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「強烈なシュートで、少し特殊なボールだった」。(セビリアGKパロップ)
今年3月16日、欧州チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦第2戦、セビリア(スペイン)―CSKAモスクワ(ロシア)戦の55分。右サイドでCSKAがFKを得た。
日本代表MF本田圭佑がけったFKは4人の壁の上を抜け、GKパロップの正面へ。パンチングではじき出そうとしたが、不規則に変化したボールを手に当てるのが精いっぱいで、
ボールはそのままネットに吸い込まれた。これが決勝点となりCSKAは2―1で勝利。2戦合計3―2で8強に進んだ。
本田がけったのは、いわゆる「ブレ球」。野球のナックルボールのようにほとんど回転しないで、上下左右、予測不能な軌道を描く。
「速度が遅くてもナックルボールは投げられるが、ブレ球は時速72キロ以上の高速でないと見られない」とサッカーボールの風洞実験を行った山形大学の瀬尾和哉准教授は語る。
名古屋大の布目寛幸准教授が、本田のブレ球を計測したところ、時速110キロでけり出されていた。ゴールまでの25メートルの間にボールが回転したのはわずか約0・8回転。
布目准教授は「高速で大きく方向を変えるため、GKにとって脅威のシュートになる」と強調する。
ブレ球はなぜ発生するのか。瀬尾准教授は、「無回転であることが重要。その高速の無回転ボールの周りの空気の流れが振動(不規則な変化)することで起こる」と指摘する。
ボールの進行方向の裏側でボール表面を離れて、奇妙な馬蹄(ばてい)形の渦が形成される。この渦が不規則に向きを変え、ボールにかかる空気力が時々刻々変化する。
これが上下左右に動くブレ球を生み出す。時速108キロの強シュートだと、1・5秒後に最大81センチ幅でぶれるという。
(つづく)