10/03/11 05:22:41
- 韓国・仁川空港ルポ:成田、羽田と「ハブ」争い 広大な敷地にサービス充実 /千葉 -
◇時間忘れさせる免税店
◇無料シャワー室、ゴルフ場、市内ツアー……
成田と羽田のハブ(拠点)空港争いが加速するなか、両空港の共通のライバルである韓国・仁川
(インチョン)国際空港を見学した。開港から数年でアジアトップクラスのハブ空港の地位を築き、
今も施設を拡充して成長を続ける。何が旅客を引き付けているのか。その一端を見た。【斎川瞳】
成田を出発して約2時間半。「まもなく着陸」のアナウンスに窓の外をのぞくと、南北に伸びる3本
の滑走路と青く輝くターミナルビルが見えた。駐機場にはさまざまな国の飛行機が集い、周辺では
開発工事が進む。広大さに目を見張った。
飛行機を降り、搭乗棟からターミナルへはシャトルで移動する。車内アナウンスは韓国語のほか
英語、日本語、中国語が流れる。約2分で到着し、入国手続きから荷物受け取りまでは約10分。
あっという間に到着ロビーに出た。
◇ ◇
仁川空港は01年3月、ソウルの西郊約50キロに開港した。距離は東京から約60キロの成田と
さほど変わらないが、面積は約5600ヘクタールと成田の約5倍。滑走路は3750メートル2本、
4000メートル1本の計3本を備え、今後5本まで増やせる。年間発着回数は41万回、旅客は
4400万人の処理能力がある。島の干潟を埋め立てたため、騒音問題とは無縁の24時間空港だ。
ボーイング777型機1機当たりの着陸料は成田の約3分の1の約15万円。低コストを武器に、
開港から10年足らずで世界60カ国約170都市への路線を確保。年間2855万人(09年)が利用する。
大韓航空など韓国の航空会社はメーンのターミナルビルを利用。外国航空会社は約1キロ離れた
搭乗棟に駐機する。しかし、出入国審査は迅速だ。事前登録された生体情報で本人確認する自動
審査システム。到着時に無人審査台にパスポートをかざすだけで手続きは終わる。現在は韓国人
のみの適用だが、そのおかげで審査場の混雑は少ない。
◇ ◇
日本の25都市以上との間に路線があり、地方空港から到着して世界各地へ乗り継ぐ日本人旅行客
も多い。事実上、日本のハブ空港の役割を果たしている。これらの乗り継ぎ客向けのサービスも充実
していた。シャワー室や休憩室は無料。専用ホテルやゴルフ場、免税店を備え、空き時間を利用して
ソウル市内を観光するツアーも用意されている。
空港内に植物園や海水浴場もある。ターミナルはベンチや大画面テレビが数多く置かれ、旅行客が
バンクーバー五輪観戦を楽しんでいた。無料のインターネットスペースやスパもあり、退屈しない。
人気の理由を旅客に聞くと、「免税店の充実」と口をそろえる。横浜市の女性(31)は「仁川の免税店
は韓国旅行の楽しみの一つ。何時間いても飽きない」とはしゃぐ。有名デパートが運営する免税店が
立ち並び、有名ブランド品から食品、電子機器まで品ぞろえの良さを誇る。
全日空の高瀬康博ソウル空港支店長は「買い物に熱中するあまり搭乗時間に遅れそうになるお客
さまも」と苦笑する。私も免税店に目移りし、帰国便の搭乗時間を忘れそうになった。異国での緊張を
ほぐし、空港にいることを忘れさせる快適さが仁川空港にはあった。
ソース : 毎日新聞 2010年3月10日 地方版
URLリンク(mainichi.jp)