09/09/28 00:02:50
本家の韓国では、悪酔いして頭痛が抜けないといったマイナスイメージが強い伝統酒マッコリが、国内で「健康にいい」「セクシーな味」
などとして、女性を中心に愛飲者が増えている。輸入量も増加し、韓国でも見直されており“逆韓流”となりそうな雰囲気だ。
「多い日には大型ペットボトルで50本出ます。圧倒的に女性が選びますね」。東京・JR新大久保駅前の韓国料理店「生マッコリ家」の
韓吉洙（ハンキルス）社長（58）は言う。店の裏には醸造所があり、造りたての酒が味わえる。ほろ酔い加減の30代の女性客は、「新鮮で、
ビールみたいにぐいぐい飲める」と話した。
マッコリは「粗く濾す」という意味。米と小麦の麹で仕込んだ白濁した大衆酒で、日本ではどぶろくに当たる。密造されていたが、1979年に
朴正熙大統領によって合法化された。世界の高級酒を愛飲する北朝鮮の金正日総書記が、韓国からのおみやげとしてマッコリを望み、
注目を浴びたこともあるが、70年代以降、ビールや焼酎に押され消費は低迷していた。
人気復活は海外からだった。韓国関税庁によると、今年上半期の輸出量は前年同期比16％増の2635トン。10年間で7倍以上の
増加だ。最大の顧客は日本で約9割を輸入した。
炭酸を含み度数が6～8度と低く、乳酸菌も入っているため適度に飲めば健康にいいとの研究結果があるほか、技術の進歩で保存の
ための火を通さず、本来の味が楽しめる「生マッコリ」が手軽に飲めるようになったのも一因だ。
日本市場の7割を占める二東ジャパン（金孝燮・キムヒョソブ社長）は95年に韓国からの輸入を始めた。当初は1ヶ月100ケースだったが、
今は平均2万ケース約33万本。「ニッコリ、マッコリ」という新キャッチフレーズで消費拡大を図る。
今年3月には、別のメーカーが人気俳優ペ・ヨンジュンさんプロデュースの“ヨン様マッコリ”を発売、マッコリを組み込んだ韓国への利き酒
ツアーも登場した。
韓国マスコミは、連日のように日本での人気ぶりを伝え「日本酒の国が、マッコリに酔っている」などと興味深げに報道している。
日本では、25社がマッコリやマッコリ風の酒を販売。大手日本酒メーカーも、発泡性を生かした新商品を投入するなど、しのぎを削っている。
ノウハウを学ぼうと日本の酒造会社が直接韓国を訪れるケースも増え、「伝統の製造法を知ろうと日本人が接近している」（中央日報）、
「キムチに続いて、マッコリ市場も日本に侵食されるのではないか」（SBSテレビ）と“マッコリ摩擦”を警戒する声も。
韓国料理に詳しい東京農業大学の小泉武夫名誉教授（発酵学）は、「韓国料理の普及で、それに合う酒が好まれるようになった。
マッコリはキムチほど複雑な食品ではないので、日本での生産が増えても、本家争いは起きないのではないか」と話している。
ソース（東京新聞 9/27付 26面 「こちら特報部」）