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もう中国には勝てないのか
第3章 人材ではもうかなわない
(省略)
■48億円稼ぐ選手がいる
中国の「選択と集中」戦略は、学問の世界のみならず、スポーツの世界でもその効果を
発揮している。スポーツでの活躍が国家の威信向上につながるという考え方は、建国以来
変わってはいない。しかし、北京五輪に前後して、中国のスポーツ戦略は少しずつ変化を
見せている。伝統的に強かった卓球や体操、バレーボールといったスポーツのみならず、
世界的に人気の高いスポーツの発展に、これまで以上に力を注ぐようになったのだ。
「世界的に人気の高いスポーツで中国人が活躍するようになれば、卓球などのスポーツよりも
はるかに国際的な威信を高めることができます。さらに、こうしたスポーツで国が成功を
収めれば、スポーツメーカーやスポンサーをはじめ、世界中から莫大な資本が中国に
投資されることにつながると、我々は気づいたのです」(中国国務院の官僚)
中国ではいま、アジア人としてはじめてNBAで活躍する中国人バスケットボール選手・
姚明(ヤオミン)が国民から熱狂的な支持を集めている。中国国内のCMにも頻繁に登場し、
'08年には約48億円もの収入を得たといわれる姚選手の存在は、中国国民に希望を
与えたのみならず、海外から多額の資本を中国に呼び込むことになった。
「姚選手の活躍によって、中国ではバスケットボールの人気が高まっています。
これに乗じてNBAは'02年に北京に統括事務所を設立しましたが、現在NBA関連商品は
年間20億~30億円の売り上げを出し、中国はNBAにとって最も重要なマーケットのひとつと
なっています。現在中国のスポーツ市場は約2000億円以上の規模にまで成熟しましたが、
国際的に注目されるスポーツで中国勢が活躍するようになれば、さらに市場は拡大し、
中国の重要な産業のひとつとして成長することでしょう」(同国務院官僚)
(>>2以降へ)
週刊現代 2010年1月30日号より抜粋
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