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北朝鮮による拉致問題を巡って、日本政府が掲げてきた6項目の対応方針のうち、
「拉致実行犯の引き渡し」を求めるとする項目が政権交代後、閣議決定文書から削除されていたことがわかった。
拉致問題担当の中井国家公安委員長は「実行犯の引き渡しを求めることに変わりはない」としているが、
今後の交渉で北朝鮮に妥協する姿勢を示したとも受け取れる対応に、拉致被害者家族の間には
「鳩山内閣の姿勢が見えない」などと不安が広がっている。
拉致問題を巡っては、2006年10月の政府の拉致問題対策本部の会合で、
「万景峰(マンギョンボン)号の入港禁止など制裁の実施」「国連や関係国との連携」など6項目を対応方針として決定。
このうち「実行犯の引き渡し」と、「被害者の安全確保と帰国」「拉致事件の真相究明」の3要件は08年6月、
当時の町村信孝官房長官が衆院拉致問題特別委で「絶対必要な要件」と表明するなど、
北朝鮮との交渉にあたって妥協できない基本線という位置づけだった。
ところが、鳩山政権が新たな拉致問題対策本部の設置を決めた10月13日の閣議決定文書では、
3要件のうち「実行犯の引き渡し」だけが削除されていた。
先月26日の衆院拉致問題特別委では、自民党の古屋圭司議員がこの点を追及すると、中井委員長は
「(姿勢が)後退したということではない。とにかく(被害者の帰国と真相究明の)二つに絞ってフル稼働していきたい」と答弁。
古屋議員が「弱腰のそしりは免れない」と迫っても、「とにかく、これから頑張る」と繰り返すだけだった。
鳩山内閣の北朝鮮政策を巡っては、小沢幹事長が先月、来日した韓国民主党代表に「拉致問題解決に束縛を受けず、
日朝関係改善に結論を出さなければならない」と発言。国交正常化を優先させるのではないかと懸念する声が、
政府や国会内でも出ている。
拉致被害者家族会の増元照明事務局長(54)も「政権交代から2か月以上がたった今も、
北朝鮮との交渉が始まるような動きもない。何より拉致問題に対する政府の方針が定まっていないように見え、
不安を感じる」と話している。
(2009年12月15日14時35分 読売新聞)
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