から大臣解任要求など、予想を上回る批判を受けることになった。
教会側は、政府が産児制限をもくろんでいると抗議。
マルコス政権崩壊の際に大きな役割を果たすなど、
国民に影響力を持つカトリック司教協議会も、コンドームの宣伝の全面禁止を求める声明を出した。
議論は大統領選にも飛び火している。フィリピンの人口増加率は年2%以上で、
15年には1億人を超えるとされ、各候補者は人口問題を課題のひとつに挙げている。
国会でも、人口増加による食糧不足や貧困層の拡大を防ぐため、
コンドームによる避妊など家族計画を促進する法案が何年にもわたり議論されている。
ところが、家族計画を推進する市民団体によると、
一部の教会は、法案に賛同する候補者に投票しないように呼びかけているという。
法案に積極的だった候補者も「法案をよく吟味すべきだ」(アキノ上院議員)、
「法案を支持したことはない」(テオドロ前国防相)と、トーンを弱めている。
マニラ首都圏マラボン市のスラム地区で、母親教育の一環でコンドームを配布する
市民団体「リカアン」の保健婦、ホセフィーナさん(48)は「子供が多いと学費が払えず、
学校に通わせることもできなくなる。貧困層の生活の向上のためには家族計画は必要だ」と話している。
ソース 毎日新聞 2010年3月11日 東京夕刊
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