09/12/31 23:39:29
李明博 (イ・ミョンバク) 大統領が大きな仕事をした。工事費だけで200億ドルにのぼるアラブ首長国連邦 (UAE) 原子力発電所工事の受注というメガトン級のビッグニュースで2009年大韓民国の年末を飾った。‘経済大統領’を選んだ甲斐があったと思っている人も多いはずだ。
社団法人の民生経済政策研究所は「奇跡を起こした微笑大統領、国民の心を動かしている」と題した論評を出した。
李大統領が成し遂げた快挙を「満塁ホームラン」に例え、「庶民の苦しみを一気に吹き飛ばした」と感動を表出した。工事の受注を歪んだ視点で見る新聞社に向かって廃刊を促した団体もある。
自由主義進歩連合は、原発事故の危険性を警告しながら「過去の工業品輸出政策のように政府が原発輸出を督励するのは危険だ」と主張したこの新聞の社説を‘ゴミ文章’と表現し、「こんな恥ずかしいことを書くならいっそのこと廃刊しろ」と声を高めた。
私は李大統領のセールス外交、ビジネス外交の成果を過小評価する考えはない。成果は成果として認めるべきだ。独特の商人的な感覚を発揮し、受注に寄与した功績は当然、評価されなければならない。
しかし李大統領でなかったとすれば実現が難しかったというように大騒ぎするのは少し違う。‘国格’とも合わない。
大統領の数回の電話と最後の直接談判で数百億ドルの大規模な工事が決定したわけではない。UAE側が徹底的に得失を考慮し、韓国に任せるのがよいと判断したのだ。
努力は企業がして果実は大統領が手にしたという声を聞くのも嫌だが、あたかも李大統領個人の業績であるかのように称賛するのも見苦しい。韓国企業の実力と努力、大統領をはじめとする政府の外交力が調和した結果だと見るのが常識だ。
国家対抗戦で韓国がフランスに勝ったというように興奮するのも恥ずかしい。フランスが提示した条件が韓国が提示した条件に及ばなかったということであり、フランスが韓国と国運をかけた戦争を繰り広げたのではない。
フランスは全くそのように考えてはいないのに、韓国だけが勝手に興奮し、フランスに勝ったと言って意気揚々と振る舞えば、これは非常におかしな姿だ。
仏メディアはフランスの敗北は当然の結果だとし、今回の敗北から教訓を得るべきだという報道を相次いで出している。仏コンソーシアムの構成に問題があったというのが仏メディアが指摘した最初の敗因だ。
欧州型加圧軽水炉 (EPR) を最初に建設したフランス韓国電力公社 (EDF) が参加に微温的な態度を見せたことで、エリーゼ宮が介入した結果、今月中旬にようやくコンソーシアムの構成を終えたという。
韓国電力公社 (KEPCO) を中心に最初から乱れず団結した韓国コンソーシアムに比べ、信頼感を与えるうえで不足した部分があったということだ。最終入札価格でもフランスは韓国の1.8倍の360億ドルと書いたという。
立証された安全性に有利な工期、品質保証、価格競争力まで備えていたため、結果は最初から決まっていたゲームだった、というのが仏メディアの分析だ。
2010年に主要20カ国・地域 (G20) 首脳会議のソウル開催を控え、李大統領はとりわけ国格を強調している。
受注戦でフランスを抑え、G20首脳会議を誘致したからといって、国格が自ずと高まるわけではない。経済力だけで国格が決まるわけでもない。CNNに国家イメージ広告をしたからといってすぐに品格は高まらない。国格は国民一人ひとりの品格の総合であるからだ。
人格が集まって国格を形成する時、最も重要なのは指導者の品格だ。水は上から下に流れる。すなわち、指導者から模範を示さなければならない。人を配慮し、尊重し、謙遜し、深く考え、興奮せず、自制できる指導者の下で国格は高まる。
「私がしたことは何もありません。すべては、これまで韓国原子力産業の発展のために黙々と励んできた科学技術者と企業関係者の努力が報われた結果です。世界で最も安全で効率的な原発を一定期間内に建設することで、UAEが私たちに送ってくれた信頼に応えましょう」。
受注が最終確定した瞬間、私は李大統領の口からこういう言葉が出てくることを期待した。
G20首脳会議の誘致に成功したからといって、帰国する飛行機の中で万歳三唱を叫び、王朝時代に歌った「竜飛御天歌」の声が聞こえるのは、国格とはかけ離れたものだ。明日から2010年だ。指導者から国民全員が真摯に国格について考える一年になることを望む。
■ソース
【中央時評】一年の最後に考える国の品格
URLリンク(japanese.joins.com)