09/10/11 07:25:19
日中韓―「共同体」の模索が始まる
日中韓3国の首脳会議が北京できのう開かれ、「歴史を直視し、未来に向かう」と誓い合った。
始まって10年になるこの会議は、日本の政権交代を受けて、
相互信頼と対話の新たな段階に入ったと言えるのではないか。
鳩山由紀夫首相が掲げている「東アジア共同体」は、共通の長期的な目標として
共有することになった。
鳩山政権のアジア外交は、歴史問題を抱えてまだぎこちない3国関係のベクトルを、
共同体に象徴される未来の方へ向けることから取りかかろうとしている。
オバマ米大統領が唱えるような、多国間協調を大切にする世界の外交の流れにも
沿ったものだと考えたい。
この勢いを今月下旬にタイで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議、
来月のシンガポールでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議へとつなぐべきだ。
東アジア共同体構想の萌芽(ほうが)は、マレーシアのマハティール元首相が唱えた
東アジアの経済統合にあった。以来20年近く、多様な構想が政府や民間で浮かんできたが、
まだまだ同床異夢の段階を超えてはいない。
その間に、中国の台頭に伴って、経済的な相互依存が進んできた。
様々な地域協力も動き出している。だが、体制の違いのほか、
資源や領土問題などの課題も抱え、単純に欧州統合と並べてみることはできない。
何より大きな問題は、米国の存在をどう考えるかだ。鳩山政権内ですら、
首相が「除外するつもりではない」と言えば、岡田克也外相は「米国まで含めることになっていない」
と語るなど、いろいろな見解がある。
いずれにしても、米国と対立するような共同体はありえない。今度の首脳会議で鳩山首相は
「日本は米国に依存しすぎていた」と述べた。自民党政権との違いを印象づけたいという狙いだろうが、
ならばなおさら、その真意を内外に十分説明する必要があろう。
自民党政権も、将来的な東アジアの姿に向け、経済や防災、犯罪防止などの分野で
地域協力を進めてきた。これからもそうした協力の網を重層的に、厚く築いていかねばならない。
とはいえ、目の前に北朝鮮の核という問題が立ちはだかっている。
金正日総書記と会談したばかりの温家宝中国首相からは、北朝鮮が日韓との関係改善を
望んでいるようだという説明があった。だが、6者協議再開への道筋が見えたわけではない。
日中韓の首脳が未来のアジアの姿を念頭に置きつつ、地域の平和と安定に向けて
率直に話し合えたのはいい。大切なのは、現実の難しさを乗り越える確かな方向性を
共有することだ。時間はかかろうが、これが鳩山首相の言う「共同体」の原点ではないか。
朝日新聞 2009年10月11日(日)付
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※依頼ありました(依頼スレ120、>>295)
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