09/11/02 03:21:02
サムスンの背中遠く
グローバル化の覚悟に差
電機大手の7~9月期決算は4~6月期に比べて好転したものの、回復の力強さの点で海外勢に
水をあけられた。
とりわけ目立つのは日本企業と事業領域の似通った韓国サムスン電子との格差だ。サムスンが
7~9月期に日本円で約3260億円の営業利益をあげたのに対し、パナソニック、日立製作所など
国内大手9社の合算営業利益は1519億円。9社が束になってもサムスンの半分に届かない。
なぜここまで差が広がったのか。技術力ではなく、むしろ経営力の格差が大きいだろう。それが
如実に表れているのが、巨額の投資を必要とする半導体や液晶などの部品ビジネスだ。日本
企業は景気が悪くなると一斉に投資にブレーキを踏むが、サムスンは逆。景気の下降局面は
製造設備の値段も下がり、見方を変えれば投資のチャンスだ。その機を逃さず大型投資を
実行し、景気が底打ちして需要が伸びる局面では生産力でライバルに圧倒的な差をつける。
1990年代にDRAMで構築したこの「勝ちパターン」を液晶パネルやフラッシュメモリーでも繰り
返した。背景には強烈なリーダーシップを発揮した李健熙(イ・ゴンヒ)前会長の存在も見逃せ
ない。サラリーマン経営者にはマネのできないオーナー経営者の胆力が、高収益をもたらした。
もう一つの要因はグローバル化への熱意の差だ。インフラ系事業の比重の大きい日本の総合
電機は国内に閉じこもる傾向が強かった。電力会社やNTT、JRなどの「半・官公需」を相手に
していれば、受注は安定し、そこそこの利益を確保できたからだ。
だが、母国市場の小さい韓国企業は事業を始める段階でグローバル展開を志向する。「グーグル
など米シリコンバレーのベンチャーは創業直後から世界に出ていくが、巨大企業であるサムスン
にも同様の文化がある」と電機業界ウォッチャーはいう。携帯電話や液晶テレビなど家電分野で
世界シェアを伸ばしているのも、組織背景に「世界展開」の遺伝子が埋め込まれているからだ。
サムスンの成功から日本企業が学び取る教訓は二つ。一つは再編集約を急ぎ、逆風下でも
投資に踏み出せるだけの強固な財務基盤をつくる必要がある。過剰プレーヤーを温存したまま
では「電子立国・日本」の復活は厳しい。加えて新興市場を含めたグローバル展開の加速も
欠かせない。鳩山政権の掲げる「内需主導の成長」は電機業界には通用しない。どこまで
「外需主導の成長」を実現できるかが、各社の消長を左右する。
(日本経済新聞 2009年10月31日 朝刊3面より引用)
※主要9社
日立製作所、ソニー、パナソニック、東芝、富士通、NEC、三菱電機、シャ-プ、三洋電機
※消長
衰えたり盛んになったりすること (大辞林 提供:三省堂)
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