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個人の請求権どう判断
2010年03月05日
被害救済に言及か
第2次不二越訴訟8日判決
太平洋戦争中に朝鮮半島から日本に連れてこられ、労働を強いられたとして女子勤労挺身(てい・しん)
隊員ら韓国人23人が、国と機械メーカー不二越(本社・富山市)に損害賠償を求めた第2次不二越訴訟の
控訴審判決が8日、名古屋高裁金沢支部で言い渡される。
戦後補償をめぐる訴訟は、「個人の請求権は放棄された」とした07年4月の最高裁判決を踏襲して訴えを
退ける判決が各地で相次ぐ。高裁が、訴えをどう判断し、被害救済の必要性に触れるのか注目される。
(久永隆一)
訴状などによると、元女子勤労挺身隊員らは太平洋戦争末期、日本人教師らから
「日本に行けば勉強ができる」などとだまされて日本に渡った。軍需工場だった不二越で満足な食事も
与えられないまま、過酷な労働を強いられた。およそ1年間働かされ、終戦前後に帰国したという。
03年4月に、計約1億円の損害賠償を求めて富山地裁に提訴した。
一審判決(07年9月)は、65年の日韓請求権協定で個人の請求権は放棄されたとし、
「日本とその国民は請求に応じる法的義務はない」と最高裁判例と同様の判断で韓国人側の請求を退けた。
控訴審の最大の争点は「同協定により韓国人個人の賠償請求権は消滅したのか」という点だ。
一審判決では、個人の請求権放棄をうたうサンフランシスコ平和条約(サ条約)は、日韓など個別の
戦後処理でも「枠組み」になると指摘。
サ条約を受けて日韓請求権協定が締結されたと認定し、個人の請求権が消滅したと結論付けた。
これに対し、原告の韓国人側は、サ条約は国家間の戦後処理が目的であるが、同協定は日韓の国家分離に
伴う財産処理のためで法的性格が異なるとして、一審判決の不当性を訴えている。
加えて、同協定について日本政府が長年、個人の請求権放棄を意味しないとする解釈を行ってきたと主張し、
韓国人個人の請求権は存在すると強調する。
一方、強制連行や強制労働があったのかどうかについて、一審はその事実を認めたが、不二越側は控訴審でも
「強制連行や強制労働の事実はない」と反論する。
争点とは別に、高裁が戦後補償に関する政府や関係企業の望ましい対応にまで言及するか、も注目点だ。
個人の請求権はないとした07年4月の最高裁の判例は、その一方で関係企業などに被害救済を促し、
その後の和解成立につながる結果になった。
■同種の戦後補償訴訟
07年 4月 西松建設めぐる中国人強制連行訴訟 最高裁 上告棄却
5月 三菱重工めぐる女子勤労挺身隊訴訟 名古屋高裁 控訴棄却
08年10月 七尾強制連行訴訟 金沢地裁 棄却
09年 9月 長野強制連行訴訟 東京高裁 控訴棄却
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