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- 「忘れようもない戦争」 朝鮮戦争の元米兵士たちは今 -
1月、ニューヨーク郊外ニューロシェルの退役軍人会館に集まった朝鮮戦争の元兵士たち(松尾理也撮影)
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
勃発(ぼつぱつ)から今年で60年を迎えた朝鮮戦争は、米国では「忘れられた戦争」と呼ばれる。
輝かしい勝利に終わった第2次世界大戦とも、屈辱にまみれたベトナム戦争とも違い、朝鮮戦争の
記憶は薄い。「しかし、従軍した者にとってはもちろん、忘れようもない戦争だ」。ニューヨーク郊外に、
今も戦いの記憶を持ち続ける元兵士たちの集会を訪ねた。
(ニューヨーク 松尾理也、写真も)
「朝鮮戦争はどんな戦争だったか、って? 忘れられた戦争、だ」。ニューヨーク郊外ニューロシェル
の退役軍人会館の一室。毎月1回開かれている朝鮮戦争従軍兵士の集会で、元海兵隊員、ジェリー・
フォーミサドさん(76)さんはぽつぽつと話し出した。
「まるで、その後にあったベトナム戦争によって人々の記憶から押し出されてしまったみたいにね。
だが、われわれにとっては忘れようもない」
この集会自体、1995年に発足した。それまでは、「退役軍人」という広い枠組みで各種の集会に参加
することはあっても、朝鮮戦争に従軍した元兵士たちが集まる場はなかった。
陸軍に所属していたハーラン・ガーバーさん(80)は自らが復員したときの思い出を語る。
「船でシアトルに着くと、バスに乗せられ、陸軍基地まで運ばれた。通っていったのは街の中心部では
なく、みすぼらしいスラム街だった。道端ではホームレスたちが飲んだくれていた。基地の入り口では、
年老いたご婦人方が花を抱えてわれわれを迎えてくれた。それが凱旋(がいせん)パレードだった」
第2次世界大戦での対日戦勝記念パレードをはじめ、数々の歴史的パレードが行われ、「英雄たちの
谷間」と呼ばれるマンハッタンの目抜き通りで、朝鮮戦争の戦勝パレードが行われたのは、91年のことだ。
セシル・コーンライクさん(75)は「そもそもあの戦争は終わってさえいない。休戦協定があるだけだ。
だれが勝者か敗者かもわからない。米国人はどう評価していいかわからず、いっそのこと忘れてしまおうと
決心した不人気な戦争だったんだ」と話す。
フォーミサドさんは「中国軍はあっぱれな連中だったよ。北朝鮮軍はひどいものだったが」と言う。
「中国軍の装備は粗末なものだった。彼らの強みは人海戦術だった。倒しても倒しても、どこかからわき
出てきた。祖国のために戦っていたわけでもないのに、極めて士気は高かった」
中国製品が世界を席巻する今、元兵士たちは中国に複雑な思いを抱いている。「つきつめていえば
マンパワーの差だ。われわれが60年前に苦戦したのと同様、現代の米企業も中国の攻勢に押されている」
と、彼らはうなずきあった。
今年、首都ワシントンで大規模な記念集会が計画されるなど、米社会の認識にも一定の変化がみられる。
「われわれは不人気な戦争を戦ったが、結果的にみれば、共産主義の拡大は阻止された。いい戦争なんて
ものはないが、米国はあのとき、朝鮮半島に軍隊を送らなければならなかったのだ、と私は思っている」
コーンライクさんは戦いの意義を、かみしめるように話した。
ソース : 産経 2010.2.10 17:18
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