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国際親権トラブル:相次ぐ どうする支援、法整備 中国出身元夫に来月判決
国際結婚した夫婦の離婚を巡り一方の親が子を連れ去るトラブルが相次いでいる問題で、
日本人の40代の元妻との間に生まれた長女(18)と次女(17)を中国に連れ去ったとして、
国外移送誘拐などの罪に問われた中国出身の会社員、秦惟傑被告(55)に12月3日、
東京地裁立川支部(加藤学裁判長)で判決が言い渡される。
子の連れ去りに関しては親の申し立てによって子を元の居住国に戻す「ハーグ条約」がある
が、日中両国はともに締結していない。日本人と中国人のカップルの離婚は年間5000件
以上に上り、専門家は条約の締結だけでなく、国内での支援体制の必要性も指摘している。
元妻の弁護士らによると、夫婦は88年に結婚し都内で暮らしていたが、元妻は98年、
秦被告による家庭内暴力に耐えかね、娘2人を連れて別居した。しかし、秦被告は99年
6月、元妻の別居先近くの路上で、小学校に登校途中だった娘2人(当時8歳と7歳)に
声を掛けて連れ出し、中国へ連れ去った。
夫婦は00年に同地裁八王子支部(当時)で離婚が成立。子の親権を認められた元妻は
国外移送誘拐罪で刑事告訴もした。しかし、2人の娘はその後も10年間、中国の秦被告の
実家などで暮らした。元妻は居場所の分からない娘たちを捜そうと、人捜しを請け負う会社
に調査を依頼したり、語学留学を名目に中国へ渡航もした。
娘2人は今年1月に旅券更新のため一時帰国。秦被告は9月、日本に残ることを希望した
長女を連れ戻そうと成田空港から入国して、警察に逮捕された。
10年ぶりに長女と暮らし始めた元妻は東京都内で毎日新聞の取材に応じた。元妻は「自分
で子どもを捜し出さなければいけなかった。何度も死んでしまおうと思った」と振り返った。
今、長女が摂食障害やパニックを起こしているのは秦被告による家庭内暴力や連れ去りが
原因だとしたうえで、「娘の心はずたずたで、失った10年を取り戻すのはとても困難」と声を
震わせた。
一方、秦被告は裁判で「中国の方が養育に適していると思った」「子供たちは『お母さんの
ところに帰らなくてもいい』と言っていた」などと証言。検察側は再犯の恐れが高いとして
懲役3年を求刑、弁護人は執行猶予付き判決を求めた。
厚生労働省によると、国際結婚した日本人による離婚は07年に25万4832件。中国人の
夫か妻と別れるケースが計5588件と最も多い。続くフィリピン(計4737件)、韓国・北朝鮮
(計3742件)もハーグ条約の未締結国だ。
◇女性の人権問題に詳しいお茶の水女子大の戒能民江教授(家族法・法女性学)の話
子が海外へ連れ去られると、国内での連れ去りより一層解決が難しくなるし、国の支援も
限定的になる。ハーグ条約を締結しただけでは子どもは守れない。配偶者への暴力や子の
連れ去りを防ぐ国内の支援体制の充実や法整備が不可欠だろう。
ソース:毎日新聞
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