09/09/25 10:14:09
鳩山政権の外交が、国連総会の開かれている米ニューヨークからスタートした。
国連気候変動サミットでの温室効果ガス削減への決意表明は、各国から高く評価された。
日中首脳会談では、鳩山由紀夫首相がかねての持論である「東アジア共同体」を
アピールしたのに対し、胡錦濤国家主席は首脳レベルの往来を増やす提案で応じた。
新政権の姿勢はおおむね好意的に受け止められたと言っていいだろう。まずまずの展開だ。
東アジア共同体は、実現への努力を傾けるだけでも地域の安定に役立つ。首相は自信
を持って、新しい発想に立脚した外交に取り組んでもらいたい。
小泉政権のとき、日中関係は首相の靖国神社参拝が障害になって冷え込んだ。続く安倍、
福田、麻生の3政権は改善努力を傾けたものの、限界があった。
鳩山・胡会談がいい雰囲気になったのは、首相が靖国神社を参拝しない考えをあらかじめ
表明したことが大きい。政権交代に伴う政策転換の効果である。
首相は加えて、植民地支配と侵略を謝罪した「村山談話」を踏襲する方針も示した。
先の戦争への反省は、日本国民に共通するものである。鳩山外交の始動に当たり、
あらためて確認したのはよかった。今後の協力強化の推進力になるだろう。
東シナ海ガス田など懸案では具体的な進展はなかったものの、日中関係全体をよくしていく
中で、ほぐれていくはずだ。岡田克也外相も各国外相らとの会談を精力的にこなしている。
クリントン米国務長官との会談では、米軍普天間飛行場を含む在日米軍再編見直しについて
「民主党として必ずしも賛成していなかった部分がある」として、交渉入りの意向を伝えた。
基地の再編には地元の十分な理解が不可欠だ。鳩山政権の信頼が懸かる問題である。
腹を据えて臨んでもらいたい。鳩山首相の外交日程はオバマ米大統領との会談をハイライトに、
日ロ、日豪の首脳会談、国連安保理首脳会合…と続く。発言に各国から注目が集まるだろう。
中国の台頭など取り巻く環境の変化を踏まえ、目指すべき国際協調の在り方を示してほしい。
これまでの日本政府の外交は、国民から見れば米国追随に流れる面があった。民主党が
掲げる「緊密で対等な日米同盟」について、首相、外相がどんな説明をするかにも注目したい。
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ソース:信濃毎日新聞