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【北京=矢板明夫】韓国の抗日運動家、安重根(アン・ジュングン)が中国黒竜江省のハルビン駅頭で、伊藤博文・初代韓国統監(元首相)を暗殺してから
100年に当たる26日、ハルビン市朝鮮民族芸術館で中国在住の韓国人らによる記念式典が行われる。地元政府は中国国内の反日勢力を刺激することを
警戒し、式典に関するメディアの報道を制限したという。近年、安重根を「世界的な英雄」として宣伝する韓国側に中国側は冷ややかに対応し、両国間の
温度差が浮き彫りとなっている。
在中韓国人団体関係者によると、韓国側は当初、式典をハルビン駅から約200メートル離れた中央大街広場公園で行うことを希望していたが、
地元当局が難色を示したため断念した。
2006年1月にも、韓国人企業家らが同広場に高さ約4・5メートルの安重根の銅像を建てたが、「外国人の銅像建設は許可しない」との理由で10日後、
中国当局に撤去された経緯がある。
また、安重根が処刑された遼寧省大連市の旅順日露戦争陳列館(旧旅順刑務所)でも26日、韓国側の要望により安重根の特別展示が設けられる。
しかし安重根の名前を出さず、「国際抗日烈士展示館」とあいまいな名称となった。同陳列館は産経新聞の取材に対し、「入館者には見学だけを許可し、
追悼、記念活動は一切認めない」と説明。特別展示を安重根の宣伝につなげようとする韓国メディアへの警戒を隠さなかった。
近年、韓国側は中国に対し、安重根を「反植民地主義の世界的英雄」として記念するよう、さまざまな場で持ちかけているが、中国側は一貫して慎重な
姿勢を崩していない。
その背景として、暗殺を抗日運動の手段に選ぶという過激な民族主義者を英雄視することは、中国国内の社会不安にもつながりかねないとの懸念があると
指摘される。
同時に、国内の反日団体が韓国の民族主義勢力と一緒に安重根を記念することを通じて影響力を拡大し、政府の外交政策への批判に発展することも
警戒しているようだ。
中国では、歴史教科書や偉人事典で安重根を取り上げることはほとんどない。とはいえ、「日本の首相経験者の暗殺に成功した」として、
中国の反日団体などの間で高い知名度を誇っている。
「安重根義士崇慕会」ハルビン支部という名称の民間団体もあり、そのメンバーである漢族の男性企業家が今年8月、ソウルの安重根記念館建設に
3千万ウォン(約230万円)を寄付したことが韓国メディアに大きく取り上げられた。しかし、中国メディアはこれらのニュースを黙殺している。
【用語解説】安重根(アン・ジュングン) 1879年、朝鮮半島の鎮南浦(現在の北朝鮮南浦)出身。朝鮮の日本への従属に反発し、
ロシアのウラジオストクに移り抗日運動を展開。1909年、初代韓国統監の伊藤博文がハルビンを訪れた際、ハルビン駅に到着直後、
短銃で伊藤を射殺した。翌年、死刑判決を受け旅順刑務所で処刑された。
産経新聞
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
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