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アシックス定年の靴名人、春からアディダスへ
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マルタン社長と握手する三村氏
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マラソンの高橋尚子さんのシューズを作ったことなどで知られる靴作りの名人・三村仁司氏(61)が、
今春からアディダスの専属アドバイザーとして活動を始める。昨年3月にアシックスを定年退職した
三村氏の転身は、シューズ業界の競争の激しさを反映している。
13日の記者会見で、三村氏は「(オファーは)ほとんど全メーカーからあった。ありがたいことだが、
しつこいくらい熱心に誘っていただいて根負けした」と語った。契約の年数や金額は公表されていないが、
アディダス・ジャパンのパスカル・マルタン社長は「私の夢は、2016年五輪で三村さんのシューズを
はいたメダリストを見ること」と期待を込めた。
三村氏は、マラソンの野口みずき(シスメックス)、野球のイチロー(米大リーグ・マリナーズ)ら多くの
アスリートから絶大な信頼を得ている。今後、三村氏にシューズを作ってもらいたいがために、
アディダスのシューズを使用する選手が増えることも予想される。
三村氏の動向に、古巣のアシックスは静観の構えだ。もっとも、アシックスも昨年から日本陸連と
オフィシャルパートナー契約を結び、世界選手権の日本代表に用具を提供するなど、
既に次の手を打っている。
空前のランニング・ブームで、関連の市場規模は右肩上がり。民間調査会社の
矢野経済研究所によると、スポーツシューズの国内出荷額は2008年に2636億円に上った。
景気低迷の中で活況を呈する数少ない市場を巡り、メーカー間の競争はさらに激しさを増しそうだ。
(田上幸広)
(2010年1月22日13時53分 読売新聞)