09/10/24 06:45:47
中国人強制連行―政府も勇気ある行動を
企業は戦争責任をどう取るべきなのか。あまりに遅すぎるとはいえ、一つの道筋が示された。
戦時中に強制連行され、広島県内の建設現場で過酷な労働を強いられた中国人被害者や
遺族と、西松建設との間で和解が成立した。
西松は2億5千万円で基金をつくり、360人いる被害者に補償する。1人あたり約70万円
になる。歴史的責任を認めて謝罪し、記念碑も建てる。
被害者5人が同社に賠償を求めた裁判で最高裁は07年4月、「日中共同声明により
個人も裁判で請求する権利を失った」との判断を示し、請求を棄却した。一方で「関係者が
被害救済に向けた努力をすることを期待する」と、付言もしていた。
西松建設の決断はこれを受けたものだ。不正献金事件の発覚後、「新生西松」を掲げた
事情もあった。同様の和解例では、秋田県の強制労働現場で起きた花岡事件で00年、
大手ゼネコンの鹿島が5億円を出した基金がある。
1942年の東条内閣の閣議決定に基づいて約4万人の中国人が強制連行され、135の
事業所で働かされた。90年代以降、企業や日本政府を相手に各地で裁判が起こされ
たが、07年の最高裁判決後は原告敗訴が続いている。
終戦から64年。苦しみを癒やされぬまま当事者が次々と亡くなってゆくのを、これ以上
放ってはおけない。すべての関係企業が謝罪と補償に乗り出してほしい。法的責任を
否定されたとはいえ、過去の不当な営みに対する重い社会的責任は負うはずだ。
それにも増して動かねばならないのは政府である。中国人強制連行についての国の
関与は明白だ。国とともに訴えられた別の被告企業は「政府が動かない以上、補償に
応じられない」との姿勢を示していた。
鳩山政権は今こそ明確な謝罪をし、道義的見地からの補償に踏み出すべきだ。政府と
企業がともに拠出する合同基金の枠組みを示し、関係企業と被害者側に呼びかけては
どうだろう。
被害者に満足のゆく解決にはならないかもしれない。それでも日本が国家として加害の
歴史から目をそむけず、責任を継承する決意を示すことが、和解の足がかりになるの
ではないか。
海外からの戦争被害の訴えは、中国人強制連行に限らず今も続いている。
自民党時代の政府は「戦後補償は外交交渉で決着済み」として、個人への償いを拒み
続けた。司法解決の道も最高裁の判断によって閉ざされた。これに対して民主党は
野党時代、被害者の声を真剣に受け止め、救済のための立法をいくつか提案してきた。
「新政権はまっすぐに歴史を正しく見つめる勇気を持っている」。鳩山首相はそう語っている。
次は勇気ある行動が問われている。
ソース:朝日新聞
URLリンク(www.asahi.com)
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