09/11/28 08:46:04
【from Editor】「小沢訪中団」は朝貢外交か
今月上旬、中国・成都で開かれた日中ジャーナリスト交流会議なる討論会に出かけてきた。
この会議は、両国の新聞記者やテレビキャスター、フリージャーナリストが参加して2年前の秋から
始まった。中国の専門家でない私にも昨年からお呼びがかかったが、相互の「誤解」も含めて
結構面白い。
本音をぶつけあうため、誰がどんな発言をしたかを公表しないルールになっており、
詳しく紹介できないのが残念だが、2年前の第1回では激論が交わされたという首相の靖国参拝や
南京事件といった歴史認識問題を持ち出す中国人記者はほとんどいなかった。
産経新聞のウイグルやチベット問題に関する報道については「ネガティブ過ぎる」との批判も出たが、
前回よりもマイルドなものだった(日本語がわからない記者もネットを通じて小紙の記事を
よく読んでいたのは驚きだったが)。
米国とのG2時代到来と囃(はや)され、国内総生産(GDP)で日本を間もなく抜き去ろうという
中国の勢いが記者たちにも余裕を与えたのだろう。ただし、初参加の若い地元記者は
「日本は一度も中国に謝罪していない」「靖国神社は軍国主義復活のシンボルだ」とかみついてきた。
村山談話の存在や「靖国は戦没者を慰霊する場」であることを説明してあげたが、
へーという顔をしていた。
政治報道をめぐっても認識はかなり違う。「今のところ鳩山由紀夫首相には甘いようだが、
なぜ日本のメディアは首相の足を引っ張りたがるのか」と真顔で聞かれ、一瞬、答えに詰まった。
政治体制の違う日中両国のさまざまな分野の人間が、胸襟を開いて対話を深化させるのは、
無用の摩擦を減らす意味でも重要だ。
だが、物事には程度というものがある。12月10日から中国を訪問する民主党訪中団に
約140人もの国会議員が参加するというが、いささかやりすぎではないか。
名誉団長は小沢一郎幹事長で、8月の衆院選で初当選した「小沢チルドレン」たちも
多数参加する派手な催しだが、中国の「皇帝」に隣国の「家臣」たちが大挙して
拝謁(はいえつ)するかのようで、朝貢外交のにおいさえ漂ってくる。
第一、国会議員同士の交流ならもっと少人数で突っ込んだ議論をしなければ意味がない。
「友好、友好」で済んだ時代はとっくに過ぎている。「小沢訪中団」が小沢氏と中国の威光を
示すだけに終わるのか、あるいは大きな成果をもたらすかをしっかりと見届けていきたい。
(政治部長 乾正人)
MSN産経ニュース 2009.11.28 07:38
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
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