10/01/21 23:24:44
【北京】中国政府は20日、ブームに沸く住宅市場を抑制するために銀行融資の抑制に踏み切った。中国を
世界第2位の経済大国に押し上げる原動力とされる住宅市場の拡大にブレーキがかけられたことで、株価は
下落し、中国の持続成長に対する懸念が広がった。
URLリンク(jp.wsj.com)
REUTERS、山西省太原の建設現場
中国政府は21日、2009年のGDP成長率が政府目標の8%を上回り、8.7%であったことを発表した。10-12月期
の伸びは前年同期比10.7%で、世界貿易の回復と、中国の資産・インフラの継続的な成長を反映している。中
国国家統計局によると、昨年12月の消費者物価は前年同月比で1.9%上昇し、0.6%の伸びを示した11月から
急伸している。
力強い成長を続ける中国は、世界第2位の日本を追い越す勢いだ。数十年前の日本と同じように、中国は
急速な工業化によって、過疎地域の人口が都市へとシフトしている。
だが過去に日本が直面し、1990年代初頭のバブル崩壊、さらには長年の景気低迷へとつながったリスクに、
中国が向かっているのではないかという懸念が高まっている。中国不動産開発大手の万科企業の会長、王石氏
は先月、中国の急速な物価上昇が主要都市以外にも広がるようなことになれば、日本型の資産バブルのリスク
にさらされるだろうと発言している。
中国政府は20日、不動産関連銀行融資の抑制を指示した。この動きは政府がバブル発生に対する懸念を強め
ている証しといえる。
当局の融資抑制姿勢に対する警戒感が広がったことで、20日の上海市場では銀行株が大きく値を下げ、主要
株式指数が2.9%下落した。この動きは海外の主要市場にも波及し、20日のダウ工業株30種は122ドル28セント
安の10603ドル15セントで引けた。
銀行融資は、世界的な景気低迷が続くなか、中国が景気刺激策の基軸としてきた手段だ。政府の景気刺激策
が段階的に縮小するなかで、民間企業は成長を維持するために支出拡大の必要に迫られている。
住宅は継続的な利益確保が最も期待できる分野だ。世界銀行によれば、建築は昨年の民間投資の原動力で
あったという。輸出が伸び悩む中国にとっても、不動産は経済成長の中心的役割を果たしきた。そうした
状況を反映して、新築住宅価格は、中国全体で年率20%以上の伸びを示している。大都市の高級物件はそれ
以上だ。
今のところ、価格の上昇は不動産開発会社の住宅建築を促し、建設労働者と建材の需要が活性化され、景気
全体を支えている。11月と12月の建築着工件数は、前年同期比で75%という記録的な増加を遂げた。
米パシフィック・インベストメント・マネジメントのアジア太平洋地域クレジットリサーチ責任者の小関
広洋氏は、1980年代の日本経済が現在の中国よりはるかに成熟していたことなどを踏まえると、日本の投機的
なバブルと中国の不動産ブームを比較することは適当ではない、と述べた。
中国は現在でも生活水準で先進諸国に大きく後れをとっている。また都市の拡大と所得の増加によって、
新築物件への実需は高い水準を保っていると小関氏は分析する。
だが投機が市況過熱の一因であることは間違いない。 「長期的には需要は拡大傾向にある。だが一方で、
バブルが発生する可能性も消えたわけではない。人々の間にバブル的傾向があることは確かだ。キャベツで
も買うかのように高級マンションを購入しようとしている」とUBSのWang Tao氏はコメントする。
原文: China Seeks to Tame Boom, Stirs Growth Fears
記者: Andrew Batson
ウォールストリートジャーナル 2010/01/21
URLリンク(jp.wsj.com)