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血に染まった顔をしかめながら、亀田興は本物の強さの前にさらされていた。
最終回のゴングを聞いて手を上げた2人。だが、1900人しか集まらなかった
空席の目立つ会場で、観客の多くは結果が分かっていた。
控室のドア越しに父の史郎さんの怒声が響く。「こんなジャッジはおかしい。
おれを怒らせたらどうなるか覚えておけ」と関係者に迫っている。
だが、両者の間には採点表以上の差があった。
亀田興は内藤大助から王座を奪った昨年11月の試合で左カウンターに頼った。
完勝ではあったが、この「待ち」の戦いには賛否両論あった。今回、同じ作戦は通じない。
だが、右のリードブローは外された。5回、相手の頭が当たり右目の上を深くカット。
この時点でペースは相手がつかんでいた。11回には右アッパーで腰を落とした。
ポンサクレックはこの王座を17度連続防衛した名ボクサー。亀田興は試合を前に
相手の衰えについて聞かれると、「この1試合、と思って仕上げてくるはず。
全盛期のイメージでいる」。思い上がりはなかったが、まだこの偉大な男を
倒すまでには至っていなかった。
難しいとされる初防衛戦で初めての挫折。ボクシングには負けて知ることがたくさんある。
3階級制覇の夢があるなら、また一から始めればいいだろう。
23歳には、その時間がある。
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