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「高校無償化」 除外はおかしい 日本の識者の声 「万死に値する、狂気そのもの 」
歯を食いしばり、でも「よっしゃ」と自分に声をかけ、まず身近かな者たちへ、
そしてしだいに遠くの者たちへ声をかけることが必要なときがしばしばある。
「高校無償化ということばが世の中に出たとき、私自身も『よかった、だけど』という不安を覚えた。
こういった問題が出るときに必ずそういう気持ちが湧き起こる。
そういう体質に私たちの世代はなってしまっている」と東京朝鮮中高級学校に息子を通わせている母親、
朴史鈴さんは語った。胸に突き刺さる。
しかし彼女のみならず、私たちも、いま再び「よっしゃ」から10歩も100歩も踏み出さなくては
いけない場面にぶつかっているのだ。
子どもを分け隔てなく支え育てることは、個々の人間にとって、民族にとってもっとも重要な営為である。
国家の、体制如何にかかわりのない、政治的経済的な状況にもかかわりのない、責務である。
だからたとえば文部科学省はこんなふうに言う。
「我が国の主権の及ばない外国において、日本人の子どもが、日本国民にふさわしい教育を受けやすく
するために、文部科学省と外務省では、憲法の定める教育の機会均等及び義務教育無償の精神に沿って、
海外子女教育振興のためにさまざまな政策を講じています」
外国における日本人学校は178校。
この支援体制を軸にした2010年度の海外子女教育などの予算は文部科学省が216億円、
外務省が21億4千万円である。
いうまでもなく教育観は人それぞれ。千差万別だ。
とはいえそれらを包含しきった基本的な枠組みが教育の機会均等の保障であり、義務教育無償の保障などである。
ここに政治的な愚劣思考を持ち込みその基本的な枠組みを破壊する行為は、つまり高校無償化法案の適用から
「朝鮮学校除外」をはかる行為は、自身が安住していると想っているだろう体制をも破壊に導く
まさに狂気としか言いようがないしろもの。この作業者はまさに万死に値する。
中井洽拉致問題担当相(国家公安委員長)は「朝鮮学校除外」の理由として「拉致問題があるから」と言い、
昨年から策動してきた。
そのような彼のひそひそとした、ましてや教育とはまったく関係のない事案の持ち込み言動はどんな効果を
もたらしたか。
とてもひどい。
彼独自の愚昧や卑しさの表われをひとまずおくとしても、いずれにしろ彼の、政治テーブルにおける
犯罪的な事実は歴然としている。
彼は平然と、同法案のそもそもの最大目的である「教育の機会均等など」を踏みにじる、
すなわち自身の所属する民主党のマニフェストを決定的に骨抜きにしたのだ。
この法案の適用から朝鮮学校を除外したらどうなるのか。
たとえば、文科省国際課のまとめによると2月現在の外国人学校(高校相当)は42校・5100人、
うち朝鮮学校関係は10校・1900人である。ようするに3人のうちのほぼ1人を〝除外する〟、としたら
「教育の機会均等など」なんかになるわけがないことはおそらく小さな子どもたちにも理解できるのではないか。
中井拉致問題担当相の〝犯罪〟はそれにとどまらない。彼は「教育の機会均等など」の引き裂きとともに
鳩山内閣の「友愛」や「共生」といった基盤的理念をあからさまに嘲笑したのだった。
あまつさえ明確に凝視しなければならないのは、この日本列島に住む者たちすべてに憎悪と侮蔑の混濁物を
浴びせかけ、あらためて差別意識を助長扇動した点である。
朝鮮学校に対する適用除外が中井拉致問題担当相の考える拉致問題の解決に役立つだろうか。逆だ。
国内の一部の排外主義者たちを鼓舞するだけで、肝心の朝鮮は、より強硬に出てくるに違いないのである。
私は鳩山首相と民主党に呼びかけたい。すぐに中井氏を罷免しなさいと。
もしそれを実行しなかったら国民は、憎悪と侮蔑の混濁物を浴びせかけ差別を煽るあなたがたにあきれはて、
そっぽを向き、参院選を機に必ずや内閣を崩壊させるだろう。(野田峯雄・ジャーナリスト)
[朝鮮新報 2010.3.5]
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