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日本経営管理教育協会が見る中国 第65回-下崎寛(日本経営管理教育協会会員)
入管法改正で縦割り行政に変化が
多くの日本人には関心がないように思われ、実際あまり注目されることも少ないが、
2009年7月15日に、日本にいる中国人や東南アジア系の人々には、深刻となる大幅な
入管法の改正が国会で成立した。今回の主なものとしては、今までは、外国人の管理
については、ビザの管理は法務省入国管理局が行い、外国人登録は市区町村が管理
するという区分だったものか、今後3年以内に今までの外国人登録カードを廃止し、
「在留カード」に一本化され法務省入国管理局が管理することになった。
今までは、市区町村に外国人の居所を確認させるのは時間がかかり、事務が面倒で
あったが、事務の効率化と入国管理局の管理強化とが同時に図られている。この改正
で法務省の権限は強化された。
今後の就労ビザ更新は就労先の健康保険証提示が条件に
次に、中国人などに不評をかっているのが、外国人の就労ビザ更新に新たな条件が
加わることだ。2010年4月以降、外国人が就労ビザの更新をする場合には、就労先の
会社の健康保険証を提示することとなった。今までは、会社の在職証明と源泉徴収票
が必要だったが、それらの書類は簡単に発行できるので偽造が多く問題となっていた。
これを防止するため今回の改正においては、就労している会社が社会保険(健康保険と
厚生年金保険)に加入していることを証明することになる健康保険証の提示が必要と
なった。法の上では、日本の規模が小さい会社でも強制加入だが、社会保険料の負担
が重く、かなりの会社が加入していない現実がある。
しかし、2010年4月以降、外国人を雇っている会社は、社会保険に加入しなければならず、
規模が小さい会社にとっては、コストアップとなり経営上重要な問題となる。就労している
外国人も社会保険料を天引きされて、手取りが少なくなり、これからは日本で働きづらく、
住みづらくなるであろう。最近入国管理局にこの件について聞いてみると「原則規定は規定
であり、それを守ってもらうこととなるが、健康保険証がなければ更新ができないと言う訳
でもない」とあいまいな返事であった。
考えられることは、平成22年からのビザ更新については、健康保険証がないから直ちに
不許可ではなく、何らかの経過措置が講じられるのではないか?
今回の改正は、今までなかった厚生労働省の意見が強く反映されているといわれている。
日本国全体として、縦割り行政の弊害除去への路になるか?今回の改正については、
従来は法務省の入国管理局で処理されていたことが、厚生労働省、市区町村も加わり、
今までの甘い管理ではなく、日本国全体で外国人を厳しく管理するようになろう。
中国人の新聞をみると、写真の新聞の記事(小さい文字は読めない)のように、社会保険の
うち日本の厚生年金が少子化等の問題で収支が悪化しており、その負担を外国人に強要
するという悪法であり、外国人が日本から逃げていくことになると怒り心頭の記事が載って
いる。その意見も納得できる面もある。政治家を手玉に取れる日本の役人だから、ずる
賢く考えたものと感心した。今後の政策については、民主党に政権が代わり、硬軟両様の
変化があろう。詳細については、法務省または入国管理局のホームページを参照されたい。
写真は「日中商報」紙の本件紹介記事。
(執筆者:下崎寛・日本経営管理教育協会会員 編集担当:水野陽子)
URLリンク(news.searchina.ne.jp)
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ソース:サーチナ