09/10/18 14:20:04
【コラム】「偉大な大統領」が必要だ
今月1日に北京の天安門広場で行われた中国建国60周年行事は、よく演出された
政治イベントだった。広場を埋め尽くした20万人の群衆は、休む間もなく続くパレード、
音楽、群舞、人文字を通じ、テレビ中継を見守る13億の中国人に過去60年の歩みを披露し、
新しい時代の理念を提示した。
外国人としてうらやましいことが幾つかあった。軍事パレードに続き登場した歴代最高指導者を
テーマとする群衆パレードも、その一つだった。
それぞれ数千人が歴代指導者の毛沢東、トウ小平、江沢民、胡錦濤各氏の肖像画と
彼らの統治理念が書かれたプレートを持って、順に天安門前の長安街に登場した。
毛沢東元主席の肖像画を掲げた行列の先頭が天安門前に差し掛かると、毛元主席が60年前に
「中華人民共和国、中央人民政府はきょう成立した」と宣言した肉声が流れた。
そして、行列の後方では「中国人民従此站起来了(中国人民はその時立ち上がった)」という
スローガンを群衆が力強く掲げた。トウ小平氏の行列が広場前を過ぎる際には、
「中国の現実に合う、中国の特色ある社会主義を建設しよう」という同氏の演説が流れた。
「トウ小平理論を堅持しよう」というスローガンも、共に過ぎていった。
江沢民前主席と胡錦濤現主席の行列でも同様だった。
4人の指導者は、過去60年で中国を大国に押し上げたが、それぞれには少なからぬ欠点もある。
国父である毛元主席は独善で一貫した統治により、生まれたばかりの中国に大きな弊害を
もたらした。無謀だった大躍進運動、狂気に満ちた文化大革命の傷は、今でも中国人の胸に
残っている。普段は口を開かない中国の知識人も酒が1杯入ると、「毛沢東のせいで中国は
30年を無駄にした」というような発言をすることがある。それでも天安門に掲げられた
毛元主席の写真は撤去されず、広場南側の毛沢東記念堂に安置された遺体が
傷つけられることもなかった。北京大のある教授は「トウ小平氏の時代、毛元主席に対する
評価は既に終わった。功罪共にあるが、彼は依然として中国の新時代を開いた国父だ」と強調した。
トウ小平氏の場合も、1989年に民主化を求めたデモを強制鎮圧したことが影を落とす。
当時、発砲で数百人の学生や市民が死亡した。中国は現在も毎年、天安門事件の後遺症に
苦しんでいる。江前主席時代には、最高指導部で腐敗スキャンダルが相次いだ。
厳格な統制下にあるが、中国でも歴代最高指導者に対する冷静な評価があり、
左右の路線対立も起きた。しかし、建国60周年を迎えたこの日は、過ちの部分は問わず、
新中国を建設した功績を前面に掲げた。テレビを見守る国民に対し、歴史に対する自負心を
植え付け、国民統合を成し遂げることがより重要だと判断したからだろう。
今年で建国61年になる韓国の歴代大統領は、こんな豪華な扱いを受けるどころか、
今も暗い影の中に追いやられている。国父の李承晩(イ・スンマン)元大統領は、
その功績に対する客観的評価を受けられないまま、分断を引き起こした張本人として扱われている。
外国では「韓国経済を発展させた偉大な指導者」として評価される朴正煕(パク・チョンヒ)
元大統領に関しては、韓国にまともな記念館一つもない。
過去61年の韓国の現代史は、決して失敗したとはいえない成果を成し遂げた。
それでも子供たちにとっては、「恥ずかしい大統領」が多く、堂々と自慢できる「偉大な大統領」は少ない。
政治的な立場や過ちや対立を溶鉱炉の中に溶かし、経済大国に向かうエネルギーとして生かした
中国の政治的知恵が、韓国にも必要だ。
北京=崔有植(チェ・ユシク)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 記事入力 : 2009/10/18 10:38:40
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