10/02/05 19:13:45
社会問題化する韓国パパラッチ制、「違法車両を盗撮し荒稼ぎ」
韓国には「カパラッチ(caparazzi)」という言葉がある。これは、英語の「自動車(car)」とイタリア
語の「パパラッチ(paparazzi)」が組み合わさった造語で、交通違反の車両を隠れて撮影し、これ
を申告して報奨金を得る監視員のことを指す。韓国ではこの「カパラッチ制度」が導入されている
のだが、最近ではこのような制度について問題視する声が出てきている。
韓国でカパラッチ制度(正式名称:交通法規違反 申告報奨金制度)が導入されたのは2001年。
交通ルールを守らない車両を写真に撮って提出すると、1件あたり2000~3000ウォン(約160~
240円)の報奨金が支給されるシステムだ。だが、これでひと月に数百万ウォンもの収入を得る
人が現れるなど、交通違反の抑制効果があるのと同時に多くの副作用も生じたため、02年に
廃止となった。
しかし、その後、食べ物の産地を偽装して販売したり、非衛生的な食堂などの問題が表面化したこと
により、「食パパラッチ」や「○○パパラッチ」などが相次いで誕生することになった。このような中、
韓国政府は08年7月に交通事故の死亡者数を半減させるため、「カパラッチ制度」の復活を決定。
自動車1万台あたりの死亡者数を3.1人(07年)から、2012年までに1.3人にまで減らすことを目標に
掲げ、09年「カパラッチ制度」は再び導入された。
この時、以前は誰でもどこでもできたカパラッチを、警察庁が指定した交通事故多発地域に場所を
限定し、また申告者も認められた市民のみが申告可能とするなど、いくつかの変更が加えられた。
カパラッチ以外にも「パパラッチ制度」にはさまざまなものがある。スパラッチ(ゴミ袋無断投棄監視
員)、ソパラッチ(牛肉産地虚偽表示監視員)、コンパラッチ(タバコのポイ捨て監視員)、ノパラッチ
(違法カラオケ経営監視員)、パムパラッチ(医薬分業違反監視員)など。全て合わせると60種類
以上にもなる。報奨金の金額も数万ウォンから数億ウォンまでと幅広く、最近導入された教育界の
不正を暴く「キョパラッチ」は、最高で1億ウォン(790万円)もの報奨金を受け取ることができる。
そのため、正式なパパラッチ要員になるための「申告報奨要員専門学校」や専用の教材まで登場
しており、専門学校は20校近くあることも確認されている。200ページに及ぶ専門の教科書で理論を
学び、隠しカメラの撮影教習まで受ける。こうして正式にパパラッチ要員になった人は、月平均で
500万ウォン(約39万円)程度、ベテランになると1年で1億5000万ウォン(約1200万円)も稼ぐという。
韓国のハンギョレ新聞の2日付記事によると、パパラッチ専門学校の関係者は「ビニール袋、
つまようじ、紙コップなどひとつひとつが全てお金」と答えたという。特に長引く不況の中で、就職難
に陥っている人や生活が苦しい人を中心に、パパラッチ要員は増加する一方だという。
損保協会が 03年に発表した内容によると、交通事故多発地域100カ所での事故発生数は、制度
導入前の2000年は1988件発生し2298名の死傷者が出たのに対し、導入後の01年は1079件発生し
1206名の死傷者が出たと報告している。交通事故の発生率は46%、死傷者は48%もの減少に成功
したことになる。韓国政府が09年から再導入を決めたのも、このような効果を期待しているからだと
思われる。
しかし、違反行為を無くすという大義名分のもと、「市民」が監視・申告する方法には、やはり多くの
問題が含まれている。パパラッチ要員が増えることにより、公権力が違法行為を取り締まれないまま、
市民らによる「監視を必要とする社会」が助長されるからである。カパラッチが復活した今も反対意見
は多く、「カパラッチの復活より交通体系や道路構造の改善の方が先」という声もある。中央大学の
パク・ホンシク教授は、ハンギョレ新聞の取材に「社会に『倫理的な力』がしっかり定着するまで、
市民の力で違反行為を防ごうとする動きがあるのはしょうがないこと」としながらも、「だが互いを監視
する方法がその手段となるのは望ましくない」と語っている。
ソース:サーチナ
URLリンク(news.searchina.ne.jp)
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URLリンク(www.nhk.or.jp)