10/02/09 23:54:08 jdn4gmqz
>>610
何だっけなー、日本版「聊斎志異」みたいな、隠居した武士が江戸の噂を聞き書きした本。
その中で、名もない飲んべえが語ったこと、として出てくるのだが-
おれは、雷に打たれて死にたい。
もし、おれが病気で死んだら、おれを知ってる奴らは、
「大酒を呑むせいで、あんな病気に罹ったんだ」
と言うだろう。
もし、おれが怪我で死んだら、おれを知ってる奴らは、
「始終酔っ払ってふらふらしてるから、あんな怪我をするんだ」
と言うだろう。
病気も怪我もせず、床の上ですうっと死んだとしても、
「酒さえ呑まなきゃ、もっと長生きできただろうに」
と言われるだろう。
嬉しいとき、酒はその嬉しさを倍にしてくれた。
悲しいとき、酒はその悲しさを半分にしてくれた。
言ってみれば、酒はおれの「恩人」みたいなもんだ。
その大恩ある酒が、ただおれが死んだというだけで悪く言われるのは忍びない。
だから、おれは雷に打たれて死にたい。
雷に打たれたのを、酒のせいにするヤツはいるまいよ。