09/09/26 17:32:17
2002年のソルトレーク冬季五輪ショートトラック決勝で、韓国の金東聖(キム・ドンソン、29)の失格に
より金メダルを獲得し、一時韓国人を敵に回した米国のアポロ・アントン・オーノ(27)がすっかり「親韓派」
になった。
記者はソウル市内の木洞アイスリンクで、国際スケート連盟(ISU)主催によるショートトラック・スピード
スケートのワールドカップ第2回大会に出場しているオーノ選手を訪ねた。25日には5000メートルリレーに
出場し、米国を予選通過に導いたオーノは、「これまでは悪いやつ扱いだった。韓国に来られない時期
もあったが、すべて過ぎ去った話だ」と語った。
ソルトレーク冬季五輪のショートトラック男子1500メートル決勝。先着したのは韓国代表の金東聖
だった。ところが、オーノがレース中の競り合いで金を回避する動作を見せたところ、審判はオーノの進路
を妨害したとして、金に対し「失格」の判定を下した。結局、オーノが金メダルを獲得した。その後、
韓国では「オーノがハリウッドアクション(大げさな動作)で金メダルを奪った」という非難が強まった。同じ
年に開催されたサッカーのワールドカップ韓国対アメリカ戦では、韓国の選手がゴールを決めた後、金と
オーノのシーンを再現してアピールするという一幕もあった。
オーノは「何も悪いことをしていないのに悔しかった。05年になってやっと、韓国に対する恐れをぬぐい
去ることができた」と語った。
同年ソウルで開催されたワールドカップに出場したオーノは、大韓スケート連盟が依頼したボディー
ガードに囲まれて仁川空港に降り立った。不測の事態を懸念した空港側は手荷物受取場の周辺に
警官を配置した。オーノは「ホテルの部屋で震えていたが、これ以上隠れていないで誤解を解こうと決心
した」という。
それ以降、オーノは韓国メディアのインタビューに積極的に応じ、空き時間には仲間とショッピングを
楽しむなど街にも繰り出した。だが、3年前の「事件」を理由にオーノを非難する韓国人はほとんど
おらず、むしろ握手やサインを求められた。競技が終わり帰国する際には、空港で数十人のファンに
見送られ、オーノは「親韓派」になった。
03年から韓国人コーチ、チャン・クォンオクさんの指導で実力を花咲かせたオーノは、07年に韓国で
3週間にわたり、実業団チームと韓国式の合宿訓練にも臨んだ。韓国から移住し米国代表になった
チョ・ソンムン(17)=米国名サイモン・チョ=が経済的困難に直面した際には、食事と部屋を提供し、
選手生活をあきらめないよう支援した。日本人の父を持つオーノは、アジア文化に対する抵抗感も
ほとんどなかった。
オーノは取材当日、男女1000メートルとリレーの予選を通過した韓国代表チームについて、「韓国
選手はライバルでもあり、仲間でもある。韓国のショートトラックが強い理由は、競技のことだけを考える
選手を輩出し続けているからだ」と話した。取材が終わるころには、オーノは目の前に置かれていた
トッポッキ(もちの韓国風辛炒め)をすっかり平らげていた。
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