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マリファナの科学 オックスフォード大学教授レスリーアイバーセン著
本書の論旨を端的に示すなら、次のような言葉に集約することができます。
「テトラヒドロカンナビノール(THC)はきわめて安全な薬剤である」
THCとはマリファナに含まれる活性成分です。上の言葉について確かめたい
という方、また懐疑を抱く方は、ぜひ本書を読んでみてください。
本書はまさにこの点を科学的に検証するために捧げられているのです。
では、なぜマリファナをめぐる現状は、かくも複雑で入り組んだ様相を
呈しているのでしょうか?それは、マリファナはこれまで道徳問題と同一視
され、その使用をめぐる議論が「善VS悪」の構図で描き出されることが
あまりにも多かったからです。本書では、マリファナが、暴力衝動や悪
というイメージと結びつけられてきた歴史を詳述しています。一般の人々が
マリファナについて「理性的」で「科学的」な見方をとることが困難に
なっているのも、またアメリカの反マリファナ的な国策や、その基軸として
機能しているマリファナ禁止法が、1930年前後の同国の禁酒法、19世紀中頃の
ドイツのコーヒー禁止令同様に不合理である事実がいまひとつ伝わってこない
のも、道徳論と巧みに混淆された世間一般のマリファナ観のためであることが
解き明かされます。