09/11/17 20:57:37
韓国釜山市の室内射撃場で起きた火災は、手軽に行ける海外旅行に潜む危険を浮き彫りにした。
日本から韓国への渡航者は年間約二百四十万人。事故のない、安全な観光地をつくってほしい。
釜山の繁華街、国際市場。五階建て雑居ビルの二階にある「ガナダラ実弾射撃場」から出火し、十六人が死傷した。
地元警察によると日本人七人が死亡し、四人が重傷を負った。
被害者の多くは長崎県から一泊二日で訪れた。距離が近い九州からは、日本国内と同じような気軽さで釜山に行くという。
同射撃場は「買い物の合間に実弾射撃を楽しめる」を売り物に、日本語ができる従業員が対応していた。
韓国の警察によると、同射撃場には窓と出入り口が一カ所ずつあるが、非常口はなくスプリンクラーもなかった。
韓国の規定では、室内射撃場に対して銃声が外に漏れないよう天井や壁の防音対策を義務付けている。
銃器の持ち出しを防ぐ監視カメラの複数設置も必要だ。だが、消防法の規制は一般の飲食店より緩いぐらいだという。
弾薬、火薬という危険物がある密閉空間なのに、防火の基準が緩いというのは理解しがたい。
火災は爆発音と共に一気に燃え広がったという。現場にガスバーナーが残っており、その火花が残留火薬の粉末に引火した可能性も指摘されている。
何が起きたのか、なぜ逃げ遅れたのか、徹底した原因究明を求めたい。
韓国の治安は悪い方ではない。日本人が被害に遭う凶悪事件もほとんどなく、人通りがあれば夜でも女性が街を歩ける。
だが外国人観光客が行き来する繁華街の防火には不安が残る。雑居ビル内の観光施設に火災報知機やスプリンクラーがあるか、
迷路のような地下街には非常口や避難誘導路、排煙装置などが十分に備わっているか-。
韓国旅行は日本人にとって、短期滞在で価格もお得な「安・近・短」の代表だ。その気軽さも、安全があればこそ。
火災を教訓に、韓国は繁華街や観光地の防火体制を再点検し、「近くて、安全な」旅先になってほしい。
釜山に駆けつけた日本人家族の一人は、見舞いに訪れた韓国の鄭雲燦(チョンウンチャン)首相に
「二度とこんなことが起きないように」と涙を流して訴えた。韓国政府は対策本部を設けたが、家族の言葉を深く胸に刻んでもらいたい。
ソース
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)