10/02/21 09:20:28 0
条治(加藤)よ、悔しさがだんだんこみ上げてくる銅メダルではなかったか。
僕も同じ色のメダルを持っている。長野五輪の男子1000メートル。
500メートル金メダルの勢いで取らせてもらった。正直、まぐれの要素もあり、うれしい
メダルだった。
一般的に「銀メダルは悔しいメダル、銅メダルはほっとするメダル」と言われる。
つまり、銀メダルには金に届かなかった悔いが残り、銅メダルは表彰台に上がれたと
いう財産が残るという意味合いだ。
条治、君は違っただろう。金メダルが狙えたレースだった。
結果として、銅メダル。さらに、銀メダルは同じチームの長島圭一郎に逆転を許し、さらわれた。
レース直後の苦しそうな表情は、滑り終えた後の疲れだけではなかったはずだ。
頂点に立てなかった原因ははっきりしている。2回目の滑りだ。第1コーナーの出口で
バランスをくずし、最後の直線はスタミナ切れから失速した。1回目と同じレースを2回目でも
していれば、表彰台の頂点を十分狙えたのだ。これは、たまたま起こったことではない。
1回滑るだけなら、君は本当に強い。しかし、2回そろえることが普段からの課題だった。
僕は君に言われたことがある。
「清水さん、あんなにつらいトレーニングをやらなきゃいけないなら、僕スケートやめます。
楽して金メダル取りたいですね」。
僕の練習のドキュメンタリーを見ての感想だった。
僕は心肺機能を高めるために失神寸前まで自分を追い込むトレーニングをしてきた。
それに対しての反応だった。腹もたたなかった。失礼だとも思わなかった。
ある意味で、君は天才だから。コーナリングは僕が教えを請うほどの能力を持っていた。
今回、ズバリ何が足りなかったのか。1000メートルの練習だ。君は500メートルに特化し、
1000メートルを捨てた。しかし、500メートルを1日2回滑る今の五輪では1000メートルの
練習が不可欠なのだ。
銅メダルで満足していないはずの君だから、言う。
4年後金メダルを手にするには練習方法の変更が必要だ。栄光のメダリストに対して、
あえて厳しく書いたことを許してほしい。(長野五輪金メダリスト・清水宏保)
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