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【インタビュー】 「トヨタ生産方式を礼賛してはいけない」 韓国サムスン電子の元常務・吉川良三氏
日本の電機が韓国勢に完敗した理由
サムスン電子元役員が語る“立ち食いそば式”開発の強さ
スレリンク(wildplus板)
★トヨタ生産方式を礼賛してはいけない
世界市場で、半導体、液晶テレビ、携帯電話などのシェアが低迷し、業績の悪化に苦しむ日本の
電機メーカー。ソニー、パナソニック、日立製作所、東芝などにかつての輝きは見えない。
対照的に好調が際立つのは韓国のサムスン電子やLG電子だ。今年7~9月期の営業利益は、
サムスン電子1社で、日本の電機大手9社の合計の2倍以上に達している。
なぜ日本の電機メーカーは没落し、韓国勢は世界で躍進しているのか。韓国サムスン電子の元常務で、
9月下旬に『危機の経営~サムスンを世界一企業に変えた3つのイノベーション』
(講談社、畑村洋太郎氏との共著)を上梓した吉川良三氏が語った。
(聞き手は山崎良兵=日経ビジネス記者)
─ グローバル市場を見据えたモノ作りで、日本の電機に弱点が多いのは市場シェアの下落に
見られるように明らかです。しかしトヨタ自動車の「トヨタ生産方式」など、これまで国内外で礼賛されてきた
日本流のモノ作りはどう分析していますか。
吉川 「世界一の生産性で進んでいるはずのトヨタが、なぜあれだけの営業赤字になったのか。
信じられない。なぜですか」。最近、国内外の様々なメーカーの幹部と話しているとよくこんな質問を
投げかけられます。 答えは簡単です。トヨタはいわゆる財務会計でグローバルに比較される
経営指標をあまり重視してこなかった。財務会計よりも、管理会計の手法を一生懸命やったのが、
トヨタ生産方式です。
これまでは、トヨタが利益をたくさん出していたことが、トヨタ生産方式の成功と結びつけられて
説明されるケースが多かった。しかし利益とトヨタ生産方式は厳密に結びついているわけではありません。
サムスンはトヨタ式を導入しませんでしたし、いったん導入したLGもいまや「ムダだ」と言っている。
例えば、作りすぎのムダ、歩行のムダの排除などがトヨタ式では有名です。
5歩歩いていたものを2歩にして、作業を2分間節約できるならこれまでより60円儲かるといったイメージです。
こうした取り組みで、毎年1000億円レベルの原価を低減できたといわれていますが、
バランスシート上はほとんど関係ありません。
トヨタ流は「ジャストインタイム」で「在庫を極力持たない」という話にも誤解がある。米国では
ディーラーが在庫を持って販売します。日本のように「プリウス」を半年待ちますというお客様が
ほとんどいません。在庫がなければ、お客様は別のお店に行ってしまう。工場はディーラーからの
注文を受けた受注生産ですから、欧米を中心にトヨタは在庫をたくさん持っていた。
成功している時は、何を言っても信憑性が高いように思えます。米国人が書いた『ザ・トヨタウェイ』
(ジェフリー・ライカー著)という本も注目を集めました。今好調なサムスンも神話になっているという
点では同じかもしれませんが、中身をよく検証する必要があります。